苗川采のレビュー一覧

  • 私を喰べたい、ひとでなし 2

    Posted by ブクログ

    比名子の死にたがっているという欲求を指摘した汐莉の瞳は「海みたい」と形容されているけど、日名子にとっての海とは自身を他者と隔絶する空虚な檻のようなもの
    だから、海みたいな瞳を持つ汐莉の指摘は日名子を改めて普通の人間とは全く異なると突きつけるものとなるのかな?だから日名子もあまり愉快な思い出ではない過去を話したのかもしれない

    死にたいくらい哀しい出来事なのに、その時に聞いてしまった「生きて」の言葉が日名子に自発的な死を選ばせない。だから他者から与えられる死を欲してしまう
    それはとんでもない矛盾だね。死にたいのに生きなければならない。その矛盾が日名子を生かし苦しめている
    でも、気まぐれに人を殺すひとでなしなら矛盾なんて無視して自分を食べてくれる。日名子が恐ろしい存在である汐莉に惹かれるのはそういった理由があったのか

    でも、やっぱりひとでなしである汐莉はそんな欲求すら無視してしまうんだよね。
    汐莉の要求はとんでもないね。最高に美味しい日名子を食べたいから生きてほしいなんてとんでもない矛盾

    それらの矛盾は他の矛盾を呼び寄せていく
    その最たるものが美胡の正体。いや、本当に彼女の正体は意外だった。普通に親友兼恋敵枠かと思っていたよ……
    美胡が最初に見せる矛盾は些細なもの。祭り会場に居る日名子を見たのにまるで見ていなかったように振る舞う
    次に見せた矛盾は少し衝撃的。見えない筈のものが見えるという……

    美胡が持つこれらの矛盾によって、汐莉が現れるまでは平穏であったように思えていた日名子の日常の色が全く違って見えてくるね
    そして美胡が抱えていた最大の矛盾が……

    美胡にとっては捕食の対象となるはずの日名子を偽り、自分を偽り、周囲を偽り、嗜好を偽り守ってきた約束とは何なのだろう?

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    2021年06月30日
  • 私を喰べたい、ひとでなし 1

    ネタバレ 無料版購入済み

    生きていることが辛い主人公とその主人公を食べたい妖怪人魚の物語。
    汐莉さんはタイトル通り、正に人ではない存在です。
    後書きによると瀬戸内の田舎の港町が舞台で独特の雰囲気があります。
    作者さんが描きたいものがまだ見えてこないのでとりあえず☆3つです。
    主人公の友人の美胡さんが良い味を出してます。
    感情タグを選ぶのが難しい。

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    2026年01月06日
  • 私を喰べたい、ひとでなし 2

    Posted by ブクログ

     主人公は多くの怪異(ひとでなし)に命を狙われる。
     喰らうために護る怪異と、襲う怪異と人との物語。

     重めの話に、美女と怪異の物語が馴染む。
     今巻、主人公の背景や怪異の事など、徐々に明かされはするが・・・。
     思い切った展開は少なめの印象。
     次巻へ引っ張った一つの問題が肝になるのだろう。
     この要素がどう転ぶのか楽しみである。

     怪異とこの要素がどう交わるのか。
     あと、四国好きとして「東京ケーキ」にほっこり。

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    2021年08月10日
  • 私を喰べたい、ひとでなし 1

    Posted by ブクログ

     わたしの六月はゾンビ月間・・・で、ゾンビ作品ばかり観ている。
     ・・・そんな折に、このタイトルを見かけて「ゾンビ」?と思って購入した一冊。
     まぁ人を喰らうのはゾンビだけじゃないよね。

     ・・・って事で、2冊前に登録した「八月九日 僕は君に喰われる。」と同時に購入した一冊。
     タイトルも似た雰囲気であるが、内容もほぼほぼな印象。
     別にまねしたわけじゃないんだろうけどね、ありがちな設定でもあるし。

     怪異にとって特別おいしそうな主人公を、よりおいしくいただくために、他の怪異から護ってくれる怪異との話。
     一番おいしい時期に食べるため、メンタル的にもフィジカル的にもヒロインを育てるというのも面白い。
     ヒロインは死にたい理由があるので、それを受け入れる・・・。

     瀬戸内海を背景にした、愛媛の海辺の街をモデルに描かれる舞台も魅力。

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    2021年06月10日
  • 私を喰べたい、ひとでなし 1

    Posted by ブクログ

    随分と血の匂いの濃い少女達が繰り広げる物語ですね

    過去の事故以来空虚さを抱え続けている比名子。その空虚さを「深い海の底に沈んだまま」と表現しているのは独特だね
    海の近くに住んでいる事も合わせて海の匂いを強く感じさせる少女なのかもしれない

    そんな比名子に近づいてきたのが人魚の汐莉というのはどこか運命めいている
    海に曰くを持つ比名子と海からやってきた汐莉。比名子の過去含め、どこまでも海が関わってくる

    一方で海からやってきた汐莉は海の匂いだけでなく血の匂いも漂わせているというのはどこか恐ろしい
    対立する妖怪は惨殺し、比名子に対しても「私は君を喰べに来ました」なんて言ってしまうどう考えても安全ではない存在
    だというのに、そんな汐莉に惹かれてしまうなんて比名子は相当に危ういね

    最高に美味しい状態の比名子を食べるために比名子の学友となり、時には夏祭りにも連れ出して、他の妖怪からは身を挺して守って……
    死に焦がれる比名子としては自分の望む死を与えてくれる存在。でも、まるで焦らすかのように簡単には死を与えてはくれない
    どう考えても健全な事態にはならない2人の関係性はどうなっていくのか。そして比名子の過去には一体何が有ったのだろうと気になってしまうね

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    2021年03月25日