はらだ有彩のレビュー一覧
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続編の「日本のヤバい女の子 静かなる抵抗」を先に読んでしまったので、こちらの方は有名な物語が多く、割とオーソドックスな内容に思える。
昔の物語の登場人物と、同世代のように話せたら、というコンセプトをもとにしているので、現代との文化、習慣のギャップもモリモリ。
少し前の世代だったとしてもギャップがあるだろう。
・夫のことを機転を利かせて助けたにもかかわらず、女に助けられた男は恥ずかしいという概念に照らし、自殺する「おかめ」
また、物語の伝来が男目線のため、女目線で考えると違和感がいっぱい。
・「虫愛でる姫君」は別に、騒ぎ立てるほど異質ではなかった。好きな勉強をして好きな恰好をする一人の -
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優しくて、パワフルで、軽やかなイマジネーションが、千年前の女の子たちとあなたを自由にする新感覚エッセイ「日本のヤバい女の子」第2弾。女の子たちがわいわい語り合う4コマ漫画も収録。
前作が面白かったので迷わず購入。これこれ、求めていたのはこれですよ。私、古典とか苦手なんですけど、思いつきもしない発想で物語の彼女たちを自由に解き放ってくれるような感覚にしびれます。読んでいるとなぜか元気になれる。今も昔も逆境に立ち向かう女子たちの「抵抗」が決して卑屈なものではなく、生きるために当たり前の権利を使っていただけなんだなと思う。印象に残ったのは怪力の女子。普段は見せびらかしもしないで、普通に暮らしてたのに -
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続編の方から読んでしまったが、こちらが先。
とは言え、どちらから読んでも問題ない。
昔話に対する鋭いツッコミが光る。
うぐいす女房
21頁、
見る側はいつも無自覚だ。
他人が真剣に「見られたくない」「知られたくない」と思っているものを何の気なしに覗いてしまう。
その無邪気さは(中略)「見るなと言われると、かえって見たくなるものだ」とかいうエクスキューズによって支えられている。
つまり、見られたくないと言う気持ちの矮小化によって、見る権利が守られている。
この主張には「知らんがな。見んなっつってんだろ。どつきまわすぞ」以外の反論はない。
ニヤニヤと喝采が止まらない。
たしかに!
知る権利、を -
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イザナミノミコト、乙姫、かぐや姫、虫愛づる姫、皿屋敷・お菊――。日本の昔話や神話に登場するエキセントリックな「女の子」たち。キレやすかったり、バイオレンスだったり、そもそも人間じゃなかったり。彼女たちは自由奔放に見えても、現代を生きる私たちと同じように理不尽な抑圧のなかで懸命に生きていた。作者は、友達とおしゃべりするように、彼女たちの人生に思いをいたして涙を流し、怒り、拍手と賛辞を送る。ときには、ありえたかもしれないもう一つの人生を思い描く。時空と虚実を飛び越えたヤバい女子会が、「物語」という呪縛から女の子たちを解放する。
え、すごくない?このエッセイ。エッセイって一括りにするの勿体ないなっ -
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初っ端の「鬼を拝んだおばあさん」で泣いてしまった…。推しがいる人はわかる、わかりみ、わかりすぎる…ってなると思うの…。
あいも変わらず出てくる男のろくでなし度、ぼんくら度が高い。「結婚相手の連れ子の器量が悪いから殺した」「駆け落ち相手が病に伏せって足手まといになったから殺した」スサノオノミコトはお姉さんのアマテラスのところで好き放題してほんとクソだし、コノハナサクヤヒメの夫も…。その中で、女たちがどんな抵抗をしたか怒りを表したか。あーー!今作も面白かったです。
特に好きだったのが先述した「鬼を拝んだおばあさん」
「磯良(雨月物語)」
「尾張の国の女(今昔物語)」
「北山の狗の妻」
「アマテ -
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伝説、伝承に登場する女の子たち。
「鬼女、紅葉」は本当に悪女だったのかと思う。
好きでもない男と無理やり結婚させられそうになった、嫌だから身代わりを送り込んだ、好いた男の子供を孕み、正妻に邪魔されて田舎へ移り住み、村人を手助けして崇められる……。
人には二面性がある。
則天武后も、西太后も悪女と言われたが、一方で繁栄や、それまで虐げられてきた人々の地位向上なども行った。
一方では確かに悪い面もあるが、一方では素晴らしい功績も残す。
なんだってそうだ。
ものの見方で人は変わる。
ただ、女性だと、悪い方に描かれがちだ。
それは為政者が多くは男だったせいか、それとも、本当に女の方が悪いのか。
「尾 -
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カラオケなどで何の気なしに歌っていたり、好きで歌っている歌でもジェンダー視点で見るとどうだろうっていう歌がいっぱいあるだろうなと常々思っているんだけど、それを日本に古くから伝わるものがたりやおとぎばなしなどを対象に、作品中で描かれている女性像に一石を投じるような本。おもしろい趣向。
そういうおはなしを選んでいることもあるだろうけど、それにしても女が不幸を被ったり人間でない姿になったり、女性が不当にネガティブに描かれているものがたくさんあることにあらためて驚いた。この本には出てこなかったけど舌切り雀のおばあさんとかも、あの逸話のせいでおばあさんはがめついイメージがありはしないだろうか。何となくの -
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ネタバレ女性同士の関わり方、シスターフッド、フェミニズムに興味があったのでタイトルに惹かれて読んでみたが、少女革命ウテナの中で『ウテナとアンシー』に着目せず、『樹璃と枝織』に焦点を当てている時点で、私の求めていた「女ともだち」像とはずれているのだと思う。
全体的に性的な描写について触れているところが多く、結局物語上『女』というものを描こうとすると性やセックスから抜け出すことは不可能なのかと苦々しい思いになる。
以下、引用。
“ちなみに枝織の感情を「いかにも女子的だ」「ドロドロしている」とコメントすることは、全くバリューのない行為である。妬むという字が女に石と書くのは、妬むという字に女と石というパ