川原礫のレビュー一覧
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アンダーワールドでは、最高司祭であるアドミニストレータとの戦いが終わり、世界にひとときの平安がおとずれます。しかし、戦いによってキリトは自閉状態に陥り、ユージオも命を落としてしまいました。アリスは故郷であるルーリッドの村に帰り、キリトの世話をしながら静かな日々を過ごします。
現実世界では、ガブリエル・ミラーによって率いられた部隊がラースに侵入し、菊岡たちが苦境に立たされていました。彼らのねらいは、右目の封印を破ったアリスのライトキューブをうばうことです。
一方ガブリエルも、ダーク・テリトリーのモンスターを率いる暗黒神ベクタとして、アンダーワールドに降り立ちます。こうして、「光の騎士」アリスの獲得をめざして、人界への侵攻が開始され、整合騎士たちは人界を守るためにふたたび剣を手にとって戦います。
ガブリエルのキャラクターにかんしては、それなりに設定が説明されているのですが、軍事のプロである彼がゲーム世界で悪の帝王ごっこをノリノリでやっていることにちょっと引っかかりを感じてしまいました。 -
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この巻では、キリトが整合騎士となってしまったユージオと剣を交えることになります。お約束の展開ですが、ユージオがうしなっていた記憶を回復し、みずからを操ろうとしたアドミニストレータの隙を突いてみずからの責任をとろうとしますが、失敗に終わります。こうして、ようやくアドミニストレータとのバトルが幕を切って落とされることになります。
カーディナルも登場して総力戦となりますが、やがてダークテリトリーからの侵攻によって崩壊の危機に瀕するとされていたアンダーワールドの未来を見通していたアドミニストレータは、それに対処する策をひそかに温めていました。その考えは、アリスたちにはとうてい受け入れることのできない残酷なものでした。
最後は、ときおりさしはさまれていた現実世界での伏線を回収して、アンダーワールドのバトルからあらたな展開がはじまるところが示されます。アリシゼーション編のストーリーにひとつの区切りがつけられたものの、ようやく折り返し地点といった印象です。 -
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第三層に突入したキリトとアスナは、「迷い霧の森」で森エルフと黒エルフの争いに介入するキャンペーン・クエストを開始します。二人は黒エルフの美女キズメルの加勢しますが、NPCとは思えないリアルなコミュニケーション能力をもつ彼女に、キリトはとまどいます。
一方、「ビーター」であるキリトに反感をいだくリンドとキバオウは、たがいに抗争をくり広げながらも第三層でのボスの攻略をめざします。しかし、リンドが率いる「ドラゴンナイツ・ブリゲー」(DKB)に所属するモルテの暗躍によってギルド間の抗争は激化し、キリトたちも巻き込まれてしまうことになります。
番外編であるこちらのシリーズは、いわば消化試合のようなものかと思っていたのですが、意外にもいろいろな伏線が準備されているようで、本編とはべつに今後の展開が気になってきました。 -
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アリスとの戦いで、彼女とともに塔の外に放り出されたキリトは、彼女と一時休戦して、塔の内部にもどることをめざします。その途上で、アドミニストレータによって自分が欺かれていたことを知ったアリスは、その支配から脱して、みずからの眼で真理を見つめることを決意するにいたります。
他方、塔の内部では、ユージオが整合騎士のベルクーリ・シンセシス・ワンとの戦いにいどみます。しかし、彼の心のうちの隙を突いて「シンセサイズの秘儀」がほどこされ、彼は記憶をうしなってキリトの敵となります。
ありがちな展開ではあるものの、次巻がたのしみになるような良い引きで締めくくりとなっています。 -
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カーディナルの話によって、「アンダーワールド」に生まれたクィネラという名の少女が、世界のアドミニストレータとなって君臨するまでの経緯が明かされ、キリトとユージオはふたたびアドミニストレータの待つセントラル・カセドラルに入り込み、整合騎士たちと戦いを繰り広げつつ、最上階をめざします。
前半は、前巻に引きつづいてカーディナルによるアンダーワールドの説明ですが、大枠はすでに前巻で明らかにされており、この巻ではもうすこし細部の設定にまつわる説明がメインです。ストーリーを進めていくうえで必要なことなのでしょうが、物語がなかなか動きはじめないのに気持ちが焦ってしまいます。
後半は、整合騎士たちとのバトル・シーンが中心です。ただ、アリスおよびアドミニストレータの戦いにいたるまでは、キリトたちがあまり深刻なピンチに陥ることはなく、予定調和的な展開のように感じました。とりわけファナティオ・シンセシス・ツーにかんしては、彼女のかかえている葛藤がずいぶん軽くあつかわれていて、しっかり伏線を用意していればもっとキャラクターの魅力を引き出すことができたのではないかと思ってしまいます。 -
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北セントリア修剣学院の上級修剣士となったキリトとユージオは、それぞれロニエとティーゼという少女を「傍付き剣士」とします。
貴族の身分を鼻にかけ、ことあるごとに平民出身であるキリトとユージオに嫌がらせを仕掛けライオスとウンベールの二人は、ロニエとティーゼに対して卑劣な振る舞いにおよびます。怒りに駆られたユージオは剣を抜き、キリトも彼に加勢して、ライオスとウンベールを斬りつけますが、そのために二人は犯罪者として公理教会に身柄を移送されることになります。
ところが、二人を裁く人物は、かつてルーリッドの村から連れ去られたアリスでした。しかも彼女は、村にいたときの記憶をうしなっており、「整合騎士」アリス・シンセシス・サーティと名のります。
本巻の後半で、ようやく今回のキリトが入り込んだ仮想世界「アンダーワールド」の秘密が明らかにされます。前巻の菊岡による「RATH」の説明とあわせて、これでおおむねストーリーの大枠が示されたので、あとは仮想世界でのキリトの活躍と、善悪の両方をうちにかかえてそのことに葛藤する「人間」であることをめぐるキリトやユージオの心理的なドラマがどのように進展していくのかということに期待しています。 -
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「ソードアート・オンライン」シリーズの番外編第1弾です。茅場晶彦の計画によって「SAO」の世界に閉じ込められてしまったキリトとアスナの出会いと、ゲーム序盤での二人の活躍をえがいています。
キリト以上に尖ったソロ剣士としてゲームの攻略にいどんでいた初期のアスナが印象的です。本編ではすでに解決している事件を振り返った短編集なので、肩の力を抜いて読むことができるのですが、第2巻および第8巻に収録されている短編のような完全なサイド・ストーリーといった感じではありません。いちおう本編につながるストーリーということもあるのか、思いのほかシリアスな雰囲気になっています。
情報屋のアルゴは魅力がじゅうぶんにえがかれており、「ビーター」のキリトに対する反感をかくさないキバオウもキャラクター性が強いのですが、もうすこしキャラクターが遊べるような緩さがあってもよかったのではないかという気もします。 -
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病院にはこばれたあと、すがたを消してしまったキリトのゆくえを追うアスナは、茅場晶彦の恋人であり研究協力者であった神代凛子(かみしろ・りんこ)の協力を得て、菊岡誠二郎(きくおか・せいじろう)が推し進める「プロジェクト・アリシゼーション」の存在を知ることになります。
一方、仮想世界である「アンダーワールド」に入り込んだキリトは、ユージオとともにルーリッドの村を旅立ち、北セントリア帝立修剣学院で剣士としての修行を積んでいきます。
著者自身も「あとがき」で述べているように、この巻の前半をまるまる費やして、現実世界における状況説明がおこなわれています。もうすこし小出しに世界設定が明らかにされていくのかと思っていたのですが、最初にストーリーの大枠が示されたことで、戸惑うことなくキリトの活躍をたのしめるのはメリットなのかもしれません。 -
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「RATH」(ラース)という企業が開発したあらたな装置をつかって仮想現実の世界に入り込んだキリトは、ルーリッドの村で木こりを「天職」とする少年ユージオと出会います。彼は、村のはずれにそびえる巨木「ギガスシダー」を切り倒すために、くり返し斧を振るいつづけるというしごとをこなしていました。しかしキリトと出会ったことで、彼のなかにすこしずつ変化が起こり、二人は強い友情で結ばれるようになっていきます。
一方、現実世界では、「死銃」事件の犯人のひとりであり、事件以降も警察の捜査から逃れつづけていた「ラフィン・コフィン」のメンバーだったジョニー・ブラックが、キリトを襲撃し、彼は意識をうしなってしまいます。
この巻より、長大なアリシゼーション編がスタートします。ファンタジー世界で一見したところ徒労にも思えるしごとに従事しつづける住人が登場する世界観などは、村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を思わせる設定ですが、この世界の異分子であるキリトの登場がきっかけとなってはじまった冒険を通じて、仮想世界における人格とはなにかというテーマがあつかわれています。 -
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今回は、中編2編、短編1編という構成です。
「圏内事件」は、キリトがSAOの世界に閉じ込められていたときの話です。安全圏内でプレイヤーが殺されるという事件が起こり、キリトとアスナは事件の目撃者であるヨルコという少女から得た情報をもとに、事件の真相を明らかにしようとします。殺されたカインズというプレイヤーは、かつてヨルコとともに「黄金林檎」というギルドに所属していましたが、レア・アイテムの処分方法をめぐって対立が起こり、ギルドのリーダーが謎の死を遂げていたことがわかります。
「キャリバー」は、「ALO」のゲームで伝説の聖剣「エクスキャリバー」獲得のクエストがはじまり、キリトをはじめおなじみの登場人物たちが挑戦する話です。これまでの主要キャラクター総出で、にぎやかな内容になっています。
「はじまりの日」は、キリトがSAOの世界に入ったばかりのころの出来事をえがいた短編です。 -
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MMO「アルヴヘイム・オンライン」のゲーム内で、「絶剣」ユウキというプレイヤーが、挑戦者たちを次々に倒しているといううわさがひろまります。キリトも対戦をするも、なぜかユウキに敗北したということを知ったアスナは、自分もユウキと剣を交えることを決意します。その結果、アスナはユウキに気に入られて、彼女の所属するパーティである「スリーピングナイツ」に協力して、ゲーム内のボスの攻略に挑むことになります。
その一方でアスナは、自分の将来を案じるあまり彼女の人生に口出ししようとする母親との関係がうまくいかず、悩みを抱えていました。そんななか、アスナはユウキとともにボスの攻略に成功しますが、ユウキはなぜかアスナに別れを告げ、彼女の前からすがたを消します。やがてアスナは、ユウキがこれまでかくしてきた、彼女の身にまつわる真実を知ることになります。
「あとがき」を読むと、本書のストーリーやキャラクターの設定について著者なりの葛藤があったことが書かれていますが、本シリーズのようなサクサク読むことのできるライトノベル作品で、きっちりと感動モノをつくりあげることができるのも、ひとつの才能ではないかと思っています。 -
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キリトは、「GGO」のゲームに参加したプレイヤーの不審死がつづく事件の真相をさぐるため、ゲーム内でおこなわれるトーナメント形式の大会「BoB」(バレットオブバレッツ)に参加します。一方、キリトとの対戦に敗れたことで、彼に対して複雑な思いをかかえ込んでいたシノンは、彼女のことを心配する友人の新川恭二(しんかわ・きょうじ)に励まされるものの、自分の心のうちの葛藤を理解してもらえないことに気づきます。
「BoB」がはじまり、キリトはシノンと協力しつつ、「死銃」のゆくえを追いかけます。やがて彼は、「死銃」の引き起こした事件のからくりに気づき、シノンの身に危険がせまっていることが明らかになります。
意外性はありませんでしたが、キャラクターの心理の動きも含めて、うまくまとまっている印象です。