【感想・ネタバレ】ともぐいのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年05月05日

壮観で圧巻されました。
この手の時代物は読むのに時間がかかるのですが、本作はずーっと引き込まれました。

山暮らしをしながら相棒の犬と狩りをしながら生きる渋い仙人的な山男の話
時代は日露戦争前で舞台は北海道の山

最初は淡々と獣を狩って山の一部となり静かに暮らすスタイルだが、他所から熊が来るところか...続きを読むら物語は展開。その熊との格闘、その熊を殺した若く強い熊との格闘、そして出入りしていた屋敷で働いていた盲目の女性(陽子さん)を貰って山での同棲生活と物語はドンドン展開していって最後は陽子さんにまさか殺される

現代社会で暮らすわたしには到底できないがなぜか主人公には惹かれる

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Posted by ブクログ 2024年04月29日

現代社会で衣食住にそれほど困ることもなく、生々しい生活などしていない、したことのない私でも、生きるために生きた熊爪の気持ちがこんなにも胸に迫る。

太一を助ける場面、熊との対峙、息をするのも忘れて読み進め、熊爪が息をする場面で自分もほぅっと息をする。目の前で起こっていることを見ているような圧倒的な描...続きを読む写にグイグイ引き込まれました。

後半は平家物語の冒頭を思い起こすような栄枯盛衰の中、熊爪の運命に静かに向き合い、見届けたような気持ちになりました。
肉体的、精神的に強かろうと弱かろうと、誰も彼もが風の前の塵におなじなのだと。

ただ、最後に自分で自分を納得できるくらいにはしたい。

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Posted by ブクログ 2024年04月26日


ハードボイルド小説でした、始めは。
明治の世。
熊爪という名の男は山奥に住み、猟をして暮らしている。自分が食べて、残りの肉や毛皮などは町に売りに行き、米や銃弾を買う。その暮らしが熊爪の全て。それ以外の行動、感情はすべて無駄なもの。
しかし、町へ出るということは他人と関わるということ。その関わりの中...続きを読むで熊爪の中の何かが少しずつ変わっていく。温もりがほしいとさえ感じ始める。
ハードボイルドだった小説がここから急に湿度を持ち始めます。変わり始めた自分が、何者なのか分からなくなってくる熊爪。そんな自分は、はんぱもの、でしかないのか?
“ともぐい“とは、獣同士のことなのか、獣と熊爪のことなのか、いやそうではなかった‥‥
圧倒的な力強さで読者の心を掴んで離さない、そんな作品でした。

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Posted by ブクログ 2024年04月24日

陽子をもらうタイミングがもう少し早かったら、ラストはどうなっていたのだろうか。未来に思いを馳せる気持ちが芽生えたところで、この結末はせつなかった。自然や猟の描写が超リアル。特に太一への応急処置は、もうすごかった。熊爪の雪解けような感情の変化を追うのが楽しかった。

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Posted by ブクログ 2024年04月16日

いつかは読んでみたいと思っていた河﨑秋子をついに読んだ。
直木賞「ともぐい」に圧倒された。山に生きる猟師が鹿を仕止め、解体し、毛皮や肉にする場面からぐいぐいと引きづられっぱなしだ。赤毛の熊を倒すところで終わっても満足できた。はたして熊爪の死まで描く必要があったのだろうか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月11日

「ともぐい」の意味を考える。
人(生物的に)でありながら、動物的かつ合理的な思考の熊爪は果たして人間(社会性を保つ意味で)になれるのかどうかの物語だと思う。
最終的に、陽子に殺される(狩られる側になる)=熊と同類。同類同士が命をかけて戦っていたので、共喰いと表現したのか。
陽子に狩られることで熊に成...続きを読むり、それは熊爪も望んでいたことなのだろうと思う。
時代は戦争へ向かう中、人と人の「ともぐい」も表されていたように思う。
熊爪が「自然界の理」と、「人間社会の理」どちらにも属せなかった、悲しい物語かなと感じられる。

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Posted by ブクログ 2024年05月10日

 明治時代の北海道が舞台で熊爪という名前の男が主人公。山奥で鹿や熊を狩ったり、山菜を収穫したりしたものを街で売って生活している。人との関わりを極力避け、自然の摂理(弱肉強食)に身を置いて生きてる。
 生き物の生と死の表現が生々しく、また想像しやすいものになっていて、目の前にありありと情景が浮かぶほど...続きを読むでした。鹿を解体するとこや、熊と対峙するとこなどは、筆者自身が見たものを文字で表したんだろうなと感じました。
 ひとりで生きてきた熊爪が、人との関わりを持ち、どうなっていくのか、物語りに没入していくような感覚でした。

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Posted by ブクログ 2024年04月30日

普段読まないジャンルの本だが、直木賞受賞作なので読んでみた。

生き物は喰うか喰われるか、ひたすら生きることの厳しさ。
熊爪の獣のような血生臭さ、熊との死闘本能の描写、迫力が凄くて圧倒された。

読後感は、やはり苦手な分野だけど、すごいものを読んだと思えた作品。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月25日

ある意味問題作とも言えるかもしれない直木賞受賞作、とうとう読みました。
いやすごかった。
ついにこういう北海道を描く作家が出てきたと思いました。
いや、河﨑先生がデビューしたときからそう思ってたけど、この人は男とか女とか人間とか動物とか言う区別なく荒々しくある命そのものを描き出す作家なのだなぁとつく...続きを読むづく思いました。

熊爪という人間の、他人との相互理解を拒否する孤絶した生き方の凄まじさと揺らぎに息を飲みつつ一気読みしました。
熊爪が赤毛と対峙した時に赤毛に感じた「正しい怒り」「正しい憤り」という表現に痺れました。命がけってこういうことなのだなと、文を追いながら何度も息詰まるような感覚がありました。

しかし、どんな鍛練や思考形成をたどればこんな話を書こうと思えるのか?
羊飼いをして、本作の舞台となった白糠やさらにはニュージーランドまで行ってその研修をして経験を積んだという話を何かで読んで、すごいなぁとは思っていたけれどそういう経験も本作を生む下地になっているのだろうか?
羊飼いと熊と戦う話との間にはものすごく乖離があるようにも思うけれども河﨑先生の中では地続きになっているのだろうか?才能、はそれは確かに存在するのだろうけど才能だけではやはりこのような話は書けないのではないだろうか、と本作を生み出すに至った下地をもっと知りたいと思いました。

本作を好き、という人はあんまりいないかもしれない。でも圧倒的に惹きつけられて目が離せなくなってしまった人は続出してることでしょう。
好き嫌いを超える作品の魅力というか魔力ともいうか、そういうものに捉えられて読後もちょっと呆然という感じでした。いやほんとすごいものを読んだ。

この方は今後もきっと文学史に名を残す作品を多数間違いなく生み出していくでしょうね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月23日

前半、描写が生々しかったにもかかわらずとても惹き込まれた。自然界に1人で生きている逞しいに、尊敬の念があったんだと思う。その後、熊爪が負傷し、弱々しくなったあたりから、私の胸の高まりは静かになっていった。あの状態からまた復活することを期待していたが、どんどん人間らしくなる姿にがっかりした。人間は一度...続きを読む傷付いたらそこで終わりなんだろうか。熊爪も結局はオスで、自分よりうんと弱いメスに殺されて終わり。金は必要な分だけあればいいという熊爪だったけど、そういうところは本能の重くままなんだなと。人間らしかった。

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Posted by ブクログ 2024年04月21日

動物たちの表情、内臓の旨みや山菜の苦味、山で聞こえる微かな音、血や獣の臭い、皮や木の手触り…五感で想像する小説でした。
もっと歴史的要素が入ってくるのかと思いましたが、情勢の変化が漠然と感じられる程度で、潔いほどに切り離されていました。
犬がいいなぁ。

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Posted by ブクログ 2024年04月15日

前半の熊との格闘は、良いですね。迫力があるし、街との関係も良好である雰囲気が良いです。
後半に雰囲気がガラリと変わるのが、うーむとなるか、よしとするか。
あまりよしとできない自分がいます。でもエンディングで、様々な後日談をしっかりまとめるのは、流石です。
別の作品も読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2024年04月15日

タイトルを見た時、ホラー小説かな?と思って読み始めたが、
猟師「熊爪」の生活、獲物を仕留める技、それを捌いて美味しくいただく姿が、大自然に認められた美しい所作のように思えてきた。
ただ、自分の命のあり方や終わり方を考えているはずの彼の、この命の終らせ方はよく理解できなかった。
一番心に沁みたのは、「...続きを読む犬」の健気さかな。

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Posted by ブクログ 2024年04月14日

北海道の山野で自然と共生しながら独り生きるなんて、およそ考えが及ばない。愉しむことや旨いものに対する価値観が我われとはまったく異なり、人との交わりや街の喧騒が鬱陶しい。それがマタギだろうが、死と隣り合わせの日常にあって孤高を保つのはあまりに恐ろしい。鷹爪においても、心中は常に自分の境遇に惑いがある。...続きを読む獣と己との違いはなんであるのか、食う側と食われる側の境などなければ良いのではないか。そんな葛藤を持ち続けるうち、子孫を残すことさえ雄熊の生態と同化する。でも人間の女性は許さなかった。獣となり、ともぐいに捧げる。

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Posted by ブクログ 2024年04月11日

人里離れた山でたった1人、犬1匹と猟をしながら生きる熊爪。
山の中で繰り広げられる、「仕留める、喰う」の生々しい表現に何度も本を閉じたりもしましたが、熊爪にどんどん気持ちが持っていかれ読み進めました。とっても力強い作品でした。

最後はえっなんでっ?と最初は思いましたが、山に住み獣と対峙してきた熊爪...続きを読むの全てを確かに表してると思いました。

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Posted by ブクログ 2024年04月10日

北海道の山の中に熊爪という孤高の猟師がいた。熊爪は熊や鹿などを狩るのが仕事で、人や街との接点は獲物を売りにいくときだけだ。熊などの野生動物と熊爪との対峙が読みどころであるが、何かトーンに違和感がある。熊は人を襲い、人は熊を狩る。雄熊は子熊を殺し雌熊を得る。鳥は虫を喰らい、虫は鳥の死骸を喰らう。人は自...続きを読む然を喰らい、自然に喰らわれる。そして、人は人を...。人類は社会・経済を発展させたものの、自然の掟が支配する世界には抗えない。最終的には何をどう喰らうかだ。熊爪の生き様は自然の摂理を表現したものだろうか。

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Posted by ブクログ 2024年04月05日

面白かった。
はじめはちょっと気持ちがのらなくて、読み進めるのが大変だった。なんというか、主人公や出てくる人がちょっと気味悪げで。
でも途中から動物との戦いや犬とのやり取りなど、緊迫感があって、一気に読めた。

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Posted by ブクログ 2024年04月06日

第170回直木賞受賞作。

ただ生きるために、喰らいあい、とも喰らう——。 そこには人間も獣も変わらない、現実だけがある。

甘えや緩さをいっさい許容しない、硬質で乾いた文章は、まさに「試される大地」北海道の厳しい環境を彷彿とさせる。

日露戦争前、明治後期...続きを読むの北海道、釧路に ほど近い山で暮らす独りの山男。

名は「熊爪」。天涯孤独。名も知らぬ寡黙な養父に拾われ、山で育てられた。その名のとおり熊のような中年。

今も昔も弱き人間たちは群れ、社会の中でしか生きていけない。家族を作り、みなで寄り添って。
熊爪はその埒外で生きられる強さを持つ。山の王である熊をはじめ、獣たちを村田銃で狩る熊爪は人間よりも獣に近い。生き方も考え方も。

しかし、どんな生き物も永遠に「強きもの」ではいられない。
熊爪は、ある2つの「異物」との遭遇により生まれて初めて「弱さ」と「迷い」にとらわれる。

そして、彼のとった決断は果たして、「獣」か「人」か。「完璧なる死」か「不完全な生」か———。
死すべきとき、死すべき場所で死ねなかった「はんぱもん」の末路は。

喰らう側から、喰われる側へ。
そこには悲しみも、後悔もない。連綿と続く現実だけがある。
私たちはいまこの瞬間「とも喰らい」ながら生きている。

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Posted by ブクログ 2024年05月11日

私には合わない作風だった。因縁ある熊の狩りして終わるかと思ったら、主人公熊爪の三大欲求本能が剥き出しになってハンターに育てられた山の野生ハンターから、女を知り家族を持ち弱くなる人並みの人間になった時熊爪は終わったのかなと。

熊討った後の「野生の本能」はびびったし、まさかって感じだった。何故に?性的...続きを読む描写は良い感じに描いてるとは思いませんでした。

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Posted by ブクログ 2024年05月07日

生々しい。
文章なのに鮮明な映像が見えるよう。著者の表現力が素晴らしすぎる。動物ドキュメンタリーを観ているような錯覚。

映像化されたら凄そうだと思ったが、物議を醸すこと間違いないので厳しのかなと思う。

自分の好みとは違うのだろうと分かって読んだが、それでも内容は重く、グロく、しんどかった。。

...続きを読む私のように食事前後に読みはじめることはおすすめしません。

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Posted by ブクログ 2024年05月07日

熊文学って帯に書いてたから
くまくましいやつ
熊VS人間の血で血を洗う戦い
そんなの想像してた

ちょっと違った
なんというか
生きるが濃い話だった

熊との死闘を期待してたけど
人生を戦い抜いてるのも
なかなかおもしろかった

すごく濃い味に感じたので
印象には残るけど
読み返すことはないと思うし...続きを読む
人にオススメすることもないかな

星は3つ

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Posted by ブクログ 2024年05月04日

圧が凄い。特に後半ほど重苦しくなり、ページか進まない。自分には重々し過ぎて。覚悟して読む本だと思いました。

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Posted by ブクログ 2024年04月29日

読む人を選ぶ作品だなというのが、率直な感想

ケガを治療する場面などの描写は血圧下がってしまい、座っていられなくなるぐらい
ケガや血などに同調してしまう体質の方は、気をつけて下さい

明治時代を描いたからだろうか、私にはこの作品が太めの彫刻刀で彫った版画のような粗さを感じた

人里離れて狩猟生活をし...続きを読むて1人で生きていくが、必要なものは町に出て狩猟で得たものを売り購入する不完全な自給自足

命をかけ狩猟し、命をいただく
命への感謝、狩るものへの感謝がある

いただく命以上の価値が自分にはあるのか
ケガや病気による生活スタイルを変えざるを得ない恐怖

自然の摂理として当たり前のこと
"ともぐい"
死ねば燃やされる人は、勿体ない
血肉が自然に還らない

複雑な今の社会を昔に立ち戻って、シンプルに説明してくれるたような内容
共感してくれる人がいれば幸いです

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月25日

直木賞受賞作ながら、これまた強烈な1作
いわゆる、マタギの小説
読む人を選びそうな内容でした

最初は興味深く読みはじめましたが、どこからか死にたがりの話になってしまって・・・
人も生物の一種以外の何者でもないというのは分かるのですが、個人的にはどれだけ無様でも生き続けてほしかったかな

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Posted by ブクログ 2024年04月22日

クマとともに生き、クマを屠り、生きる一人の男。
山の王を倒した時、彼の何かが変わった。

第170回直木賞受賞作品。
命のやり取り、そして死。
狩りの場に自分の身を置き、その姿を想像してみた。

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Posted by ブクログ 2024年04月21日

森と共に生きる熊爪の生き様が生々しく描かれている。血の臭いがしてくるような生々しさ。前後半でタイトルの意味合いも変わってくるのが特徴的だが、個人的には前半が好み。

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Posted by ブクログ 2024年04月16日

「小説讀物」の直木賞特集で2章まで読んでいたので、やっと最後まで読めた。最初の印象では猟師である熊爪が動物の解体している姿が細かく描写され、凄いなという印象。熊に襲われた猟師を助ける時に眼球を処理するのも、ここまで女性作家が描けるのだと驚く。2頭の熊との闘いもそう。
眼の不自由な陽子との生活は壮絶。...続きを読む他の男の子どもを殺したくなる熊爪。熊との闘いで死を間近に見た熊爪が、最期に見たものは生きることに絶望した自分なのだろうか?
最後の方は、こう言う結末で良かったのだろうかと考えてしまう。少なくとも明るい未来は来ないだろうと思ってしまう。

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Posted by ブクログ 2024年04月14日

物語自体はアイヌの生き物に対する価値観、明治から大正への時代の変化、、命の円環などであろうが、目を引くのはやはり見出し。
リズムとつながりから、もしかしたら作者は物語と同じぐらいの熱量で考えたのではなかろうかと思うぐらい思いを見出しから感じる。
あと犬せつない

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Posted by ブクログ 2024年04月12日

人間と動物の狭間に生きる男の物語
自分以外の人間や物に感情移入していくようになる主人公の姿が楽しめる

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Posted by ブクログ 2024年04月11日

猟師として人里から離れた山の中で一人で狩りをする熊爪の話。山の主である赤毛の熊を仕留める際に自分も熊に殺され死のうとしていたがその思いは果たせず人でも獣でもない半端者に成り下がってしまった熊爪。そのご村の取引先にいた片方の視力を失った陽子を引き取ることとなる。最終的な陽子によって殺されひっそりと山の...続きを読む中で朽ち果てていく。
自然の摂理の中に身を置いていた熊爪が最終的にその摂理に組み込まれていく様は猟師としての生き様みたいたなものがうかがえた。
熊爪が獲物を捌く描写が克明に描かれていて作者も実際にやったのかなと思った。

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