【感想・ネタバレ】メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へのレビュー

あらすじ

北村紗衣さん推薦! SF/現代ホラーの産みの母の人生

『フランケンシュタイン』はメアリ・シェリーが十代で執筆した代表作だが、人口に膾炙している怪物の視覚的イメージが先行しているからか、この物語が誕生した伝記的な背景は、この有名すぎる作品ほどは知られていない。
メアリ・シェリーの作家人生は、彼女の両親である急進派思想家のウィリアム・ゴドウィンとフェミニズムの先駆者と呼ばれるメアリ・ウルストンクラフトの出会いから宿命づけられていたといえる。
本書で綴られるメアリ・シェリーの伝記的な情報は、『フランケンシュタイン』の思想のバックボーンと彼女が生み出したほかの小説や旅行記とどのようなつながりがあるかを理解するうえで、不可欠なものである。
メアリが実人生で体験する苦しみ――産褥熱による母の死、流産、夫パーシー・シェリーの死、生き残った一人息子をめぐる義父との協議など――と『フランケンシュタイン』以降のメアリ・シェリーの思想と行動も瑞々しい筆致で描かれている。
女性作家として、あるいはシングルマザーとして直面した問題意識がいかに形成され、作品として結実したか、余すことなく論じた記念碑的名著!

[目次]
謝辞
第1章 遺産
第2章 ゴシックの叛逆
第3章 『フランケンシュタイン』
第4章 初期の女性の語り手──『フランス、スイス、ドイツ、オランダの一地域をめぐる六週間の旅行記』、『マチルダ』(一八一七~一八二一年)
第5章 『ヴァルパーガ』、『最後のひとり』、『パーキン・ウォーベックの運命』、そして新たな『フランケンシュタイン』(一八二一~一八三一年)
第6章 最後の仕事、一八三五~一八四四年
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Posted by ブクログ

子どもの頃に読んだ『フランケンシュタイン』の作者は、確か”シェリー夫人”となっていた。思春期にシェリー詩集を読んで、へーこのシェリーとフランケンのシェリー夫人…となったが、知らなかったことがなんとたくさん。
というか、彼女についてほとんど知らなかったんだな。

実の父がウィリアム・ゴドウィンであることにも驚いた。そして彼女の母。彼女の人生。それらがこうして明るみに出ているのも、ここ数十年の研究の成果であること。
フランケン以外にこんなにたくさんの作品を書いていることも知らなかった。

0
2025年08月12日

Posted by ブクログ

フランケンシュタインを書いたメアリ・シェリー自身について、後年の著作や、両親や夫との関係から解説している。フランケンシュタインのあとがきにもほぼ同じ内容が書かれているが、よりメアリ・シェリー自身を中心にする形で述べられている。
当時のイギリスの家族観がわかりやすく描写されていて勉強になった。

ただ人間模様についての描写に若干違和感があるというか、想像で補っているような拙さを感じる箇所がいくつかあった。

0
2025年05月10日

Posted by ブクログ

子どもの頃「フランケンシュタイン」の映画を観て震え上がった記憶があるが、フランケンシュタインを“暴力的で不安定な”怪物にしたのは、彼を作った博士の“ネグレクト(育児放棄)と質の悪い教育、それから退廃した社会”との見方にはハッとさせられたし、現代社会にもそのまま通じるのではないだろうか。

訳者の小川公代さんのことはポリタスや『虎に翼』関連で脚本家と対談するイベント等で何度かお見かけして、その情熱的なトークが印象的だったが、本書での学術的な語り口の端々に、熱い語りが垣間見えるのも楽しい。メアリ・シェリーが誰か知らずに気になっていた映画『哀れなるものたち』もぜひ観ることにする。

0
2025年02月04日

Posted by ブクログ

メアリ・シェリー。初めて聞く名前。
あの有名なフランケンシュタインの著者だそうな。それも18歳で書いたとか!
この女性の一生を描いたのがこの本。
生まれてすぐ母親に死なれたり、17歳で妊娠、死産だったり、
作家の夫もどうのこうの、、、波乱万丈の人生を送ったようだが、、
あまり興味を惹かれなかった。

 謝辞
第1章 遺産
第2章 ゴシックの叛逆
第3章 『フランケンシュタイン』
第4章  初期の女性の語り手──『フランス、スイス、ドイツ、オランダの一地域をめぐる六週間の旅行記』、『マチルダ』(一八一七〜一八二一年)
第5章 『ヴァルパーガ』、『最後のひとり』、『パーキン・ウォーベックの運命』、そして新たな『フランケンシュタイン』(一八二一〜一八三一年)
第6章 最後の仕事、一八三五〜一八四四年
 訳者解説

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2025年04月28日

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