河﨑秋子のレビュー一覧

  • 隣の畑は青々と

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    北海道・十勝地方を舞台にした農家たちの話。大きな展開はないが農家における閉鎖的なコミュニティ(村社会)がリアルに書かれていて文章も読みやすかった。
    私自身も地方出身でコメ農家でもあったので、共感できる部分も多かった。

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    2026年08月29日
  • 隣の畑は青々と

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    十勝で畑作を営む家族と周辺の人々の点描。

     するりするりと読みやすい文章で苦痛なく読めました。200ページちょっとでもフォントが大きめで、ボリュームもそこまでではないのだと思います。

     章ごとに各家族や周囲の人々の視点で仕事や将来、人生の振り返りといったそれぞれの抱える思いが、丁寧に語られていきます。面白いっちゃ面白い。しかし、全体を通したなにか訴えかけてくるテーマ、というのは特にないような。私にはわかりませんでした。

     家族それぞれの葛藤や、向き合う姿も、劇的な何かとかはなく本当に「そうなるだろうな」という感じのものです。現実的ではあるが面白みがあるわけでは…。

     要するに「すっと読めたけど、でもこれで作者は何を訴えたかったのか、はちょっとわからない」という感じです。別に訴えたい何か、というより、北海道の農家の生活をただ描きたかった、という感じなのかもな、と思いました。

     でも、それにしては「北海道らしさ」は文面からは特に感じなかったかな…どこの地方でもこんなもんかな、という。

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    2026年08月21日
  • 夜明けのハントレス

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    ふと手にとった雑誌をきっかけに狩猟に興味をもち、狩猟具店に行き、猟友会ののちに師匠になる人を紹介してもらい、着々とハンターへの道を歩む女子大生の話。
    一人の人間が命と向き合い、自分がどう感じるのかを丁寧に描いている。
    一気読みした。

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    2026年08月11日
  • 隣の畑は青々と

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    十勝の農家の人々の悩みを綴る連作短編集。やっぱり大きな悩みは、畑を将来どうするかってことだよね。それに新しいことにチャレンジする人も居て自由だなとも思ったけど、自由すぎるのも時に大変

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    2026年08月02日
  • 隣の畑は青々と

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    初読みの作家さん。地方におけるコミュニティーと都会からの移住者との距離感など、興味深く読めた。
    が、俯瞰したような淡々とした筆致のため感情を揺さぶられることはなかった。

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    2026年07月27日
  • 夜明けのハントレス

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    吉村昭さんの「熊嵐」と最近の熊被害のニュースで、熊の恐ろしさは、感じていました。それに挑戦するとは、凄い。

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    2026年07月25日
  • 夜明けのハントレス

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    狩猟雑誌に惹かれハンターとしての歩みを始める主人公。シカやクマと対峙しながら、命を撃つ意味と向き合う。

    泰然としたマチの性格が好ましい。恵まれた環境に育ち、狩猟を始めることに過剰な使命感を持たなかったからこそ、本能的のように芽生えた「野蛮さ」が際立つ…おそらく彼女初めての。

    昨今の熊出没問題を反映したリアルな描写や、命と向き合うテーマ、緊迫するクライマックスが圧巻でした。
    真に向き合う人々が、どういった思いで狩猟に向かうか。丁寧な心理描写を読むに、獣害に関して部外者が「殺せ」も「殺すな」も安易に言えないとしみじみ思います。

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    2026年07月13日
  • 隣の畑は青々と

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    各章で主人公を変えながら、十勝の一地域に暮らす数軒の家族を描いた作品です。

    何代か続く畑農家、やり手のメガファームの社長一家、移住してきたカフェの夫婦など、畑農家の仕事や農村特有のコミュニケーションに鬱屈を抱えた人々が主人公です。
    確かに舞台は河崎さんの地元・十勝です。しかし時代小説が、舞台が過去であるというだけで、テーマ的には現代小説と変わらない事が多いように、この小説の中で起きる問題も、少し色を変えれば、都会の例えば商店街でも起きる内容です。ですから、読みながら「これは河崎作品である」という事を強く意識する事は有りませんでした。
    最終的に主人公たちは変わります。でもそれは、全てのしがらみを振り切る様な力強い一歩ではなく、しがらみを負いながらもかろうじて前を向くと言った調子です。リアルと言えばリアルだけど、爽快さは余りありません。

    悪くは無いのですけれど。河崎さんの特長だった力強さは影を潜めた作品でした。

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    2026年07月12日
  • 森田繁子と腹八分

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    「そこにプラスアルファの提案をして、お互いに腹八分となるように調整するのが私の仕事です」

    農業コンサルタント森田繁子。
    「私の意見を全部のみ込んでしまう必要はないんです。戦うんです。高さの等しい場所で、お互いがベストだと思う意見をぶつけましょう。」
    決して押し付けない繁子

    「それぞれ腹八分に満足する権利」繁子の信念。

    すかっとしたというのとはちょっと違うかもしれないけれど、繁子の解決方法もいいなあと

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    2026年06月25日
  • 隣の畑は青々と

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    読みやすくて 読後感 さわやか。晴れた日の読書におすすめかな。松山千春「大空と大地の中で」が本になったら こんな感じかなぁ。食べ物を作る人がいちばん偉い!私はそう思う。自家用と出荷用の畑が違う、とか ところどころに 農家あるあるがでてきて ちょっと楽しい。なにはともあれ、これはこれでいいんじゃない?(帯のとおりです)

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    2026年06月22日
  • 清浄島

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    いつも人間に限らず生命の強さを描いている印象だったけど、今回は支え合う人間関係も描かれていてそこも美しかったな。
    こうやって何もないところからコツコツ試行錯誤して研究してくれる人がいるから感染症対策が出来るんだよなと改めて実感した。
    そういった何もないところからの諦めない努力が細やかに描かれている。

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    2026年05月17日
  • 鳩護

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    ⚠️この作品には「鳩」と「馬」の負傷・死亡描写が含まれます。

    この作品に登場する「鳩」と「馬」には、古くから人間の都合で使役され、ときには人間によって命を奪われてきた動物だという共通点がある。鳩は伝令として、馬は農耕や移動手段として、彼らの生体能力を人間に利用されてきた。ときには人間の都合で引き起こされた戦争で、彼らの多くも犠牲になっている。
    現代ではその役割が科学技術に置き換えられ役割を果たし切った彼らを、今度は利用価値がない厄介者として扱うのは、あまりにも人間の身勝手ではないだろうか。

    鳩の人間とともに歩んできた種としての歴史に、想いを馳せてみてほしい一冊でした

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    2026年05月10日
  • 夜明けのハントレス

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    マチはトレイルランニングを趣味としていて、山を自由に駆け回って楽しんでいるけれど、何か物足りなさを感じている。そんなとき偶然に開いた雑誌がきっかけで狩猟に興味を持つ。
    大学時代も社会人として生活するなかても、自身の考え方や物事の捉え方、経済的な立ち位置が、一般的な標準値の範疇から少し外れていることに疎外感を感じてもいた。
    狩猟免許も取って、猟友会のメンバーに恵まれてハントレスの経験を積んでいくうちに、一対一で獲物を追い仕留めることになる。その時に、野蛮を得た、とマチは感じる。これはなにかと比べることのない自由を得たということだろうか。
    狩猟のシーンでは、山に入れば何がいるかもわからないままに熊笹を踏み分け、藪を潜り抜けて進み、雨が降れば泥を含んだ靴で歩き続ける、そんな過酷な自然がリアルに描かれている。もしも、自給自足の生活を余儀なくされたとしたら、狩猟生活よりも土を耕し種を蒔き作物を収穫する農耕生活を選びたいと思ってしまつた。
    さまざまな動物たちが山を下りて人との境界線を越えてきている今、それに対峙するハンターの方々の感じ方にも思い至ることができた。

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    2026年04月28日
  • 森田繁子と腹八分

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    ネタバレ

    森田繁子さんはとても魅力的だとは思います。謎の履歴をお持ちだし。よくあると言えばよくある内容のような。「ハケンの品格」的なスーパー人間みたいで。だけど、そこに引っ張られ過ぎないように書かれていたのかな。

    腹八分は、ちょっと説明しきれてない感じがしました。中庸を具現化したいのか、単に食欲なのか。

    とはいえ割とおもしろかったですね。

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    2026年01月03日
  • 鳩護

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    会社での同僚とのやりとりや口に出さない本音の部分がリアル。それとは対照的にハトや競馬のパートはファンタジーもありつつ、生き物と人間の欲のようなものを感じるある意味においてのリアル。

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    2025年10月10日
  • 森田繁子と腹八分

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    北海道由来かつ重厚な作風で定評のある川﨑秋子だが、本作は一転してライトなヒューマンドラマ。
    悪くはないけど向いてない気がする。極厚の赤身ステーキを期待したら豚冷しゃぶだったくらいの肩透かし。

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    2025年05月14日
  • 森田繁子と腹八分

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    豪快な『森田繁子』が繊細に人を繋いで先に連れて行ってくれる
    そんな感じで楽しみながら読んでいけました
    農業に関しては昭和生まれやし田舎生まれなので
    そこそこ接触する機会もあるけれど
    それでも実際のところは知らない事だらけ
    畜産だとほとんど分からない
    というそういう実際のところも知ることもできた

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    2025年04月21日
  • 森田繁子と腹八分

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    農業=スローライフとは限らない・・・
    3つの短編で森田繁子(農業コンサルタント)が活獣害問題や経営改革や後継問題などを解決していく物語。

    農業=スローライフと一般的に考えてしますけど、そんなに単純ではない。
    そして、農業関係を通していろいろな悩みを抱えて生きているのだと感じます。

    森田繁子のちょうどいい落とし所を模索するのも良かったです。
    お互いが8割(腹八分)納得いく形を見つけるのにも感心しました。

    誰もが憧れる、スローライフも完璧ではないため、どこまで許容できるか考える必要がありますね。

    続編も出ても面白い小説だと思います。
    森田繁子の半生も気になりるところです。

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    2025年03月14日
  • 鳩護

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    ネタバレ

    文庫版を手に取り。表紙の鳩がかわいいなと思いましたがストーリーはなかなかハードと言うか想像していたような明るめの話ではありませんでした。読後思えば河﨑先生が書くならさもありなん、なんですが。

    なんだか不思議な話でしたね。非現実的という意味ではファンタジーなんでしょうけれど少しホラー要素やお仕事小説の趣もあり独特の世界観です。
    主人公が若い女性なのに疲れ果てていておじさんのような愚痴や行動を取るのが独特の味わい(?)で親近感が湧きました。でも本作の好き嫌いは結構分かれそうな気がします。
    ともぐいを最近読んでしまったせいか、やはり迫力や訴えるものについては比べてしまいました。
    話の内容的にはおそらく、本作の方が好きだという人が多いように思いますが、自分はともぐいの方が作品としては好きでしたね。
    競走馬についての描写が良かったですね。馬の繁殖については世間では知らない人の方が多いと思うので。

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    2024年08月01日
  • 鳩護

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    この本のテーマは、人間と飼われている動物の関わりだと思う。そこには明確な主従関係があり、人間側が幸せになるように使われる動物の姿がある。それが人間社会で善悪かどうかや、その動物自身にとって幸か不幸かは関係ない。主人がやりたいことが善であり、そうでないことが悪になる。飼ったから大切にするというのは、主人義務ではない、責任の範疇までなのだ。そして、この物語で主人公が学んだのはその責任の大きさなのだと思う。

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    2024年04月01日