あらすじ
明治から昭和にかけて活躍した小説家・野上弥生子。
語学力や教養やケア実践を、彼女はその先駆的な仕事にどう活かしたのか。
「ケア」をテーマに研究を続けてきた英文学者の「私」が弥生子の人生に惹かれた理由とは。
文学、映画、アニメ、音楽……現代の表現者たちの言葉をつなげて語る斬新な評論。
ロングセラー『ケアの倫理とエンパワメント』『ケアする惑星』著者の最新作。
【目次】
1章 言葉の森を育てた女たち――松田青子と野上弥生子
2章『エブエブ』と文学のエンパワメント――辻村深月と野上弥生子
3章 魔女たちのエンパワメント――『テンペスト』から『水星の魔女』まで
4章 ザ・グレート・ウォー――女たちの語りに耳をすます
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Posted by ブクログ
小川公代さんの「翔ぶ女たち」すごくおもしろかったし興味深かった。エブエブに水星の魔女にテイラー・スウィフト…。小川公代さんの射程範囲の広さに脱帽したし、そのなかでも「水星の魔女」に関する章では、アニメ自体も見ていたし最近ちょうど岩波新書の「魔女狩りのヨーロッパ史」を読んだところだったので、男性科学者たちによる自然の征服という意味での魔女狩りが発生した時代背景なども理解しやすかったし、テンペストと照らし合わせながらのプロスペラやエリクト、スレッタの立ち位置や物語内での役割、それによりエンパワメント作用は非常に頷けるところがあったしエコフェミニズムの文脈までをも汲んでいたという点については初めて知った観点だった。またアルファ・ヒロイン、ベータ・ヒロインという概念もこの本をきっかけに知ったのだが、まさに朝ドラの「虎に翼」の寅子と花江だと思った。朝日新聞デジタルの「虎に翼」論考もとてもおもしろく、あのドラマでやっていることの意義やエンパワメント作用がよくわかったので…。このアルファ・ヒロイン、ベータ・ヒロインと「虎に翼」だけで小川公代さんに1冊本を書いてほしいぐらい