藤木桂のレビュー一覧
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テレビドラマの企画、脚本を経て本格時代小説を描き始めた作者のシリーズ12作目。
今回も大満足の大好きなシリーズ作品。
江戸城でめつけしゅう10人を束ねる筆頭妹尾十左衞門。
今回の事件に当番目付けに、自身が大身旗本で武家の有様を何より重んじる小原孫九郎が現場に赴いたことにより、目付け衆が気をもむ様が微笑ましくその信頼感を寄せる様子が読んでいて読者がつい一緒に心配してしまう。
弱者についつい贔屓目を持ちがちな小原だが、その実自分を知っていて「目付け公平」に苦心し難問を解決に向かわせる。
はたまた、目付けの前身が勘定方に長く勤めた佐竹が担当した事案。数多くの村々を丹念に歩き体を壊してしまう。だ -
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この本丸目付け部屋シリーズは、作者のデビュー作ではあるものの、素晴らしいシリーズに育っている。
当初から、目付けという、幕府の真っ当な幕臣である武家を見張り正しく導くものとしてのその仕事は、禄が低くとも、決して正論を曲げずに主張しなければならない。
そしてそこには性格も身分も様々な10人が合議で結論を導かねばならない。
目付けを構成する10人の人格の魅力も十分に、筆頭と呼ばれる妹尾十左衛門の魅力的な人物像が光る。
素晴らしい会社を構成する社員の妙と同じようなこの群像劇は、時代小説でありながら現代にも通じる魅力を持っている。
こんかいも、人情味もあふれる捜査に感動。 -
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本丸 目付部屋シリーズ5巻。
家格が低かろうが、目付の仕事は公明正大。
真に正義と信じるところに命をかけ主張するのだ。
一冊に5話。江戸城賄い所で、まずい賄いを食べた夜勤明けの目付二人。
話を聞くも、何やらおかしいと探ることに。
初めて江戸城に上がることになった19歳の若い藩主。
しかも魔が悪いことに顔中に吹き出物ができてしまい、将軍の前に出るのはいかがなものかと目付けに問い合わせが。練習もして本番、緊張のあまりに。。。
若い御徒組に次々と流行り病の症状が。
寝込む者もいて。調べる目付け衆。
箱訴に建白書が!将軍みづから目付けにも調べるようにと。
個性豊かな面々をそれぞれの長所を短所 -
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シリーズ第3弾。
大名はその石高だけで家柄が決まるわけではない。
古く徳川幕府創世の時に、家康のが恩を感じた大名は石高とは関係なく一つ上の扱いをされていた。
長く続けば慣習が緩んでくる。
献上の品を受け取る側の地位も時には下の地位のものが受け取ったりすると献上する側は軽く見られたと悲観する。
人と人の受け取りが関係を生むなら、そこにも問題が生まれる。
続け様に御家人などが被害者の3件の辻斬りが発生する。
そこで目付け衆が捜査を始めると。
家を取り潰しても構わないと母親が息子を目付に、訴える事件。
いつも元気な老中が江戸城にに出てこれない事情が、探ると国許での問題が。
他のシリーズで -
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素敵なシリーズに会えたことに感謝!
今回の始まりは、目安箱への訴状から端を発する。
武士といえども、無役で、禄も低ければ生活は貧しい。
子が多ければまたなおさら。
貧しい御家人の息子、吉田種四郎が上様に願ったのは弟の行方を探してほしいということ。
貧しい暮らしぶりから美しい母譲りの9歳の息子が妾某公に売られたと聞くことに。
また、城中の台所の味噌樽に、毒が混入した事件は、坊主頭にする習いの役どころ、同朋という役目。
なかなか時代小説のなかでも、説明されない部署が事細かく説明されていて、人間関係も深みを表し見応えがある。
人情と政道の正しさを綾織のように悩む目付け衆たち。
第2弾のこの本 -
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本作品でデビューという藤木桂。
初めて知った作家だったが、実に良い作品だった。
目付けと言われる部署は、時代小説にはしばしば出てくる。
旗本などを取り締まる部署である。
なので、高潔でなければならない。
そして江戸城にあがるときに上がるときはどんな大大名でも、帯刀は許されないが目付けは、仕事が仕事だけに帯刀が許される。
いくかのエピソードが語られ、最初の話に出てくる大目付けの美作との関わりは最後に大きな仕事として再度登場する。
違った見方をすれば、信じ合った仕事仲間とそれを統一する筆頭、今で言うところの管理職の関係をみるのも、何か人間関係をよくするには?
職場を風通しよくするには?
管理職