波木銅のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
デビュー作『万事快調〈オール・グリーンズ〉』とても良かったので読んでみた。
予備知識を入れてなかったので、タイトルと表紙から野球の話なのかなぁと勝手に思い込んでいたけど全然そんなことはなく、「クラウド ナイン (Cloud Nine)」というのは積乱雲のことで、この上にいるほど「幸せな状態」「有頂天」「天にも昇るような気分」を意味する英語の慣用句なのだそう。
それぞれの方法で現代を生きる若者たちの姿が描かれる短編集だったこともあり、なんか単純な“幸せ”とはちがう、自らの手で勝ち取った壮大な景色のイメージ。
主人公の女子大生が、教育実習先の中学生と思いがけずMCバトルで戦うことになる表題作が抜群におもしろかった。活字で読むフリースタイルラップもまた一興。
『万事快調〈オール・グリーンズ〉』のスピンオフ作品という位置付けのようだけど、すっかり忘れているのでどこがどう繋がっているのか分からず……覚えてたらさらに楽しく読めたかも。 -
Posted by ブクログ
短編集。
教育実習生が生徒とラップバトルする表題作が、勢いがあって面白かった。よくそんな即興で韻踏めるなぁとか、この教育実習生、全然人に興味なくてやる気なさそうなのに、問題児には話しかけたりするんだ...と意外に思ったところとか、いろいろ感じるところがあった。人に興味を持たなさすぎて若干恨まれているところは、笑うしかない。いるよね、こういう人。
なんかラップバトルって気持ちよさそうだ。普段言えないことでも、ラップに乗せれば結構スルスルと言葉が出てきてしまうようで、わだかまりのある人達はもう皆ラップバトルで戦わせてもいいかもしれない(適当)。
いじめられっ子が暴力的な女性に失踪した妹を探していると言われる話も面白かった。ラストはんー?それでその後はどうなるの?というところで終わってしまうが、いじめられっ子が何か楽しそうなのでこれはこれで良いのかも。
このいじめられっ子が妙に達観していて、暴力を振るわれていても悲壮感があまりない。家族も皆、何かコミュ障っぽい。
暴力的な女性といじめられっ子は一見、気が合わなそうに思えるが、実は相性が良いんじゃないかと勝手に思った。
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Posted by ブクログ
ホラーゲームを実況中の短編アンソロジー。
今は、ゲーム実況などを経験している人は多いのかもしれない。
だがゲームも好きではなく、ましてや実況などとてもじゃないが見ることもましてや参加するなど無理なわけで…
だがホラーだと、どういう感じなんだろうかと読んでみたが、ゲームというのが頭にあるからだろうか、怖さを感じることがなく、どちらかと言うと不気味さの方が強かった。
見るのをやめれば…ということが可能なので入り込めなかったのかもしれない。
○マーダー・ミステリー・リプレイ(品田遊)
姥蜘蛛に喰われる無限ループ
○CIUDAD(波木銅)
生配信中に消息を絶ったバーチャルYouTuber
○メリイクリスマス、コナミル君(青柳碧人)
不快な言動を繰り返し始めるゲームキャラクター
○#プレイしたら呪われる(秋吉理香子)
プレイするだけで呪われるらしいホラーゲーム
○吉兆ちゃんの言うことは絶対(安壇美緒)
息子が夢中の動画から聴こえる耳障りな実況者の声
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Posted by ブクログ
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崩壊後の
世界を
自転車
で走れ!
人喰いワニ×パワフルガール
洪水が来たのに
すべては洗い流されず、
原発の町には方舟も
来てくれなかった。
そして華奢な未来が残った。
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波木さんの文体が好きです。
会話のやり取りや文章が好きです。
オールグリーンズのような、
なんだか爽やかで、
どう考えても詰んでる状況も。
本作はディストピア小説なのかな?
現実なのか曖昧な世界で、
自転車を走らせる。
どんな世界でも悩んで苦しんで、
こんなつもりじゃなかった自分を見つめる。
今、40歳を目前にした私は、
想像していた40歳とは全然違っていて。
(もちろん良くも悪くもの微妙な感じで苦笑)
どこもかしこも自己中で利己的で、理不尽で。
そんな世界でも波木さんの文章は好きです。
次作も楽しみにしています! -
Posted by ブクログ
ネタバレ「二度目の恋」でらなく、「二周目の恋」って何? と思いながら手にとった。
恋愛小説のアンソロジー。
同じ人にもう一度恋をする、というより、過去の恋の色んなものを乗り越えて、振り出しに戻って新しい恋をスタートさせる、というイメージかな。だからといって、すべての話がそうとは決まっていない。
もうすでに「付き合ってる」ような感じだけど、明確にするために頑張る女子大生や、結婚を経験したのちに自分らしい恋愛をする女性。脱皮して一回り大きくなった人たちが出てくることは間違いない。
昔は居心地が良かったけど、新しい世界で生きていると、なんだか昔のことを違う視点から見られるようになっている、なんてことはよくある。憧れだったのか、恋をしてるふりをしていたのか、世間体を気にしていたのか。
登場人物たちは、縛られていた何かから放たれて過去を振り返らずに突き進んでいく。
一番良かったのは、一穂ミチさんの「カーマンライン」。空と宇宙の境界部分のことをカーマンラインというらしい。
時代設定が平成初期だけど、意外と良かったのが遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」。今も同じような男性はいるだろうな。どんな人もできるだけ自然な自分を出せる相手が何人かいるだけでずいぶん楽になると思う。
あとね、窪美澄さんって苦手かもって思ってたけど、ここでレズビアンの女性の話が出てきて、これが良かった。上手くどこがどう印象的だったのか分からいんだけど、幸せな気持ちになった。
目次
最悪よりは平凡 島本理生
深夜のスパチュラ 綿矢りさ
フェイクファー 波木銅
カーマンライン 一穂ミチ
道具屋筋の旅立ち 遠田潤子
無事に、行きなさい 桜木紫乃
海鳴り遠くに 窪美澄
そういえば、「フェイクファー」を読んでるとき、「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」の小説を思い出した。