河﨑秋子のレビュー一覧

  • 介護者D

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    河崎秋子さんが描く現代劇は
    介護がテーマ。

    教育者だった父。
    昔から覚えがめでたく、今は遠くアメリカで暮らす妹。

    主人公は東京暮らしで推しを見つけたが、
    介護のために北海道に移住する。

    コロナ禍も重なって、
    価値観と価値観が交差し、
    ときに衝突し、ときに混ざり合い、ときに和解を生む。

    決して“できた娘”ではない。
    優等生ではない“評価D”だからこその
    行き詰まりとこれからの物語。

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    2025年12月08日
  • 森田繁子と腹八分

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    農業コンサルタント森田繁子が、その型破りな行動で、悩めるクライアントを救うという物語。

    森田繁子のキャラが良すぎて、物語が進むにつれ、どんどん好きになってしまった。基本は農業に似合わない濃いメイク、派手な服装で戦闘力高め。ただTPOにあわせてスタイルを変える柔軟性もある。そして謎の経歴と人脈。

    ご飯を凄いスピードで、且つ美味しく食べるところが好き。食べることに真摯に向き合う姿勢が更に人を惹き付ける。

    彼女の謎が深まったところで、その謎に迫る「森田繁子の向う脛」が、絶妙なタイミングで入る。

    キャラ一本だけと思いきや、獣害問題、後継者問題などの本質にも切り込む。

    彼女のモットーは食べるこ

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    2025年11月14日
  • ともぐい

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    ネタバレ

    '24年 第170回直木賞。初読み 河﨑秋子さん。
    面白いかどうかは別なんだけど、すごい本を読んだ気がする。
    直木賞も納得なのだけど、純文学のようでもあった。
    明治初期、北海道白糠町の猟師 熊爪。来歴はほぼ不明。人との関わりは獲物を最低限の金品に換える時に下山する程度。野生のヒト科ヒト属ヒト。
    生死を賭けた猟師と羆の戦いの物語かと思ってたら全然違ったw
    第二部とも言える、町から貰った陽子の出産育児を通して描かれる後半に、熊爪というヒト⇒人の生命の哲学が。
    目の治療をした場面と、赤毛を仕留めた後の射精が非常に印象的。「見えるのに見ない、楽に生きられるのにそうしない」「理解できない、

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    2025年11月10日
  • ともぐい

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    羆嵐をよんで羆文学に興味を持ち、読んだ。
    熊爪の強者感からの怪我してからの弱って行き方や赤毛に挑む心情描写が良かった
    死に様も私としては納得いった。
    みんな言ってるが顔をやられた人の手当て描写はすごい。これ読まなければ一緒こんな描写読まなかったかもと思う。
    (今年の春前に読んだので思い出しながら感想書いた)

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    2025年11月02日
  • 森田繁子と腹八分

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    河崎秋子の作品にしては異色。
    豪快な見た目に、繊細な計画性、仕事が丁寧で何でもできて、人の心もうまく読む、スーパーウーマン森田繁子が主人公。

    森田繁子はフリーの農業コンサルタントで美味しいもの好き。
    事務所のアルバイトの山田くんが一緒にいるとドタバタコメディになってる。
    依頼人の幸せ願って100%の解決じゃなくて、腹八分がちょうどいいらしい。

    楽しくてよき。
    農業ってところも気に入った。
    河崎秋子氏にとっては得意分野ですね。
    シリーズとして続いてくれたらいいのにな。

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    2025年08月12日
  • 森田繁子と腹八分

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    森田繁子と腹八分。河﨑秋子先生の著書。森田アグリプランニング社長で農業コンサルタントの森田繁子。森田繁子が獣害問題、後継問題、夫婦の問題まで解決するのが心地よい。森田繁子と腹八分というタイトルに目を惹かれます。食事は腹八分が健康的なことはわかっていても腹八分でストップすることはむずかしいですよね。私はいつも腹八分ではなくてお腹一杯食べてしまう。

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    2025年08月11日
  • ともぐい

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    前半の狩りの描写や村での人間離れした描写はとても面白かった。
    後半腰を怪我してから陽子を攫う辺りは前半の山に生きる熊爪から人が変わってしまったような気がして、作中の良輔と同じように寂しく感じてしまった。

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    2025年08月16日
  • ともぐい

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    ネタバレ

    明治時代頃の、北海道の山奥で1人暮らす猟師の話。人と関わらずに1人で静かに、たまに町で獲物を売りその金で鉄砲の玉や米や酒や女を買って暮らす。が、暴れっぽい熊とそれにやられた男、九死に一生の経験から違う人生を考え始める。山の王である熊と死ぬこともできず、女と山奥で暮らすことを選ぶ。が、殺された。人間は他の動物とは違うようで、結局同じなのかもしれない。

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    2025年08月05日
  • 森田繁子と腹八分

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    森田繁子さん、最高です!巨体にしっかりメイクとファッション、そして頭は滅法切れて、尚且つ素晴らしい食べっぷり、そして真の意味で優しい。お互いの腹八分の満足を目指して問題解決していく様は痛快!バイトのヤマダ君への接し方も上司として素晴らしい。私もこういう人のもとで働きたいと思った!シリーズ化されるのを楽しみにします!

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    2025年08月02日
  • 森田繁子と腹八分

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    ネタバレ

    美味しそうに食べさくさくと仕事をし礼儀正しく人の機微にも通じている森田繁子さん。
    ビジュアルには圧倒されそうだけれどこんな人好感持たずにはいられないでしょう。
    どんな人生を歩んできたのかもさることながら、ちょっとワケアリそうな娘と孫の話が向こう脛(泣き所ってことでしょうね)という章でチラ見せされているのがとっても気にかかります。
    それにしてもでてくる食べ物がみんな美味しそう。読後装丁を見返すと繁子さんのようにお腹が鳴りそうです。
    続きが楽しみな一作が登場しましたね。次はどんな人たちが出てきて、どんな風に手腕を振るうのか、モリシゲさん2作目早くも待ち遠しいです。

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    2025年06月24日
  • 森田繁子と腹八分

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    鳩護いらいのライトによめる作品でした。
    スローライフ、酪農、兼業農家、外来種、
    森田繁子がさまざまな難題にどう落としどころをつけるのか
    ワクワクしながらあっという間に読み終えました。
    帯によるとシリーズ化するようなので続編楽しみに待ちます。

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    2025年06月11日
  • ともぐい

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    むせかえるような男臭さのハードボイルド小説。今時こんな生活をしている人はまずいないし、誰が描いても想像力と地道な調査に基づく知識がないとできない仕事。どんな人の作品なのかと思いきや、女流作家の作品ということで驚嘆させられた。序盤の鹿狩りのシーンから圧倒され一気に深い山奥の世界へ引き込まれてしまった。さすがは直木賞受賞作。ハードボイルド娯楽小説として文句なしの満点。

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    2025年06月10日
  • ともぐい

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    ネタバレ

    「愚か者の石」と「森田繁子と腹八分」を読んで北海道小説河崎秋子に注目、追いかけてみようと読んだ3作目がこの本。いやいや、またまた全然違うテイストの小説。

    人間と獣の違いってなんなんやろ?どこからが人間でどこからが獣なんやろって、読んでる最中は夢中でも、どこかに境界線を意識させられている。

    主人公熊爪の生き様は、単純明快。生きて猟をして飯を食って排泄して、時々町に出て肉や毛皮や山菜を売った現金で米や調味料を仕入れて、女を買う。
    猟のことや山で生きていくことの手間は惜しまないが、人間らしい面倒くさいことは極力省略したがる。壮絶なミニマリズムライフである。

    中盤以降、熊爪の生活に迷い熊と盲目の

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    2025年06月08日
  • ともぐい

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    熊文学という響きから連想するイメージや期待を裏切らず物語が進行していく
    猟師としての行動や思考の過程は、人として生きる我々の範疇からずれているが、本来の動物の一員として生きる本来の姿だろうとも思う
    そして物語は熊文学のジャンルを越えた何かに変容していき、想像していた狩人と獲物との関係といったものとは異質な展開に引き込まれた
    これは昇華とも違う、いわば沼の中に沈み込んでいくような感覚だった

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    2025年06月01日
  • ともぐい

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    愛情という感覚を知らずに育った熊爪の生きざまが興味深かった。
    シンプルでより動物に近い生き方。
    街の人々の混沌とした関係や感情になじまない。
    その素朴さに魅かれ面白がった良輔の気持ちは、よくわかる。

    己の弱さのためだけに、熊として強く立派で素晴らしい赤毛を殺してしまったときの熊爪の気持ちは、言葉で表しにくい痛みだと感じる。
    自分の醜さと弱さを痛感したことと思う。
    あそこで、熊爪は終わったのだと思う。

    陽子の気味の悪さ。
    名前からして存在を欺いているかのようだ。
    この物語において、女はこわい。
    どの女も、こわくて気味が悪い。
    男のシンプルさ・愚かさが引き立つように思った。

    私には、熊爪の最

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    2025年06月01日
  • ともぐい

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    釧路から西へ10km程離れた白糠(しらぬか)の山中が主な舞台となっている。
    そこに熊爪と称する猟師が、一頭の名の無い猟犬とともに住んでいる。
    熊爪は、銃弾などの必要最低限の物を求めに白糠の人里に下りるが、基本は山中で自給自足の暮らしを送っている。
    唯一人間社会と繋がりを保っているのは、毛皮や鹿肉などを高額で買い取ってくれる門矢商店の主人、井之上良輔とその同居人たちに限られていた。
    地元の人達は、山男の得体の知れない熊爪を忌み嫌っていたのだが、良輔は分け隔てなく親しみを込めて熊爪と接してくれた。

    時代が進むに従って、漁港を中心にした牧歌的な白糠の町にも、近代化の波が押し寄せて来る。
    好人物だっ

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    2025年05月23日
  • ともぐい

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    色んな意味で衝撃的な作品だった。
    自然界でも人間界でも弱肉強食と言われるが、本当の強さって何だろうと思った。
    ストーリーもインパクトがあったが、描写も素晴らしい。山の空気や匂い、野獣との死闘の迫力など、読者をこの物語世界へ引き込んで体験させる力があった。

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    2025年05月10日
  • 森田繁子と腹八分

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    ネタバレ

    この本の作者って「愚か者の石」の河崎秋子やんな?と思ってしまった。こんなコミカルというかユルめの作風もできるんや。

    派手目の化粧とスーツパンプスに深紅のBMWで登場する、50代農業コンサルタント森田繁子の目線で現代日本の第一次産業の問題をテーマにした連作短編小説。

    シカの駆除問題から、スローライフブームを皮肉る1作目、ヤギ牧場経営を描いた2作目、Uターン帰農の若い夫婦と祖父のすれ違いから農家の後継ぎ問題をテーマにした3作目。

    後半の作品になるにつれて、テーマが身近になってくる。それが意図されたものかはわからないけど、読んでて引き込まれていく構成にもなっていた。

    連作短編の魅力である、登

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    2025年05月07日
  • 森田繁子と腹八分

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    現場に駆けつけ、重機を巧みに操縦、農機具修理も難無く熟す。泉のような農営知識を駆使した上に、人間をも診断できる女、森田繁子。彼女の『アメリカ国防総省につてがあるので衛星写真を入手』発言…只者ではない。彼女の私生活や過去が興味深すぎる。放っておけない。是非とも続編を。

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    2025年03月17日
  • 森田繁子と腹八分

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    圧倒的な外見とそれに似合わない細やかな気遣い。
    強靭なメンタル、旺盛な食欲、仕事の的確さ。
    何をとっても魅力的で目が離せなくなる森田繁子。
    バイトの山田くんもいい味で、ぜひ続編を!

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    2025年03月02日