あらすじ
「功績」と「あら探し」、両面からの調査指示に、きな臭さを思う目付衆。
市ヶ谷で「殿様」といえば、評判の旗本・本多家だった。
大雨で周辺は水浸しになり、行き場のない者を救うため、武家たちは体面を捨てて…。
目付筆頭・妹尾十左衛門は老中方より、役高五千石の大番頭に家禄四千石の旗本・本多幡三郎を就けるか否か諮問される。屋敷のある市ヶ谷で、殿様といえば本多といわれるほど評判も高く、推挙に問題はないと思われるが、「功罪の籤」、つまり「功績」と「あら探し」の両面から調べよとの指示で…。折しも大雨が続き市ヶ谷は水浸しになってしまう。行き場のない町人を救うのは?
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Posted by ブクログ
この本丸目付け部屋シリーズは、作者のデビュー作ではあるものの、素晴らしいシリーズに育っている。
当初から、目付けという、幕府の真っ当な幕臣である武家を見張り正しく導くものとしてのその仕事は、禄が低くとも、決して正論を曲げずに主張しなければならない。
そしてそこには性格も身分も様々な10人が合議で結論を導かねばならない。
目付けを構成する10人の人格の魅力も十分に、筆頭と呼ばれる妹尾十左衛門の魅力的な人物像が光る。
素晴らしい会社を構成する社員の妙と同じようなこの群像劇は、時代小説でありながら現代にも通じる魅力を持っている。
こんかいも、人情味もあふれる捜査に感動。