小川公代のレビュー一覧

  • メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ

    Posted by ブクログ

    子どもの頃「フランケンシュタイン」の映画を観て震え上がった記憶があるが、フランケンシュタインを“暴力的で不安定な”怪物にしたのは、彼を作った博士の“ネグレクト(育児放棄)と質の悪い教育、それから退廃した社会”との見方にはハッとさせられたし、現代社会にもそのまま通じるのではないだろうか。

    訳者の小川公代さんのことはポリタスや『虎に翼』関連で脚本家と対談するイベント等で何度かお見かけして、その情熱的なトークが印象的だったが、本書での学術的な語り口の端々に、熱い語りが垣間見えるのも楽しい。メアリ・シェリーが誰か知らずに気になっていた映画『哀れなるものたち』もぜひ観ることにする。

    0
    2025年02月04日
  • 世界文学をケアで読み解く

    Posted by ブクログ

    本の紹介が多い本は、やっぱり読んでみたいと思える本が載っていると価値が上がります。本書にも、そう思えるものが数冊ありました。

    光あたる道を歩んでいる人から見ると、主張せず自ら損をしているだけと思える弱い立場の人たち、そういう人たちによるケアという活動が、世の中を維持し回している、という事実。

    分かっていても無視して生きている人でも、病気になったり自分もちょっと弱い立場になるだけで痛感するはずです。

    どんどんストレスが増す時代に弱者やケアの活動がどういう扱いになるのか全然分かりません。人生なんて様々で、幸、不幸を測る画一的なモノサシはこの先も存在しないと思いますが、自分が生まれてきた価値は

    0
    2024年07月13日
  • 世界文学をケアで読み解く

    Posted by ブクログ

    『ケアの倫理とエンパワメント』で注目され、その後も話題作を発表し続ける小川公代さんの著書。基本的には『ケアの倫理とエンパワメント』、『ケアする惑星』と同じ流れではあるが、新自由主義的な社会のあり方を批判的に考察し、ケア思想を世界文学の中に見いだそうとする試みがなされる。

    小川さんの専門は英米文学だが、それに限らず、さまざまなジャンルの作品が紹介される。「世界文学」と銘打っておきながら、映画にも手が伸ばされている。ざっと挙げると、以下のような著者の作品が紹介されている。
    ・ヴァージニア・ウルフ
    ・ハン・ガン
    ・柳田國男
    ・マーガレット・アトウッド
    ・大江健三郎
    ・オスカー・ワイルド
    ・平野啓一

    0
    2024年05月06日
  • ケアする対話 この世界を自由にするポリフォニック・ダイアローグ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    P149「創造行為自体が症状の等価物であって、発症する代わりに作品を創った」
    P178「天才は病んでいると言うよりは、常人以上にタフなレジリエンスを有しているのではないか」
    P187「当事者研究は見かけ上はサイエンスという形式で文学をやっていこうという新しいムーブメント」
    なるほど…。

    0
    2024年06月16日
  • ケアの倫理とエンパワメント

    Posted by ブクログ

    ケアの倫理の本は初めて読んだけれど、私がここ半年くらい考え込んでいたことと予想以上に繋がっていた。作中に出てきた本も読みたいと感じた。
    理論を語るというよりは、文学作品と絡めた説明が続く印象だった。

    0
    2024年03月24日
  • ケアの倫理とエンパワメント

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ケアの倫理とエンパワーメントから読み解く近代文学。とてもいい読書案内。倫理の本じゃなかった。いや、タイトルだけで決めたこちらの問題なんだけど。

    0
    2023年09月14日
  • ケアの倫理とエンパワメント

    Posted by ブクログ

    自己と他者との関係において「ケア」とはどのようなものか。近代社会以降では「自律する個」という価値観の影に隠れて、ケアの価値は不当に貶められてきたのではないか。強くある「個」に対して、弱く他者に依存する「ケア」、男性的な理性と女性的な共感、そうした二項対立を超えるあり方や眼差しを西洋文学、日本文学を題材に捉え直していく論考。最近考えてるネガティブ・ケイパビリティとも大きく関わるものだったのもまた視点が広がり、三島由紀夫から平野啓一郎への多様性を辿る系譜も面白かった。平野さんの三島論も読もう。

    0
    2023年09月05日
  • ケアする惑星

    Posted by ブクログ

    ケアが蔑ろにされている今の新自由主義の世の中で、ケアを見つめなおし、少しでも生きづらい人へのケアのヒントになることを著者の英文学作品を読み解く中でケアの重要性を再発見する書。アンネの日記をギリガンが読み解いていたり、ウルフの帝国主義に対する姿勢や働く女性に対しての考え方や、ネガティブ・ケイパビリティ、ピア・グループ、ケア倫理など具体化が分かりにくいものを英文学より紐解き、現場に役立つものが多かったが、原書を読んでいないので理解は半分くらいとなった。あげられたものや参考文献を読み進めていきたい。

    0
    2023年07月30日
  • ケアする惑星

    Posted by ブクログ

    この数十年、国が推し進めてきた新自由主義的な競争社会に疲弊している国民は多い。世の中がどんどん便利になってきた一方で、「生きづらさ」が増していた。しかし、ここにきて、コロナ禍を経て、変化の兆しは見え始めている。福祉やケアへの注目が俄かに高まっているのだ。

    本書は前作『ケアの倫理とエンパワメント』が注目された小川公代さんの待望の新刊である。文学を通してケアの精神を学ぶという趣旨は前作と同じだが、主に小川さんのメインフィールドである英文学から題材が採られ、前作以上に深く作品の読み込みがなされる。特にヴァージニア・ウルフ作品については、本書を読んだ後に読み直すと、まるで違う味わい方ができるだろう。

    0
    2023年03月26日
  • ケアの倫理とエンパワメント

    Posted by ブクログ

    どこかの国の首相が言っている、
    「成長と分配」

    成長なくして分配なし、の理論は、
    生きづらさの典型ではないか。

    全てのものが等価交換となりがちな、
    資本主義社会においては、何かと引き換えで
    なければ、何も得られないのか。

    この論理に、ケアでさえも巻き込まれているのだ、
    と感じさせてくれたのが本書であった。

    ケアは、資本主義の外側になければいけない。
    何も持たない私でも、受け取っていいのだ。

    0
    2021年12月11日
  • ケアの倫理とエンパワメント

    Posted by ブクログ

    いま「ケア」という言葉に注目が集まっている。反射的に職業としてのケアワーカーやケアギバーが連想されるが、この言葉の持つ意味は広く、ケアは誰もが日常的に行っている。世界はケアで成り立っている。ところが世の中には、ケアは女性が従事すべきものとする(特に男性を中心とした)見方が根強くある。

    本書のタイトルにある「ケアの倫理」は著者の造語ではない。ローレンス・コールバーグのいわゆる「正義の倫理」やジョン・ロールズの「正義論」へのカウンターとして、倫理学者のキャロル・ギリガンによって提唱されたもので、ケアを他者への共感という視点で語るものだ。本書はその「ケアの倫理」を、文芸評論を通して論ずる興味深い内

    0
    2021年11月07日
  • ケアの倫理とエンパワメント

    Posted by ブクログ

    倫理(ケア)には具体的な決断が伴う。だからこそ倫理には悩みや迷いが生じ、それゆえに創造的とも言える。

    法や社会やモラルにただ盲目的に従う「道徳」ではなく、思わず逡巡してしまう「倫理」が人間の身体を作り出す。

    0
    2021年10月13日
  • ケアの倫理とエンパワメント

    Posted by ブクログ

    「正義の倫理」との対立により「ケアの倫理」が導入され、文学におけるその表象と細やかに往復を繰り返しながらその概念の変遷と未来が描き出されている。オスカー・ワイルドから平野啓一郎までを「ケアの倫理」を軸として一気に批評。「ネガティヴ・ケイパビリティー」など鍵概念が反復されたり、各章のむすびに小括が設けられたりしていて、一般書としての読みやすさにも配慮されているところからも「現代性」を感じさせる。

    0
    2021年09月12日
  • 血肉となる読書 なぜ読むことだけが人生を変えるのか

    Posted by ブクログ

    久しぶりに小説じゃなくてアカデミックな本を読みたいと思った。
    分断された社会な今、古き良き本から学ぶことが役に立つ。白か黒か簡単に割り切れないからこそ、使えるものが詰まっている。

    0
    2026年08月12日
  • 血肉となる読書 なぜ読むことだけが人生を変えるのか

    Posted by ブクログ

    3人の読書家の読書法をまとめた一冊。
    それぞれが自分の哲学で読書をしており、非常に刺激になる一冊。
    この本から、どのような姿勢で本を読むのかが大切だと発見しました。

    0
    2026年08月06日
  • ケアの倫理とエンパワメント

    Posted by ブクログ

     駆け足で読んだ。いつかちゃんと学び直したほうがいいな、とは思いつつ、ヴァージニア・ウルフ、トーマス・マン、オスカー・ワイルド、遠くから眺めているだけだったけど本書きっかけでそろそろ読めるかな。

    ・ネガティブ・ケイパビリティ:わかることを留保すること
    ・多孔的人間:他者と混じり合ってしまう人間
    ・両性具有的:自立する面と依存する面を併せ持つ

    0
    2026年07月27日
  • 血肉となる読書 なぜ読むことだけが人生を変えるのか

    Posted by ブクログ

    分野の異なる専門家たちが、今の環境に至るまでにどんな本の影響を受けたのか、血肉とするためにやっている本の読み方やおすすめ本を紹介し、
    間に「100de名著」のプロデューサーさんの解説と示唆が入るというもの。

    マルクス、女性のケア、古典
    若干リベラル寄りといえなくもなかったけど、
    全体的にはフラットな印象。

    それぞれの専門家たちが語ることは正直ついていけないことも多く飛ばし飛ばしだったけど、
    本との出会いで人生が変わることはとてもよく伝わった。

    新しい世界への窓になることを期待してこの本を手に取ったけど、その目的は果たせたかなという感じ。

    本を通して学び続けること、問い続けることが重要な

    0
    2026年07月11日
  • メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ

    Posted by ブクログ

    「メアリ・シェリーの生い立ちがこういう風に彼女の作品に影響しました」という話。訳が直訳風で読み辛い。フランケンシュタイン本編の素晴らしい訳を読んだあとだから余計に感じるだけかも…(⌒-⌒; )
    読んでいると、理由は説明できないのだが「それ正確な情報?裏付けある?」と疑問に思ってしまうことが多数。ふわっと「こういう感じだったのね」と6割ぐらいで受け取っておくのがよさそう。
    初版からの改訂(ストーリーや設定の変更)でフランケンシュタインが名作となったくだりが面白かった。

    0
    2026年07月07日
  • 血肉となる読書 なぜ読むことだけが人生を変えるのか

    Posted by ブクログ

    みんなどんな風に見つけて、手に取って、読んで、自分のものにしてるのかなーって、、、ずっと不思議に思ってたことでした。
    正しい方法なんてものはないんだけど、凡人の私にも少しは参考になることがあったので、読んで良かったです!

    0
    2026年06月30日
  • 血肉となる読書 なぜ読むことだけが人生を変えるのか

    Posted by ブクログ

    「100分de名著」解説者である能楽師、文学者、哲学者たちが「本を読む」意義を紐解く。畑の違うお三方が案内するため、文学だけでなく学術書や哲学本など、ジャンルに偏りがないのも魅力でした。

    情報消費やタイパ偏重の現代において、本を「血肉」にするとはどういうことか。身体・ケア・社会変革という異なる切り口。
    効率で測らない、深く豊かな知を得たいものですね…。

    0
    2026年06月28日