ダグラス・マレーのレビュー一覧

  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    西洋の移民政策の現実を書いた本。
    この本の論点
    ①移民の受け入れは悪くないが受け入れすぎることによって、西洋的な価値観や文化の破壊に繋がる

    ②移民受け入れは人口の減少の歯止めになるが、出生率を上げるなどの対策をまずやるべき

    ③移民政策への提言は全て人種差別と捉えられてしまうため、適切な議論ができない。

    ④寛容な多文化主義を容認した結果、宗教原理主義に敗北してしまう。
    (その人たちの声は大きく、批判すると殺されかねない)

    ⑤欧州は植民地政策の過去を原罪と捉えており、メディアや政治家によって、今でもその罪を背負わされている

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    2022年04月17日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    ネタバレ

    西洋といっているが、欧州。あるべき姿がどのようなものかはとてもとても共有しづらいものなのだろう。書いてあることの裏をとる気力が今のところないので、感想がかきづらい。読むのに体力がいるが、読む価値はあった気がする。トランプの評価ができるかどうか。イスラムに、ローマに対するキリスト教を見るように思う。

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    2020年06月11日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    原著は2017年、翻訳は2018年末の刊行、欧州における移民問題の本質を、円熟のあまり虚無化した精神文化と、行き過ぎたあまりに半回転してしまったリベラリズム(主に政治家とジャーナリズムの)に求める。

    日本ではまだ移民問題はそれほど問題視されていないが、1991年には「悪魔の詩」の邦訳者が勤務先の大学内で殺害されるなど著者が「警告音」と呼ぶ事件はすでに起きている。欧州の奇妙な死ではなく、広くリベラリズムの奇妙な死あるいは日本の移民政策の未来を示す黙示録として読まれるべき一冊だろう。

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    2019年10月19日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    ネタバレ

    ・欧州では長年,中東やアフリカからやってくる大量の移民を受け入れすぎた結果,負の側面が見えてきた.

    ・これはうちうちには懸念されていたことだが,移民の排斥は人種差別主義者や不寛容さの現れであると評される空気がば長く続き,真正面から向き合うことを避けてきた.そういう人はひどいレッテルを貼られ大きなバッシングを受けた.

    ・これが移民受け入れのさらなる緩和と対策検討の遅延を招いた.

    ・移民により社会の高齢化の抑止,労働力供給,多様性の実現など様々なメリットをもたらすという主張が絶えないが著者はいずれも否定している.

    ・その結果,欧州のアイデンティティ,文明が失われつつある.為政者含め欧州の人

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    2019年08月31日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    書き出しからして衝撃だ。
    「欧州は自死を遂げつつある。少なくとも欧州の指導者たちは、自死することを決意した」
    日本は、移民に対して閉ざされた国であると考えられてきた。しかし、OECD加盟国35カ国の外国人移住者統計(2015)によれば、日本は2015年に約39万人の移民を受け入れており、すでに世界第4位の地位を得ているのである。さらに、2018年6月、日本政府は、一定の業種で外国人の単純労働者を受け入れることを決定し2025年までに50万人超を想定しているという。そして、新たな在留資格を創設する出入国管理法改正案が閣議決定された。
    ついに日本政府は、本格的な移民の受け入れへと舵をきった。はなは

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    2019年08月17日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    欧州で右派が台頭する状況の背景がこの本を読むとわかった。少なくとも欧州で極右政党が一定の支持を集めるのを一部の経済的に恵まれず、情報が限られた人たちが煽られた反動だと感じていたことが、それほど単純ではないことがわかった。この本が欧州を含めて世界中でも比較的売れていて、トンデモ本のような扱いではないことから、ここに書かれた数字や発生した事件などの事実についてはおおよそ正しいことが書かれているのだろう。おそらくは著者も強くそして感情的でもある反論にさらされる可能性を強く感じていたからであろうか、事実については非常によく調査をされているし、現地にも足を運び実情を捉えようとしている。日本を含む海外にも

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    2019年08月04日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    リベラルな良心や原罪だけでは移民問題や難民問題(、と難民を偽った不法入国の問題)を語れず、この本にある負の側面も含めて考えないといけないと感じた。

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    2019年05月10日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    ネタバレ

    欧州の移民問題を取り上げている。日本も対岸の火事ではない。日本は移民に厳しいと書かれているが、それは違う。難民の審査も厳しいと言われているが、法の抜け道があるので、それも違う。それに、50年以上も前から日本は移民大国だ。移民の多くが見た目が日本人と変わらないのでそう感じるたのだのだろう。それにしても、欧州の移民問題は、日本と比べると改善しようがないほど、深刻だとういうことがよくわかる一冊だ。日本人も読んでおくべきだと思った。

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    2019年02月26日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    日本でも徐々に移民受入の議論が本格化する中、人道的立場から移民を受け入れてきた欧州で何が起こりつつあるのかを生々しく描き出した論考。

    本書の内容は「西洋の自死」というタイトルが、恐ろしいほど端的に示している。その多くがイスラム教徒である移民を欧州が受け入れることにより、欧州が自明視していた価値観とは、決して普遍的なものではないことに欧州は気づき始める。そして、次第に問題はメタフィジカルな領域からフィジカルな領域へと移行する。例えば、それは欧州で移民を受け入れた地域で小児犯罪やレイプ等の犯罪率が顕著に増加したことに示されている。そして本書で看破されるのは、左翼的イデオロギーに染まった既存メディ

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    2019年02月11日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    みんなで仲良くは戯言で、現実はかなり厳しい事柄に満ち満ちている。
    社会は壊れて戻るの繰り返し、その息遣いとその中で私たちはどうやって生きていくべきか、示唆が深い。

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    2019年01月26日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    社会とアイデンティティの融解を自死という表現にこめている著者の危機感はこれからの日本人にもっと共有されるべき

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    2019年01月23日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    ネタバレ

    移民・難民が増えてヨーロッパがどういう状況なのか、というのを知りたくて。
    そもそも受け入れる背景に、ヨーロッパの国々の贖罪の意識(植民地時代)、リベラルで人道的な価値観、があり。しかし増えた移民がその価値観を持っていなかったり、治安の不安もあり、培ってきたヨーロッパの民主主義や人道主義といった価値観が揺らいでいる、ということらしい。

    さて、日本はどうするのか、難しいな…

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    2024年11月27日
  • 大衆の狂気 ジェンダー・人種・アイデンティティ

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    トランスジェンダー、フェミニストによる社会公正運動に対し、同じ属性であってさえ、時々やり過ぎ、言い過ぎに感じる事があり、そこには彼、彼女らを代表しているフリをした当事者不在の社会活動家や政治家の利害が混在するために、物事は余計にややこしくなる。トイレやお風呂に関しては、当のトランスジェンダーの方が、肉体の性と異なる居場所を別に求めてはいない事を説明し、LGBT法案に意見したものがニュースになっていた。当事者不在という意味での社会公正化を巡る議論はAV新法にも通ずる。

    ある文化圏において理想を求める事は悪くないが、理想がそれぞれに異なるため、多様な価値観を包含する制度設計は難しい。本著でも、ゴ

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    2023年05月07日
  • 大衆の狂気 ジェンダー・人種・アイデンティティ

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    なんていうか長年苦しんだポリコレ的な発想が、ここらへんの一連の書籍で一蹴されてるのを見るのは逆につらい感じもある。

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    2022年12月21日
  • 自由の奪還 全体主義、非科学の暴走を止められるか

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    <目次>
    プロローグ試される自由の価値
    1アンデシュ・ハンセン デジタルツールが蝕む心身
    2ロルフ・ドベリ ワクチンの普及で世界は団結せよ
    3ジャック・アタリ 国民の命を真央る経済へ
    4ネイサン・シナイダー 地域間の雇用を守る協同組合のあり方
    5ダニエル・コーエン 経済的な基盤を失た人たちの怒り
    6ダグラス・マレー 移民は有史以来、最大の複雑問題
    7サミュエル・ウーリー 無秩序な陰謀論がなぜ拡散されるのか
    8ターリ・シャーロット ポピュリストは人々にコントロール感を与える
    9スティーウブン・マーフィー 困難を乗り越えるハートフルネスの力

    全体主義・非科学の暴走を止め

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    2021年12月30日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    欧州では、移民の数が増大している。
    2012年の英国の国勢調査によると、イングランドとウェールズの移民は10年間で300万人増えた。
    ロンドン住民のうち「白人の英国人」はわずか44.9%だった。
    キリスト教徒の数が約400万人減り、イスラム教徒は約120万人増えた。
    →大量移民は英国を違うものに変えつつある。

    欧州の政治家は、移民問題に何の手も打たなかった。
    この問題を懸念する市民を「人種差別だ、偏狭だ」と非難した。

    移民は経済成長や人口維持のために必要だと、各国政府は主張するが、これは正しくない。
    └移民は納めた税金を上回るサービスを享受している。つまり大量移民は国を少なからず貧しくして

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    2020年04月29日
  • 西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム

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    ・イスラム教には、教義上、西洋で自明の価値観(両性の平等、表現の自由、LGBTの尊重等)を認めないところがある。
    ・西洋では、リベラル思潮及び過去の植民地政策等への反省から、他人種・他宗教を批判することに極端に神経質である。
    ・上記2つの帰結として、イスラム教移民について、難民ではなく経済移民であっても拒否することができず、移民先において同化しようとしなくても同化を求めることができず、テロが頻発する事態になっている。

    以上がこの本の主な論点です。一つ目は重要な問題提起であり、「娘に(必要ないとして)体育を学ばせることを拒否する移民の父親」にどう対応するかは、日本も考えなければならない問題だと

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    2019年12月07日