河﨑秋子のレビュー一覧

  • 森田繁子と腹八分

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    楽しく読み進みながらも、
    農業、酪農の厳しさ、難しさを知ることができ
    それらを八分目の満足度とはいえ
    気持ちよく、颯爽と解決への道へと
    導いていく繁子さん。

    とても、痛快で、かっこよくて、
    読後も気持ちよかった。

    誰かに堂々と、信頼を持ってもらえるように
    接するためには、多くの知識と経験が必要となる。
    それらを、謙虚に、柔らかさに、時に毅然と
    処することができる主人公の
    経歴や、オフタイムの表情が知りたくなった。

    続編を期待したい。

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    2025年08月16日
  • ともぐい

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    ネタバレ

    明治後期、北海道の奥山。獣のように生きる猟師・熊爪は、熊との死闘や人との出会いを経て、「自分は何者か」という問いに向き合う。


    自然の中で生き抜く研ぎ澄まされた感覚が凄まじい小説だった。
    熊爪は猟師の養父に拾われ、山で暮らす術しか知らない。街との関わりは、獣の皮を売るために馴染みの商店を訪れる程度。判断基準は自分や山の生き物の観察から得たもので、人間よりも獣に近い。

    ある日、熊に襲われた男を助けたことが転機となる。見捨てなかったのは、自覚はなくとも養父に助けられた経験が影響したのだろう。その後、穴持たずとの闘いで最強の熊・赤毛と遭遇し負傷する。人間社会で助け合う経験を経た熊爪の思考は、人間

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    2025年08月10日
  • 清浄島

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    北海道礼文島でのエキノコックスという寄生虫駆除のお話。北海道の人間には馴染みのエキノコックス。礼文島でこんなに苦労した歴史があるとは知らなかった。
    いまは早期発見できれば治療可能とのこと。でも、戦後間もない当時では、寄生虫により臨月の妊婦のように腹が膨れたというから恐ろしい。
    2005年には埼玉で、2014年には愛知でエキノコックスに罹った犬が発見されたそう。いまもまだ格闘は続いている模様。

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    2025年07月26日
  • 清浄島

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    ネタバレ

     「生き物として望ましい死に方ってのは何か」
    そんな問いを突きつけられて、読者である私たちはどう受け取るのか。
     最後に受け取る「抗うこと」の意味を、私は理解できたつもりでいるが、当事者とは違う、上辺だけのものなのだと感じる。
     しかし、心に沈んだこの言葉は、いつか私に訪れる死の際で思い出されることかも知れない。

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    2025年07月13日
  • ともぐい

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    ネタバレ

    電子書籍で最初に読み、引き込まれた。
    途中から本で読みたくなった。

    こんな動物的な生き方があるのか。
    なんとも言えない生臭い表現がちょっと怖かった。
    ともぐいってどういう意味なのかと
    読後も色々な妄想をした。
    母として子を守るために陽子もまた動物的な選択をしたんだと思った。
    なんとも言えない終わり方で熊爪の幸せと言うより
    陽子の強さを感じた。

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    2025年07月05日
  • ともぐい

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    2025年21冊目

    これまでに読んだことがないタイプの一冊。
    長い。が、その分、読み終わったあとの余韻もすごい

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    2025年07月05日
  • ともぐい

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    熊撃ちの男の話。穴持たずの凶暴な熊との対決を、目指すが倒したのは屈強な赤毛の若い熊。猟師の最後の目標とした赤毛。目標を失うが、女と山での暮らしを続ける。どこまで生きていいのか、その先は、、、

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    2025年06月30日
  • 森田繁子と腹八分

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    「日本農業新聞」2022年11月1日~2023年10月31日に連載された、伝説の農業コンサルタント・森田繁子が相談者の悩みを巧みにこたえていくエンタメ農業小説。害獣・経営・後継問題に双方が腹八分に落ち着いて解決するように八面六臂の大活躍をするモーレツ経営者(と学生バイトの山田くん)の姿がユーモラスであり共感しやすい。何より食べ物を美味しそうに沢山食べる姿、繁子の奇抜で派手な戦闘服をきっちり着こなしメイクやネイルもばっちりした巨躯が縦横無尽に動き回るのもいい。面白いストーリーに魅力的な登場人物が揃えば次作を期待するのが読者というものだ。

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    2025年06月22日
  • 森田繁子と腹八分

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    農業新聞に連載されていたものとわかり納得

    作者の今までのイメージとは異なるが、楽しく読む事が出来たら
    主人公のキャラの濃さも面白い

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    2025年06月18日
  • 森田繁子と腹八分

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    農業コンサルタントの森田繁子。
    その人は、豪胆な身体つきと良い食べっぷり、そして派手なスーツに派手メイクの女性だ。
    1話ごとに展開されるストーリーは、農家や酪農家が彼女に相談するところから物語は始まる。

    山林の所有者に猟のために立ち入る許可を得たい男性、山羊を育てる酪農家の経営話、祖父の農家を継ごうとする孫夫婦。
    いずれも繁子の見目形からは想像つかない能力で腹八分の解決法を探っていく。


    とにかく毎話、美味しそうに食べる様子が印象的だ。コンサルタントというと堅苦しい話に思いがちだが、農家として従事する人たちの交流や温かさを感じられる作品になっており、繁子の活躍を待ち望みながら読んだ。

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    2025年06月10日
  • 清浄島

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    戦後数年という時代背景、北海道の離島ならではの島民の価値観、昆布漁など漁業の島の生業なども感じられる作品。史実に基づいて取材した作品なのだあろう、エキノコックスという厄介な病の調査・対策に地道に奮闘する主人公の使命感や周囲の人々との心の交流には引き込まれる部分がある。出版年が2022年なので、コロナの渦中に執筆した作品なのだろう。当時治療薬もない病との戦いの中、孤島に閉じ込められず広がっていく新たな病を想起して恐怖する主人公たちは、コロナに翻弄された私たちの姿でもあると言える。

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    2025年05月27日
  • ともぐい

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    直木賞受賞作。

    基本的に、こういうのは苦手です。
    ただ、読んでいくうちに、引き込まれて、どんどん先を読みたくなる。
    鹿を仕留めて、解体していく描写などが詳しく、気持ち悪いのですが、目の前に迫ってくるというか…。

    北海道の山の中で、鹿や熊を狩って暮らす猟師の熊爪。
    白糠の町へ肉や皮を売りに行き、その収入で、米や酒、鉄砲の弾などを買って生活している。
    ある時、冬眠しない熊を仕留めそこねて、熊に襲われた男を助け、応急処置をしてしばらく介抱して、白糠まで連れて行った。男を助けたのは、同情ではない。男をそのままにしておくと、熊に食べられ、人間を食べた熊は、再び人間を襲うので、自衛の意味もある。
    男を

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    2025年05月18日
  • 森田繁子と腹八分

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    題名のイメージと違い過ぎて、いい意味で裏切られた。
    あまりの面白さに一気読み。
    すごいな、何者なんだ!森田繁子。
    重機も動かすスーパーウーマンっぷりは、「ハケンの品格」の篠原涼子ばり。
    経歴が謎過ぎるし、娘も訳アリっぽい。
    でも問題解決能力は絶妙。
    さらにアルバイトの山田君がいい味出してる。
    「日本農業新聞」に連載していた、というのもオドロキ。
    続編もあったらいいな。

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    2025年05月06日
  • 鳩護

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    出版社に勤務し一人暮らしをしている椿のアパートのベランダに、ある日白い鳩が飛び込んできた。怪我をしているのか飛び立たない白鳩に椿ははと子と名付け、世話をしていた。そんな折、公園で鳩に餌をまく謎の男に「お前、白い鳩を飼っているな?」と声をかけられる。男の話によると「鳩がお前を選んだ」「お前は次の鳩護になる」という。いきなり訳の分からないことを言われ思考が追いつかない椿だったが、その日から不思議な夢を見るようになって…。
    とても不思議な世界観だった。戦場や報道で活躍した伝書鳩のこと、競走馬のことも興味深かった。表紙絵からは一見ほのぼの系に見えるけど、実際はダークでホラー味も感じた。でもだからこそ、

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    2025年04月28日
  • 森田繁子と腹八分

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    「ともぐい」を書いた直木賞作家。
    楽しい小説。肩凝らずに読める。豊満な腹!を持つ繁子、大好き❤農業コンサルタントという仕事は初耳

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    2025年04月17日
  • 森田繁子と腹八分

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    この作家さん初読み。軽いタッチで、今の農業問題を鋭く捉えている。出てくる食材が、美味しいそうでたまらない。森田さんの経歴も知りたいので、是非続編が読みたい。

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    2025年02月25日
  • 森田繁子と腹八分

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    ちょっと今までの作風とは違って土の匂いや動物たちの息遣いが聞こえるような作品である。こんなスーパーコンサルがいたら、MAで騙されたりしまうんやろうなー。登場する食べ物美味しそうで買いに行きたいです。次作にも期待です。

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    2025年02月21日
  • 鳩護

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    テーマから不思議な感覚がずっと続く物語でした
    結末も予想外で良かったです

    解説の川上和人先生も良かったです

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    2025年02月02日
  • 森田繁子と腹八分

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    "農業コンサルタント"森田繁子が、農家さんのお悩みをずばずば解決していく物語。
    上手くいきすぎ感はあるけれど、森田繁子のキャラが際立っていて、爽快で読んでいて気持ちがいい。
    そして、全てがパーフェクトな彼女自身にも"向こう脛"があるというところをチラ見せくるあたりも、話の展開が上手いと思う。
    続編に期待したい。

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    2025年01月28日
  • 森田繁子と腹八分

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    連作短篇3篇
    表紙とタイトルで料理系のお仕事小説かと思って読みはじめたが、(美味しそうな食べ物も目白押しです登場してそこはきっちり満足)いい意味で裏切られた。かなり真面目な農家のコンサルというお仕事小説。グイグイ押しの強い森田繁子さんの魅力にやられちゃいました。
    シリーズ化してほしいです。

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    2025年01月22日