宮坂昌之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
免疫学の視点で新型コロナウィルスを眺めるために読んでみました。
人間の身体はじつによくできていて、自然免疫系、獲得免疫系、リンパ系と外部からの細菌、ウィルスの侵入を何段階にも防御するシステムが備わっている。
それでも、時として人体に侵入して悪影響を与え、病や死に至らせるウィルスが出現する。そんな時には、人類の叡智が貢献する。それがワクチンだ。
このワクチンはうえにあげた人間の免疫システムに働きかけて不完全ながら防御体制を作り上げる。つまり、抗体を作り、二度目以降の細菌、ウィルスの侵入に備える。
そしてこの感染経験やワクチンが効力を発揮するには免疫力が強くなくてはならない。
だが、近年の生活習慣病を始めとする多くの疾患は免疫が過剰反応して、外敵から身体を守るはずの免疫細胞が逆に身体を攻撃する(サイトカイン・ストーム)を起こすことも多くなっている。(今回の新型コロナウィルスはまさにその身体の中でその反応を起こさせている)
だから、一概に免疫力を高める“強化”という一方向への意識ではなく、バランスによる免疫機能が適正に働く身体を作り上げるための日頃の生活習慣が何より大事になってくる。
以上のようなことが図入りでわかり易く書かれているので、新型コロナウィルスに限らず、今後出現する新たなウィルスに対処するときに役に立つ。
それらと対峙する私たち人間側のシステムを知っておくことは、闇雲に恐れたり、錯綜する情報に右往左往せずに冷静な行動をとる知識の土台となる。
図解がわかり易い。言葉も素人でもわかり易いレベルで書かれている。(家族の手作り感が熱意とともに伝わる)免疫学の権威の宮坂教授の本。
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Posted by ブクログ
令和4年のGW後半の中日、天気も良くどこかへ出かけようかと思いましたが部屋の大掃除が途中でもあり、読み終わった本の整理をすることにしました。レビューを書きたい本が50冊以上部屋の片隅にありますが、半分を目標にしたいと思います。従って、付箋をつけた箇所全てを書いていると処理しきれないので、各々10箇所程度に絞ることにしました。
以下は気になったポイントです。
・感染者の症状悪化を食い止める薬はあるものの、病気を根治させる特効薬は存在しない、感染した場合の重症化リスクを考えると現時点では、ワクチンを摂取することで感染リスクを下げるのが最も合理的である(p34)
・イスラエルではデルタ株への感染予防効果が以前の90%から60%へと下がっているが、重症化や入院を抑える効果は相変わらず90%以上であるので、デルタ株に対してもワクチンの効果はしっかり出ている(p44)
・ワクチン接種者100人と非接種者100人がいた場合、ワクチンを打ったにもかかわらず罹患した人が5人いて、撃たなかった人で罹患した人が50人いたとすると、ワクチン有効率=(1ー5/50)x100=90%となる。ワクチンを受けずに発病した50人の90%(45人)は、接種をしていれば発病を防げていたとなる。一方で、ワクチンと受けずとも50人(50%)はかからなかった事になる(p54)
・頭痛や発熱が辛い場合には、解熱薬や鎮痛薬を服用して良い、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬など、しかし接種後に飲むことで接種前はダメである。ワクチン接種によって誘導される免疫反応の立ち上がりを阻害する可能性があるから(p71)
・新型コロナウィルスの核酸ワクチンは感染は起こさず、体内では一過性にしかウイルスRNA,DNAとして存在しえず、いずれ分解されてその運命を終えるので、ワクチンが長期的に影響を及ぼすことは考えにくい(p161)
・新規感染者の増加はもっぱらワクチン未接種者によるもので、中でもワクチン接種の優先順位の低い若年層が主体、ワクチン接種をほぼ終えた高齢者では新規感染者は非常に少なくなっているのが事実である(p169)
・マスクはウイルス自体の飛散は防げないが、新型コロナウィルスは飛沫に乗って出てくるので、感染者が他人に向かってウイルスを放出するのを防ぐにはかなり有効であった。こうしたことからWHOは、2020年6月マスクには感染力がある飛沫を遮断できる可能性があることを認め「新型コロナウィルスの感染予防のために、公共の場でマスク着用を推奨する」と発表した(p199)
・高温多湿で増えるのはカビや細菌である、一方コロナウイルスは宿主の細胞内で増えるので、温度や湿度は関係ない、これはウイルス学の常識の問題である(p215)
2022年5月4日作成 -
Posted by ブクログ
ブルーバックスなので、感染や免疫のメカニズムがメイン。基本的なウイルス感染と新型コロナの違いが説明されているが、まだわからないことも少なくない。ワクチン接種が始まる前に出版された本で、デルタ株やオミクロン株への変異といった状況の変化もあり、もうすでに古くなってしまった部分もある。
新型コロナは、ウイルスに抵抗する能力を持つI型インターフェロンというサイトカインの産生や活性化を抑えるタンパク質を作る。I型インターフェロンの産生が抑制されることによって、炎症性サイトカインも産生されなくなるために、ウイルスが排除されにくく、風邪症状も出にくい。症状が出にくいために、感染者が社会の中を動き回り、感染が広がる結果となる。
しかし、感染が進むと炎症性サイトカインが作られ過ぎて免疫の暴走が起こり、重症化につながる。特に、肥満、動脈硬化、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患などの持病がある人では、それぞれの組織の炎症が悪化し、全身状態の悪化にもつながる。
PCR検査では、感染後数日間はウイルスが検体の中に出てこないことが多く、陽性にならない。従って、PCR検査は陰性証明にはならないため、必要な人に必要な回数行うことが望ましい。抗原検査はPCR検査より感度が低いが、迅速、安価、容易にできるので、頻度を上げて行うことで空白を埋めることができる。
免疫には、生まれた時から存在する自然免疫と、感染によって発達する獲得免疫の2つがある。自然免疫系の食細胞には、マクロファージ、単球、樹状細胞、好中球などがあり、異物を細胞内に取り込んで分解あるいは殺菌する。また、サイトカインを作ることによってリンパ球による獲得免疫の働きを増強する。自然免疫が働かないとワクチンの獲得免疫も動かないため、免疫増強物質のアジュバントが入れられている。
獲得免疫の主役で、白血球の1つであるリンパ球にはT細胞とB細胞があり、T細胞にはヘルパーT細胞とキラーT細胞がある。ヘルパーT細胞はウイルスを感知すると指令を出して、B細胞に抗体を作らせて血液や体液中のウイルスを殺し、キラーT細胞を活性化させてウイルスに感染した細胞を殺す。
T細胞の機能は、各個人が持つヒト白血球抗原(HLA)の型によって変わり、1万種類以上ある。抗原提示細胞の代表である樹状細胞は、細胞内に取り込んだ抗原の一部を細胞膜の上に提示して、T細胞がそれを認識する。ワクチンに対しても、結合できるHLAを持たない人は抗体を作ることができないが、別のワクチンでは抗体を作ることができる場合もある。
BCGや結核菌の菌体成分は自然免疫を強く刺激する。BCGが広範に接種された日本などの東アジアでは新型コロナによる死者数が少ないが、南米では死者数が多く、死者数が少ないオーストラリアやニュージーランドでは広範なBCG接種が行われていない。新型コロナの持つ特定のアミノ酸配列に反応するT細胞は、鼻風邪コロナウイルス由来の抗原で活性化するとの研究結果もある。
抗体には、ウイルス感染を抑える中和抗体、ウイルスを殺せない役なし抗体、感染を促進させる悪玉抗体がある。不活化ワクチンでは、どの抗体もできる可能性がある。 -
Posted by ブクログ
コロナウイルスについての報道は抽象的な表現が多く、もやっとしていたので勉強の為に読んだ。
自分の場合は大学時代に生化学を学んでいたり慢性炎症の辺りが研究分野だったので基礎知識を思い出しながら読んだ。簡潔で分かりやすく的確に書かれているので、基礎知識のある人にとってはさくさく読めると思う。
一方で文系だったり基礎知識のない人にとってどの位分かりやすいのかはちょっと分からなかった。
コロナウイルスによる重症化事例がなぜ多臓器不全などなのか、各感染者検査の内容、コロナウイルスが何故パンデミックを起こす特徴を持っているのかがよく理解できた。
やや免疫の基礎知識を持っている分、報道の伝え方から異なる推測の仕方をしてしまっていた所もあったので、正しく理解する事は重要だと思った。
2020年時点での内容なので、最新の情報については書かれていないがコロナウイルスについて正しく警戒する為には読んでおいて良い1冊だった。 -
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ネタバレ免疫学を専門としている宮坂昌之(まさゆき)先生の本。わかりやすくまとまっている。
発症時点でのPCR陽性率62%、3日目で80%で100%ではない。
2次感染は発症5日までに多く、主に7日目までに感染性を有する。発症前に感染させる可能性があることに注意が必要。
mRNAはタンパク質を合成する指令を写し取ったもの。タンパク質に翻訳される遺伝情報を含む。
ワクチンを接種してはいけない人は、アナフィラキシーなどの重度の過敏症の既往がある人、明らかに発熱している人、重度の急性疾患に罹っている人。その他、厚生労働省のホームページには注意が必要な人。
ワクチン後の不利益は副反応と有害事象を区別する必要がある。接種による副反応は接種部位が腫れた、アナフィラキシーを起こしたなど。副反応疑いで報告の対象となるものには、偶発的か因果関係があるかわからない事例が含まれる。接種翌日に発熱、接種翌日に急病になった、持病が悪化し死亡したなど。
有害事象はこれらに加えて、さらに広く、あらゆる好ましくない症状をさす。接種翌日に歩行中、自転車と接触に怪我をした。料理中に包丁で指を切った。
体の免疫は自然免疫と獲得免疫がある。mRNAワクチンは自然免疫や獲得免疫を強く刺激するだけでなく、獲得免疫の抗体が多少会わなくなっても、抗体に頼らないキラーT細胞などを刺激して細胞免疫の力も利用しながらウイルスを抑え込むことができる。最近は自然免疫も異物に繰り返しさらされると免疫応答が強くなることがわかっている。(訓練免疫) -
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ファイザーとモデルナのワクチンは効果高い。感染予防・発症予防・重症化予防に期待できる。コロナウイルスは人間の細胞に結びつきやすいスパイスタンパク質ありトゲトゲしている。そのため王冠コロナの名を冠している。mRNAはスパイクタンパク質を脂で覆うことで感染を防ぐ(中和抗体)。コロナの感染は発症前の三日間と発症後の五日間が感染しやすくそれ以降は減少する。
変異株に対してワクチンが効かないという論調があるが2回摂取すれば十分効果があることが証明されている。一回だと弱い。
ワクチンによる副作用は若年層ほだほど症状が出やすく女性の方が出やすい。免疫力が高いほど強く症状にでる。副反応と免疫力は比例しないので高齢者に免疫がつかないということではない。解熱時は副作用が出てから。予防的に実施することは免疫力の立ち上がりを阻害する可能性があるため避けること。
ファイザーとモデルナなど違うわくちんを組み合わせる雑種免疫の方がより強い免疫力をつけるという研究も進んでいる。
ウイルスには抗原と呼ばれる目印が付いておりコロナは1400こある。多少変異しても目印があるためワクチンが効かなくなることはない。
ワクチンには生ワクチン不活化ワクチンがありインフルエンザは後者。コロナには他の方式が利用されている。mRNA、ベクター、DNAがある。mRNAはスパイスタンパク質を作り獲得免疫を得る方法。毒性はもちろんない。
長期的な影響について。mRNAによって作成されるタンパク質は体内で分解されるのでない。セントラルドグマという原則もありDNA→mRNA→タンパク質の流れは不可逆なので子供に遺伝することはない。
抗体。善玉悪玉役なしがある。抗体ができれば良いということではない。スパイスタンパク質とace2の間に抗体ができれば善玉、関係ないところにできれば役なし、ace2以外の人の受容体との間にでき、それが結びつきを強めた場合は悪玉。エイズは役なし。
一度かかれば二度かからないか。微妙。全体で見れば80%強かからないが、高齢者に限れば半数。人によって抗体の数もまちまちなので安心とは言い切れない。
マスク。吸い込み吐き出しの量を減らすことができる。不織布が一番。フェイスシールドはほぼ効果なし。
ブースター摂取。抗体が5-10倍になるとの結果だが、必要かどうかは続報を待たないといけない。中和抗体は期間とともに減るが、しぜんmwんえきwと獲得免疫は残る。この点をどう考えるか。免疫が高まるということは副反応も高まるということ。現時点では何も言えない。
治療薬も開発されている。ヒトモノクロナール抗体。抗体を持つ人から抗体を取り増やしてそれを投薬する。ワクチンにして良くないか?自然免疫ふやすにはmRNAのがいいのか?