河﨑秋子のレビュー一覧
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「森田アグリプランニング」社長の森田繁子が、再び…である。
第2弾。
今回も農業に潜む問題をズバッと解決するのだろうと思いきや、最初の依頼条件が孫の引きこもりをなんとかして欲しいと言う家庭問題で…
断るのかと思ったが、仕事じゃなくて有給扱いということで真っ赤なBMWを走らせて青森へ向かう森田繁子。
無理矢理、グイグイといくわけじゃなくお手伝いを…というかたちで観光案内をしてもらうことで、外へと出して行き…なにやら気づけば地域活性化に繋がっている。
北海道でのマラソン大会では、改革を決めたスポーツ振興会の笠木のおもてなしが裏目に出て…
牧場とのトラブルも森田繁子が介入することで、みんながいろんなことに気づき、改善したり新たな発見も生まれてくる。
作物の盗難にもただ泥棒を捕まえるだけじゃなく、今後も被害にあわないためにどうするのが最善の方法なのかを見つける。
50代で孫あり、身体は縦も横もデカく、派手な出で立ちだが、言葉遣いは丁寧、仕事も早くて食べるのも早い森田繁子さんは、今回も完璧な仕事をした。
合間に登場の黒鉄権蔵さん…森田繁子の同級生で元身内という、その正体にまさか⁈と驚かされた。
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Posted by ブクログ
昨年の年初に読んだ『ともぐい』以来の河﨑秋子さんの作品。ただ生きるためだけに動物の命を頂き、その一瞬一瞬を生きる明治時代のマタギを描いていた。最期には熊との死闘が待ち受けていた壮絶な小説だった。
打って変わってこの『夜明けのハントレス』は現代の女子大学生が、あるキッカケからハンターを目指し成長していく物語だ。狩猟の様子は臨場感が溢れ、心の動きも丁寧に描かれているので、一旦読み出すと小説の世界に完全に落ちてしまう感じだ。
特に初めて熊に遭遇して散弾銃を撃ってしまうエピソードはリアリティがあった。熊は害獣だから駆除するのは当然だとか、それは人間のエゴだから許せないとか、そんな簡単に答えが出せるものでもなく、考えさせられた。
この小説も熊との対決で最後を飾っている。なぜか泣けてしまうのだ。精神性は『ともぐい』を引き継いでいた。生き方としての狩猟だとも言える。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ装丁と挿絵の鉛筆画が内容とその雰囲気にとても合っていて章を追うのが楽しかった。
河﨑先生の作品、クマと戦う人の話は何作目になるんだろう?とふと思ったけれど、どれも違っていてどれもその作品なりの迫力があってその描写力と読み手を引っ張っていく推進力がだんだんと増しているように感じられ本当に圧巻。
主人公を取り巻くほかの登場人物たちのキャラが凄く際立っているのがさすがです。
ご両親の懐の深さ、友達との別離、ハンター仲間たちの温かさ、職場の人間関係、どれも自然に伝わってくるのが本当に上手いなぁ。
特に、考え方や境遇の差で離れてしまったけどずっと気になり続けていた親友との関係性が終わったままにならなかったことに救われました。
自分は主人公とは逆のことを友達に言われたことがあり「辛いことない恵まれた平和な家庭環境でずっと育ってきたから、辛い家庭環境で通じ合っているあなたたち(私と別の友達)と話しているとあんたには分からないって遠回しに言われてるようで入り込めない。仲間になれないって感じる。なんか平和でごめんって思う」というような。
環境や育ちの差って本人にはどうにもできなきことだから、そんなふうに友達に思わせてたのかと衝撃を受けたことがありました。
p92の主人公と友達のやり取り、自分の学生時代を思い出しました。
「うん、ごめん。分かんない」
わかろうとしてもわからないことってどうしょうもなくありますね。
特に若い時には。仕方ないこともある。
確かにこの主人公は恵まれている。この若さで狩猟がやれるというのは財力的に恵まれた環境にあるのだ、というのはこの若さの主人公を考えたときの設定として必要条件なのだろうけれども、そこにそれ故の人間関係の難しさを乗せてくるのがさすが河﨑先生だなぁと。友達だけでなく職場の新人研修というところでもそれに触れてくるところが良かった。
ところどころに孤独について触れられているけれども、改めて考えると本書のタイトルからもう孤独の匂いがしますね。タイトルうまいなぁ。
このご両親がいいですね。叱られないからこそ沁みるってあると思う。
心配は最大限しているけど決して娘のやりたいことを妨げない、怒られて当然の場面でも「もう大人だから」と娘の判断に口出ししない。
こういう態度は出来そうで出来ないことのほうが多いのじゃないかなぁ。こういう両親に育てられたらマチのように真っすぐで肝の座った人間が確かに出来上がるかもしれないですね。
三石という人物が登場したのが良かったなぁ。こういうやな奴がでてくると俄然物語は面白くなりますね。そしてこの、何だか最初から合わない、感じの悪い人物が実は人とコミュニケーションを取るのに不器用なだけでもしかして中身小中学生?ってなったあたりからちょっと見る目がかわります。
それから猟に対する姿勢には共感できるところが少しずつ見えてくるところに人物を描き出す筆のうまさを抜群に感じました。
口を開けばムカつくことしか言わないこの男が読み進めるにつれて段々と好きになっていくのが作者の仕掛けに乗せられていくようで楽しかったですねぇ。
特に第4章の山で二人になって一緒に熊を追っていくところからはグイグイと読まされて目が離せなくなっていきました。「腹を括れ」
このクライマックスへの持っていき方、そしてこの獲物であったクマの個体がどういう個体であったのかという事実、どうしてこのクマがここに現れたのかという人間の傲慢の結果だった因果、やりきれなさとともにこの猟の結果がどう決着するのか見届けるまで、途中で本を置くことができなくなりました。いやぁすごかった。
安易に何でもアップするSNSに対する批判も込められているようだし、クマとの共存、クマを駆除することの是非、小説として面白いだけでなくそういう社会問題もちょっと考えさせられます。
しかしあまり重くはせず、そういう現実もあるとそのあたりは筆致としてはカラッとしていたように思います。あくまでもそれは小説の仕掛けとして盛り込むのがメインで、そのあたりの混ぜ込み方?のバランスも絶妙。
河﨑先生の新しいクマとの戦いの物語もやはり最高に面白かった。
この人間模様、映画で見てみたいなぁと思うけど昨今の熊出没状況を見てたら実写化は危険過ぎて難しいでしょうね。きっと。 -
Posted by ブクログ
唯一無二
そんな言葉がつい口をついて出る
いやまぁ小説家さんはそれぞれに唯一無二なんだが
当然そうなんだが、やっぱり河﨑秋子さんはちょっと独特感が強いよね
自然とガチンコでぶつかり合ってる気がするんよ
相撲協会も見習ってほしい
そしてもう熊である
なにしろ熊である
みんなちょっと考えようよ
昨今の熊問題
熊めっちゃ出るやん問題
わい思うにね
やっぱ人の命が一番上に来ると思うんよ
綺麗事は抜きにして、結局そこはそうだと思うのね
なぜかと言えば置き換えか可能だから
熊に襲われて怪我したとか亡くなられたとかってニュースを見聞きすると、どうしたって、もし自分だったらとか、もし自分の大切な人だったらとかって考えて震えるけど
熊が撃たれて捕獲されたの見て、もしこれがうちの娘だったら…とかは思わんよね
当たり前だけどやっぱり人の命の方が圧倒的に重く感じるよね
だからやっぱり害獣駆除は必要だと思うんよな
あとはどこまでやるかなんだけど、これが難しいよね
もうムズすぎてパンクしそうなんだが、やはりそれを猟友会の人とかに投げるのは絶対違うと思う
みんなで考えないとあかん!と思う
ムズいけど -
Posted by ブクログ
農業コンサルタント森田繁子が、その型破りな行動で、悩めるクライアントを救うという物語。
森田繁子のキャラが良すぎて、物語が進むにつれ、どんどん好きになってしまった。基本は農業に似合わない濃いメイク、派手な服装で戦闘力高め。ただTPOにあわせてスタイルを変える柔軟性もある。そして謎の経歴と人脈。
ご飯を凄いスピードで、且つ美味しく食べるところが好き。食べることに真摯に向き合う姿勢が更に人を惹き付ける。
彼女の謎が深まったところで、その謎に迫る「森田繁子の向う脛」が、絶妙なタイミングで入る。
キャラ一本だけと思いきや、獣害問題、後継者問題などの本質にも切り込む。
彼女のモットーは食べることも利益も腹八分目。とても腹に落ちた。
次作もあるなら、絶対に読みたくなる一冊。