齊藤正高のレビュー一覧
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【第4巻】ううーん、史実は曲げられない。ここまで怒涛の勢いで読んできたのに、急に教科書みたいになってしまって残念。
いえ、面白いのです。めちゃくちゃ。なので、余計にこのラストはがっかり。
巻末に作者による長い長い「物語の周辺について」という解説がある。私には「え?やっぱりそっちなの?」と思うところがあった。全巻読見終わってモヤモヤした人は是非この解説文を読まれるといい。
その中の引用文には現代語訳がついているので、何を言っているのか分かって助かる。出来れば本文中のにもつけてくれると良かった。
展開の先が知りたくて、何だかよく分からないことをすっ飛ばして読んだ。本来なら再読すべきなのだけど、この漢字攻撃に耐える力が次に出て来るはいつになることやら。どこかで映像化してくれたらそれで答え合わせしたい。
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ネタバレ「両京十五日 2 淮河の戦い」は、前巻以上に勢いを増した逃亡劇と、壮大な歴史ロマンに圧倒される一冊だった。次から次へと危機が押し寄せ、一行が休む暇もなく運命に翻弄されていく展開は、とにかくスリリングでページをめくる手が止まらない。特に淮河を舞台にした攻防は迫力満点で、映像が浮かぶような臨場感があった。
ただ派手なだけではなく、それぞれの人物が自分の信念や立場を背負って動いているため、敵味方を問わず魅力的なのも本作の大きな魅力。呉定縁の泥臭くも真っ直ぐな強さには思わず惹き込まれるし、皇太子を取り巻く人々との関係性にも熱さがある。誰が正義で誰が悪なのか単純に割り切れない重厚さが、物語に深みを与えていた。
歴史小説としての重みと、冒険活劇としてのエンタメ性が見事に両立していて、中国歴史エンタメの面白さを存分に味わえる作品だった。続きを読まずにはいられない。 -
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ネタバレ三体が面白かったのでこちらも読んでみた
【印象に残った短編】
・郷村教師:高度な知的生命体から見た地球人。相互情報伝達は音波を通した毎秒10ビット程度の低性能なもの。世代間の記憶継承能力も無い地球人が技術を進歩させてきたのは、「教師」という人達が知識を紡いでいったから。物語後の子供たちの将来に想いを馳せずには居られなかった。
・詩雲:神に近いテクノロジーを持つ生命体が、古代地球文明の「漢詩」に興味を持ち、李白を越えようと太陽系全てと引替えに漢詩を総当りで作成しようとする話。
文化にテクノロジーで対抗しようとするその発想がまず面白い。宇宙に浮かぶ全ての可能性を含めた漢詩のストレージ、それこそがタイトルである詩雲。
「猿をキーボードの上で歩かせて偶然できた小説は、どれだけ出来が良いとしても傑作と呼べるのか?」今のAIと芸術の関係を示唆するような内容。
・人生:胎児に母親の記憶を遺伝させられたらどうなるかという話。最終的に今後の人生の悲観して胎児は胎内で臍の緒を自らちぎり自殺してしまった。無知というのは将来を考えるにあたっては保護するものになる、というのは他にも当てはまりそうだと感じた。
・円:三体にもでてきた人間計算機の話。途方もない話で面白い -
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ネタバレ著者初読。自分にとっては珍しい翻訳小説でもある。もともと翻訳物にはどこか苦手意識があり、購入をしばらく躊躇していたのだが、物は試しと手に取ってみた一冊である。
物語の舞台は15世紀前半。日本でいえば室町時代、いまだ戦国の世が到来する以前の頃であり、中国では明が繁栄を極めていた時代だ。当時の皇帝洪熙帝は、皇太子である朱瞻基を留都南京へと派遣する。朱瞻基は実在した歴史上の人物であり、のちに皇帝として即位する存在であるが、恥ずかしながらその背景知識をほとんど持たないまま読み始めたため、序盤は状況を掴むのにやや手間取った。
さらに、物語の随所に登場する官職名や職業名、あるいは地名などがすべて漢字表記で現れるため、読み方すら分からず戸惑う場面も多い。翻訳作品に対して抱いていた不安が、やはり的中した部分もあったと言えるだろう。
それでも、物語が動き出すと、その勢いは凄まじい。皇太子一行に降りかかる陰謀と危機は、次から次へと連鎖していく。息つく暇もない展開の連続に、気づけばページをめくる手が止まらなくなっていた。歴史小説でありながら、徹底してエンターテインメントとしての疾走感を失わない点は見事というほかない。
読み進めるうちに、当初感じていた知識不足や言葉の壁は徐々に薄れ、むしろ未知の時代と文化の中を旅しているかのような感覚が生まれてくる。翻訳小説への苦手意識を少しだけ和らげてくれた一冊とも言えるだろう。
もっとも、本作はまだ物語の序章に過ぎない。続きが気になるのは間違いないが、果たしてこのままシリーズを追うべきかどうか。興味と逡巡のあいだで、しばし思案しているところである。 -
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西遊記の裏側では何が起こっていたのか? 道教と仏教の神様たちが様々な計略をめぐらせ… #西遊記事変
■あらすじ
道教の仙人の李長庚は、天庭でのんびりと生活を送っていた。ある日仏教の観音菩薩から、天竺に経典を求めるために向かった三蔵法師に対して、八十一の劫難をたてることを押し付けられる。
李長庚は宗教間のいざこざや仲間内での争いなど、様々な調整事が後を絶たず仙界、地上界を右往左往。さらに孫悟空の身分を奪われたと主張する猿も現れてしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
中国の古典文学『西遊記』、日本だとテレビドラマが有名ですよね。子どもの頃に再放送でよく見てたなぁ。アクションばりばりの孫悟空(堺正章)や、やたらと女性に弱い猪八戒(西田敏行)が面白くて、テレビに噛り付いていたものです。
本作はそんな『西遊記』の裏側を描いた作品で、実は神様たちがこんな脚本をつくっていたんですよお話。
まず発想力が突飛ですんげぇ面白い。神様って、こんなにも大変なのかよって爆笑です。道教と仏教が協力しながら劫難なる修行イベントを81個も作っていかなきゃいけないんだけど、これがなかなかうまく行かない。
まるで現代のドラマ作りのように、予算不足、管轄争い、下からの突き上げ、上からの圧力など、関係者からの横やりがはいって、やたらと煩雑で大変なんすよね。
しかし本作の主人公である道教の仙人、李長庚がやたらと気を回すところが抜かりなくて妙に現実的。仏教の観音大士との会話が興味深くって、お互い上手くやりましょうねって感じなんですが、通さなければいけないところはあったりもするんです。これ現代人の企業でやる根回しと一緒ですよね。
そして本作一番の謎は、孫悟空とニセモノの関係性です。なぜこんなことになっているのか、そもそも西遊記の旅になぜ孫悟空を入っているのか、さまざまな謎の背後は見えてきた悟りとはなんだったか… これが想像以上に深く、すぐには解釈できませんでしたね。何度も味わいながら読ませていただきました。
ただ一応注意点として言っておきます。本作をちゃんと楽しむには、それなりに読む力や知識が必要です。私はまるで知識不足だったので、言葉の意味や背景情報を調べながらコツコツと読ませていただきました。また三国志の理解もあるとさらに考察が深ままるとおもいますよ。
■ぜっさん推しポイント
『両京十五日』でもそうだったのですが、馬伯庸の描く登場人物はみんな生き生きとしてるんです。漫画のキャラクターみたいに無邪気で元気だし、特に女性を可愛く描くのが上手いです。冒頭いきなり織女との会話ですっかり惹きつけられましたね~、その後の観音大士とのやり取りも面白いですよ。
中国の歴史&お仕事ミステリー、面白かった!