ベッキー・チェンバーズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2022年のヒューゴ賞、ユートピア賞、2023年のローカス賞受賞作。
舞台は、国家も市場も貨幣も存在しないコミュニズム的な世界です。人々は完全に平等であり自然環境にも優しいサステナブルな世界が構築されています。
主人公のデックスは「喫茶僧」をしているのですが、その生活に疲れています。喫茶僧とは、各地を巡り人々にお茶を提供しながら悩みや不安を聞く仕事(?)です。
デックスはある日ロボットのモスキャップと出会い、共に各地を巡る旅をします。
デックスの悩みは多くの人が持つ普遍的な悩みだと思うのですが、この世界がユートピア過ぎて、いまいちデックスの悩みに共感できない… 笑。
モスキャップはとてもキュートだし、二人の旅の様子が微笑ましくとても愛おしいものでした。読んでいてずっと幸せでした。
あと訳文がとても読みやすい! -
Posted by ブクログ
ベッキー・チェンバーズさん、初読。
ヒューゴー賞、ローカス賞受賞、ふむふむ。
実は、ジャケ買い…ならぬジャケ借り。
丹地陽子さんの、ちょっとコラージュ風な、活き活きとした緑のイラストが美しい。
ヒトのために労働を強いられてきたロボットが自我に目覚め、ヒトとの対立ではなく、平和理に住み分けを選んで長い時間が経ったのちのお話。
ヒトの生きる文明社会から、ロボットの住む手付かずの自然の中へ踏み込んだ喫茶僧・デックスは、好奇心いっぱいのロボット・モスキャップと出会う。
モスキャップと出会うまでは、ちょっとデックスに振り回されるような感じでもたつくが、その後は2人がお互いの生きる世界の価値観を侵さないよう気遣いあいながら、説明のできない幸せを見出していく、ハッピーな物語だった。
異種族との邂逅という意味では、宇宙人との出会いを描いたSFと地続きでもあり、ロボットをアテにして生きてきたヒトが科学技術は維持しつつも自立して、どんなふうに生きているのかという空想SFでもある。
美味しいお茶を楽しみ、おしゃべりを楽しむことが、ヒトには欠かせないものとされている未来。
デックスも、デックスたちの出会う人々も、とても身近に感じられるのは、きっとそういう感覚が同じだからだろう。
それにしても、この時代の人たちの生活必需品として出てくる『ポケットコンピューター』は、原文がきっとそう書いてあるんだろうけど、何かちょっといいアイテムのネーミングはなかったかなぁ。
『ロボット』も、古臭いといえばそうなんだけれど… -
Posted by ブクログ
ロボットたちの自我が目覚めた結果人間との決別を望み、お互い不干渉で生きてきた世界で突然出会い行動を共にすることになった人間とロボットの話。
お互いの状況の擦り合わせや相互理解を通して徐々に根源的な生命としての在り方に思索が広がっていき、人間的な考え方とロボット的な考え方双方からアプローチしていくのが読んでいて興味深かった。
私は生きていくのに理由も意味も必要ないしただ生きていくだけで何も残す必要はないと考えてきたタイプなので、デックスのような考え方は生きていくのがしんどくなりそうだと心配した。
自分に出来ることを社会に還元していくことはとても素晴らしいことだけど、それをしないと生きていて申し訳ない気持ちになるとか義務感を覚えるのは全然違う話だよなぁと思う。
せっかく行き過ぎた科学から距離を置いて快適かつ持続可能そうなテクノロジー社会で生きているんだから(物語の世界)、もっとおもしろおかしく人生を謳歌すればいいのにと思った。
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Posted by ブクログ
SFとファンタジーの中間のようなお話。
ロボットが独立宣言をして、よくまぁ人間がその主張を認めたもんだなぁと思いますが、この世界の人間は共産主義的な世界で平和に暮らしているのでそれも可能なのかなと思ったり。その辺りを読みたい訳では無いので良いのですが。
使命とか役割とか、仕事とか生きがいとか。人間にとっては自分が社会に認められるという事は大きな意味を持つんだろうなと読んでいて思いました。少し違いますが違う生命体との未知との遭遇の中で、段々と絆が生まれ、相手を知ることにより自分の姿かたちも見えてくるという過程がとても丁寧に描かれていて面白かったです。彼らの旅路の続きがあればまだ読みたいな、と思います。はにかみ屋の樹冠とか、なかなか素敵な訳語もたくさん出てきて、素敵だなぁと思いました。そして、お茶をゆっくりと飲みたくなる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代スペースオペラのアンソロジー。スペースオペラとは言うじょう、波乱万丈ではまったくない。
〇イアス・S・バッケル「禅と宇宙船修理技術」ーロボット宇宙船が宇宙戦に生き残った戦争を起こした冷酷な独裁者の救助命令に逆らえないが。
・ユーン・ハ・リー「課外活動」ー七連合王国もの
〇アーカディ・マーティーン「あなたが王だと思っていたすべての色」ー女王のクローンが女王との決闘に臨み反逆を企てる。
〇アレステア・レナルズ「ベラドンナの夜」20万年周期で銀河を周回し記念イベントを行うが、実は種族は滅びている。哀愁漂う
・T・キングフィッシャー「金属は暗闇の血のごとく」
・チャーリー・ジェーン・アンダーズ「時空の一時的困惑」ーカルト惑星に侵入し盗みを企てる。ハチャメチャ喜劇
〇アリエット・ド・ボダール「包囊」ー母惑星から独立した宇宙ステーション人は母惑星の文化を装うため包囊を身に着ける。ベトナム系フランス女性作家の作品
・セス・ディキンソン「モリガン、光へと落ちる」)
〇ラヴィ・ティドハー「背教者たち」ーユダヤ教の背教者を探るため派遣された裁定者が背教し。
〇ベッキー・チェンバーズ「善き異端者」ーウィルスが寄生し超空間ナビゲート能力を得るが、共生がうまくいかずに。
〇アーニャ・ジョアンナ・デニーロ「クイーンズスロートへの旅路」ーMTFらによる女権帝国に対し男権主義者が反乱を起こし一時は帝国は滅亡しMTF狩が始まるが。
・アン・レッキー「審判」
〇サム・J・ミラー「惑星執着者」ー故郷の惑星へのゲートが閉じてしまい宇宙を放浪する男娼が武器商人と会い故郷の通貨を見つける
・カリン・ティドベック「スキーズブラズニルの最後の旅」 -
Posted by ブクログ
私はSFが好きなのだが、アンディー・ウィアーは興味はあるが流行り過ぎで今はいいや、とか面倒臭い選択をしているので、AIに好みを入れておすすめをピックアップしてもらった作品のうちの一つがこれ。
地球人類と地球人類以外の知的生命体である多様な異星人たちが普通に存在する宇宙世界が舞台。超高速航行用のトンネルを作るために銀河系中心部へ向かう宇宙船ウェイフェアラーの乗組員の物語。種が違う8人の乗組員とAIがそれぞれエピソードを繋いでいく。
個人出版に始まったことを考えるとよくできているが、大枠としてはありがちな構成でもある。次の任務があれば次のお話も出来てしまう。TVドラマ向けですね。
ふと思ったことがある。この先地球がどうなるかわからないが、この物語のように、人類が宇宙へ進出し、宇宙船に乗って異星人と平和に交流するのが常態化したとしても、人口密度がゼロに近いと恋愛や生殖なんて奇跡になってしまう。地球を脱出してしまうと人類の繁栄なんて無理なんじゃないのか。あるいは人為的生殖に移行するのか。この話では異種間恋愛はあっても生殖はない。種を超えた生殖がタブーでなくなったら本当に人類絶滅だろう。科学技術の発展は地球環境の維持がない限り人類滅亡だな。
ちなみにこの話はウェイフェアラーシリーズとして続編があり、2019年にシリーズ部門でヒューゴー賞を受賞している。続編が翻訳されるかどうかは出版社次第か。(おもしろかったけど個人的には続編が読みたいというほどでは…) -
Posted by ブクログ
本屋であらすじだけ見て購入。(表紙が可愛かったのもあって半分パケ買いでもある)
モスキャップというロボットが出てくるまでは、あらすじと違うじゃないか!と思うほど 本題に入るまでが長い。本題に入るまでは何を読まされているんだろうと思うほどに間延び感があった。
やっと話が進み始めてからは物語が大きく人生の目的(何を必要としているのか)みたいな哲学的な課題を持ちながらも、普段普通に生活していたら考えもしないような、生きる上での根本的な問いがたくさん出て来ることもあり、深く考えながら読むことができたので面白かった。
SFではあるもののかなり平和なSFで、忙しない日々を送っている人には読んでほしい一冊。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ悩みを聞いたりその人が自分と向き合うのをその人に合うお茶をふるまって手助けする喫茶僧デックスと、偶然出会ったロボット、モスキャップがさまざまな場所を旅しつつ、「あなたは何を必要としていますか?」というモスキャップの問いへの答えを探す。
わたしは、人的養育環境のせいか、もっと大きく社会的な刷り込みのせいか、かつて、ただここにいるというだけでは満たされない、というか、何もしないでいると、何かしなければならないという衝動にかられるくらいだったので、デックスの使命感みたいなものはわかる気がして、難儀なことと思う。
それは自分で乗り越えないといけないことだけれど、デックスにはモスキャップがいて助けてくれる、これからも、きっと。
そんなふうに希望を感じさせるラストもよかった。
さまざまな地域や集落で会う人たちも魅力的。