あらすじ
新しい巣をどこにするか。群れにとって生死にかかわる選択を、ミツバチたちは民主的な意思決定プロセスを通して行ない、常に最良の巣を選び出す。
その謎に迫るため、森や草原、海風吹きすさぶ岩だらけの島へと、ミツバチを追って、著者はどこまでも行く。
こうしてミツバチから学んだ集団意思決定は、人間にも応用でき、既に著者が大学の教授会で実践し、その効果を実感している。
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Posted by ブクログ
ミツバチの会議:
なぜ常に最良の意思決定ができるのか
一万匹ものミツバチが新たな女王蜂を擁して新しい巣を作るために旅立つ分蜂。
どうやって最も適切な新しい巣の場所を選ぶのか? どうやって旅立ちの時を決めるのか? 何故まっすぐに新しい巣の場所に飛ぶのか? 多くの疑問一つ一つを丁寧な実験と観察によって明らかにしてくれます。
直接民主主義への応用も含めて、どのように会議に於いて最良の選択を行うのか?に関しての考察もあります。
・意思決定集団は、利害が一致し、互いに敬意を抱く個人で構成すべし
・リーダーが集団の考えに及ぼす影響をできるだけ小さくすべし
・多様な解答を探るべし
・集団の知識を議論を通じてまとめるべし
・定足数反応を使って正確性、一貫性、スピードを確保すべし
示唆に富んだ一冊です。
竹蔵
Posted by ブクログ
以前、新聞の書評で採り上げられていたので興味を抱いて読んでみたものです。
「ミツバチの会議」というタイトルは、何とも気になるいいネーミングですね。結構人気も出ているようです。
本書のテーマは、ミツバチが新しい巣を作る際の「集団としての意思決定プロセス」の解明なのですが、著者が発見したその仕組みはなんと「直接民主主義」ともいえるものでした。
そして、さらに興味深いのが、このミツバチの分蜂群の意思決定メカニズムと霊長類の脳の働きとの類似性の指摘です。そこでは、ミツバチは“ニューロン”に相当する働きを果たしているのです。
いつもながら「自然の創造の驚異」ですね。
Posted by ブクログ
生物学者が蜜蜂の分蜂(6月頃女王蜂を中心に新しい巣作りのために分離する行動)の研究結果をベースに意思決定論へ展開。蜂の社会は脳の構成に類似しているとする。
8割は蜂の詳細な研究。数万匹のによる一発勝負の分蜂を成功させるために蜜を集める経験を積んだ数百匹の働き蜂が入り口の広さと体積をベースに周辺の穴をいくつも探して仲間の前でダンスをしてその回数でアピールする。そのダンスを受けて別の蜂も調べてダンスに加わり最終的に満場一致で移動を開始する。
目的を共有した構成員、豊富な選択肢、自由な議論、公平な判断、必要十分な定数での可決がポイントとなる。またリーダーは必ずしも必要ではなく、問題が明瞭である場合は議論と可決のファシリテーターとして動くべきである。
Posted by ブクログ
ミツバチが次の世代の女王蜂に巣を明け渡すために、新しい巣を作るときに最適な場所を見出すときのミツバチの行動を観察し、その詳細を1冊の本にまとめたもの。
ミツバチは集団でしか生きられないので、次の巣を安全な場所に造らなければならない。しかし、この安全な巣の条件というのは結構複雑で、それを多くのハチたちがほうぼうを探しながら、最終的には1か所に決めて、みんなで巣つくりをする。新しい巣に移るのは1万匹。人間ではとても1か所には決まらない。著者のトーマス シーリーは、巣箱をつくるなどしてハチの行動を詳細に観察し、次の巣が決まるまでのプロセスを解き明かしている。研究はこうあるべきという見本のようなものだ。
副題にある「まぜ最良の意思決定ができるか」は、人間の意思決定と比べてしまいそうだ。本文でも、意思決定集団が複雑な問題に直面した時に、同様に幅広い選択肢から選べるようにするために、どうしたらいいか?という問いに対して、ミツバチの集団行動から基本的なメカニズムを参考にできると考えているのは興味深い。
時間があるときにじっくり読むことをお勧めします。
Posted by ブクログ
ミツバチは常に最良の意思決定ができるのに人間は必ずしもそうではない。ミツバチは自分が属する集団が滅びると、自分ひとりでは生きていけないので集団の生存を最優先に行動する。そこには自分の欲のようなものは働かない。集団としての意思決定は、本書が示すように民主的なプロセスによって成される。それに加えて他の集団と争うことはないのだろう(本書では未提示)。翻って、人間は集団ごとに利害は違うし、利害が一致した集団であっても一人の権力者の意志が優先されたり、十分な議論が成されずに強制採決に至ったりする。愚かな人間がいる。
Posted by ブクログ
西洋ミツバチの巣別れである分蜂行動における集団意思決定方法。時間制約があるなかで如何にして最良の決定をし、1万匹を超える集団が如何にしてひとつの行動を取れるか。
多くの賛同者を最初に得た意見が通る。
Posted by ブクログ
ミツバチ好き向け。
ミツバチの意思決定を直接民主制か間接民主制と比較して自社のマネジメントに活かそうなどと考えている目がギラギラしているビジネスマンには向いてない。
引越しの際、複数の選択肢から新しい巣をどこにするかをミツバチがどのように決定しているかを研究した内容。理想の巣の姿は事前に決まっている。複数の候補のうちどれが理想に近いかを効率的に選んでいることを発見した功績はすごいと思う。しかし引越し意外の事例の紹介はほぼ無い。
実際の人間社会における意思決定はハチの巣選びと比較して不確定要素が多く本書を参考にするには無理があると思う。ハチの生態を勉強してハチすげーなーと感心するための本。
Posted by ブクログ
ミツバチの意思決定がどのように人間で適応できるかについてだけ知りたい人は、本当に最後だけ読めば良い気がする。
後は、ミツバチの生態について科学者じゃなくても分かりやすく書いてあるけど長い。笑
でも驚いた生態能力は沢山あったから楽しかったけど、情報を取捨選択して軽く読んで飛ばしてしまった部分もあるかな。。。
Posted by ブクログ
「スゴい会議」のようなビジネス書かと期待して読み始める。
ミツバチは集団で最良の選択をする仕組みを持っている。これを我々の会議の進め方に置き直すと…というような。
たしかにそういう結論ではありました。
全10章のうち、ラスト2章はそのような内容でした。
ただ、それまでの8章は純粋にミツバチの生態を分析した内容で、幼い頃に読んだファーブル昆虫記を思い出しましたw
こういう結論でした。
「効率的な集団の五つの習慣」
1.意思決定集団は、利害が一致し、互いに敬意を抱く個人で構成する
2.リーダーが集団の考えに及ぼす影響をできるだけ小さくする
3.多様な解答を探る
4.集団の知識を議論を通じてまとめる
5.定足数反応を使って一貫性、正確性、スピードを確保する
これがどういう意味なのかは本書を読んでみてください。