くっかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全五巻ということは、読者の支持を集め続けてきたのだろう。トランスジェンダーの女の子がヒロインの物語でそれだけ支持を集めたということが(そんなこと普通になればいいのにな、と、とても残念だけれど)すごい。で、普通に、物語として面白いのもすごい。そしてこのシリーズは巻ごとに明確にテーマが設定されているのだが、最終巻(本巻)のテーマは、ずばり、シス男性はトランス女性とセックスしたいという欲望を抱けるのか? だ。それを、登場人物が全員高校生およびその保護者と教員という設定で繰りひろげる。最終巻のこの本で一番気になったのは星原で、彼女は、うーん、生まれつきお互い男性の身体である二人がセックスできるの?
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Posted by ブクログ
ネタバレ函館に訪れた修学旅行中に時間が止まってしまうという冒頭に一気に引き込まれました。明日がやってくることの恐怖や、漠然とした不安が募る未来への拒否感――鬱屈した感情がこれでもかと描かれた小説でした。後ろ向きなことに真っ直ぐな麦野君の心情に共感しました。
東京にある暮彦おじさんの家にヒントがあるはずだと信じて、麦野君とヒロインである井熊ちゃんは二人で旅をする決意をする。
何もかもが停止した世界で、誰かの目を気にすることもなく、好きなように過ごす。時間が流れない世界は不便だけど、自由だった。その生活は「明日が来なければいい」と内心では思っている二人にとって天国にも等しい時間だった。
未来に希望を抱かな -
Posted by ブクログ
コミカライズを数話読んで、原作が気になったので手に取った。
夏を舞台にしたボーイミーツガールのSFものということで、どこか時をかける少女を思い出す設定。
ただし、SFとはいうもののギミックの設定はファンタジーに近い。
夏のじっとりとした暑さ、すべてを諦めているがゆえの主人公の割り切りの良さ、それでもなお現れる葛藤など、情景と心理描写が非常に生々しくて引き込まれた。
現実を受け入れ、正面から選択し、選んだ道を正解にするために足掻く、そんな物語だった。
「何が正しいのかなんて誰にも分からない。だからこそ自分が選んだ道を、正しかったと思えるまで走り続けるしかないんだよ」
というセリフは、物語の -
Posted by ブクログ
ネタバレまさに夏の青春!って感じの小説でした。
どんどん読み進めてしまい、あとがきに書いてある作者さんの思惑通りウラシマ効果を感じました。
キャラクターが魅力的ですね。
特にお気に入りは小春ちゃんです。最初出てきたときは悪ガキのいじめっ子な訳ですが、本当はプライドが高いのに自信がなく小心者なだけ。あんずに顔面パンチを食らい鼻血出して逃げてしまいます。かといって家では弟思い。いいお姉ちゃんです。あんずに簡単に論破されて大粒の涙を流す。かわいいですね(笑)
彼女は精神的に最も成長したキャラクターで、最後は苦しむあんずを助けてくれます。
それにしてもカオル君の母親は徹底的に悪に徹していましたね。そのおか -
Posted by ブクログ
気がつけば僕は、さよならの出口に立っていた。部屋の掛け時計は10時前を、さも当たり前かのように指している。ついさっきこの本を開いた時は、6時かその辺りだったはず。
この本は本物のウラシマトンネルだったんだ。
その証拠に、僕は、失ったはずの「勇気」を手にしていたから。
面白かった〜。映画みてるみたいだった。
兄として、妹を失った塔野カオルの一挙手一投足に深く共感した。あ〜やりそ〜って思った。
後半の方から、話をどう着地させるのかが不安になったけど、杞憂だった。勇気を持って思い切った設定にすると、話の重みも増してシネマティックになる分、着地させる難しさがあるけど、この物語の終幕は、よく考えられて