青木健のレビュー一覧

  • アーリア人

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    世界史に登場するスキタイ、パルティア、メディア、ペルシャ、大月氏等の異動を簡便にではあるが把握できる。地図も豊富で、内容も多彩。

    しかし文体の方は、通常ギリシア語表記であらわすアケメネス朝やダレイオス1世などを本格的な読み方にしたかったのか、わざわざイラン系アーリア語表記に改めてハカーマニシュ朝、ダーラヤワウ1世としているため、その点では読みにくかった。

    その点を差し引いても良い本であり、イランや中央アジアの歴史等の本を読んだ後に、またこの本に戻って何度か読み直したいと思う。

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    2024年08月22日
  • 教養としてのラーメン~ジャンル、お店の系譜、進化、ビジネス――50の麺論~

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    ラーメンは怖くない。

    延々と蘊蓄を語るようなオタクのいるジャンルは怖い。ラーメンなんて長い蘊蓄を語る怖い人のいそうなジャンルなのに(偏見)この本は怖くなくて、むしろ面白い。

    カップ麺をよく食べる人もラーメン食べ歩きが好きな人も中性脂肪や血圧が怖い人も、ラーメンについて何も語ることがない人はいないのではないか。好きなラーメンは何かと聞かれて、どれくらい語るかは別として、何も言えない人はいないのではないだろうか。そんな全然オタクではない「軽い」ラーメン好きが読んで楽しい本である。

    歴史や地域色、箸や丼、店、ビジネスとして。様々に語られるラーメン。どこか控えめで、でもそこ知れない情熱を感じる。

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    2022年05月05日
  • ペルシア帝国

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    大部分は読み進めるのが大変だったが、ホスロー二世の治世になって、がぜん面白くなった(当時の人にとっては、堪ったものではないが)。
    ビザンティン帝国と戦端を開き、相手の首都をお互いが同時に攻撃するという、聞いたことがない状況。「どうなっちゃうの、これ!?」というドキドキ感。
    4軍すべて投入し、よく他から攻められなかったと思う。まあ、他にいなかったから投入できたのだろう。

    全体を通して、名前と地名が覚えられなくて苦しんだ。同じ名前の人が何度も出てくる。当時は「二世」「三世」が付かなかったとのことで、もっと大変だったのだろう。
    欧米の名前では入らないようなところに長音が入るのも要因かしら。

    王の

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    2020年10月24日
  • ペルシア帝国

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     本書は、イラン高原南西部のペルシア州を拠点として、ペルシア人が建てた2つの帝国、ハカーマニシュ朝(ギリシア語名アケメネス朝)とサーサーン朝の興亡を描いた一冊である。

     通読しての感想の一つは、後継を巡っての争いの血腥さである。継承がルール化されていないとそうなりがちなのであろうが、それにしても厳しい。

     そして、特にハカーマニシュ朝についてそうなのだが、ペルシア戦役、アレクサンダー大王東征と、西方側から見てしまう見方が染み付いているということである。パルティアであればローマ帝国と、サーサーン朝であればビザンティン帝国との争いが続いていたが、やはりローマであり、ビザンツ側から見てしまう。

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    2020年09月07日
  • ゾロアスター教

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    よくまとまっており、特にパールシーの生活に関する記述が興味深かった。
    彼らがインドで共同体を保てたのはヒンドゥー教が「カースト」という閉じたコミュニティの集合として成り立っていたことが大きな要因であるというのにとても納得した。
    と、ともにそこに溶け込むためにヒンドゥー教徒やイスラーム教徒に配慮したパールシーたちの柔軟性もまたちょっといいな、と思うのでした。

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    2013年06月04日
  • 古代オリエントの宗教

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    イスラームが出来る前に聖書物語は複数発展したと。
    原典に継ぎ足す形で、どんどん指導者の作ったストーリーが生み出されて、淘汰され、イスラームに吸収されていく過程を描く。
    なんでユダヤ人の民族史がここまで世界の歴史に取って代わったのか、伝播力を持ったのか。そこは筆者も疑問に思っていたが答えが出せないようです。テーマもその理由の説明ではなく、その過程なので。気になる。

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    2013年03月09日
  • 古代オリエントの宗教

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    聖書ストーリーというキーワードを元に古代オリエントにおける宗教の伝播と興亡を描く
    それにしても、なぜユダヤ人のローカルな世界観から始まった一つのストーリーがこうも世界宗教へと広がって行ったのには驚きを覚える。
    その影には多くの諸民族の固有のストーリーが消え去っていったのであり、聖書ストーリーに組み込まれることによって民族のアイデンティティは失われたのであろうか。本書でも扱われている聖書ストーリーのローカル化も含めて示唆に富む内容でした。
    講義の内容を元にしているので、少し掘り下げが足らないかなと思うところも有ります。

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    2012年10月09日
  • ゾロアスター教

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    世界史などで名前は知っているが、その教理や教会史はほとんど知られていないゾロアスター教をコンパクトにまとめた本。

    世界史(ヨーロッパ史)的には、サーサーン朝ペルシアの国教ともなったゾロアスター教が、ヨーロッパに伝わったときに、善悪二元論と呪術的な面が強く伝わったために、そのようなイメージができていることが分かったのが一番よかった。本来はアーリア人(イランなどに住む民族でドイツなどのヨーロッパ的なものではない)の民族的な面と教祖 ザラスシュトラ・スピターマの教えが時代や場所によって変遷していったものだとわかった。また、やはりペルシアで国教となった点が大きい。

    本書では、時代の流れの中で、教祖

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    2012年08月08日
  • マニ教

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    ネタバレ

    マニ教についての概説本。マニ教についての研究、マニ教の概説、教祖マーニーの生涯、マニ教の盛衰まで書かれている入門書。

    マニ教を知るうえでは便利な本だと思う。今まで、あまり語られていない宗教だが、中世のアラブ圏、欧州圏の宗教、文化の理解には必要なものかもしれないと、この本を読んで思った。

    個人的には、マニ教の教えが面白く読めた。こんな時代にこんな厭世的な考え方を持った宗教があったとは驚きだ。

    面白い本。歴史が好きな方はどうぞ。

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    2011年01月28日
  • マニ教

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    ネタバレ

    本書では、キリスト教から異端として徹底弾圧され、イスラム教徒の戦いに敗れたのち、中国で14世紀まで生き残った「マニ教」の盛衰を描かれている。
    マニの想像力のたくましさに驚くと同時に、滅びたために「壮大なるいかさま」と中傷を受けるこの世界宗教の底知れなさに慄然とした。

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    2011年07月15日
  • ゾロアスター教

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    21世紀はヤズドで迎えた。(頭の中にはリヒャルト・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れていた。「2001年宇宙の旅」でも使われていたから)映画「クラッシュ」で店に泥棒に入られたイラン人のおじさんは、‘アラブ人’と言われて、‘ペルシア人’と訂正する。自動車のマツダは‘松田’であるけどアフラ・マツダでもある。・・・だから、ゾロアスター教についてちょっと勉強してみました。キーワードは‘アーリア人’

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    2011年10月11日