30歳で未婚、東京の派遣社員を辞めて父の介護のため札幌の実家に戻った琴美。
雪かき要員として戻ったが、愛犬の散歩や病院の送り迎えに毎日の家事で日々は過ぎていく。
唯一の救いは、アイドル「ゆな」だったが、ライブへ行くことも叶わず閉鎖的な環境に埋もれて過ごすことに膿んでいた。
元塾経営者だった父の真
...続きを読む面目さや頑ななところや世間体を気にするところ。
なによりも出来の良い妹との差別を感じていた。
アメリカ留学後に結婚、出産、離婚をして今も息子を育てながら仕事をして海外で暮らしている妹。
帰省した折の父や妹の行動や態度にもやもやとした感情が膨らむが、結局大きな反撃に出ることもなくまた日常がくる。
愛犬の誤飲から認知症がわかり、その世話に明け暮れる中、父も何かしら感じるものがあったようで。
静かに緩やかにだが、今のは違う未来が見えたようだ。
けっしてキツい介護をしているというわけではなく、まだ自分のことはしっかりできる父との生活。
好き勝手はできないし、家事全般に愛犬の世話や病院の送り迎えはある。
だが、先は見えなく楽しめる空間じゃないのはよくわかる。これがいつまで続くのか…とか唯一の楽しみである推し活ができないというジレンマ。
その普通にできないことのたくさんを書いているのだが、多分こういう介護生活は多いと思った。