亀田俊和のレビュー一覧
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<目次>
第1章 初期室町幕府の体制
第2章 観応の擾乱への道
第3章 観応の擾乱第一幕
第4章 束の間の平和
第5章 観応の擾乱第二幕
第6章 新体制の胎動
終章 観応の擾乱とは何だったのか?
<内容>
史料にもとづいた事実を淡々と並べ、そこに自分の解釈を挟み込む、従来型の歴史学者の本である。これを読むともともとわかりにくい「観応の擾乱」がわかりやすくなるわけではない。混沌はそのままだ。その理由は、足利尊氏にあるだろう。関わる武士たち(高師直にせよ、足利直冬にせよ)は、自分の領地獲得や名誉に固執するが、尊氏に振り回されていることは確かだ。そのことが確認できた。 -
Posted by ブクログ
擾乱という用語も特別な響きを感じさせる不思議な争いである。足利氏の内訌で正にシーソーゲームで、尊氏を裏切って直義に付く武将が続出。そしてまたその裏返し。後に発生する応仁の乱とも似ているようで、ドラスティックに展開していくところがオセロゲームのよう。幕府を実質的に動かしていた直義は北条氏の政治を模範として三条殿と呼ばれ、別に副将軍という役職でもなんでもない。分裂に乗じた南朝側の動きも何ともセコイ。最終的に尊氏が勝ち、直義が敗れる。二人とも実は兄弟で戦いたくなかったが、直義は実子を亡くし、尊氏は嫡子の義詮に譲りたかったその差は正に二人の気概にあった!直義の消極性が恩賞論功に出たため、直義に失望した