【感想・ネタバレ】ともぐいのレビュー

あらすじ

明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

'24年 第170回直木賞。初読み 河﨑秋子さん。
面白いかどうかは別なんだけど、すごい本を読んだ気がする。
直木賞も納得なのだけど、純文学のようでもあった。
明治初期、北海道白糠町の猟師 熊爪。来歴はほぼ不明。人との関わりは獲物を最低限の金品に換える時に下山する程度。野生のヒト科ヒト属ヒト。
生死を賭けた猟師と羆の戦いの物語かと思ってたら全然違ったw
第二部とも言える、町から貰った陽子の出産育児を通して描かれる後半に、熊爪というヒト⇒人の生命の哲学が。
目の治療をした場面と、赤毛を仕留めた後の射精が非常に印象的。「見えるのに見ない、楽に生きられるのにそうしない」「理解できない、面倒臭いものを遠ざけたい」この気持ちはよく分かる。

熊爪の最期の選択は生物 ヒトとしての父性でもあったような気もする。

突き詰めると、一皮剥けば獣も人もほとんど同じで、寧ろ熊爪の方がずっと人としての大事な物を持っていたのかもしれないな。

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2025年11月10日

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羆嵐をよんで羆文学に興味を持ち、読んだ。
熊爪の強者感からの怪我してからの弱って行き方や赤毛に挑む心情描写が良かった
死に様も私としては納得いった。
みんな言ってるが顔をやられた人の手当て描写はすごい。これ読まなければ一緒こんな描写読まなかったかもと思う。
(今年の春前に読んだので思い出しながら感想書いた)

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2025年11月02日

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前半の狩りの描写や村での人間離れした描写はとても面白かった。
後半腰を怪我してから陽子を攫う辺りは前半の山に生きる熊爪から人が変わってしまったような気がして、作中の良輔と同じように寂しく感じてしまった。

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2025年08月16日

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ネタバレ

明治時代頃の、北海道の山奥で1人暮らす猟師の話。人と関わらずに1人で静かに、たまに町で獲物を売りその金で鉄砲の玉や米や酒や女を買って暮らす。が、暴れっぽい熊とそれにやられた男、九死に一生の経験から違う人生を考え始める。山の王である熊と死ぬこともできず、女と山奥で暮らすことを選ぶ。が、殺された。人間は他の動物とは違うようで、結局同じなのかもしれない。

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2025年08月05日

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むせかえるような男臭さのハードボイルド小説。今時こんな生活をしている人はまずいないし、誰が描いても想像力と地道な調査に基づく知識がないとできない仕事。どんな人の作品なのかと思いきや、女流作家の作品ということで驚嘆させられた。序盤の鹿狩りのシーンから圧倒され一気に深い山奥の世界へ引き込まれてしまった。さすがは直木賞受賞作。ハードボイルド娯楽小説として文句なしの満点。

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2025年06月10日

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ネタバレ

「愚か者の石」と「森田繁子と腹八分」を読んで北海道小説河崎秋子に注目、追いかけてみようと読んだ3作目がこの本。いやいや、またまた全然違うテイストの小説。

人間と獣の違いってなんなんやろ?どこからが人間でどこからが獣なんやろって、読んでる最中は夢中でも、どこかに境界線を意識させられている。

主人公熊爪の生き様は、単純明快。生きて猟をして飯を食って排泄して、時々町に出て肉や毛皮や山菜を売った現金で米や調味料を仕入れて、女を買う。
猟のことや山で生きていくことの手間は惜しまないが、人間らしい面倒くさいことは極力省略したがる。壮絶なミニマリズムライフである。

中盤以降、熊爪の生活に迷い熊と盲目の女という2つの違和感が入ってきたことの連鎖反応がなんとも凄い。怒涛というかとんでもないラストに向けての物語のスピードアップも心地よい。

いやー、すげー小説やわ。直木賞受賞らしいが、この本の熱エネルギーなら当然やろなぁとも思う。

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2025年06月08日

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熊文学という響きから連想するイメージや期待を裏切らず物語が進行していく
猟師としての行動や思考の過程は、人として生きる我々の範疇からずれているが、本来の動物の一員として生きる本来の姿だろうとも思う
そして物語は熊文学のジャンルを越えた何かに変容していき、想像していた狩人と獲物との関係といったものとは異質な展開に引き込まれた
これは昇華とも違う、いわば沼の中に沈み込んでいくような感覚だった

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2025年06月01日

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愛情という感覚を知らずに育った熊爪の生きざまが興味深かった。
シンプルでより動物に近い生き方。
街の人々の混沌とした関係や感情になじまない。
その素朴さに魅かれ面白がった良輔の気持ちは、よくわかる。

己の弱さのためだけに、熊として強く立派で素晴らしい赤毛を殺してしまったときの熊爪の気持ちは、言葉で表しにくい痛みだと感じる。
自分の醜さと弱さを痛感したことと思う。
あそこで、熊爪は終わったのだと思う。

陽子の気味の悪さ。
名前からして存在を欺いているかのようだ。
この物語において、女はこわい。
どの女も、こわくて気味が悪い。
男のシンプルさ・愚かさが引き立つように思った。

私には、熊爪の最期は、なんだか熊爪にふさわしいような気がした。

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2025年06月01日

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釧路から西へ10km程離れた白糠(しらぬか)の山中が主な舞台となっている。
そこに熊爪と称する猟師が、一頭の名の無い猟犬とともに住んでいる。
熊爪は、銃弾などの必要最低限の物を求めに白糠の人里に下りるが、基本は山中で自給自足の暮らしを送っている。
唯一人間社会と繋がりを保っているのは、毛皮や鹿肉などを高額で買い取ってくれる門矢商店の主人、井之上良輔とその同居人たちに限られていた。
地元の人達は、山男の得体の知れない熊爪を忌み嫌っていたのだが、良輔は分け隔てなく親しみを込めて熊爪と接してくれた。

時代が進むに従って、漁港を中心にした牧歌的な白糠の町にも、近代化の波が押し寄せて来る。
好人物だった良輔も、家業であった門矢商店を他所に炭鉱業に関心を示すようになり、それによって人柄までもが変わってしまう。
これまでの良輔を慕っていた人々も、徐々に離れてゆくことになった。
熊爪も同様に、人里を離れて山に戻って人生の最終章を送ろうと心に決める。
その時に、良輔宅に住んでいた身重の少女を貰い受け、山小屋に連れて帰る。
少女の陽子は小屋で男児を産み、その後に熊爪の一児をも産んだ。
熊爪は、陽子と子供達を通して命の意味を考えるようになる。
真からの猟師である熊爪は、これまで鹿や熊との命のやり取りを通して、新めて命そのものの意味を考えるようになる。
そして畏敬の念を抱いていた熊との最後の命のやり取りに対峙することになる。

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2025年05月23日

Posted by ブクログ

色んな意味で衝撃的な作品だった。
自然界でも人間界でも弱肉強食と言われるが、本当の強さって何だろうと思った。
ストーリーもインパクトがあったが、描写も素晴らしい。山の空気や匂い、野獣との死闘の迫力など、読者をこの物語世界へ引き込んで体験させる力があった。

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2025年05月10日

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ネタバレ

想像もつかなかった猟師の世界を赤裸々につづっていた。大自然の中で生きる男の生き様。街の生活と小屋の生活が対比されていたが、自然の中が行きやすい熊爪は、街で生きる女に命を絶たれた。

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2025年11月25日

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類を見ない小説だった。
唯一無二。
私が知っている限りではあるけれど。

こんなにも「生命」をありありと描写する作家に興味を持った。

河﨑秋子さんとは、どんな人物だろう。
調べてみると酪農の家に生まれ育ち、ご自身は羊飼いだったとか。
納得。

しかも『ともぐい』というタイトルのイメージ通り、爽やかさ0で、何ともうすーく不穏な空気の漂うお話だった。
サイコパス度合いもまぁまぁ。
またも、遺伝には逆らえないというメッセージを受け取ってしまった。著者はそんなことは意図してないかもしれないけれど。

暗い小説は嫌いじゃないけどね、暗さが私の想像を越えてしまっている。
誰にでもお勧めできるお話じゃない。
直木賞だけど。
R指定小説。
自然の雄大さと、実に人間らしい気持ち悪さを味わいたい方にお勧め。

河﨑秋子さんの人物像があまりにも興味深くて、しばらく検索が止まりそうにない。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

人間関係に悩むときに、僕自身も誰もいないところで、誰とも会話しないで過ごしたいと思う時はあるが、実際にそんな生活は自分ではできない。山で一人で生きるという選択は普僕にはできない。主人公の熊爪であっても、生活必需品を得るためには最低限の町との繋がりは必要であり、そこで人間関係も生まれる。不器用で、山で生きて、山で死ぬ男。何も望まないで生きていたはずなのに、熊撃ちの過程でケガを負い、盲目の少女との出会いが運命を変える。一人の女性に出会えたことは幸せだったのだろうかどうかはわからない。

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2025年11月09日

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ネタバレ

明治後期、人里離れた山中で犬を相棒に狩猟をして生きていた熊爪。ある日、血痕を辿った先に負傷した男をみつける。男は冬眠しない熊「穴持たず」を追ってきたというが…。

熊爪の生活、「穴持たず」「赤毛」との戦い、不思議な少女。緊張感のある山での生活だけでなく、里の変化が不気味で怖い。熊だけではなく人間も怖い。

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2025年09月29日

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賢くていいわんちゃんが、終始救い。
熊にやられて治療する描写が、なかなかにグロくて薄目になりました。

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

久々の読書。
ハードボイルドな男と熊の猛々しい純文学かと思い、読み進めると前半はまさにそんな雰囲気だったが、良輔や陽子、赤子とのやり取りなどから、生と死、獣にも人間にもなりきれない半端者な熊爪の在り方という文学らしいテーマにシフト。

ラストシーンの、わんこだけが熊爪を覚えててくれてて、犬かわいいーってなった。
物語を通して、一番熊爪と向き合ってくれていたのは、人間なんかではなくわんこだと思った。

名前つけてあげてほしかったなぁ。。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

生きるために生き物の命を奪い食べることは日常の行為、でも、それを普段を感じないままに過ごしているけど、熊爪の生き方、生活はほんとにすごいし、それをリアルに描いていて、面白かった!
人が動物であることを感じられる作品でした!

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明治後期、北海道の奥山。獣のように生きる猟師・熊爪は、熊との死闘や人との出会いを経て、「自分は何者か」という問いに向き合う。


自然の中で生き抜く研ぎ澄まされた感覚が凄まじい小説だった。
熊爪は猟師の養父に拾われ、山で暮らす術しか知らない。街との関わりは、獣の皮を売るために馴染みの商店を訪れる程度。判断基準は自分や山の生き物の観察から得たもので、人間よりも獣に近い。

ある日、熊に襲われた男を助けたことが転機となる。見捨てなかったのは、自覚はなくとも養父に助けられた経験が影響したのだろう。その後、穴持たずとの闘いで最強の熊・赤毛と遭遇し負傷する。人間社会で助け合う経験を経た熊爪の思考は、人間らしい悩みに満ち始めた。

炭鉱夫への誘いもあったが、彼の最終的な判断は獣のそれであり、赤毛との死闘に挑む。赤毛を倒し、自分が死場所を求めていたと悟る姿は、人間にも獣にもなれない哀れさを帯びていた。

その後、人のぬくもりを求めて盲目の少女・陽子を攫い、擬似家族のように暮らすが、穏やかな生活はしっくりこない。死場所を求めて熊に挑むような男が、道理に外れた行いをしてのうのうと生きられるはずがない。

やがて、道理外れの象徴のような陽子に命を奪われ、熊爪は本望だったのだろう。近代化の進む日本で、彼なりの幸せな最期を迎えたのではないか

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2025年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

電子書籍で最初に読み、引き込まれた。
途中から本で読みたくなった。

こんな動物的な生き方があるのか。
なんとも言えない生臭い表現がちょっと怖かった。
ともぐいってどういう意味なのかと
読後も色々な妄想をした。
母として子を守るために陽子もまた動物的な選択をしたんだと思った。
なんとも言えない終わり方で熊爪の幸せと言うより
陽子の強さを感じた。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

2025年21冊目

これまでに読んだことがないタイプの一冊。
長い。が、その分、読み終わったあとの余韻もすごい

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

熊撃ちの男の話。穴持たずの凶暴な熊との対決を、目指すが倒したのは屈強な赤毛の若い熊。猟師の最後の目標とした赤毛。目標を失うが、女と山での暮らしを続ける。どこまで生きていいのか、その先は、、、

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2025年06月30日

Posted by ブクログ

直木賞受賞作。

基本的に、こういうのは苦手です。
ただ、読んでいくうちに、引き込まれて、どんどん先を読みたくなる。
鹿を仕留めて、解体していく描写などが詳しく、気持ち悪いのですが、目の前に迫ってくるというか…。

北海道の山の中で、鹿や熊を狩って暮らす猟師の熊爪。
白糠の町へ肉や皮を売りに行き、その収入で、米や酒、鉄砲の弾などを買って生活している。
ある時、冬眠しない熊を仕留めそこねて、熊に襲われた男を助け、応急処置をしてしばらく介抱して、白糠まで連れて行った。男を助けたのは、同情ではない。男をそのままにしておくと、熊に食べられ、人間を食べた熊は、再び人間を襲うので、自衛の意味もある。
男をいつも白糠で肉を買い取ってくれる商家へ連れて行った。そこで、事情を話すと、主人に、人を襲った熊を仕留めてくれと頼まれる。

山に戻り、人を襲った熊を探す。見つけた時には、他の赤毛の熊と戦っていた。赤毛の熊は、昔、熊爪が仕留めた熊の子どもで、当時は逃したが、立派に育っていた。感慨深い。
狙っていた熊は、赤毛に襲われ死にそうになった時、熊爪を見つける。そして、熊爪に向かって突進して来た。熊爪は、銃を向けるが間に合わず、襲われて意識を失う。目を覚ますと、熊が上に覆い被せられていて、それを退けると、赤毛の熊が、去って行くのが見えた。熊は死んでいたが、それを食べる気にはならなかった。そして、熊爪は、激痛に襲われ、骨盤あたりを骨折しているようだ。鉄砲を杖にして、小屋まで帰って、寝入る。
人の声で目を覚ますと、白糠の商家の小僧と医者が来ていた。飼い犬が知らせたようだ。
医者が診てくれ、骨折しているので、寝ていれば骨はくっつく、動けるようになったら、町に見せに来いと。その間、小僧や使用人が食料を運んでくれた。
ある程度元気になったので、山を降りて、商家に向かう。まだ、回復しておらず、医者にも怒られ、商家でしばらく世話になった。足が治らず、猟師を続けられるのか…。商家の主人から、炭鉱で働かないかと誘われた。少し考えると答えた。
回復して山に戻る。以前のようには狩はできない。あの赤毛の熊を倒してから、考えようと決意した。しかし、夏は草木が生い茂り、狩には向かない。初雪が降って、熊が冬眠するまでの5〜10日が勝負。
赤毛を見つけ、仕留めるが、微妙に急所を外してしまい、赤毛に襲いかかられる。熊爪は、死を覚悟、でも、山で死ねるのは本望と思ったが…赤毛は、熊爪に襲いかかる一本手間で生き絶えた。

熊爪は、生きる目的を失った。

疲労困憊で小屋で寝ている時に、急に思い立つ。
商家にいた目の見えない女が欲しいと。
白糠まで行くと、あの商家は、寂れていた。
主人に、目の見えない女が欲しいと伝えると、連れて行けと。女は主人の子を宿していた。
女を連れて、山小屋に戻り、2人の生活を始める。
出産を見ると、熊の出産のようだと感じる。
子どもと女を食わせるために、鉄砲ではなく、弓矢を使い、兎など小動物を狩るようになる。2人の存在が煩わしくもあり、1人の生活を恋しくも感じる。
そのうち、女は、熊爪の子を宿す。
子が流れると女に性交を拒まれるが、無理矢理襲う。目が覚めると、女に首に小刀を突きつけられている。
殺す気かと尋ねれば、そうだと答える。
熊爪は、女に殺される事を選ぶ。

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2025年05月18日

Posted by ブクログ

直木賞受賞作を読むシリーズ。山の中で一人で暮らす猟師の話なので、独白部分多かったです。熊との戦いのシーンなどは見応えありましたが、人間と関わっていく後半部分は必要だったのかな、、?

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

熊との闘いの話だと思っていたけど、熊爪が孤独な生き方を脱し家庭を持つ話?かとも思ったけれど、そうでもないようで。話の主旨が分からないが、グロテスクな場面も多く、目を塞いだり、首を抑えながら読破。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明治時代、山で熊や鹿を狩り生活している男の生きざまを描く。
熊との死闘、仕留めた鹿や兎の解体の様子のが生々しい。
自分自身も自然界の獣のひとつのように死を受け止める熊爪の最期を覚えているのは名をもたない犬だった

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2025年09月10日

Posted by ブクログ

レビューするのは複雑だ、、、

まず最初においっ羆かよって。最近羆に喰われた福島町の郵便配達さんのニュースに肝を冷やし。この羆、数年前におばあちゃんも食べてて既にウェンカムイだった。8月福島町旅行予定だったがチビり過ぎてキャンセルした身の私にまた羆かよと。羆の恐ろしさは、キンカムと慟哭の谷で既に充分学習済みww

引き込まれる小説なのは間違いない。炭鉱が栄えてくる時代だから1900年前後の北海道。ほとんどが原野でしょう。養父に育てられみっちりと山で生きていく術を叩き込まれた男。この男は山深い場所で狩猟や山菜採りの自給自足の自活者としては全方向に常に細心の注意を向けて準備万端慎重に生きてる。独り狩りをする様子や肉の処理など描写は鮮やかだ。

物語に引き込まれる一方で、ずっと気持ちが落ち着かない。この男が狩猟や採取した山菜など売るために稀に町におりた先にいる人達も、こっちをなんとなく不安にさせる人物ばかり。

なんでこんな落ち着かない気持ちになるのか考えた。私なりの結論は、この男が全く社会性がないところなんじゃないかと。後半は町の人が出てくる場面が多くなるが、なんせ彼は人と一緒に生きていない男だ。この男を見ていると人間ではなく火や銃を扱う野生動物な気がしてくる。この男=野生動物≠ヒューマンなところが私の脳をバグらせ、不穏にさせているのではないか。この男の一生は、人間ではなく動物の一生だった。人も動物なんだけど他人と関わらない生き方はたいそう私を不安定にさせる。

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

羆嵐とかシャトゥーンが好きなので、熊文学!と思って読んだら期待したものと違った。前半は結構良かったけれど人食われない。。人と獣に違いはないけれど、人は獣のようには生きられない。
わんこ可愛い、それに尽きる。

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2025年07月11日

Posted by ブクログ

結構なグロテスクで途中読み飛ばしたところもあったが、グイグイ、引き込まれていった。

熊と格闘するところがとにかく見どころ。

体の不自由がきかなくなってからは、ちょっと迫力にかけた。

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2025年06月11日

Posted by ブクログ

一人の猟師の物語。読み始めてすぐにストーリーに引き込まれていった。色々な意味で衝撃的。実際に獣臭や血の臭いがしてきそうだった。強烈な印象を受け、読後に変な疲れが残った。

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

ともぐい
作者は何と何を称してともぐいとしたのだろう
最終章は「とも喰らい」
親とこの関係
人間関係
自分の生き方
色々考えさせられた

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2025年06月03日

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