中村哲のレビュー一覧
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ネタバレ中村哲さんに関する本は初めて読んだ。
中村哲さんと火野葦平の関係も初めて知って驚いたし、中村哲さんのおじいさんとご本人がとてもお顔が似ておられることにも驚いた。
恐るべし!遺伝子!!
おじいさんと哲さんの中にある「人のために動く」という気質は顔だけではなく、その生き方にも脈々と受け継がれているのではないか。そんなことを思った。
20年ほど前の対談だが、哲さんや澤地久枝が感じた政府に対する失望と言うか落胆というかは今の日本の政府に対する多くの人の見方と大きく変わっていないと感じた。
今、中村哲さんが生きておられて、今の日本の様子を見られたらどんなことを感じられるだろう。
というわけで、機会があれば中村哲さんに関する本をまた読みたいと思わせる一冊。 -
Posted by ブクログ
距離が離れてしまっていることを実感する。
私は山が好きで、ならすと月に1回近く山に行っている。
その度思うのは、「人間は小さい」ということだ。
中村哲さんはこの本で「生殺与奪の権を持つのは自然」ということを言っているが、まさにそうで、整備された、しかも1,000mに満たない低い山でも、油断すれば死の危険はそこここにある。
人間は自然の一部であり、恵みを分けていただいている。
そんな謙虚さを保ち続けなければ、資源は枯渇し、減った資源を奪い合う末路が待っている。
> 現地三十年の体験を通して言えることは、私たちが己の分限を知り、誠実である限り、天の恵みと人のまごころは信頼に足るということです。(p005)
>
中村哲さんはこう言う。
人間の分限をわきまえ、節度を持った生き方をしていきたいものだと思う。 -
Posted by ブクログ
前半はページの上半分に現地活動の写真、下半分に文章という構成で、写真が大きいので現地の雰囲気がよくわかります。
後半は講演会場でのq&Aと、井上ひさし氏、福元満治氏を交えての対談です。
「私は日本の若い人たちに、何かアドバイスを、と求められると近頃は必ず、大人たちの言うことを、そのまま信じないように、鵜呑みにしないように、と答えていますね。あまりにも間違ったアフガン情報の氾濫に少々立腹しているからですが、さらに、私たち年寄りはやがて死んでいく、いなくなります、あとはよろしく、と半ば脅しをかけて締めくくることにしています。
アフガニスタンの山村で出会った、この子供たちに、同じことを言えるだろうか、どうだろうか。彼らが放つ光の束の明るさが私を黙らせます。答えはやはり言葉の中にはないようです。」p.132 -
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アフガニスタンの診療所からに続き。
先に概要を知ってから対談を読んだ方が、
理解が進むかなと思っての順番でした。
私には想像もできない活動をされている方、
どんな方なのかと思っていましたが、
応援せずにはいられない方でした。
冒頭は家族や両親など、
中村さんの生まれから始まりました。
祖父にそっくりな中村さん。
そこからアフガニスタンの話に入っていくのですが。
文面の中から、
目の前のことをコツコツと進めていくことの大切さ、
相手の未来を想いながら行う現在の活動、
さらにアメリカや日本、他国の干渉、
それらに振り回されるアフガニスタンについて。
現地を見ているからこそ重みのある言葉で、
力があり、怒りがあり、悲しみがあって。
それでも前を向いてアフガニスタンを思う。
今世界中で戦争が起こっていますが、
本書を読んで欲しいと思いました。
文庫は先日読んだものと、本作だけですが、
また折を見て他のハードカバーも読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
今月初旬に、Xで中村哲さんが話題に上っていたのを目にしました。
お医者さんで、砂漠に森を作って、最期は武装勢力の凶弾に倒れてしまった方だというくらいの認識しかありませんでした。
そこでもう少し詳しく知りたいと思い、手にした本です。
「農村の回復なくしてアフガニスタンの再生なし」
この信念から、「緑の大地計画」が開始されました。灌漑用水事業には、江戸時代に作られた、福岡県の山田堰という取水口が参考にされたとのことです。
数100年前の事例に着目して、用水路を現代に作るという発想に驚かされました。
また、中村さんが繰り返し述べておられますが、これらの事業は日本にいる支援者・現地住民など、非常に多くの人々の尽力で成功したのだということがとても心に残りました。
たくさんの写真が掲載されていますが、中でもカラー写真は圧巻です。緑の大地が本当に美しいです。
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■評価
★★★✬☆
■感想
◯初めから強い志があってなにかに熱中する人も素敵だが、中村さんのように成り行きのような縁に導かれて力を尽くす人の姿も素敵だなと思った。
◯本書は治水工事に対してかなり詳しく書いてある。現在のアフガンの人に思いを馳せるのもいいのだが、参考にした日本の治水技術を試行錯誤でしていった江戸、それより前の人達に思いを馳せるのも面白いと思った。
◯アフガンを苦しめている最大の原因が、戦争や貧困ではなく「大旱魃」ということを初めて知った。それの原因をたどると環境問題に行き着き、それに加担している先進国の一人間として、申し訳ない気持ちになった。 -
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NHK「ラジオ深夜便」番組内での、中村哲さんへのインタビューの肉声を忠実に再現したものです。
おそらく、自分には想像もつかないような苦労や理不尽、恐怖などもあったのではないかと思うのですが、それでも、現地の人々に希望を見、ひたむきにご自身にできることを積み重ねてこられた姿があるからこそ、この言葉があるのだなと感じずにはいられません。
とてつもなく大きな問題や目標を前にしても、長い目でコツコツやるしかない、という精神力はどこから生まれるのだろう、と思いました。
また、中村哲さんが日本に一時帰国されたときに感じた、「みんな不満に溢れている。……景気がいいときには、困っている人のことなんかあまり頭に無い。常に何かでガサガサしているか、不平が多いんですね」という所感。…なんだか、まさに自分の姿だと思ってしまいました。
食べるものも、欲しいものも、なんでも手に入る豊かな生活をしているはずなのに、確かに、自分はことあるごとに不平不満を言っています。
豊かさと幸せは実は相関がなくて、本書で触れられているように、ちょっとしたことに感謝できる心を持っていることが本当に幸せなんだと、きづかされました。 -
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わたしはセロ弾きのゴーシュって、どういう意味だろう。そもそもセロ弾きのゴーシュって昔、教科書かなにかで読んだ気はするけど、どんな話だっけ?と思いながら読んだ。
まぁぜんぶが、セロ弾きのゴーシュがらみじゃないんだけどさ。具体的な活動を、会話の中で、わかりやすく読ませてくれた。
紛争地帯での活動は、よほどの使命感がなければできないと思う。どれほど立派な人か、と思うところだ。もちろん、立派な人だと思う。そのうえで、そこに至る道には外からの働きかけがあったということを、セロ弾きのゴーシュというのは、なかなか秀逸なたとえに思えた。とはいえ、呼ばれたからって、なかなか応えられないよね、そこはやっぱり中村哲氏のすごさだと思う。 -
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2年前、「荒野に希望の灯をともす」を映画館で観た。泣いて泣いて、今でも、何故もうこの世界に先生はいないのか、と思って泣きそうになる。
自分が知っている人間のなかで、本当に心から尊敬している人。
映画の内容をより詳しく、先生の心情も交えて描写されており、特に書籍ならではだと感じたのは、ガンベリ砂漠(死の谷と呼ばれ、旅人を葬り去ることで有名な砂漠)を開拓、全長25メートルに及ぶ灌漑用水路を建設したときの話。
図解が豊富に示され、旱魃の原因、水の流れをどうやって作るか、洪水にも耐える設計、使う資材(現地で調達できて、壊れたら直せるようにする)、防砂林として植生する木の種類(固有植生の考え)などなど、本当に細かく書いてある。そういう資料集としても面白いくらいに!
そういった仕組みを考えるにあたってのもとになっているのが、1700年代に作られた筑後川の「山田堰」。映画で、実際に足を運んで(先生は福岡の方)、川の流れを凝視する姿を見たのを思い出す。
少ない材料で、何十年何百年と、洪水にも渇水にも耐える堰を200年以上前の人々が作っていた。
それを参考にしながら、アフガニスタンにあるもので、先生達がいなくなっても現地の人々で永続的に管理していけるものを作るために、医師である先生は思考を巡りに巡らせ、その手でユンボを操縦し、米英軍からの止まない砲撃のなか、作り上げた。
もちろん、先生を中心とする邦人メンバーや、現地で雇用したスタッフ、自分達の生活全てをかけて作業する農民の方々、ペシャワール会に寄せられたら募金(約16億円)、、どれが欠けても成功しなかった。作業中事故で怪我をしたり亡くなった人もいて(誘拐されて殺害された人も)、それでもやり抜き、結果現地の方の生活まるごとを救ったのだ。
印象的だったのは、9.11の約1ヶ月後、国会での参考人招致。日本政府は米英にならって、自衛隊派遣をしようという段階。
先生が「自衛隊派遣は有害無益。アフガン難民の飢餓解消を!」と訴えるも、代議士に発言取り消しを要求された場面。
憲法第9条に守られていた、と先生はよく言っていた。武器を持たない、戦わないことが、平和を維持するにあたってどれほど大切か。
「独裁体制から民主主義へ」(ジーン・シャープ)の、逆をいくような今の世界。
「平和とは理念ではなく現実の力なのだ」
Wikipediaで中村哲先生を調べると、自民党の空虚なコメントに対して、共産党の前代表、志井和夫さんだけが、先述した参考人招致の際の出来事に触れていた。
聞き慣れた「テロに屈するな」という言説に屈してはいけないよな、と改めて思う。 -
Posted by ブクログ
岩波現代文庫
中村哲 「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」
インタビュー形式で アフガニスタンの現実や自身のことを語った本。
アフガニスタンのエピソードだけでなく、幼少期や家族の思い出や死、影響を受けた本や宗教などのインタビュー。自伝に近い
自衛隊のアフガニスタン派遣について、対米追随により現地の日本人を危険に晒していると批判。国会に呼びつけといて、批判を取り消させる国会議員の態度は 残念
「人間とは関係である〜その人とある対象との響き合いの中で自分というのは成り立っている」
「組織というのは、ある事業を遂行するためのもの〜事業が成し遂げられれば、組織が続くか続かないかは二の次のこと」