片岡夏実のレビュー一覧
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ながらく人々は、農地に堆肥などの有機物を与えることでその肥沃さを保ってきた。しかし近年、その有機物の栄養が、実は作物の成長にあまり寄与していないことが分かった。そこで代わりに与えられるようになったのが、化学肥料であった。作物の成長に必要な栄養を直接まく効果は絶大であり、収穫量は増大した。ところが、それは一時的だった。やがて、作物は病気や害虫に悩まされることになったのだ。あらためて分かったのは、堆肥の有機物の栄養は、農地に住む小動物、微生物の栄養となっていたことだった。そして、その小動物、微生物が、作物の栄養の吸収を助け、病気の発症や害虫の繁殖を防いでいたのだった。また、作物の方も、光合成した炭
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ネタバレ面白かったけど、後半に向かうにつれてちょっとタレた。先に『文明崩壊』を読んでいて、巻末の参考文献リストから飛んできて手に取った本でしたが、この本における主要なエッセンスはがっつり『文明崩壊』の方で要約されてしまっていたということが読み進めるごとに明らかに。
つまるところ、程度の差こそあれ、過去に崩壊した様々な文明や、現在進行形で消滅の危機にある地域の疲弊の原因は良質な土壌の流出によるものなんですよ、ということを一冊を費やして何度も何度も繰り返し論じている、というのがこの本の軸です。中盤あたりでそれが読み取れてしまうので、あとは章ごとに新たに出てくる各地の事例を各論として読むだけ、となってしま -
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そこ(大腸)では数多くの微生物が生態系を築き、人体と共生して、食物を分解し人間に必要な栄養素や化学物質を作り、病原体から守っている。それと同じことが、土壌環境でも起きている。腸では内側が環境だったが、根では裏返って外部が環境となる。そこに棲息する微生物は植物の根と共生して、病原体を撃退したり栄養分を吸収できる形に変えたりしている。
病原体としての微生物という考え(細菌論)にもとづいてさまざまなワクチンや抗生物質耐性遺伝子が作られ、おかげで多くの人の命が救われたことも確かだ。しかし抗生物質の乱用は薬剤耐性菌を生み、また体内の微生物相を改変して免疫系を乱して、慢性疾患の原因になっている。
同じ -
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以前、新聞の書評で採り上げられていたので興味を抱いて読んでみたものです。
「ミツバチの会議」というタイトルは、何とも気になるいいネーミングですね。結構人気も出ているようです。
本書のテーマは、ミツバチが新しい巣を作る際の「集団としての意思決定プロセス」の解明なのですが、著者が発見したその仕組みはなんと「直接民主主義」ともいえるものでした。
そして、さらに興味深いのが、このミツバチの分蜂群の意思決定メカニズムと霊長類の脳の働きとの類似性の指摘です。そこでは、ミツバチは“ニューロン”に相当する働きを果たしているのです。
いつもながら「自然の創造の驚異」ですね。 -
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生物学者が蜜蜂の分蜂(6月頃女王蜂を中心に新しい巣作りのために分離する行動)の研究結果をベースに意思決定論へ展開。蜂の社会は脳の構成に類似しているとする。
8割は蜂の詳細な研究。数万匹のによる一発勝負の分蜂を成功させるために蜜を集める経験を積んだ数百匹の働き蜂が入り口の広さと体積をベースに周辺の穴をいくつも探して仲間の前でダンスをしてその回数でアピールする。そのダンスを受けて別の蜂も調べてダンスに加わり最終的に満場一致で移動を開始する。
目的を共有した構成員、豊富な選択肢、自由な議論、公平な判断、必要十分な定数での可決がポイントとなる。またリーダーは必ずしも必要ではなく、問題が明瞭である場合は -
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ミツバチが次の世代の女王蜂に巣を明け渡すために、新しい巣を作るときに最適な場所を見出すときのミツバチの行動を観察し、その詳細を1冊の本にまとめたもの。
ミツバチは集団でしか生きられないので、次の巣を安全な場所に造らなければならない。しかし、この安全な巣の条件というのは結構複雑で、それを多くのハチたちがほうぼうを探しながら、最終的には1か所に決めて、みんなで巣つくりをする。新しい巣に移るのは1万匹。人間ではとても1か所には決まらない。著者のトーマス シーリーは、巣箱をつくるなどしてハチの行動を詳細に観察し、次の巣が決まるまでのプロセスを解き明かしている。研究はこうあるべきという見本のようなものだ -
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土が好き。だから、土という言葉が入ってるこの本を書棚で見つけ、つい手に取った。学生時代、土壌微生物の授業を受けてたから、新しい知識ではない。
庭づくりと土壌微生物との関係、我々の体と体内の免疫と微生物の関係、そして土と植物と栄養素の関係。
読んで、すぐにベランダの、毎年ゴーヤを育てているプランターの土づくりに着手。
身体も、免疫性の皮膚炎を持ってるから、色々納得しつつ読み進め、納豆とヨーグルトの食べる頻度を増やしたり…。すぐに行動変容が起きる本。
ただ、ちょっとくどいところもあり、読むのがストレスに感じるところも多く、そして同じことの繰り返しだったりで、読み飛ばしも多め。
このシリー -
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ミツバチ好き向け。
ミツバチの意思決定を直接民主制か間接民主制と比較して自社のマネジメントに活かそうなどと考えている目がギラギラしているビジネスマンには向いてない。
引越しの際、複数の選択肢から新しい巣をどこにするかをミツバチがどのように決定しているかを研究した内容。理想の巣の姿は事前に決まっている。複数の候補のうちどれが理想に近いかを効率的に選んでいることを発見した功績はすごいと思う。しかし引越し意外の事例の紹介はほぼ無い。
実際の人間社会における意思決定はハチの巣選びと比較して不確定要素が多く本書を参考にするには無理があると思う。ハチの生態を勉強してハチすげーなーと感心するための本。
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「スゴい会議」のようなビジネス書かと期待して読み始める。
ミツバチは集団で最良の選択をする仕組みを持っている。これを我々の会議の進め方に置き直すと…というような。
たしかにそういう結論ではありました。
全10章のうち、ラスト2章はそのような内容でした。
ただ、それまでの8章は純粋にミツバチの生態を分析した内容で、幼い頃に読んだファーブル昆虫記を思い出しましたw
こういう結論でした。
「効率的な集団の五つの習慣」
1.意思決定集団は、利害が一致し、互いに敬意を抱く個人で構成する
2.リーダーが集団の考えに及ぼす影響をできるだけ小さくする
3.多様な解答を探る
4.集団の知識を議論を通じてま