恩蔵絢子のレビュー一覧
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職業としての脳科学者である著者のお母さまも認知症になる。
知識も症例も一般人よりずっとあるのに対処対応はその時によるもの。
認知症についての、学者的なものや医療的なものではなく、その生活者としてのエピソードが綴られほっこりするものもある。
認知症になると幸せじゃなくなるのか
認知症になったら殺してくれと言っていた人が発症しても幸せそうにしている
この辺りがとても良かった。
冷蔵庫を開けてなにを出そうとしたのか
買い物に行くと何を買うつもりできたのか
あぁ私もいつかは何もかもわからなくなる
そう思うと悲観してしまうこともあったけど
認知症でも幸せに生きれそうだそう思えた
大丈夫大丈夫。
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Posted by ブクログ
恩蔵絢子(1979年~)氏は、上智大学理工学部卒、東工大大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了の脳科学者。早大、日本女子大学等の非常勤講師。専門は自意識と感情。
本書は、2018年に出版、2021年に文庫化された。
本書は、脳科学者である著者の母親が65歳でアルツハイマー型認知症を発症し、その後、著者が、娘として、脳科学者として、葛藤する2年半の日々の記録を綴ったものである。
これまでも認知症について書かれた本は多数出ているが、本書の特徴はやはり、認知症の進行する母親の言動について、一緒に暮らし、もともとの母親の性格をよく知っている著者が、脳科学の見地から、何が原因なのか、即ち「脳にどんな変化が起こっているのか」を細かく分析・記録しているという点であろう。
また、副題に「記憶を失うと、その人は“その人”でなくなるのか?」とあるが、客観的事実としては、新しいことが覚えられなくなり、今まで簡単にやっていたことができなくなり、状況判断が適切にできなくなる母親を見て、母親が母親でなくなっていくように感じていた著者が、「その人らしさとは何か?」について考え、「記憶を失うと、その人は“その人”でなくなるのか?」という問いに対して、著者なりの答を見出していくプロセスとしても興味深く読むことができる。
私にとって脳科学は関心のある分野の一つで、これまで、オリバー・サックス、ラマチャンドラン、茂木健一郎らの著書や、自閉症スペクトラム障害を含む発達障害(者)について書かれたノンフィクション物、一般書などを読んできたが、自ら50歳を過ぎ、自分や家族が認知症を発症した場合のことも気になり、本書を手に取った。
読み終えて、認知症の典型的な症状や、その医学的(脳科学的)な原因については概ね理解できたし、著者の「認知症になっても、母の母らしさは損なわれることはなかった。認知症はその人らしさを失う病気ではなかったのだ。」という“結論”にも基本的には同意する。
しかし、それでも、自分や家族が認知症になったとしたらと想像すると不安が先に立つものだが、本書には、著者が母親とぶつかった場面や、ネガティブな気持ちになった場面なども赤裸々に語られており、そうした現実的な側面を含めて、有用な一冊と言えるだろう。
(2022年1月了) -
Posted by ブクログ
深夜のノリの酒の勢いで買い、なぜ必要な勉強があるのに余計なタスクを増やしてしまったのか、と後悔しながら大急ぎで読んだ。
海外の新書にありがちなのだが、ケースや個人的な事情が非常に多い中で(それは全然良い)、共感性具体性を持たせるためにやっているであろうそれが、翻訳にあたってカタカナ語が増えるために逆に読みづらくなる現象が起こって辛かった。ここの日本語やばいけど脳みそ働いてないので勘弁。
最初のケースは普通に面白かった。こういうケースが読みたくて読んでる。海外の人ってほんまレベルが違うなと思う。
記憶の限りまとめてみる。
「快楽と苦痛は脳の重複した部位が司っており、シーソーに比喩される働きを持っている。快楽の行きすぎた追求あるいは苦痛からの逃避は後々の苦痛をもたらすことになる。その回復は「やめること」から始まる。よくない、自分が辞めたいと思っている習慣を断つことでドーパミンを断つことになり、脳の補修回路をリセットし、小さな喜びを感じられるようになる。断つためには、なるべく物理的な壁を作ることが有効。また、苦痛の側にシーソーを傾ける(めっちゃ走る、水風呂に入るなど嫌なことを続ける)ことでもリセットにつながる。が、これは苦痛の依存症にもつながることがあるので注意。徹底的に正直になることで自覚をもたらし、親密な関係性や充分状態のマインドセット(世界に対する予測可能性、楽観性、安心を感じる心と説明されている)を育むことができる。また向社会的な恥は有効である。(破壊的恥と向社会的恥がある。前者は人からの敬遠、後者は受容と共感を伴った恥)。世界に対してちゃんと向き合う(没入する)ことで本当の癒しが見つかる。」
ここで、「本当の癒し」と書いたのは、一応本文のラストがそれだったからなのだが、、、俺が読めてないだけかもしれないけど急に出てきた言葉だったのでよくわかってない。多分普通の意味。 -
Posted by ブクログ
ネタバレジェイコブが性の欲望に駆り立てられて色々な装置を発明するのが、単純に「面白いなあ」と滑稽に思ってしまった…が、本人は自身の欲望に振り回されて酷い思いをしているんだよな。
ジェイコブだけでなく、色んな患者さんのケースが描かれていて読み応えがあった。
著者も読書依存症のようだったが、読書にハマってるなんて正直羨ましいと思った(まあ日常生活に支障が出てるなら改善した方がいいのかもしれないけども…)。
動物実験でラットを使っている場面が何度か出てくるが、そこが正直きつかった。
可哀想だと思う…けども、彼らがいてくれているおかげで、薬を飲めたり、手を洗えたり、食器を洗えたり、肌を保湿できたり、他にも知らないだけで色んなことができるようになっているんだよなー…。
改めて、動物たちには感謝せねばならないな…と、ちょっと的のズレたところで考えさせられた。
依存症に関してたくさんの情報が書いてあり、なかなかいい本だなと思った。
でも…海外の著者の本あるある・日本語訳が微妙に読みづらい!
せっかくいい本だったので、もう少し滑らかな文章で読んでみたかった気もする。
⭐️全ての人が最初から水平なシーソーを持っているわけではない。うつや不安や慢性的な痛みを持っている人たちは、苦痛の側に傾いたシーソーから始まる。だから精神疾患がある人たちは他の人たちより依存症になりやすいのかもしれない。
⭐️世界中に膨大に蓄えられているどのビールにも手を出さないなどという絶対無理な課題に取り組むのではなく、たった1本のビールを飲まないことに集中すればいいだけだ。
⭐️患者が自分を語る時に自分を被害者として語ることが多く、起こってしまった悪い結果に対してほとんど責任がないというような話し方をするならば、その人の健康状態はあまりよくないことが多く、その先もうまくいかないことが多い。彼ら/彼女らは人を責めるのに忙しく、自分を回復させることに本腰を入れて取り組むことができない。対象的に、自分の責任を明確にしながら物語を始める場合、症状がよくなっていくことが多い。
⭐️母や祖母ならこうあるべき、と私が思っていたように生きることを母に要求することで、私には母の欠点しか見えなくなっていた。母にはいいところがいっぱいあるのに。
⭐️マーク・エプスタインの言葉
「周囲をなんとかしようとすることをやめると、爽やかな気持ちになってきて、いいバランスが見つかり、自発的に動いている自然界や自分の中にある自然とつながっているという感覚が持てる」
⭐️苦痛の側にシーソーを押すことは、シーソーを快楽の側へリセットする。 -
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ネタバレ生理学上の発見、それに基づく哲学的飛躍をベースにしたモデル。信用度はいかほどであろうか。
人間の脳の振る舞いを観察してなにがしかの挙動を見出したとする。正解など得られるはずもなく、推測にしか過ぎない。今後新たな発見なり発想が生まれれば、本書が典拠としている論説も更新されることだろう。かつて脳には情動を司る機能があるとされていたが、現在の知見では文化的に学習されたものが大半であると、本書が述べているように。
ポール・マクリーンの人間の脳に対する「三位一体」説は現在信用されなくなっているそうだが、2023年刊行の原著で取り沙汰されるからには50年くらいはそれが根拠ないし権威となっていた時代があったということ。学問は漸次進んでいくものだが、中には科学的とは言い難い論拠に基づくものがあり、そういうものに限って意味不明な権威をまとっていたりする。
フィクションとしてのAIには特に思うところはないが、研究課題としてのAIとは出会いが悪かったため、なにを聞いても疑いが先に立つ。
30年ほど前、AI研究を傍らで見ていたような立場の人間が当時思ったことは、計算機のパワーがなければ話にならないということだった。様々なモデルが提唱されていたが、計算資源が貧弱すぎて実証結果もそれなりのものにしかみえなかったからである。それから30年後の現在のAIを見れば、それは正しいように思える。計算機のパワーが道を開いた。
興味深いと感じたところ。
p.88 情動の分類は、大部分が文化的に学習されたものだと考えられている。
どうなんすかねってところ。
p.450 噂話の仮説。AI研究の根底にあるモデル構築は科学の皮をかぶった人文だと感じることを禁じ得ない。
まとめが記されたページ。最終章の末尾がよりまとまっている。
P.127 ブレイクスルー1のまとめ:操縦
P.208 ブレイクスルー2のまとめ:強化
P.310 ブレイクスルー3のまとめ:シミュレーション
P.386 ブレイクスルー4のまとめ:メンタライジング
P.479 ブレイクスルー5のまとめ:発話
どうでもいいことだが訳者あとがきがひかわ玲子みたいだなとか思った。 -
Posted by ブクログ
ギャンブル依存、スマホ依存など、やらなければいけないと分かっていても目の前の安易な快楽に流され、やらなければいけないと考えていることに費やす時間が無くなり先延ばしにしてしまう。
このような自分に何かヒントとなる解決法が書かれていないかと期待して本書を読み始めた。
自分の想像していたよりも重たい、ドラッグや性的指向など様々な中毒者と呼ぶべき人々の実態が書かれていた。海外の事例でもあり、自分の現実世界とは異なる映画の中のような世界観のように感じるが、同じ人間としてのリアルな実話である。
将来の自分がそうならないようにしたいと思わせる内容であった。そして、現実世界から逃げた先の一時的な快楽を求めるのではなく、世界の中に没入することで得られる癒しを追求していきたいと感じた。