苗川采のレビュー一覧
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無料版購入済み
アニメを2話まで見た時点で神作と確信(百合、闇要素、あやかし...)して、原作を読み始めました
まず苗川先生の画が美しすぎる!本当に上手で引き込まれます
背景から全て一人で完成なさっているとのこと...そして仄(?)暗な内容があまりに私の好みで、無事今までで一番のお気に入り作品となりました
この感想を書いている現時点でもう漫画最新刊とノベライズも読了、最高です。
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Posted by ブクログ
突如訪れたあざみは紛れもなく汐莉の罪を象徴するような人物。汐莉が安易に人魚の肉なんて与えなければ、あざみはあのような存在に成る事は無かった。比名子に呪いを掛ける事なんて無かった
発端は間違いなく汐莉である
物語初期に見られた「深い海の底に沈んだ」ような空虚を抱えていた比名子にとって親しみを持って接せられる『大島のおばさん』は貴重な信頼できる相手の一人だった筈で。それを思えば、あざみに裏切られた形となった比名子の衝撃は計り知れない
だからこそ、そんな比名子を守る為に汐莉は前面に出る必要があるのだけど、大切にされなかったとの認識があるあざみに汐莉のそんな姿勢は容認できるものではないと…
この状況、「お前のせいよ」って言ったあざみの言葉が何から何まで正しいのがどうしようもない。比名子もあざみも汐莉が気紛れ又は願いに拠って分け与えた血肉によって永劫の苦しみが始まっている。けど、汐莉は比名子は守りあざみは捨て置いた。その扱いの差が現状の悲劇を生み出している
汐莉に責任があり、彼女が全てを背負わなければならないような悲劇。これに対して比名子が一緒に背負えなくとも寄り添う姿勢を見せたのは大きな変化に思えたり
比名子って自分の悲劇に心が一杯一杯になっているのがこれまでの姿であった為に、汐莉の悲劇に寄り添う姿勢を見せ、汐莉が自分に向けてくれる感情への答えを返せたのはかなり大きな成長かもしれない
ただ、比名子が自身に寄り添う姿勢を見せる程に、汐莉の中で寄り添おうとしないあざみへの悪印象が強まってしまうのはあざみの問題を解決に導く上での問題点となりそうな気がしないでもないけど… -
Posted by ブクログ
以前の対話は比名子に汐莉の意を汲む気が全く無かった為に対話として成立しなかった。しかし、今回は比名子が自身の過ちに気付いた上での対話である為か、以前と格段に異なるものとなったね
それは相手と言葉を交わし合う対話というより、様々な言葉で伝えられてきた汐莉の言動に比名子が改めて向き合う対話と言えるものだったのかな
というか、悔いる言葉ばかりを吐き出さずに居られない比名子に対して汐莉の「…よかった」には万感の想いが籠められれていて読んでいるこちらとしても良かったね…!となってしまう
ただ、それでも比名子は生きる気力を持てずに居るのかぁ…
対話とは互いに意思を交わし合うものであって、相手の都合良いように己の意思を変える行為ではない。その意味では改めての対話を経ても比名子がその点を変えられないのはどうしようもない
けれど、比名子が姿勢を変えたのであれば、汐莉は要求の基準を少しだけ変えられるか…。その基準とて汐莉の望みと完全に一致するわけではないけれど、それでもひとでなしの彼女が求める最上級の温もりであるようには思えたよ……
今は儚い展望のような形でしかない比名子の大切なひとに成りたいという望み。交流を重ねた先で比名子が家族写真の隣に汐莉との写真を飾る日は来るのかな?
不穏な幕間を挟んで始まる文化祭、3人が和気藹々と楽しんでいる様子を見られるだけでも良い光景だけれど、以前よりも比名子の表情が柔らかくなっているようにも感じられて微笑ましくなってしまうね
おまけに椿まで紛れ込むなんて尚更に賑やかな絵面となっている
ただし、あのように不穏な幕間が有ったのだから続く話も当然のように不穏で
安全圏と思われていた比名子のおばにとんでもない仕込みをしていたものだね!もう1人のおばに言及された瞬間とか、本当の姿が現れた瞬間には冗談抜きで寒気がしてしまったよ!
汐莉は比名子を幸せにしたいと願っている。対してそのような感情を向けられなかった少女は汐莉の傍に居着く事で何を得ようとしているのだろう…
てか、もしかしなくてもあざみってラスボス級の存在だったりする…? -
Posted by ブクログ
夏休みが終わっても文化祭が近付く秋の入口、学生的には楽しいイベントはまだまだ終わらないといった印象
だからか、比名子も珍しく少し楽しそうにしているし、美胡は楽しさを盛り上げる為に奔走。そんな二人を他所に汐莉は表情を微かに曇らせてるなぁ…
汐莉の心情的には比名子に日常を楽しんで欲しい気持ちはある。けれど、彼女が完全に明るさを取り戻した時は別れの時。比名子は希望へと少しずつ近付いている状況で、汐莉は絶望へと少しずつ近付いている状況で
43話までの描写は表情に出さない形で傷を増やす汐莉を見ていられない印象でしたよ…!
それだけに44話のもう慣れた展開とも思える異形に襲われる流れにて比名子が気付きを得るとは思わなかったな
これまで何度も汐莉は比名子を異形から助けてきた。序盤においてその理由は比名子を食べる為かと思われた。次は彼女に生きて欲しいからだと判明した
そして汐莉は強い。そこらの異形なら敵わない程に。そしてどんな時でも滅多に表情を変えない
だから全く気付かなかった。比名子が異形に襲われそうな時に汐莉がどのような心境で居るかなんて
心臓の音とはつまり生きている証のようなもの。それを通じて汐莉が抱く比名子に生きていて欲しいという願いが真の意味でようやく伝わる展開はとても良いものでしたよ……
けれど、生きて欲しいという願いの先に待ち受ける約束に伴う感情は比名子がかつて経験した痛み。汐莉への理解はつまり自信への失望に繋がってしまうのか……
更にその痛みの理解は美胡にも向いてしまうというのはね…
比名子は本当に辛い経験をした。だから痛みに耐えきれず他者に理不尽な言動を放ってしまうのは仕方なかったのかもしれない
ただ、理不尽な振る舞いだったと一度でも気付いてしまえば後悔は消せないばかりで
それだけに沢山の別れも出逢いも経験してきた美胡が喪失の痛みを認めつつ比名子を愛していると伝えてくれたのは良かったな。あの言葉はきっと己の不甲斐なさに失望していた比名子を認めてくれる言葉となるだろうから
そのように純心を伝えてくれる美胡の言葉だから、汐莉が抱く純心への想像も比名子は出来るようになる
これまで何度も寄り添う大切さを伝えてくれた美胡だけど、今度の言葉はとびっきりの温もりに満ちたものだったね
これから行われるは改めての対話。7巻の時は比名子の側に寄り添う準備が無かったから汐莉が望まぬ約束を交わすしかなった
けれど今の比名子は汐莉が直面している痛みを理解・想像できる。その姿勢で臨む対話は比名子と汐莉に齎されるものが少しでも本当の希望に繋がる何かであればと願ってしまうけれど…… -
Posted by ブクログ
椿の策略により美胡が人に擬態し得た絆や縁を何もかも失ってしまう…と思っていただけに何事もなく比名子の隣に戻れた彼女の姿には驚きつつも安堵できましたよ
美胡が人に仇なす存在であるという定義は遥か昔に変質していたようで。それに気付かず己を制御し続け、そして人の隣に在り続けた美胡はなんて尊い存在なんだろうね
こうなってくると美胡と比較する事すら烏滸がましく思えてくるのが椿。思わせぶりな言動で美胡を翻弄した彼女だけど、翻弄を続けられるだけの実力も覚悟もなかったか
そんな言動と実力にギャップが有り過ぎた彼女だけど、まさかの騙り者でしたか
隠神刑部から大事な精神を受け継ぎ人の側に居続けた美胡、隠神刑部から大事な精神を聞き逃し人と共に居る美胡を憎んだ椿。2人は同じ異形であってもその背景は全く違ったようで
穏やかに幕を閉じた今回の事件、最終的に注目ポイントとなったのは比名子と美胡ではなく、比名子と汐莉となったような
比名子は美胡の為なら多少の無茶をする。何故なら大切な友人だから。ならば汐莉の為であれば比名子は何が出来るんだろうね?
もし、彼女の為にしたい事がなかった場合、それを見せられるだろう汐莉は何を思うのだろうね?
ただ、比名子は美胡の過去を知った事で彼女を嫌いになるどころか彼女の努力に感服した。それは汐莉が望むような生きる希望に繋がるかもしれない。でも実現した瞬間に汐莉は比名子を食べなければならない
これは確かに汐莉が言うように酷い約束だ…
思い返せば、汐莉は比名子の為に様々を我慢して尽くしている。ひとでなしな笑顔に騙されそうになるけれど、彼女が普通の人間であれば苦悩に満ちていたであろう事は想像に難くない
41話で自分では全く理解できない墓参りに同行したのもそうだし、彼女の祈りに合わせているのもそう
そのような関係だからこそ、比名子が汐莉に何を返せるのかという点が気になってくるが、それだけに「ずっと一緒にいられるでしょ?」という台詞には衝撃を受けてしまったよ……
比名子としては悪気はないし、本心から彼女に返せるものは自分の肉体だけだと思っている。だからそう言ってしまう
でも、汐莉は一度だって本心から彼女の肉体を望んだ事なんて無いというのに……
この酷く苦しい擦れ違いはどうやったら正常化出来るのだろうね…? -
Posted by ブクログ
破滅的な約束により比名子と汐莉には時間が生まれた形。当事者がどう思おうと暫くの間、二人は同じ時を過ごす事になる
だからこそ、このタイミングで妖怪と人間が共に暮すのは本当に正しいかと改めて突きつけてくるエピソードを持ってくるのか。えげつない……
美胡の古馴染みとして登場するは化け狸の椿ですか
彼女を前にしての美胡の余裕の無さは、それだけ彼女の登場によって起き上がる過去を喜ばしく想っていない証拠かのよう
3巻にて比名子は美胡の正体を知ってなお友達と言ってくれた。それでも椿の登場から始まってしまうだろう過去の追求は恐れたわけか
美胡がひた隠す人喰い狐としての過去。それを過去の話と切って捨てられれば楽な話かも知れないが、椿が想起させるのは未来の話だね
彼女の来歴はまだ見えないけれど、人間と親しくした事で彼女が裏切られたのなら、椿は美胡にとって未来の姿となるのかも知れない。そして裏切りの場に居るのはもしかしたら比名子かもしれない。それは美胡にとって恐るべき未来
美胡の過去は容赦なく凄惨で残虐なもの。彼女が人間の敵であったと示している
でも、坊主にや村人によって人間と縁を築いた彼女の姿も本物であるとも感じさせる。どちらかだけが美胡という人物を表す筈がない
なのに椿が過去の振る舞いこそ美胡の正体だと言い寄ってくるのは邪悪に感じてしまう。それを不快に思い力を向ければ美胡の正体が暴かれたかのような構図になるのは如何ともし難い
だからこそ、美胡の力を見て、椿の話を聞いて、それでも美胡を友達と言ってくれる比名子の言葉には癒やされるような心地になってしまったなぁ
これで勝負は決した。そう思えただけに椿がした悪足掻きは美胡をどう変えてしまうの……? -
Posted by ブクログ
巻頭のあらすじ4コマ、確かにその通りのストーリーなんだけど、テンポ良すぎてもはや笑うしか無い…
こう見ると、汐莉って無邪気に酷いな…。いや、比名子を生かす意味では正しいんだけどさ(笑)
汐莉との擦れ違いは明白となり比名子に生きる気力はない。それでも彼女を騙し続けてきた汐莉は生きて欲しいと願う
折り合わない両者の着地点を見出す為の会話なのだけど、そもそもの価値観が大いに異なるからちょっとした言葉でも届かせるのが難しい
汐莉に出来るのはひたすらに妥協する事。…だからって最終的な結論がそんな着地を見せるなんてなぁ…
二人を最初に結びつけたのは約束だった。なら対話を不成立としたままで出来るものなんてやっぱり約束しか無くて
汐莉にとっての希望は比名子にとっての絶望だから通らず、比名子にとっての希望は汐莉にとっての絶望だから通せる。どうしようもない擦れ違いを肯定してしまった約束
時間稼ぎにしか成らない欺瞞は二人に何を齎せるのだろうね
どうであれ、二人は道を定めてしまった。比名子を守りたい美胡にとっては頭の痛い事態。比名子を主体としつつ、三人の雰囲気を執り成そうとする彼女の労力には頭が上がらないね
このどうしようもない状況での変化を一つ上げるなら比名子が仮初めでも今を楽しもうとし始めた事だろうか
その先に有るのは死であっても、心持ちを変えようとしている。それは楽しめない筈の旅行の楽しみを彼女に思い出させるものに
通常であれば吉兆として扱えるそれもいずれ絶望に繋がると思うと心安らかに見守れないのが辛い……
ラストに登場したのは美胡が話題に上げていた化狸だったりするのかな? -
Posted by ブクログ
本シリーズの表表紙って比名子は頻繁に登場し、汐莉は次いで回数が多かった。そして時には裏表紙に異形の存在が隠れていてと、ある種の特徴めいた表紙の作り方をしていた
けど、今巻は表表紙に異形の存在が…
通常ならこれを「侵食されている」と捉えるべきなのだろうけど、内容を読む事でその認識は一変したかな。それどころか、異形を裏表紙に追い遣っておきながら汐莉が表表紙に登場できていた意味が様変わりして感じられるかのような内容だったよ
現在の比名子と汐莉とはまた違った形で共に暮らしていたという汐莉と子供
同居というより放置に近い暮らし。一緒に居た頃はそれで安定していたのは汐莉が干渉していなかったからかな?だとすれば汐莉が余計なお世話をしてしまえば価値観の違いから不和が生じるのは当たり前の話で
復讐された点に思う部分は無いようだけれど、自分を捨て置いても何の問題もなく、また汐莉を受け容れようとする存在もない世界というのはどれだけ彼女の心に孤独を与えたのだろうね…
だからこそ、何かよく判らんが積極的に関わろうとしてきた幼い比名子の存在に救いを見てしまったのだろうけど
幼い比名子は無垢にも程がある存在だね
あまりにも穢れが無さ過ぎて世の汚さを教え込むのが間違いだと思えてしまうほど
その無垢な純心は異形をも差別しないから誰にも受け容れられなかった汐莉ですら受け容れてしまう
汐莉はこの時に正解と間違いを同時に犯しているね
正しかったのは比名子を食べなかった点、誤ったのは彼女に自分を混ぜてしまった点
無垢に傷が付いた比名子が輝きを失ってしまうのは当然の成り行きだったのかも知れない
どうしようもなく間違った汐莉の過ちは続いているから現在の比名子と汐莉を苛んでしまう
これに対し、人との関わりに長じた美胡が改善策を授けるのは良い流れ。別に汐莉の為に言っているわけではなく比名子の為。今の汐莉も比名子の為に行動を変えたがっているからその点は一致を見るわけだ
でも汐莉以上に比名子に付いた傷が深刻過ぎるから、汐莉と美胡が話し合ってもどうしようもない
美胡を前にあんな言葉を漏らした比名子に対して誰が慰めて遣れるというのだろうね……
もう比名子に生きる活力なんて全くない。少しでも死の匂いがあれば惹かれてしまう
人を喰らう異形でしか無い汐莉に今の比名子に届く言葉が放てるのだろうか……?
そういや、明言はされてないけど、人魚の肉を喰った子供はあの自爆で完全に死んだという認識で良いのだろうか…?
生きているなら間違いなく再び汐莉を狙ってくるだろうし、その果てに比名子まで危険に晒されてしまいそうな予感が…… -
Posted by ブクログ
過去に血を貰っていたって、あの事故の瞬間だけを指しているのかと思っていたけど、意外や意外に比名子と汐莉の因縁は根深いもの……?
それはそれとして、驚きだったのはあやめが生きていた点かな。あれだけズタボロにされて復活できるんだ…
前回では比名子を食事と見定め襲いかかってきたあやめが語る謝罪の言葉は幕間を読んでから読み返すとしんみりとした感情を抱いてしまうものだったね
比名子があやめに母を重ねてしまったように、あやめも比名子にかつての娘を重ねてしまった瞬間があったのか…。重ねていたから比名子を娘と見立て、かつて言えなかった言葉を伝えたくなったと
そしてもう一つの言葉は比名子に驚愕を齎すもの
これまで汐莉は比名子が美味しそうだからと傍に居て守ってくれていた。その前提が崩れてしまった
前巻にて示唆された汐莉が比名子に血を分けたとの示唆が予想外にも程がある疑念を伴って形となってしまったね
自分を食べてくれるかもしれないから。その想いで比名子は汐莉と共に居た。深い水底に沈んでいるかのような人生を歩む比名子にとって汐莉はもしかしたら縋りたくなるような存在だったのかもしれない
それだけに汐莉の秘密を追求したくなるし、明かされる真実にショックを隠せない
汐莉の存在は今も昔も比名子を生かしている。でも、生きている意味を実感できない比名子にとって「生きている」なんて呪いのようでもあり…
比名子が辛うじて生に縋り付く理由となった事故時の台詞、美味しそうだとの言葉
汐莉が発した偽りの言葉は誰の想像も超える程に比名子を傷つけてしまったようで……
……その流れで汐莉と美胡によるデートが始まるだなんて誰が想像しただろうか(笑)
これまでの経緯を考えれば二人っきりになっている時点で珍しいこの組み合わせ。それは同じ妖怪であっても主義や人間の捉え方が全く異なっていたからという背景も有る
美胡の主義は人間寄り。だから読者も美胡の思想は語られずとも判る。けどあの穏やかな光景を「肉塊」にしか感じられない汐莉の思想は簡単には共感できない
だから汐莉が何を感じて生きてきたかは語られるべきなのだけど、それは美胡という多少なりとも汐莉の思想が理解可能な存在を媒介とする必要があるということか
「食べる気になれない」「生きることを放棄」と比名子を思わせる要素を持つ少女との関わりは汐莉にどのような絶望を与え、それが比名子との関係にどのような影響を持つのだろう? -
Posted by ブクログ
比名子と汐莉は偶然の出会いによって結びついた関係とこれまで思っていたけど、実際は違った……?ていうか、第一巻で描かれた二人の出会いをよくよく読み返してみれば、違和感を覚える点が幾つも……
なら汐莉の優しい言葉にも獲物が美味しくなるまで守りたいといった思惑の他を見出しそうになるが、それでも汐莉の言葉に比名子が救われているのは事実なんだよなぁ……。あまりに痛ましい比名子の傷を見てもそれに頓着しなかった汐莉の言葉は比名子に幾許かの安らぎを与えている。比名子はいずれ自分を食べてしまうかもしれない相手に心を許してしまっている
そうなるように差し向けたか、或いはそうなる事態を許容した汐莉の思惑とは……?
そうして比名子と汐莉の距離が近づいているから、比名子と美胡の間にも汐莉が入り込むようになる。まあ、汐莉と美胡に仲良くなって欲しいとの比名子の想いが入り込んでいる気がしないでもないけど
それは当然ながら美胡と汐莉が近づく事態も招く。二人は妖怪として真逆の在り方をしているわけだけど、だからこそ互いの「らしくない」姿が見えてしまうのか
汐莉が突き付ける美胡の矛盾と限界、美胡が感じ取る汐莉の嘘偽りの言葉
美胡から見える汐莉の違和感はそのまま読者へとダイレクトに伝わってくるもの。自然と汐莉への疑いが濃くなる。そのタイミングで比名子から汐莉との友人関係を望む言葉が出てくるのは少し驚きだし、それを素気無く否定してみせた汐莉の言動は妖怪じみているけど、一方で唐突に妖怪らしさを出し過ぎているとも感じてしまったが……
野良妖怪によって示される比名子の様々は物語の分岐点になりそうな
自分を死なせてくれるなら相手は選ばなかった筈の比名子があやめの攻撃は避けた。それは汐莉に殺されたいとの望みかそれとも死にたくないとの想いの発露か……
そしてもう一つの事実が本当に衝撃的
過去に血を貰っていた。あの日出会っていた。そして、あの事故から比名子の体質が変わった。これらの事実を結びつけるとこれまでの物語がひっくり返りそうな真実が飛び出てくるような寒気が……
そういった心境で読み終わったからこそ、おまけ漫画の気の抜けた感じに結構笑ってしまったよ! -
Posted by ブクログ
本作において、人でなしや妖怪は常に日名子を捕食対象として見てきた。それは表面上、比名子を守る汐莉も同様。その中で美胡だけは全く異なる目で比名子を見守り続けてきたのか……。
自分を純粋な土地神だと思っていないし、その役目も無理やり押し付けられたもの。それでも土地に住む者を守ると決めている
妖怪にとってご馳走となる比名子に何の影響も受けないわけじゃない。体調だって頻繁に崩す。でも、何があっても比名子だけは守ろうとする
明かされる美胡の覚悟。その深度は凄まじいものだね。汐莉がいずれ来るご馳走の為に今を我慢しているのとは全く違う。比名子のご馳走としての部分を理解してなお、傍に居る比名子を純粋に守ろうとする
それはもしかしたら美胡の独り善がりで終わってしまうかもしれないし、失敗してしまうかもしれない。だからこそ美胡はその事実を隠してきた
だというのに比名子は美胡の秘密を知った上で『友達』と言ってくれるのか……
なら美胡はその気持ちに応えたくなる。だからって自分の大切な体の一部を千切り取るなんて思わなかったけど。こんな妖狐は古今東西見たこと無いよ……
そのくらいに比名子は美胡に大切に思われている
けど、比名子は美胡が妖怪であった事に別の安堵を感じてしまうのか…。結局、比名子の死にたがりの本質は何も変わっておらず、変わっていないが故に自分の死後に一番の友達を汐莉が支えてくれるだろうし、自分が居なくなっても寂しくないなんて思ってしまう……
それはとても間違った考え方なのだけど、比名子を捕食する側である汐莉としては積極的に否定する程でもないのかな。これから何が起きるとしても比名子のこの認識を改めない限りは何も変わらないように思えてしまうが…
それにしても比名子の体質は異質だね。生まれつきかと思いきや、あの事故の日から変わったものだったのか。てっきりあの事故も比名子の体質が原因かと勝手に思っていたのだけどな…
こうなってくると比名子の体質がそのようなものに変わってしまった理由も気になるし、その話を聞いた時の汐莉の反応もちょっと気になるね