宮坂昌之のレビュー一覧
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■ウイルスの大きさは通常は0.1マイクロメートル以下で、多くはナノメートル単位であり、電子顕微鏡でないとその姿を確認できない。一方、細菌は通常、マイクロメートル単位で光学顕微鏡で見ることができる。
ウイルスは生命の最小単位とされる細胞を持たず、タンパク質の殻と核酸からなる粒子である。ミトコンドリア(エネルギー産生に関わる細胞内小器官)を持たないので、自分でエネルギーを作ることはできない。また、リボソーム(タンパク質合成に関わる細胞内小器官)を持たないので、自分でタンパク質を作ることもできない。
宿主細胞の中に入り込んで、宿主細胞のタンパク質合成機構、代謝機構やエネルギーを借用してはじめて増 -
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新型コロナウイルスが流行している今、読みました。
人間の持つ免疫とは?を分かりやすく解説しています。
免疫力を高める最善の方法は「ワクチン」と語られております。
が、インフルエンザワクチンは他のワクチンと比べると効果が低いことも説明されています。
書籍のボリュームとしてはワクチンの説明が半分くらいです。
ではワクチンのない新型コロナウイルスでは?と自分自身で考えるための自助として役に立つと思います。
筆者が本の中で書いていますが、専門的で難しいと感じるところは読み飛ばしてもらっていいとあります。
確かに専門性の高い内容も書かれているので難しくはありますが、素人の私は漫画「はたらく細胞」を -
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ネタバレ第1章 風邪ウイルスがなぜパンデミックを引き起こしたのか
感染症の広がりを示す用語:エンデミック、エピデミック、パンデミック。
歴史的パンデミック:天然痘、インフルエンザ、SARS等。
パンデミックの原因としては、グローバルの環境変化とウイルスの易変異性の二つが挙げられる。その意味でパンデミックは不可避である。
第2章 ウイルスはどのようにして感染・増殖していくのか
ウイルスの性質。単独では生きられず、宿主細胞に入って増殖する。SARS-CoVはACE2受容体経由で細胞内に侵入する。SARS-CoV侵入後には細胞内でIFNが作られにくいため、増殖されやすい。感染細胞はアポトーシスを起こすことで -
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現在大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授。免疫学の専門家の立場で、新型コロナウィルスにはワクチンが非常に有効だと、比較的優しく解説をする書。
マスコミには、受けだけを狙うような専門外の医師や、それを煽るコメンテーターがいたり、原因不明の死亡例を、さもワクチンが直接の引き金とセンセーショナルなタイトルを付けた週刊誌や、人目を引くような過激な帯を付けた書物が出るなか、私たちもしっかりと判断する力が必要だ。
本書は一般人が思う疑問に対し、信頼できる科学論文誌や研究機関のデータ、及び自信の長年の研究で得た知識と経験を元に、一つ一つ説明をしてくれる。良書だと感じた。
ファイザーやモデル -
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ネタバレ私は信頼できる本だと思った、
この本は信頼できると思いました。理由は確固たるデータから分析して筆者自身が正しい見方で物事を理解しようとしているからです。
専門的な内容は難しくてまだ理解ができていませんが、この本は信頼してもいいと思えました。
前にコロナについて社会的な観点から考察した本を読んだことがあるのですが、根拠が不明確で分かりずらく、データが十分ではありませんでした。
筆者の偏見が混じったような本で嫌気がさしていたので、このようにデータを明確に示している本は良いと思います。
もちろん、新型コロナはまだ終息していないし、まだ不明確な所ばかりですが、不明確だからこそ簡単に予想を口にし -
購入済み
少し難しいが問題点は理解
本書執筆(2020.10)後も日々状況は変化し、修正が必要な箇所があるかも知れません。しかし、免疫学の基礎知識や研究成果に基づいた解説の多くは変わらないと思います。一般の読者にもわかりやすく書かれた努力は認めますが、私の免疫学の知識があまりにもお粗末で苦労しました。サイトカイン、B細胞、プラスミド、Nタンパク質、HLA、など専門用語が出てくるたびに繰り返しググる始末。実はDNA, RNA, 抗原、抗体も十分理解していませんでした。とは言え、新型コロナウィルスの特殊性、重症化のメカニズム、コロナ対策の考え方、ワクチンの問題点などは理解できたと思います。著者の宮坂先生が憂慮されているように、マスコ
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ブルーバックスで免疫についての著書を持つ著者が、新型コロナウイルスと免疫の働きの関係に焦点を絞って解説した新書。2020年10月脱稿、11月発行。
急いで発行する必要のある一冊、ということもあり、著者の前著からイラストを引用したりする部分もある。おそらく、すでに免疫学についての基礎知識がある人は冗長さも感じる一冊だと思われる。しかし、それがない人間にとっては、今一番の関心事を縦軸に免疫機構の基本を学ぶことができる一冊。
個人的に興味深かったのは「新型コロナウイルス感染ではⅠ型インターフェロンがうまく作られない(p.98)」という話。
ウイルスが感染した時、細胞はⅠ型インターフェロンを出す。