小川公代のレビュー一覧
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小川公代さんの著書を読むのはもう何冊目だろうか。この方の書くものを読むと物語の持つ力を信じられるような気がする。
小川さんの手法は、小説や映画などの解説をしつつ、世界をケアの視点で読み解いていくというもの。本作も同様で、今回は『フランケンシュタイン』とその作者メアリー・シェリーを足がかりに、そこから関連する物語や映像作品を紹介していく。小川さんの視点で語られる芳醇なケアの物語の世界を存分に味わえるお得な一冊になっている。
毎度のことながら、本書を読みつつ、紹介される作品群も当たってみた。それもまた楽しい。映画『メアリーの総て』は本書を読まなければ鑑賞することはなかっただろう。読む人にいくつ -
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このところ岩波新書の赤い表紙に「ケア」の2文字が踊っています。この本棚に入っている岡野八代「ケアの倫理 フェミニズムの政治思想」にも揺さぶられたし、まだ未読ですが白石正明「ケアと編集」も早々に開かなきゃ。岩波に限らず時代が「ケア」という言葉を強く求めているように感じます。それはジェンダー問題のみならず、すべての抑圧、差別、偏見に対する異議申し立てをし、乗り越えていくためのキーワードなのだと思います。実は10月のNHK Eテレの「100分de名著」がブラム・ストーカー『ドラキュラ』を取り上げていて講師が著者の小川公代だったので『ドラキュラ』視聴と『フランケンシュタイン』読書を並行してみようと手に
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「フランケンシュタイン」をはじめとする書籍やドラマをベースに、
いろんなテーマに向き合っている。
1 戦 争
2 論破と対話
3 親ガチャ
4 マンスプレイニング
5 レイシズム
6 インターセクショナリティ
7 愛
8 エコロジー
9 ケアの倫理
10 アンチ・ヒーロー
ここに書かれているものはいずれもなんだか
強者の押し付け、圧を感じるものばかり。
マンスプレイニングなんて、聴きなれないが、
説教したがる男たち、ってな感じで、イメージがわかる。
そういったものに対し弱者がどう立ち向かうか、生きていくか、
ってことかなあ。ケアの視点。いま。ここ。
朝ドラ「虎に翼」も出てくる。確かに -
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ヒロアカが取り上げられているとのことで読んだ
小川公代さん、もちろんお仕事のためもあると思うが映画や文学だけではなくて「鬼滅の刃」や「僕らのヒーローアカデミア」とか少年漫画も論考に入れられるぐらい読み込んでるのすごいな…。射程範囲の広さよ…数巻だけじゃなくてかなりの巻数なんだけどな…
そして最後の10章「アンチ・ヒーロー」で「僕らのヒーローアカデミア」からトガヒミコと麗日お茶子の関係性に着目していて、これは二人のことが好きな人にはぜひ読んでほしいと思ってしまった
「僕らのヒーローアカデミア」の内容をすべて肯定するわけではないけれど、トガヒミコの帰結が麗日お茶子との友情からなる対話に帰結したとこ -
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「戦争」「論破と対話」「親ガチャ」「マンスプレイニング
」「レイシズム」「インターセクショナリティ」「愛」「エコロジー」「ケアの倫理」「アンチ・ヒーロー」という10のテーマを映画やアニメなどわかりやすいれから説明し、そして英国人作家メアリー・シェリーとその作である「フランケンシュタイン」を通じて、ケアの精神、つまり他者と心をどのように通わせるかを論じた書。「ケアの倫理」もテーマにあるが、基本には「ケアの倫理」に通底する流れで書かれているものである。最近のアニメなども例に出されているので、シンているものは理解が進むが、知らないものは進みにくく、改めて見直そうと思った。 -
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子どもの頃「フランケンシュタイン」の映画を観て震え上がった記憶があるが、フランケンシュタインを“暴力的で不安定な”怪物にしたのは、彼を作った博士の“ネグレクト(育児放棄)と質の悪い教育、それから退廃した社会”との見方にはハッとさせられたし、現代社会にもそのまま通じるのではないだろうか。
訳者の小川公代さんのことはポリタスや『虎に翼』関連で脚本家と対談するイベント等で何度かお見かけして、その情熱的なトークが印象的だったが、本書での学術的な語り口の端々に、熱い語りが垣間見えるのも楽しい。メアリ・シェリーが誰か知らずに気になっていた映画『哀れなるものたち』もぜひ観ることにする。
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本の紹介が多い本は、やっぱり読んでみたいと思える本が載っていると価値が上がります。本書にも、そう思えるものが数冊ありました。
光あたる道を歩んでいる人から見ると、主張せず自ら損をしているだけと思える弱い立場の人たち、そういう人たちによるケアという活動が、世の中を維持し回している、という事実。
分かっていても無視して生きている人でも、病気になったり自分もちょっと弱い立場になるだけで痛感するはずです。
どんどんストレスが増す時代に弱者やケアの活動がどういう扱いになるのか全然分かりません。人生なんて様々で、幸、不幸を測る画一的なモノサシはこの先も存在しないと思いますが、自分が生まれてきた価値は -
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『ケアの倫理とエンパワメント』で注目され、その後も話題作を発表し続ける小川公代さんの著書。基本的には『ケアの倫理とエンパワメント』、『ケアする惑星』と同じ流れではあるが、新自由主義的な社会のあり方を批判的に考察し、ケア思想を世界文学の中に見いだそうとする試みがなされる。
小川さんの専門は英米文学だが、それに限らず、さまざまなジャンルの作品が紹介される。「世界文学」と銘打っておきながら、映画にも手が伸ばされている。ざっと挙げると、以下のような著者の作品が紹介されている。
・ヴァージニア・ウルフ
・ハン・ガン
・柳田國男
・マーガレット・アトウッド
・大江健三郎
・オスカー・ワイルド
・平野啓一 -
Posted by ブクログ
この数十年、国が推し進めてきた新自由主義的な競争社会に疲弊している国民は多い。世の中がどんどん便利になってきた一方で、「生きづらさ」が増していた。しかし、ここにきて、コロナ禍を経て、変化の兆しは見え始めている。福祉やケアへの注目が俄かに高まっているのだ。
本書は前作『ケアの倫理とエンパワメント』が注目された小川公代さんの待望の新刊である。文学を通してケアの精神を学ぶという趣旨は前作と同じだが、主に小川さんのメインフィールドである英文学から題材が採られ、前作以上に深く作品の読み込みがなされる。特にヴァージニア・ウルフ作品については、本書を読んだ後に読み直すと、まるで違う味わい方ができるだろう。 -
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いま「ケア」という言葉に注目が集まっている。反射的に職業としてのケアワーカーやケアギバーが連想されるが、この言葉の持つ意味は広く、ケアは誰もが日常的に行っている。世界はケアで成り立っている。ところが世の中には、ケアは女性が従事すべきものとする(特に男性を中心とした)見方が根強くある。
本書のタイトルにある「ケアの倫理」は著者の造語ではない。ローレンス・コールバーグのいわゆる「正義の倫理」やジョン・ロールズの「正義論」へのカウンターとして、倫理学者のキャロル・ギリガンによって提唱されたもので、ケアを他者への共感という視点で語るものだ。本書はその「ケアの倫理」を、文芸評論を通して論ずる興味深い内