河﨑秋子のレビュー一覧
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私の父は82歳、認知症はないけれど、同じく年老いた母がおり、現在、独身の弟が両親と同居している。
弟は高卒で、事あるごとに大卒の私と比べられ、両親からD評価を受けて来た。
そんな弟は現在契約社員でVチューバ―とやらを推している。書店で帯を見た瞬間、吸い寄せられるように手に取った一冊。
今年、ベスト3に入る本だった。
最後は、泣けた。自分がどの人物に共感して泣いたのだろうかと思えば、きっと「家族」として共感したのだ。
それは、老いを受け入れる父であり、推しに救いを求め先の見えない不安と戦う主人公であり、また、娘達の未来を見届けることなく突如命を奪われた母であり、姉にすべてを押し付けておきながら、 -
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類を見ない小説だった。
唯一無二。
私が知っている限りではあるけれど。
こんなにも「生命」をありありと描写する作家に興味を持った。
河﨑秋子さんとは、どんな人物だろう。
調べてみると酪農の家に生まれ育ち、ご自身は羊飼いだったとか。
納得。
しかも『ともぐい』というタイトルのイメージ通り、爽やかさ0で、何ともうすーく不穏な空気の漂うお話だった。
サイコパス度合いもまぁまぁ。
またも、遺伝には逆らえないというメッセージを受け取ってしまった。著者はそんなことは意図してないかもしれないけれど。
暗い小説は嫌いじゃないけどね、暗さが私の想像を越えてしまっている。
誰にでもお勧めできるお話じゃない -
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河崎秋子『介護者D』朝日文庫。
これまでの河崎秋子の小説とは風合いの異なる小説であった。タイトル通りの介護小説である。読んでみて、閉塞感を感じるばかりで、余り良い思いはしない。
実家に住み続け、両親と暮らすためには公務員か開業医、自営業を選択するしか無い時代である。自分の離れて暮らす父親も大腿骨を骨折してから急速に衰え、要介護4と認定され、母親の負担も大きくなり、特別養護老人ホームに入所させるという選択をした。しかし、新型コロナウイルス感染禍でなかなか会いに行けず、面会はガラス越しかタブレットという状況だった。そんな父親は昨年末に老衰で亡くなった。母親は父親が生きているうちはと気を張ってい -
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これを本当に『ともぐい』と同じ人が書いたのか?
まったくテイストの異なる世界観でびっくりです!
『日本農業新聞』に一年にわたり掲載されていたものを書籍化した本書。
まず、タイトルと表紙から森田繁子さんが美味しいものを食べ過ぎないように気をつけているお話?と思ってしまいますが、森田繁子さんは美味しいものは際限なく食べる!出されたものは遠慮せずすぐに全部食べる!
腹八分というのは、農業コンサルタントである森田繁子さんの持論、片方がゼロ割で損をして片方が十割で得をするよりも、さらにはお互いが五分五分で我慢するよりも、ちょっとした譲歩で八割対八割にした方が実りが多い、ということ。
困っている農業従事者 -
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農業コンサルタントの森田繁子。
その人は、豪胆な身体つきと良い食べっぷり、そして派手なスーツに派手メイクの女性だ。
1話ごとに展開されるストーリーは、農家や酪農家が彼女に相談するところから物語は始まる。
山林の所有者に猟のために立ち入る許可を得たい男性、山羊を育てる酪農家の経営話、祖父の農家を継ごうとする孫夫婦。
いずれも繁子の見目形からは想像つかない能力で腹八分の解決法を探っていく。
とにかく毎話、美味しそうに食べる様子が印象的だ。コンサルタントというと堅苦しい話に思いがちだが、農家として従事する人たちの交流や温かさを感じられる作品になっており、繁子の活躍を待ち望みながら読んだ。