河﨑秋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
⚠️この作品には「鳩」と「馬」の負傷・死亡描写が含まれます。
この作品に登場する「鳩」と「馬」には、古くから人間の都合で使役され、ときには人間によって命を奪われてきた動物だという共通点がある。鳩は伝令として、馬は農耕や移動手段として、彼らの生体能力を人間に利用されてきた。ときには人間の都合で引き起こされた戦争で、彼らの多くも犠牲になっている。
現代ではその役割が科学技術に置き換えられ役割を果たし切った彼らを、今度は利用価値がない厄介者として扱うのは、あまりにも人間の身勝手ではないだろうか。
鳩の人間とともに歩んできた種としての歴史に、想いを馳せてみてほしい一冊でした -
Posted by ブクログ
マチはトレイルランニングを趣味としていて、山を自由に駆け回って楽しんでいるけれど、何か物足りなさを感じている。そんなとき偶然に開いた雑誌がきっかけで狩猟に興味を持つ。
大学時代も社会人として生活するなかても、自身の考え方や物事の捉え方、経済的な立ち位置が、一般的な標準値の範疇から少し外れていることに疎外感を感じてもいた。
狩猟免許も取って、猟友会のメンバーに恵まれてハントレスの経験を積んでいくうちに、一対一で獲物を追い仕留めることになる。その時に、野蛮を得た、とマチは感じる。これはなにかと比べることのない自由を得たということだろうか。
狩猟のシーンでは、山に入れば何がいるかもわからないままに熊笹を踏み分け、藪を潜り抜けて進み、雨が降れば泥を含んだ靴で歩き続ける、そんな過酷な自然がリアルに描かれている。もしも、自給自足の生活を余儀なくされたとしたら、狩猟生活よりも土を耕し種を蒔き作物を収穫する農耕生活を選びたいと思ってしまつた。
さまざまな動物たちが山を下りて人との境界線を越えてきている今、それに対峙するハンターの方々の感じ方にも思い至ることができた。 -
Posted by ブクログ
川﨑秋子『清浄島』双葉文庫。
テーマは面白いと思うのだが、川﨑秋子の小説にしては、珍しくストーリー展開の起伏に乏しく、スッキリしない結末の小説であった。
北海道の風土病とも呼ばれたエキノコックス感染症の感染源の特定と根絶に奮闘する科学者の姿を描いた長編小説である。
エキノコックス感染症については、今から40年以上前に手塚治虫の『ブラック・ジャック』で知った。ブラック・ジャックが自らの身体に寄生したエキノコックスを自らの手で手術し、取り除くという衝撃の内容だったので覚えている。その後、北海道を旅行した時にはキタキツネを見掛けても絶対に接触しないよう気を付けていた。
昭和29年の初夏、北海道立衛生研究所から日本海最北の礼文島に土橋義明は単身で派遣される。土橋の任務は島の出身者に相次いで発症した風土病の感染源を突き止め、風土病を根絶させることだった。それは寄生虫のエキノコックスが引き起こす感染症で潜伏期間は10年とも言われ、発症すると腹が膨れ、死に至るのだった。
その多くが漁業や水産業に携わっていることから、迷信や信仰を大切にする島民たちに疎まれ、色眼鏡で見られながらも、島民たちの未来を救うべく土橋は奮闘する。しかし、土橋が何ら成果を出さないことに業を煮やした北海道立衛生研究所の上司の小山内は調査団を組んで島に乗り込んで来る。
小山内はエキノコックス感染症を島外に持ち出さないために飼い犬や飼い猫を含む、野犬やキツネ、ネズミを殺処分することを決め、調査団と土橋に実行させる。
それから12年後、礼文島のエキノコックス感染症は、ほぼ根絶され、北海道庁から『清浄島』の御墨付きをもらおうとしたのだが……
本体価格900円
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農業=スローライフとは限らない・・・
3つの短編で森田繁子(農業コンサルタント)が活獣害問題や経営改革や後継問題などを解決していく物語。
農業=スローライフと一般的に考えてしますけど、そんなに単純ではない。
そして、農業関係を通していろいろな悩みを抱えて生きているのだと感じます。
森田繁子のちょうどいい落とし所を模索するのも良かったです。
お互いが8割(腹八分)納得いく形を見つけるのにも感心しました。
誰もが憧れる、スローライフも完璧ではないため、どこまで許容できるか考える必要がありますね。
続編も出ても面白い小説だと思います。
森田繁子の半生も気になりるところです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文庫版を手に取り。表紙の鳩がかわいいなと思いましたがストーリーはなかなかハードと言うか想像していたような明るめの話ではありませんでした。読後思えば河﨑先生が書くならさもありなん、なんですが。
なんだか不思議な話でしたね。非現実的という意味ではファンタジーなんでしょうけれど少しホラー要素やお仕事小説の趣もあり独特の世界観です。
主人公が若い女性なのに疲れ果てていておじさんのような愚痴や行動を取るのが独特の味わい(?)で親近感が湧きました。でも本作の好き嫌いは結構分かれそうな気がします。
ともぐいを最近読んでしまったせいか、やはり迫力や訴えるものについては比べてしまいました。
話の内容的にはおそらく、本作の方が好きだという人が多いように思いますが、自分はともぐいの方が作品としては好きでしたね。
競走馬についての描写が良かったですね。馬の繁殖については世間では知らない人の方が多いと思うので。