舩山むつみのレビュー一覧
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劇作家で大学教授でもある呉誠(ウ―チェン)は若い頃からパニック障害と鬱に悩まされてきた。ある日、日頃の鬱憤が爆発して酒席で出席者全員を辛辣に罵倒してしまう。恥じ入った呉誠は芝居も教職もなげうって台北の裏路地・臥龍街に隠棲し、私立探偵の看板を掲げることに。
にわか仕立ての素人探偵は、やがて台北中を震撼させる六張犂(リョウチャンリ)連続殺人事件に巻き込まれる。呉誠は己の冤罪をはらすため、自分の力で真犯人を見つけ出すことを誓う。
監視カメラが路地の隅々まで設置された台北で次々と殺人を行う謎のシリアルキラー〈六張犂の殺人鬼〉の正体は?
華文ミステリにも、少しずつ慣れてきた。文庫化されたので読んでみた。適度なユーモアが楽しい。 -
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みなさま、ご無沙汰しております。しばし、漢字だらけの航路に出ておりました。
その航路の名は『DV8 台北プライベートアイ2』。台湾発の探偵小説『台北プライベートアイ』の続編でございます。
続編だからもう慣れたはず…と思われそうだが、今回も漢字の海にアップアップだった。
事件に次ぐ事件、その度に増える登場人物や重要ワード…。予感はしていたけど前作よりもページ数が増えていて、おまけに漢字を吸い込みすぎて腹パン…というのが正直な感想である。
「友だちになりたいわけではないが、人とつながっている感じは欲しい。もっと正確に言えば、おれは人類を憎んでいるが、人間を必要としているんだ」(P14)
主人公は引き続き、私立探偵の呉誠(ウーチェン)が務める。だが前作の登場人物は誰一人として出てこない。
「今まで孤独だったけど、ここで知り合った仲間たちとこれからも仲良く暮らしていくんだ」という心温まる結び方だったのに、肩透かしを喰らった感じ。まるで呉誠だけ別の宇宙に飛ばされたかのようで、しばらくはアウェー感から抜け出せずにいた。
というのも呉誠、今作では引っ越しをしている。場所が変われば登場人物のカラーも変わるというもので、今回も個性豊かな仲間たちが彼のもとに集結する。いや、「DV8」に集結する…と言っても良いかも。
「DV8」とは、バーの名前で”deviate”(「逸脱する」)から来る。
呉誠がたまたま発見した店で、エマという女性が一人で切り盛りしている。魅力的なエマに一目惚れした(前作から何も変わっていない…)呉誠は彼女目的で店を利用し始めるが、やがて事件捜査の活動拠点・捜査で知り合った仲間たちとの憩いの場と化していく。(そーいや、最初の事件の依頼もDV8で始まっている!)
「時間は犯人の味方ですよ」(P 216)
正直、推理面はいくつか予測できるところがあった。真犯人が別にいる点とか。
実際の事件ならまだしも、一応探偵小説なんだから既知の事実(ここで言うところの、警察による捜査)だけで済むはずがない。まぁ、一度に2つの事件捜査に乗り出すことになった展開には燃えたけども。(これ以上、口外せぬよう努めます…!)
感嘆したと言っても良いのが、呉誠の成長。(呉誠の年齢で「成長」というのも妙だが…)仲間への思いやりが前作よりも明らかに表れているのだ。
「大切な人にはハッピーでいてほしい。自分の問題でウジウジ悩むのなら、その人のために忙しくする」というマインドセットまで持つようになっている。全員集まってお祝いをする場面が節目節目で描かれているのも、そうした彼の良き変化を象徴しているように思う。
「つまり、あれだよ。縁があるなら千里離れてたって必ず会えるって言うじゃないか」(P 388)
作中で「過去と現在の間には関連がある」と語られているように、未来も現在の延長線上にある。それに関連すると現在、続編の3を執筆中なんだとか!ストーリーにもより深みが出るみたいで、こりゃまた漢字の海にダイブの予感…。(そりゃそうだ)
古いけど、気分はもう「欽どこ」ならぬ「紀(筆者名)どこ」だ。 -
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シリーズ2作目。主人公は呉誠と言う中年を過ぎた私立探偵。台北の北、淡水に越した彼がDV8と言うクラブを舞台に、安安と言う女性の依頼を受け、過去に接点をもつ人物探しから始まるハードボイルド系ミステリー。気の良いクラブの常連や元刑事達と連携して連鎖的に謎を解いていく。プロセスもしっかりしていて、台北近辺の街もリアルに描いている。何よりあちこちに散りばめた蘊蓄も程よく読ませてくれる。海外や、日本では横山秀夫氏、島田荘司の作家の名も出てくるし、まさか、シンセ奏者の喜多郎氏も、、。事件に関係ない所でも読ませてくれた。ミステリーとしても上出来と思った。
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ネタバレ台湾は遊びに行きたかったけど機会無く終わりそう。台北歩き経験有りにとって本作は臨場感満載になると、行ったことがないのにそう思えてしまう。自分語りのストーリーだけど、なんか読みやすいし軽い文体に惹きつけられて一気に読み終えた。私立探偵の旗揚げ物語に少しだけハードボイルド要素や台湾独自の宗教観が加わり、警察との協力関係で事件解決に臨んでいく展開。私立探偵っぽさがあまり出てないのも好感。華文ミステリが気になり揃えたうちで1作目の着手だが、第一印章として華文で一括りにできない幅の広さを感じている。最近文庫化され、また続刊も出て早速入手、文庫化になるまでに読みたい(いつもそう思う)。
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著者は<中国のスティーヴン・キング>と呼ばれるベストセラー作家らしい。
バスで隣り合わせた女性から預かった謎の箱を幽霊客桟に届けに行った作家、周旋から毎日届く長文の手紙。そこに描かれる幽霊客桟は不気味な雰囲気に満ちており、宿泊客も謎めいていた。手紙は日に日に現実離れした話になっていき、ついに…
本筋とは関係ないが、そんな辺鄙なホテルに行くときに周旋が持って行った本が森村誠一の『野生の証明』なのがちょっと笑った。
全体として少々冗長な気もするが、ゴシックホラーめいた幽霊客桟の雰囲気がよかった。ホラーとミステリの融合もなかなかいい感じ。
続編もあるようで、引き続き翻訳を期待したい。 -
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幸せな人生を送るためには結婚はマストであるという固定概念と、シングルに対するスティグマが未だに根強く残っていることを解説し、選択的シングルの可能性を提示している。
シングルが増えている要因として、第一に考えられるのは離婚のリスクが高いこと。離婚は人の幸福を危うくする一方、結婚はそれほど幸福を約束してくれるわけではないことに現代の人々は気づいている。
人々を結婚へ駆り立てるのは、1人で年老いていくことへの恐怖、死ぬ時に枕元にいてくれる人が誰もいないことに対する恐怖であるが、結婚は必ず死別や離婚
と言う結末になるので、人生の不安を解消する解決策にはならない。
私たちはシングルで生きることを、苦しく寂しいものと決めつけがちだが、実際は、長い期間シングルで生きることによって、適応力を身につけ、年を重ねたときの孤独感を軽減すると同時に幸福を得ることができる。
シングルの人々が幸福に生きるためには友人関係が重要となるが、友達を家族とみなす法整備がまだされていない。
母の日、父の日と同等の友達の日を作ろうという動きは1958年からあった。
2011年、国連が6/30を友情の日と宣言している。
LGBTQの人達に対する昨今の社会の急激な変化を考えれば、友人とともにこれと同様の権利を求めるシングルの人達の国際的な動きも勝利を収めるだろうと筆者は見ている。 -
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ネタバレ・あらすじ
インドの大都市ムンバイが舞台。
心臓疾患のため警察を退職することになったチョプラの退職当日に青年の死体が発見される。
警察では事故死と判断されるがチョプラは死の真相を暴くため独自に捜査を開始する。
そんなチョプラ警部の相棒は叔父さんから贈与された子象のガネーシャ。
不正、賄賂、汚職と貧困が蔓延るインド社会の問題とそんなごちゃまぜで発展途中の都市で騒々しくも逞しく生きる人々、踏みつけられる人々などインド社会が垣間見える作品。
・感想
インドではショッピングモールに象が侵入しても追い出されない…のか?!とか日本人的にこれ有りなの?と倫理観や捜査方法、生活習慣などなど疑問と驚きが多々あったけど、それもまたインドの魅力!
チョプラ警部はインドでは貴重な謹厳実直で正直な人間なんだけど、ムンバイの人をちょいちょいdisってるの笑ったw
インドが舞台の作品は何作か読んだし、インド映画やインドの雑踏でチーズとバターの鬼盛り料理をつくる露天紹介YouTubeとかもよく見たりする。
Xでネタにされる「被害者の会」タグとかもw
そういう偏った情報しか知らないけど広大な土地、爆発的に増加する人口、追いつかない社会制度、宗教問題、貧富の差、カースト制、言語の問題などなどなど…
(西側諸国の価値観が優れてて先進的なので全世界の人々がそれに倣うべきかどうかってのは一考の余地ありだけども)様々な問題と多様な文化がここまで混在している国は今後どうなっていくのかな、と興味が尽きない国だなとおもう。
まぁ私は行くことはないけど…!
どんな国にもどんな場所にも其々問題や困難はあり、魅力的な所もあれば嫌いなところもある。
楽園なんて無いんだから、そこで生きてる人々が自分の問題として捉え、他人任せにせず他人のせいにせず、己の事として想像力と論理的思考を持って過ごしていきたい!
と小説の感想から少し飛躍した感想も書きつつ。 -
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読むボリウッド映画!RRRを皮切りに昨年は10本程度のボリウッド作品を見ましたが、そんな経験を元にこの小説を読むと脳内でボリウッド映画として再生されました。前半の象がアパートにやってきたシーンでダンスが入ってタイトルコールなんかがいいんじゃないかと妄想できました。内容で好きなところは、主人公は早期退職したおじさん(髭が万歳の形をした紳士)で、日常ミステリかと思わせておいてインド全土を巻き込んでいくギャングや政治家の賄賂が絡む社会派に発展していくという壮大なところ。間に挟まる奥さんサイドのストーリーはラブコメで、これも面白い。シリーズもののようなので、次回作以降も日本語で読めるといいなぁ。