はらだ有彩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
続編の方から読んでしまったが、こちらが先。
とは言え、どちらから読んでも問題ない。
昔話に対する鋭いツッコミが光る。
うぐいす女房
21頁、
見る側はいつも無自覚だ。
他人が真剣に「見られたくない」「知られたくない」と思っているものを何の気なしに覗いてしまう。
その無邪気さは(中略)「見るなと言われると、かえって見たくなるものだ」とかいうエクスキューズによって支えられている。
つまり、見られたくないと言う気持ちの矮小化によって、見る権利が守られている。
この主張には「知らんがな。見んなっつってんだろ。どつきまわすぞ」以外の反論はない。
ニヤニヤと喝采が止まらない。
たしかに!
知る権利、を自分に都合のいいようにねじ曲げている奴らに聞かせたい。
いや、きっとそういう人は改めないだろうから、若人に期待しよう。
変な大人になるんじゃないよ!
虫愛づる姫君
こちらもたまらない。
48頁、少し長いが引用。
興味のあるものに夢中になって好きなように暮していたら、
身近な人たちから「カシコぶってて痛い」と文句を言われ、
見ず知らずの男から「お前の探究心はどうせ中途半端なものだろ」と嫌がらせをされ、
でもその嫌がらせに返事をしなければならず、返事をしたら余計に絡まれてじろじろ見られた。
キモいので逃げると「うわっ、逃げた。やっぱり生半可な覚悟なんだ」と全然関係ない傍観者に分析され、
当の男からは恋を示唆しているとも馬鹿にしているとも取れるLINEが届く。
しかもその男は「化粧したらかわいいのに惜しい~」とか言ってる。
いや最低だな。いるよねー、化粧したら、痩せたら、若かったら、黙ってたら、可愛いのに~って言う奴。
さあ、ご一緒に。
う る せ え よ
著者は救いのない物語について(おかめの話、八百比丘尼など)、もっと、素敵に自分らしく生きている終わりを想像する。
とても素敵だ。そうなれたらいいのに。
昔の価値観に驚き呆れるけれども、物語そのものは否定はすまい。
そう言うことがあった、それが普通だった、それで成り立っていた、その事実は消すべきではない。
ただ、そこから派生して、物語が昇華されるなら、未来を生きる女たちの土台にもなるかもしれない。
いや、そうであって欲しい。そう、願っている。 -
Posted by ブクログ
イザナミノミコト、乙姫、かぐや姫、虫愛づる姫、皿屋敷・お菊――。日本の昔話や神話に登場するエキセントリックな「女の子」たち。キレやすかったり、バイオレンスだったり、そもそも人間じゃなかったり。彼女たちは自由奔放に見えても、現代を生きる私たちと同じように理不尽な抑圧のなかで懸命に生きていた。作者は、友達とおしゃべりするように、彼女たちの人生に思いをいたして涙を流し、怒り、拍手と賛辞を送る。ときには、ありえたかもしれないもう一つの人生を思い描く。時空と虚実を飛び越えたヤバい女子会が、「物語」という呪縛から女の子たちを解放する。
え、すごくない?このエッセイ。エッセイって一括りにするの勿体ないなって思うんだけど。初めて読むタイプだこれは。とてつもないパワーと、そして彼女たちを力強くpushしてくる作者の愛にのまれる。読み終わったらすごく元気になる。私たち、いつか何百年も後に、昔話として語られる時代が来ても、そんなに変わらないのかも。あらすじまでは知っていても、そこまで深く考えずスルーしてきた自分の共感能力の無さと、著者の目の付け所のすごさを実感しつつ、あっという間に読み終えた。『虫愛づる姫君』が一番好きだったなあ。時空を超えて友達になりたいなと思う女子がたくさんいて、続編もとても楽しみ。 -
Posted by ブクログ
伝説、伝承に登場する女の子たち。
「鬼女、紅葉」は本当に悪女だったのかと思う。
好きでもない男と無理やり結婚させられそうになった、嫌だから身代わりを送り込んだ、好いた男の子供を孕み、正妻に邪魔されて田舎へ移り住み、村人を手助けして崇められる……。
人には二面性がある。
則天武后も、西太后も悪女と言われたが、一方で繁栄や、それまで虐げられてきた人々の地位向上なども行った。
一方では確かに悪い面もあるが、一方では素晴らしい功績も残す。
なんだってそうだ。
ものの見方で人は変わる。
ただ、女性だと、悪い方に描かれがちだ。
それは為政者が多くは男だったせいか、それとも、本当に女の方が悪いのか。
「尾張国の女」などはまさにそれ。
単に力が強いというだけで、夫には離縁され、商人には絡まれ、現代と変わらないなあという気がする。
女性アスリートは、やれ可愛いとか可愛くないとか言われ、化粧すれば調子乗ってる、競技に集中しろよ、なんて言われる。
「お前らにカンケーねーだろ!」「私は私のやりたいようにやってるだけだ!」と、思っているかもしれない。
かくいう私も本人ではないので、本人たちは大して気にしていないかもしれない。
罵倒も同情も、所詮外野の声だ。
「とりかへばや物語」も学校の古典で登場するが、これもまた現代と変わらないところに、もやつく。
180ページ「『一見フェアなトレードっぽい理不尽な交換条件』は今も私たちを取り囲んでいる」は全くそうだ。
「女/男の単純な二分化は、生殖のシステムという巨大な後ろ盾に守られた、最も思考停止しやすい分類」に首がちぎれそうになるくらい肯く。
この国は変わる気がないのか。
5年後、10年後には変われると良いな。
生まれ育った国が、バカな国だなんて思いたくない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私自身、結婚の予定も無いし、恋人すらいない。
そんな中、仲の良い同じく未婚の友達と冗談交じりに「もしお互い今後も結婚してなかったら、ルームシェアか近所に住もうぜ!」なんて話したりする。
それを実践されている人の話が読みたくなり、手に取った本。
作者とルームメイトさんは結構性格が違うっぽいのに、意外と一緒に暮らしても何とかなるんだなと思った。
一方で30代~40代の女性二人が同じ家に住むのは、賃貸的に審査落ちすることも多いことに、現実が見えた気がした。
日々の生活を綴った漫画よりも、正直あとがきの方が刺さった。
高市政権やトランプみたいな差別派が助長されるような今の世の中、私も本当におかしいと思う。
作者さんとのギャグセンスが少し合わなかったので、☆3評価に。 -
Posted by ブクログ
カラオケなどで何の気なしに歌っていたり、好きで歌っている歌でもジェンダー視点で見るとどうだろうっていう歌がいっぱいあるだろうなと常々思っているんだけど、それを日本に古くから伝わるものがたりやおとぎばなしなどを対象に、作品中で描かれている女性像に一石を投じるような本。おもしろい趣向。
そういうおはなしを選んでいることもあるだろうけど、それにしても女が不幸を被ったり人間でない姿になったり、女性が不当にネガティブに描かれているものがたくさんあることにあらためて驚いた。この本には出てこなかったけど舌切り雀のおばあさんとかも、あの逸話のせいでおばあさんはがめついイメージがありはしないだろうか。何となくの感じだけど、ミソジニー的な女性が憎くてそのように描かれたというより取るに足らない存在、省みられることのない存在だったからなんだろうなと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ女性同士の関わり方、シスターフッド、フェミニズムに興味があったのでタイトルに惹かれて読んでみたが、少女革命ウテナの中で『ウテナとアンシー』に着目せず、『樹璃と枝織』に焦点を当てている時点で、私の求めていた「女ともだち」像とはずれているのだと思う。
全体的に性的な描写について触れているところが多く、結局物語上『女』というものを描こうとすると性やセックスから抜け出すことは不可能なのかと苦々しい思いになる。
以下、引用。
“ちなみに枝織の感情を「いかにも女子的だ」「ドロドロしている」とコメントすることは、全くバリューのない行為である。妬むという字が女に石と書くのは、妬むという字に女と石というパーツをあてがいたいと思った「誰か」が存在したからだ。彼女たちを取り囲み、思惑通りの意味を与えようとする「誰か」というのは、ウテナのキャラクターにおいては「世界の果て」、現実世界においては「現実世界」そのものである。枝織はお姫様になる夢しか見てこなかった。誰もそれ以外の道を示してくれなかった。”
“いまだネイバーフッドを構築するために「シスター」フッドが必要で、ヒューマニズムを実現するために「フェミ」ニズムが必要な現状を鑑みると、この本はやはり「『女』ともだち」でなければならない。”
“全てのフィクションは現実世界を生きている人間の手によって作られる。意図的であろうと、無意識的であろうと、フィクションは現実世界の構造を少なからず引き継ぎ、引き受けている。”