本巻で厩戸と毛人の物語は終わった。いや、すでに2000年前に終わっていたのだった。
ぼくは厩戸の毛人に対する熱烈な愛情を、哀れだとも滑稽だとも思わない。ただひたすらに可愛い。
だが、厩戸は「父」になる。その呪われた才能を揮いながら、この「国」を作りながら、子を為していく。
続編の「馬屋古女王」は、そんな子らの話だ。呪われし上宮王家の男女たち。
さて、この作品は悲劇だったのだろうか。ぼくはこの作品を悲劇だと言い切ることはできない。ただ喜劇でないことはたしかだろう。
2000年前の日本でも、人は叶わぬ恋に泣き濡れていたのだ。