はらだ有彩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小さい頃から馴染みのあり、よく理解できないけど昔話だし、、、と終わらせていた感覚を覆させてくれた。
初めて読む昔話も多く、自分が持つ疑問、作者が持つ疑問、重なる部分も重ならない部分も作者がどうすればこの疑問が解決されるのか探っていく姿はとても良い刺激になる。
受動的な態度と能動的な態度が交差した時に感情が動き、その人の物語に大きい変化が訪れることが学びとなった。その時に、どんな姿になるのかを想像して自分の行動を見つめていきたい。
また、最後に作者なりの現代的な物語を追加することでハッピーエンドにはならずともその物語の主人公が肯定されていくことが、物語に違和感を持ちもやもやを持った心の安らぎ -
Posted by ブクログ
面白かった。
特に「虫愛づる姫君」が、私は中学の古典の授業で読んだ時から同じ虫好きとして親近感を抱いていた(今でも虫が好きなのは女の子らしくない、変わり者だ、という風潮がある)けれどこの本の解説部分を読んでもっと好きになった。
虫愛づる姫君はただ虫が好きだっただけで、思想を小馬鹿にされる。周りの人達は決して虫愛づる姫君をそのまま受け入れようとしないし、受け入れられない原因は姫君の方にあると考えている。
思想の粗を探され、「蛇のおもちゃを怖がったからやっぱり虫が好きなわけではないんだ!」とか言われるけれど、それってやっぱり意地悪だなと思う。
人は大体どっかで矛盾してたり、シチュエーションによって -
Posted by ブクログ
性別によって与えられている(っぽいことになっている)役割や期待されている(っぽいことになっている)振る舞いから外れること(男子がメイクすること、女性に性欲があること等)は全くダメではなく、カルディでベビーカーを押しながら買い物をすることや産休で仕事に穴を開けることは迷惑なことではなく、怒っているときに暴力的な言葉遣いになることも全然ダメではない。
よくよく考えてみればわかるのになんかダメっぽいことになっていることを「ダメじゃないんじゃない?」となるべく生きやすい世にすべく各章で作者によるプレゼンが行われる。
読んでいてスッとするし面白いのだが、ダメっぽいことになっていることが「ダメじゃない」世 -
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以前から気になっていた本です。たまたま京都の恵文社で文庫版を発見したので、購入してみました。古典に出てくる女の子の行動を、著者の考える現代の価値観に当てはめて、どういう心情だったのか?どういう背景だったのか?を推理するエッセイです。
あまり古典に馴染みがなかったので、現代の口語で読める昔話が面白い…というのがまずお気に入りポイントの1つ。
それに、著者の考察も、著者自身の考えに加え、現代の映像作品と比較して考えられること…も分かりやすくまとめてあったりして、かなり読み応えがありました。
昔の偉人から現代でも活きる教訓を学ぶ…は沢山あったと思うけれど、古典の女の子から生き方のヒントを得る…という -
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あ〜〜〜、ずっと読みたかった作品。
日本の神話や昔話にでてくる、「エキセントリック」な女の子たちについて。
イザナミ、清姫、かぐや姫にお菊。
現代の私たちと同じく、理不尽な抑圧の中で生きる女の子たち。
その物語を解説しながら、「本当はこうだったんじゃないかな」「こうだったらよかったのにな」と、女の子たちをその呪縛から解放していく。
松田青子さんの帯もとってもすき。
「わたしたち、積年の呪いを解き合って、どんどん自由になっていこうね。」
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オシラサマの章がよかったな。
結婚は手段であり、それ自体は目的にはなりえない。
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理不尽や不可解なことに容赦なく繰り出される関西出身の著者の爽快な -
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昔話の女性たちに思い入れて書いたエッセイ。
昔話は当然男目線で書かれているものが多いので、今の女性の感覚からするとおかしな、不条理な話が多い。
筆者は「はじめに」で語る
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物語はなぜか、彼女たちの悲しみや苦悩をなんとなくスルーしたまま進んでいきます。
ーーそういう話だから。そういう風に決まっているから。
でも、みんな、本当に平気だったのでしょうか。怒っていなかったのでしょうか。
怒っていいんだよ、と言われる、言える時代になってしばらく経ちました。いやだと思ったら声を出せる。運命だと受け入れず、拒否したり、怒りをあらわにできる。
それでも、怒るのは難しいことです。始めるのも -
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昔話に登場する女子たちにも言い分もあるし、その子自身の人生もある!ということを具体的に知ることができた本。
「見ないでね」と言ってたのに見てはいけないものを見てしまって、「戻ってきてくれ」ってなんやねん、って確かに思う。軽々しく約束を破っておいて虫がよすぎる、って言いたくもなるわな。
こんな、さまざまな言い分がありそうな昔話女子のお話と解説が20本、収録されています。
乙姫やかぐや姫、「古事記」のイザナミ、安珍清姫などの有名どころはもちろん、今昔物語に登場する虫愛づる姫君とか、怪談話で有名な牡丹灯籠お露や番町皿屋敷お菊なども登場。更屋敷のお菊はオーソドックスな怪談話じゃなくて落語版のお菊だ