河﨑秋子のレビュー一覧

  • 清浄島
    北海道に生まれ育った人間はエキノコックスの恐ろしさは子供の頃から何度も言い聞かされてきました。でも最初は礼文島だったなんて、ここ数年で知りました。そのことについて書かれた小説ということで興味を持って読みましたが、ノンフィクションのような作品で読み応えがありました。
    礼文島は本当に美しい島で、キツネも...続きを読む
  • 清浄島
    読書備忘録759号。
    ★★★★☆。

    ドキュメンタリーかと思うばかりの物語でした。
    吉村昭を読んでいるのかと勘違いするくらい。笑

    物語はエキノコックス感染症撲滅に人生を掛けた人々の戦いを描く。

    時は大正。礼文島を山火事が襲う。森林の再生の為に苗木を植えるが植えたそばからネズミが食う。
    ネズミを駆...続きを読む
  • 鳩護
    本屋さんで予約して、発売日に購入。もうちょっとほんわかした話かと思ったけど、意外と歴史的なシーンも入っていたりして、大変楽しく読みました。期間限定で読めるスピンオフ「福田さんの白い羽根」、本編の福田さんはもうちょっとまともな印象でしたが、こちらでは傍若無人っぷりがハンパなくて、面白かったです。
  • 介護者D
    「推し」の話も「介護」の話も身近な話。
    東京で暮らしていた琴美は父からの雪かき要員要請のために帰省するが、そのまま、足が不自由になった父の介護をするために札幌で暮らすことになる。
    塾の講師だった父は自分の状況を理解してはいても納得していない。何かと手が掛かる。
    そんな中で琴美の息抜きは東京に居たとき...続きを読む
  • 清浄島
    風光明媚な花の島、礼文にこんな歴史があったこと知らなかった。重いストーリーだったが、最初は好感を持てなかった主人公を応援したい気持ちになり、途中からは一気読みしてしまった。
  • 清浄島
    エキノコックス症と向き合う若き研究者と感染地域の島民の物語。感染症や寄生虫などの根絶がいかに困難かを思い知らされる一冊。新型コロナについて悩まされた今読むとまた考えさせられる。
  • 介護者D
    話では琴美をDランクなどと言ってるけどこんな親孝行な娘は今どき少ないんじゃないかなぁ。
    間違いなくAランクだと思う。

  • 介護者D
    ここまで思い入れできる「推し」のある人生ならば、もうそれだけである意味十分に幸せと言えるんじゃないかと思いました。もう会えなくても、この先の人生で自分と交錯することがなくても、その幸せを長く深く心から願える他人なんてそうそう見つかるものではないでしょう。
    家族はままならない、人生もままならない、真摯...続きを読む
  • 介護者D
    介護する側とされる側の本音が詰まっていた。

    主人公は東京で契約社員として働く猿渡琴美。
    脳卒中の後遺症で要介護度一になった父親から雪かき要因を名目に札幌の実家に呼び戻される。

    「本当にいやだな。俺は、爺さんになりたくない」
    本文中の父親の言葉が切なくも重い。

    当たり前に出来ていた事が出来なくな...続きを読む
  • 清浄島
    なんと言っても主人公の土橋義明が魅力的だ。

    時は昭和29年初夏。
    島の出身者から相次いで発見されたエキノコックス感染症を解明する為、北海道礼文島に赴任した土橋の生き様が描かれる。

    救える命があるならば諦めてなるものか、その強い信念の元、未知の感染症に一人果敢に立ち向かう姿に感動する。

    だがエキ...続きを読む
  • 清浄島
    エキノコックス症という言葉を昔どこかで聞いたことがあり、北海道に行ったときはよく意味も分からずキツネに触っちゃだめよという言葉だけが先走ったまま何も知らずに過ごしてきた。
    この本を読んでようやくその寄生虫の存在と、キツネに限らず犬や猫にも存在することを知る。利尻島は有名でよく聞く名前だが、礼文島はわ...続きを読む
  • 清浄島
    史実を元にしたフィクションです。という一文にヒヤリ。現代に至ってもまだ戦いは終わっていないのか。コロナ禍だから尚更ウイルスや病原菌の話に引き込まれた。
  • 介護者D
    介護してもらう父とする娘。心削られながらも、父親だけでなく、痴呆ワンコの世話まで。「善意ばかりが集まっても物事良い方向に進むとは限らない」現実…。どうしようもないボケ権威親父。最後に人が変わるのは、都合良すぎ。ト書きのホンネが面白いけど、それでは会話成立しないか…。「推し」のような支え必要だね、荒波...続きを読む
  • 清浄島
    読んで楽しい話ではありません。しかし北海道に住むものとしては知らないことにはできない話でした。なかなか終焉しない感染症に見舞われている今、かつて謎の感染症と思われていた寄生虫による病との闘いの物語が世に出てきたのは自分には時代の要請だったのでは、という気がしました。

    河﨑先生がこの物語をいつから構...続きを読む
  • 清浄島
    昭和29年北海道の離島、礼文島の出身者から相次いで発見された「エキノコックス」。
    腹が膨れて死に至る感染症を撲滅すべく、北海道立衛生研究所の研究員である土橋が奮闘する。

    流行拡大を防ぐためにキツネ、野犬、野猫のみならず飼育されてる犬猫までも処分という決断に至るまで。

    まるで映像を見てるかのような...続きを読む
  • 介護者D
     12月の最初に読んだ本は、大好きな河﨑秋子さんの新作「介護者D](2022.9)です。東京で勤務している琴美30歳が、札幌の父、左足が不自由な猿渡義純66歳から「雪かきを頼む」と言われ、実家に帰って父と犬の介護をしてゆく物語。琴美の支えは東京で出会ったアイドルグループの斎藤ゆな13歳を推すこと。河...続きを読む
  • 清浄島
    礼文島のエキノコックスの話。
    いささか冗長に思えた。
    登場人物がみな良い人過ぎた感が。
    もう少しハラハラする展開ならと思う。
  • 清浄島
    エキノコックスとの戦い。礼文島に渡り、終宿主動物を根絶させた土橋たちの苦悩が計り知れない。頼れる仲間と、島民の涙や憎悪を乗り越えて非情になるのは島の未来を守るため。それなのに今も広がり続けるエキノコックス。種を絶やさぬように生存本能で生きる小さな虫に翻弄され続ける人間たち。面白いと言っては不謹慎だが...続きを読む
  • 清浄島
    実話?って思うほどリアル。
    未知の病に対する偏見や差別など、この時代だったらこうなるだろうなと怖く感じた。
  • 介護者D
    もし自分が琴美のような境遇だったら。
    読んでいる間ずっと考えていた。
    親のみではなく,親のペットまで介護することになるとは。自分の先行きも分からないのに。
    今は目をそらしているけれど,いつかは直面することになるかもしれない介護問題は,私の解決できないテーマの一つでもある。

    琴美には妹がいるが,海外...続きを読む