亀田俊和のレビュー一覧
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教科書の説明からすれば、一行程度の出来事。
しかし、そのなかではめまぐるしく勢力が変わる二年間の大混乱。
やる気スイッチが入るのが遅い尊氏。
燃え尽き症候群と微妙なやる気、保守的な弟・直義。
逆にやる気に満ちた一部の周囲。優勢劣勢で流動化の限りを尽くす各将。
所領や官位を目当てにがんばったのに、それを保証してくれるハズの男は微妙なやる気と現状維持の塊。
そんな不穏な休戦期間に立ち上がるあっちの人やこっちの勢力。
常時殺意と殺気に満ちた南朝。
九州で暴れまわる嫌われっ子(理由不明)・直冬。
突然やる気スイッチの入る尊氏。
叔父とも父親とも仲良くできない義詮。
あまりに当たり前のことだが、歴史は人間によって作られる。
そして、現代社会の「退職理由」第一位は「人間関係」である。
今も昔も人間はあんまり変わらない。
室町時代だろうと、バサラ大名だろうと将軍だろうとそのあたりの面倒臭い人間関係、利害対立は存在していたし、そしてそれが命取りにもなる。
政治的な側面も当然あるが、この面倒過ぎる人々の動きというのもなかなかに面白い。…当人たちは大変だろうが。
あとひとつ面白かったのは、敵方に居た人でもわりと簡単に帰参できていることだろうか。
これが戦国時代なら首を跳ねられて終わり、お家も消し飛びそうだが…やり直しがきくというのは逆に新鮮。
地元にゆかりのある武将も、その許された一人だった。
道理で戦国時代の頭まで続いているわけだ、と思いながらも、地元での紹介では「足利氏に忠誠を尽くし、重んじられた」云々と書かれている。
まあ、直義も足利氏だけどさ…。「忠臣」「幕府の有力者」という印象を与える地元史跡の看板を思い出す。
「尊氏派には反抗したことあるのにね、さらに負けたし…」
となんともいえぬ気持ちになった。
しかし、よく生き抜いた、おらが町の守護大名。
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<目次>
第1章 初期室町幕府の体制
第2章 観応の擾乱への道
第3章 観応の擾乱第一幕
第4章 束の間の平和
第5章 観応の擾乱第二幕
第6章 新体制の胎動
終章 観応の擾乱とは何だったのか?
<内容>
史料にもとづいた事実を淡々と並べ、そこに自分の解釈を挟み込む、従来型の歴史学者の本である。これを読むともともとわかりにくい「観応の擾乱」がわかりやすくなるわけではない。混沌はそのままだ。その理由は、足利尊氏にあるだろう。関わる武士たち(高師直にせよ、足利直冬にせよ)は、自分の領地獲得や名誉に固執するが、尊氏に振り回されていることは確かだ。そのことが確認できた。 -
Posted by ブクログ
擾乱という用語も特別な響きを感じさせる不思議な争いである。足利氏の内訌で正にシーソーゲームで、尊氏を裏切って直義に付く武将が続出。そしてまたその裏返し。後に発生する応仁の乱とも似ているようで、ドラスティックに展開していくところがオセロゲームのよう。幕府を実質的に動かしていた直義は北条氏の政治を模範として三条殿と呼ばれ、別に副将軍という役職でもなんでもない。分裂に乗じた南朝側の動きも何ともセコイ。最終的に尊氏が勝ち、直義が敗れる。二人とも実は兄弟で戦いたくなかったが、直義は実子を亡くし、尊氏は嫡子の義詮に譲りたかったその差は正に二人の気概にあった!直義の消極性が恩賞論功に出たため、直義に失望した武将が多かったとは、建武政府の過ちを繰り返しただけでは‼ 尊氏と義詮の対立もあった!この擾乱を通して尊氏が将軍としての役割リーダーシップを初めて発揮し、権力構造が確立していったという。室町時代を理解する上で興味深い1コマ。