はらだ有彩のレビュー一覧
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ブラック企業に勤めた著者が、今の世の中ですら「ヤバい」のだから、昔はもっとヤバかったのでは、という好奇心から、昔の「女の子」が登場する、古典を読んでみたところから、この物語は始まったのだそう。
古典文学の、ヤバい女の子が次々に登場してきて、男尊女卑だの、世の中だのと、色々と考えさせられます。
これぐらいゆるやかに、古典を学生時代に学ぶことができれば、もう少し真面目に勉強できたかもしれない。
古文に登場する人物は、それほどにも、現実離れしていて、実感が湧かない。
だからこそ、「今の私たちからすれば、こんなこと考えられないよね」の切り口で語りかけてくる文体は、すんなり入ってくる。
その中で、 -
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好きな男に開けてはいけない玉手箱を贈った乙姫、恋愛やお洒落よりも虫に夢中な虫愛づる姫君、たまたま羽衣を盗まれ下界での生活を余儀なくされたトヨウケビメetc――……。
日本の昔話に登場し、読み継がれる内に「恐ろしい」「かわいそう」「愚か」「奇妙」などの記号になってしまった女の子たち。そんな彼女たちに友だちのような距離感で寄り添い、宅飲みをするかの如く思いを汲みあげていくエッセイ集です。
総勢20人の「ヤバい女の子」が取り上げられているのですが、出典が驚くほど多彩!私たちが子どもの頃から親しんできた昔話あり、古事記や今昔物語などの古典作品あり、今尚お寺に言い伝えられている伝承あり。あらすじも解 -
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娘に「最近何読んでる?」と尋ねたところ「あ、この本が面白かったよ」と教えてもらったのが、この本だった。
多分、私だけではたどり着けない本だったと思う。
おもしろかった。
昔話に出てくる女の子たちを独自の視点で紹介し、また解釈している。取り上げられている話は、半数は知っているものだけれど知らないものもあり原作というか、原話にちょっと興味が出たりもする。
昔話が成立した当時の価値観と、現代の価値観は決して同じではない。それを大前提にした上で、それでも語り継がれて今に残っている以上、なにか通じるものはある。昔話はハッピーエンドばかりではないが、それはこちらの一方的な解釈かもしれない。また同程度に、不 -
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1900年代に生きた20人の女性たち。
こうした女性についての本は、翻訳書だととても読み応えがあり、新しい視点を得られる。
その一方で、アジア圏の女性があまり取り上げられていないことが多々ある。
男女、西洋東洋、そんな果てしない区別(あるいは差別)が見えてしまう。
その点、本書は、一人あたり12ページほどと短いが、地域のバランスでみると良く選ばれている印象だ。
あまり存じ上げない人もいて、そして必ずしも聖女のように非の打ちどころのない人物だと褒め称えることなく、ありのままを書いていると感じた。
それがとても良い。
エバ・ペロンは不思議な人だ。
アルゼンチンで生まれたエバは母に誇りの存在を教え -
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歴史に名を刻んだ女性たちは、その生の中で何を思い、行動したのか。性別、人種、文化、階級――数々のスティグマの中にあった20人の人生を、『日本のヤバい女の子』シリーズ等で注目を集める気鋭の著者が独自の視点で紐解く。
毎回燃えるような情熱を感じるはらださんの新作。いろんなタイプの女性が出てきますが、本当に波乱万丈で、今以上にままならないことも多いのに、パワフルに怒り続けたり行動し続ける姿に胸がぎゅっとなる。決していいことばかりじゃないんだけど、周りから好き勝手言われることもたくさんあって大変なんだけど、何にもなれない自分からするとまぶしくて憧れる。今も男女平等とは言いがたい世の中だけど、私たちが次 -
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日本の昔話に登場する”ヤバい”女の子たち。彼女たちは、本当に”ヤバい”変わり者だったのだろうか?
物語に与えられた役割を剥ぎ取って、一人の人間として彼女たちを見た時、そこにある真実の姿とは。
昔話に出てくる女の子たちについて、固定観念を取り払って考察・想像する昔話×エッセイ×イラストのような本。
昔話というといわゆるそこに秘められた寓話性や、もっと単純に「昔はそういうものだろう」としてしか考えたことがなかったですが、ただ話の上辺をなぞっているだけだったんだなと思い知りました。
例えば安珍・清姫伝説の清姫への、「今でいうストーカーってやつ?」だったり、八百比丘尼への「不老不死なんて羨ましい -
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筆者が日本の古典に登場する女性達について、カジュアルな文体だけれども、鋭く深く考察している。まるで、この女性達が姿を変えて現代に生きていて、ファミレスでダベっている感じである。
それぞれの章末に挿入されている、現代風の姿をした女の子達のイラストが素晴らしくて、毎回ニヤついてしまった。章末のページに辿り着く前に、「この娘はきっと、こんな髪型で、こんな目付きで、こんな服装で・・・」なんて妄想すると楽しい。予想は当たったり外れたりするが。
高校の授業で「古文」に苦しめられて以来、古典には全く興味がなかったが、本のタイトルに惹かれ、シンプルに物語として楽しみつつ、古典について身近に感じることができ -
Posted by ブクログ
●なぜ読んだか
→タイトルと帯のコピーに惹かれた。
“今ですら生きづらいのに昔やばくない?”
の言葉に、確かに…!と思い手に取ってみた本。
●感想
→なんだか時代を超えて昔の女性たちから励まされているような、そんな元気が湧いてくる本。
日本書紀や古事記、今昔物語、平家物語など
歴史書に登場する女性にスポットライトをあて、
“これって今だとどうなんだろう“と現代に置き換えてあれこれ考えるきっかけになる。
歴史書もライトに今風にあらすじを紹介してくれているので非常に読みやすくポップで面白い!
“女性”として生きていく上で元気をもらえる本でした -
Posted by ブクログ
「法律」や「作法」ではなく、
「(理由は説明されないけど)そういうもんだろ」に対して「いや、ちょっと掘り下げてみようや」という本。
そう思えない私が悪いのか...私だけおかしいのか、でも苦しい、苦しみながら生きるのか...この先の人生も...へらへらしながら...みたいな絶望から「え?それ別にダメじゃないんじゃない?」って言われることの救い。
信じきっていたストーリーからの脱出、新たなストーリーの発見。
流行という刹那的な問題ならまだしも、この本でいうような類の「ダメ」は人生に掛かってくるのでやっかいだ。
でも、これらに一つずつ立ち止まって思考することは労力がいることでもあるけど、生きること