河﨑秋子のレビュー一覧

  • 鳩護

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    単行本で読んで、文庫本で2度目です。
    見た目は表紙のようにかわいい白い鳩。しかしその鳩には・・・という、河崎さんならではの動物感のある物語。
    それだけでなく、日常の女子のリアルな、甘すぎない生活も描かれていて、これまでの作者の小説とは別の分野を切り拓いたエンターティメント小説になっている。ゾワっとさせるところは変わらないのでご安心を。

    中身のことは単行本で書いたので、なぜ川上和人さんが解説をしているのかを書いておきたい。
    川上さんは鳥類学者で、フィールドワークに重きを置いている、つまり実際に海鳥の調査のために孤島に赴く。ハエが大量に口に入ってきても、ネズミが海鳥を全滅させる様子を目の当たりに

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    2023年08月13日
  • 鳩護

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    河崎秋子『鳩護』徳間文庫。

    『鳩護』に選ばれた者の数奇な運命を描く不思議な小説。これまでの河崎秋子の小説とはテイストが異なり、中村文則の『掏摸』に雰囲気が似ている。

    主人公の小森椿という女性会社員の漏らす仕事の不満がどこか滑稽で、やや深刻なテーマの中で一服の清涼剤になっている。


    ある日、マンションに独り暮らすアラサー会社員の小森椿が外の物音にベランダを見ると、真っ白な鳩が蹲っていた。鳩は怪我をしているらしく、飛び立つ様子もなく、仕方なく暫くの間、面倒を見ることにした。白鳩は椿に懐き、椿もハト子と名付け、可愛がる。

    そんな中、椿は会社の帰りに幣巻と名乗る怪しい男に「お前は俺の次の『鳩護

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    2023年07月17日
  • 清浄島

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    河崎秋子氏の本を読むときは、身構える。その中身はいつもヘビーで、特に動物を扱うときは、自分にとってやりきれない内容を含むことが多いからだ。そのショック受けた後遺症の元になったのが、ヒグマとペットの犬を扱った『肉弾』だった。そのストレートな描写に打ちのめされた。(いや、『颶風の王』からすでにその強烈な印象はあったのだけれど!)
    犬や猫はペットとしての付き合いしかない。家畜の最後を目にしたこともない。北海道では野生動物ともよく出会うし、それを喜びともしている自分が、いつもつきあたる問題だ。心してかかる。

    結果、確かに残酷な現実ではあったが、過去の作品とは印象が全く違う物語だった。
    それは、登場人

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    2023年01月21日
  • 清浄島

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    久しぶりに一気読みしてしまった。それぐらい、次の展開が気になる内容だった。礼文島も根室も訪れたことがあり、描かれている風景が自分の思い出と重なったからかも。主人公はいい人に恵まれているな。

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    2023年01月15日
  • 清浄島

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    「発展と病は隣り合わせ。人間が活動するかぎり病原体もまた大きな移動をする」「人と物の流れが感染症の拡大を引き起こしてきたことは人類の歴史が証明している」コロナの死者1日で500人超え、過去最悪なのに、また移動奨励GOTO。なんなんだろう…「動物実験でもそうだが、研究の上で殺生は仕方ない。だがそこで何らの感情も波打たなくなった者は、いずれ研究のためだと人を殺生することにも戸惑いを持たなくなる」「島で今生きてる人のためじゃありません。これから島で生きていく人のためです。いまは正しくなくても、将来正しくあるためにやるべきことをやっている」捕食システムにうまく乗っかり繁殖し子孫を広げ続ける巧妙な寄生虫

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    2023年01月14日
  • 清浄島

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    ネタバレ

     これまで2度、渡道しました。キタキツネのエキノコックスには注意しました。礼文島は2~3度訪れました。河﨑秋子さん、作品の幅をどんどん拡げてらっしゃいます。「清浄島(せいじょうとう)」、2022.10発行。昭和29年当時、呪いの島と言われた礼文島に、札幌の道立衛生研究所の土橋義明32歳がエキノコックス症研究・対策で派遣され、長きにわたり苦労を重ねる物語。特にネズミ、キツネ、犬、猫と、野性のみならず飼い犬や飼い猫までエキノコックスが寄生しているかいないかの解剖検査を。人間のため動物を犠牲にするやるせなさ。感染症は怖いけど、読んでていたたまれなくなりました。礼文島は清浄島になり、エキノコックスは撲

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    2023年01月10日
  • 清浄島

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    ネタバレ

    北海道礼文島で多発した寄生虫による感染症「エキノコックス症」から島民の命、暮らしを守るための闘いを描いた作品。
    エキノコックスは中間宿主であるネズミを食べたキツネや犬、猫が終宿主となりその体内で成虫が卵を産み、それが糞とともに体外に排出される。
    なんらかのきっかけで人がその卵を摂取すると、肝臓肥大や肝硬変などをもたらし、死に至ることもある。
    昭和29年に道立衛生研究所から礼文島へ感染経路を調べる現地調査のため派遣された土橋は、日々、野犬の剖検に没頭するが、エキノコックスの痕跡を見つけられず、衛生研究所は11名の調査団を島に送る。
    そして、野生動物だけでなく、島民が飼育している犬や猫まで全て捕獲

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    2022年12月20日
  • ともぐい

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    ネタバレ

    第170回直木三十五賞

    血生臭く、力強い作品だった。
    タイトルの「ともぐい」の意味、ラストの展開をどう受け取るのかを言葉にできず、色んなレビューを読んでみた。
    そんな中、「己が負けた相手に食われ死ぬのが自然の摂理」という内容の一文を見つけて腑に落ちた。

    太一を助けたくだりから
    →1人で生きてきたつもりが熊爪自身も負傷し人の世話になる
    →赤毛との対決で死ねず自分は獣でも人間でもない半端もんだと思う
    →温もりを求めて陽子と生活を始める
    →陽子は母として生きる決意をし、熊爪を殺して出ていく
    の流れが秀逸だと思った。

    ラストで殺す必要があったのか?と思わなくもないけど、人にも獣にもなれず遺伝子を

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    2026年01月31日
  • ともぐい

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    ネタバレ

    2023年下半期の直木賞作品。
    何か想像していたのとは違っていたが、物語の迫力に押されっぱなしだった。
    熊との戦いだけに限らず、自分の人生を考え、生き、死んでいった。
    山に生き、山で死ぬ。ピークを過ぎるとどう死ぬのかを考えるのはわかるとして、こういう結末になるとは想像だにせず、直木賞にふさわしい深さと人生観だと思った。

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    2026年01月30日
  • ともぐい

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    最高にスリリングだった。山での生活や冬の厳しさ、静けさと匂い、という我々が普段考えも感じもしないところが頭の中に広がっていく。そして何もかもが冷たく感じた。人と動物との関わり合いなども含めて、サバイバル体験をさせてもらえる凄い話だった。

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    2026年01月28日
  • ともぐい

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    なんという結末でしょう。ともぐいとは何か最後まで分からずに読んでいたが、こういうことだったのか?と?がつくほどに驚きの終わり方。
    河﨑さんの作品にしては珍しく性欲がよく出てきたが、不可解なところは特になく、今回も秀逸な表現で安定の⭐️4。いつものことだが最後の方は、ゆっくりじっくり時間をかけて読んだ。
    それにしても暖房もない道東の山奥でよく冬を越せるよなぁという野暮な感想を抱きつつ読んでた。

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    2026年01月24日
  • 介護者D

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    2025年で1番身につまされた物語…
    地方にいる両親は時限爆弾だと思って日々都会で生活しています。
    でも、主人公は30歳とは思えないほど老成しており、献身的で、もっとドロドロした話になるかと思ったらそうでもなく、読後感は悪くない。
    よい気分で新年を迎えられそうです。

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    2025年12月31日
  • 介護者D

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    私の父は82歳、認知症はないけれど、同じく年老いた母がおり、現在、独身の弟が両親と同居している。
    弟は高卒で、事あるごとに大卒の私と比べられ、両親からD評価を受けて来た。
    そんな弟は現在契約社員でVチューバ―とやらを推している。書店で帯を見た瞬間、吸い寄せられるように手に取った一冊。
    今年、ベスト3に入る本だった。
    最後は、泣けた。自分がどの人物に共感して泣いたのだろうかと思えば、きっと「家族」として共感したのだ。
    それは、老いを受け入れる父であり、推しに救いを求め先の見えない不安と戦う主人公であり、また、娘達の未来を見届けることなく突如命を奪われた母であり、姉にすべてを押し付けておきながら、

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    2025年12月17日
  • 介護者D

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    東京で派遣社員として働く琴美は独身で30歳。アイドルのゆなが心の支えで、ささやかな楽しみとして暮らしていたが、北海道の父が卒中で倒れた。後遺症は左脚麻痺くらいで、ヘルパーなどを使って生活できる程度だったが「雪かきができない」という口実のもと呼び戻され、雪の季節が終わってもそのまま介護の生活。ヘルパーも父はとっととやめさせてしまっている。降りかかるストレスを描いていく。
    読んでいて本当に苛立たしく、読み進めるのが困難だったほどだった。

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    2025年12月11日
  • ともぐい

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    ネタバレ

    想像もつかなかった猟師の世界を赤裸々につづっていた。大自然の中で生きる男の生き様。街の生活と小屋の生活が対比されていたが、自然の中が行きやすい熊爪は、街で生きる女に命を絶たれた。

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    2025年11月25日
  • ともぐい

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    類を見ない小説だった。
    唯一無二。
    私が知っている限りではあるけれど。

    こんなにも「生命」をありありと描写する作家に興味を持った。

    河﨑秋子さんとは、どんな人物だろう。
    調べてみると酪農の家に生まれ育ち、ご自身は羊飼いだったとか。
    納得。

    しかも『ともぐい』というタイトルのイメージ通り、爽やかさ0で、何ともうすーく不穏な空気の漂うお話だった。
    サイコパス度合いもまぁまぁ。
    またも、遺伝には逆らえないというメッセージを受け取ってしまった。著者はそんなことは意図してないかもしれないけれど。

    暗い小説は嫌いじゃないけどね、暗さが私の想像を越えてしまっている。
    誰にでもお勧めできるお話じゃない

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    2025年11月17日
  • 介護者D

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    河崎秋子『介護者D』朝日文庫。

    これまでの河崎秋子の小説とは風合いの異なる小説であった。タイトル通りの介護小説である。読んでみて、閉塞感を感じるばかりで、余り良い思いはしない。

    実家に住み続け、両親と暮らすためには公務員か開業医、自営業を選択するしか無い時代である。自分の離れて暮らす父親も大腿骨を骨折してから急速に衰え、要介護4と認定され、母親の負担も大きくなり、特別養護老人ホームに入所させるという選択をした。しかし、新型コロナウイルス感染禍でなかなか会いに行けず、面会はガラス越しかタブレットという状況だった。そんな父親は昨年末に老衰で亡くなった。母親は父親が生きているうちはと気を張ってい

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    2025年11月14日
  • ともぐい

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    人間関係に悩むときに、僕自身も誰もいないところで、誰とも会話しないで過ごしたいと思う時はあるが、実際にそんな生活は自分ではできない。山で一人で生きるという選択は普僕にはできない。主人公の熊爪であっても、生活必需品を得るためには最低限の町との繋がりは必要であり、そこで人間関係も生まれる。不器用で、山で生きて、山で死ぬ男。何も望まないで生きていたはずなのに、熊撃ちの過程でケガを負い、盲目の少女との出会いが運命を変える。一人の女性に出会えたことは幸せだったのだろうかどうかはわからない。

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    2025年11月09日
  • 森田繁子と腹八分

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    これを本当に『ともぐい』と同じ人が書いたのか?
    まったくテイストの異なる世界観でびっくりです!
    『日本農業新聞』に一年にわたり掲載されていたものを書籍化した本書。
    まず、タイトルと表紙から森田繁子さんが美味しいものを食べ過ぎないように気をつけているお話?と思ってしまいますが、森田繁子さんは美味しいものは際限なく食べる!出されたものは遠慮せずすぐに全部食べる!
    腹八分というのは、農業コンサルタントである森田繁子さんの持論、片方がゼロ割で損をして片方が十割で得をするよりも、さらにはお互いが五分五分で我慢するよりも、ちょっとした譲歩で八割対八割にした方が実りが多い、ということ。
    困っている農業従事者

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    2025年10月30日
  • 森田繁子と腹八分

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    軽めの読み物で、わりと先の展開が読めてしまう感じでした。侠飯みたいです。ドラマ化されそうな気がしますが、100キロの女優さんはなかなかいないか。表紙の加藤休ミさんの絵が素晴らしい。全部読み終わってから見直すと、なお一層美味しそうに見えます。

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    2025年10月22日