小川公代のレビュー一覧

  • ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる

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    「戦争」「論破と対話」「親ガチャ」「マンスプレイニング
     」「レイシズム」「インターセクショナリティ」「愛」「エコロジー」「ケアの倫理」「アンチ・ヒーロー」という10のテーマを映画やアニメなどわかりやすいれから説明し、そして英国人作家メアリー・シェリーとその作である「フランケンシュタイン」を通じて、ケアの精神、つまり他者と心をどのように通わせるかを論じた書。「ケアの倫理」もテーマにあるが、基本には「ケアの倫理」に通底する流れで書かれているものである。最近のアニメなども例に出されているので、シンているものは理解が進むが、知らないものは進みにくく、改めて見直そうと思った。

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    2025年07月18日
  • メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ

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    フランケンシュタインを書いたメアリ・シェリー自身について、後年の著作や、両親や夫との関係から解説している。フランケンシュタインのあとがきにもほぼ同じ内容が書かれているが、よりメアリ・シェリー自身を中心にする形で述べられている。
    当時のイギリスの家族観がわかりやすく描写されていて勉強になった。

    ただ人間模様についての描写に若干違和感があるというか、想像で補っているような拙さを感じる箇所がいくつかあった。

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    2025年05月10日
  • メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ

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    子どもの頃「フランケンシュタイン」の映画を観て震え上がった記憶があるが、フランケンシュタインを“暴力的で不安定な”怪物にしたのは、彼を作った博士の“ネグレクト(育児放棄)と質の悪い教育、それから退廃した社会”との見方にはハッとさせられたし、現代社会にもそのまま通じるのではないだろうか。

    訳者の小川公代さんのことはポリタスや『虎に翼』関連で脚本家と対談するイベント等で何度かお見かけして、その情熱的なトークが印象的だったが、本書での学術的な語り口の端々に、熱い語りが垣間見えるのも楽しい。メアリ・シェリーが誰か知らずに気になっていた映画『哀れなるものたち』もぜひ観ることにする。

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    2025年02月04日
  • 世界文学をケアで読み解く

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    本の紹介が多い本は、やっぱり読んでみたいと思える本が載っていると価値が上がります。本書にも、そう思えるものが数冊ありました。

    光あたる道を歩んでいる人から見ると、主張せず自ら損をしているだけと思える弱い立場の人たち、そういう人たちによるケアという活動が、世の中を維持し回している、という事実。

    分かっていても無視して生きている人でも、病気になったり自分もちょっと弱い立場になるだけで痛感するはずです。

    どんどんストレスが増す時代に弱者やケアの活動がどういう扱いになるのか全然分かりません。人生なんて様々で、幸、不幸を測る画一的なモノサシはこの先も存在しないと思いますが、自分が生まれてきた価値は

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    2024年07月13日
  • 世界文学をケアで読み解く

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    『ケアの倫理とエンパワメント』で注目され、その後も話題作を発表し続ける小川公代さんの著書。基本的には『ケアの倫理とエンパワメント』、『ケアする惑星』と同じ流れではあるが、新自由主義的な社会のあり方を批判的に考察し、ケア思想を世界文学の中に見いだそうとする試みがなされる。

    小川さんの専門は英米文学だが、それに限らず、さまざまなジャンルの作品が紹介される。「世界文学」と銘打っておきながら、映画にも手が伸ばされている。ざっと挙げると、以下のような著者の作品が紹介されている。
    ・ヴァージニア・ウルフ
    ・ハン・ガン
    ・柳田國男
    ・マーガレット・アトウッド
    ・大江健三郎
    ・オスカー・ワイルド
    ・平野啓一

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    2024年05月06日
  • ケアする対話 この世界を自由にするポリフォニック・ダイアローグ

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    ネタバレ

    P149「創造行為自体が症状の等価物であって、発症する代わりに作品を創った」
    P178「天才は病んでいると言うよりは、常人以上にタフなレジリエンスを有しているのではないか」
    P187「当事者研究は見かけ上はサイエンスという形式で文学をやっていこうという新しいムーブメント」
    なるほど…。

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    2024年06月16日
  • ケアの倫理とエンパワメント

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    ケアの倫理の本は初めて読んだけれど、私がここ半年くらい考え込んでいたことと予想以上に繋がっていた。作中に出てきた本も読みたいと感じた。
    理論を語るというよりは、文学作品と絡めた説明が続く印象だった。

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    2024年03月24日
  • ケアの倫理とエンパワメント

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    ネタバレ

    ケアの倫理とエンパワーメントから読み解く近代文学。とてもいい読書案内。倫理の本じゃなかった。いや、タイトルだけで決めたこちらの問題なんだけど。

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    2023年09月14日
  • ケアの倫理とエンパワメント

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    自己と他者との関係において「ケア」とはどのようなものか。近代社会以降では「自律する個」という価値観の影に隠れて、ケアの価値は不当に貶められてきたのではないか。強くある「個」に対して、弱く他者に依存する「ケア」、男性的な理性と女性的な共感、そうした二項対立を超えるあり方や眼差しを西洋文学、日本文学を題材に捉え直していく論考。最近考えてるネガティブ・ケイパビリティとも大きく関わるものだったのもまた視点が広がり、三島由紀夫から平野啓一郎への多様性を辿る系譜も面白かった。平野さんの三島論も読もう。

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    2023年09月05日
  • ケアする惑星

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    ケアが蔑ろにされている今の新自由主義の世の中で、ケアを見つめなおし、少しでも生きづらい人へのケアのヒントになることを著者の英文学作品を読み解く中でケアの重要性を再発見する書。アンネの日記をギリガンが読み解いていたり、ウルフの帝国主義に対する姿勢や働く女性に対しての考え方や、ネガティブ・ケイパビリティ、ピア・グループ、ケア倫理など具体化が分かりにくいものを英文学より紐解き、現場に役立つものが多かったが、原書を読んでいないので理解は半分くらいとなった。あげられたものや参考文献を読み進めていきたい。

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    2023年07月30日
  • ケアする惑星

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    この数十年、国が推し進めてきた新自由主義的な競争社会に疲弊している国民は多い。世の中がどんどん便利になってきた一方で、「生きづらさ」が増していた。しかし、ここにきて、コロナ禍を経て、変化の兆しは見え始めている。福祉やケアへの注目が俄かに高まっているのだ。

    本書は前作『ケアの倫理とエンパワメント』が注目された小川公代さんの待望の新刊である。文学を通してケアの精神を学ぶという趣旨は前作と同じだが、主に小川さんのメインフィールドである英文学から題材が採られ、前作以上に深く作品の読み込みがなされる。特にヴァージニア・ウルフ作品については、本書を読んだ後に読み直すと、まるで違う味わい方ができるだろう。

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    2023年03月26日
  • ケアの倫理とエンパワメント

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    どこかの国の首相が言っている、
    「成長と分配」

    成長なくして分配なし、の理論は、
    生きづらさの典型ではないか。

    全てのものが等価交換となりがちな、
    資本主義社会においては、何かと引き換えで
    なければ、何も得られないのか。

    この論理に、ケアでさえも巻き込まれているのだ、
    と感じさせてくれたのが本書であった。

    ケアは、資本主義の外側になければいけない。
    何も持たない私でも、受け取っていいのだ。

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    2021年12月11日
  • ケアの倫理とエンパワメント

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    いま「ケア」という言葉に注目が集まっている。反射的に職業としてのケアワーカーやケアギバーが連想されるが、この言葉の持つ意味は広く、ケアは誰もが日常的に行っている。世界はケアで成り立っている。ところが世の中には、ケアは女性が従事すべきものとする(特に男性を中心とした)見方が根強くある。

    本書のタイトルにある「ケアの倫理」は著者の造語ではない。ローレンス・コールバーグのいわゆる「正義の倫理」やジョン・ロールズの「正義論」へのカウンターとして、倫理学者のキャロル・ギリガンによって提唱されたもので、ケアを他者への共感という視点で語るものだ。本書はその「ケアの倫理」を、文芸評論を通して論ずる興味深い内

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    2021年11月07日
  • ケアの倫理とエンパワメント

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    倫理(ケア)には具体的な決断が伴う。だからこそ倫理には悩みや迷いが生じ、それゆえに創造的とも言える。

    法や社会やモラルにただ盲目的に従う「道徳」ではなく、思わず逡巡してしまう「倫理」が人間の身体を作り出す。

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    2021年10月13日
  • ケアの倫理とエンパワメント

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    「正義の倫理」との対立により「ケアの倫理」が導入され、文学におけるその表象と細やかに往復を繰り返しながらその概念の変遷と未来が描き出されている。オスカー・ワイルドから平野啓一郎までを「ケアの倫理」を軸として一気に批評。「ネガティヴ・ケイパビリティー」など鍵概念が反復されたり、各章のむすびに小括が設けられたりしていて、一般書としての読みやすさにも配慮されているところからも「現代性」を感じさせる。

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    2021年09月12日
  • ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる

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    本書は、メアリ・シェリーや彼女の書いた「フランケンシュタイン」を起点に、ケアの視点から現実を組み替える「実験」なのだという。
    メアリ自身や、見捨てられた存在であるフランケンシュタイン(人造人間の方)のような、生きづらさを抱えた脆弱な存在の紡ぐ、「小さな物語」を掬い上げ、それがいかに軽視されてきたかを、様々な作品の中に見出だしていく試みとのことである。
    また、物語の中に、他者への配慮や対話・「共話」的な関係を見出だしていくようでもある。

    率直に言えばちょっと読みづらい。
    「戦争」「親ガチャ」「マンスプレイニング」「レイシズム」などのダークなキーワードが続く前半は、どうしても糾弾調になりがち、と

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    2025年10月26日
  • メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ

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    メアリ・シェリー。初めて聞く名前。
    あの有名なフランケンシュタインの著者だそうな。それも18歳で書いたとか!
    この女性の一生を描いたのがこの本。
    生まれてすぐ母親に死なれたり、17歳で妊娠、死産だったり、
    作家の夫もどうのこうの、、、波乱万丈の人生を送ったようだが、、
    あまり興味を惹かれなかった。

     謝辞
    第1章 遺産
    第2章 ゴシックの叛逆
    第3章 『フランケンシュタイン』
    第4章  初期の女性の語り手──『フランス、スイス、ドイツ、オランダの一地域をめぐる六週間の旅行記』、『マチルダ』(一八一七〜一八二一年)
    第5章 『ヴァルパーガ』、『最後のひとり』、『パーキン・ウォーベックの運命』、

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    2025年04月28日
  • 翔ぶ女たち

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    予備知識がないことが惜しまれる。
    が、その中でもちらと垣間見えた世界は面白かった。

    ・女性とケア
    ・アルファタイプとベータタイプ
    ・魔女がどうやって生まれたか
    ・個に言えないことを種には命じる

    わが身を振り返ると、結婚出産の前後で別人のよう。

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    2024年09月02日
  • ケアする対話 この世界を自由にするポリフォニック・ダイアローグ

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    最近知った、当事者研究やオープンダイアローグ等に取り組んでいる方々の話を聞けました。

    イメージができなくて理解が難しくても、声を傾けることは大事だと思いました。

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    2024年06月26日
  • ケアの倫理とエンパワメント

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    興味深く読んだ。ネガティヴ・ケイパビリティ、カイロス的時間、多孔的な自己という概念がはっきりしてきた。私の理解力では一読で、この手の本を理解することはできないのだけれど、圧倒されつつもぼんやりと自分の中では著者の言いたいこと、私の身の回りで起きていることが繋がっていると感じることはできる。
    そして、この本を読むことで読みたい本が山ほど増えるということも楽しい発見。

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    2024年03月20日