あらすじ
その告白が、世界を変える。
とある地方都市に暮らす冴えない高校生・紙木咲馬には、完璧な幼馴染がいた。
槻ノ木汐――咲馬の幼馴染である彼は、イケメンよりも美少年という表現がしっくり来るほど魅力的な容姿をしている。そのうえスポーツ万能、かつ成績は常に学年トップクラス。極めつけには人望があり、特に女子からは絶大な人気を誇っている――。
幼馴染で誰よりも仲がよかった二人は、しかし高校に進学してからは疎遠な関係に。過去のトラウマと汐に対する劣等感から、咲馬はすっかり性格をこじらせていた。
そんな咲馬にも、好きな人ができる。
クラスの愛されキャラ・星原夏希。彼女と小説の話で意気投合した咲馬は、熱い恋心に浮かれた。
しかしその日の夜、咲馬は公園で信じられないものを目にする。
それはセーラー服を着て泣きじゃくる、槻ノ木汐だった。
『夏へのトンネル、さよならの出口』『きのうの春で、君を待つ』で大きな感動を呼んだ<時と四季>シリーズのコンビ、【八目迷×くっか】が挑む新境地。とある田舎町の学校を舞台にした、恋と変革の物語。
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
重い…めちゃくちゃ考えさせられる。でも夢中になって読んでしまった。
読む前の印象は、表紙の可愛い女の子との恋愛話かな?え?男の子?BLはちょっと…だった。でも読んだらもう言い表せないくらい深い。面白い。自分の決めつけで読まない選択をしなくて良かった。
Posted by ブクログ
【お前がどんな風に変わろうとも俺は最後まで眼を逸らさない】
椿岡高校で平凡に過ごす咲馬。ようやく好きな相手·夏希が出来た矢先、幼馴染である汐が女子制服を着用する事で、教室に大きな波紋が拡がる物語。
昨今少しずつLGBTの理解が深まって来てるとはいえど、その選択に反発する者も多い。
男らしく女らしく、そうやって植え付けられた価値観は消えない。
男であった時のあらゆる利点を女になる代償として支払った汐。
人気者が一転、孤独者。
汐と夏希への想いに揺れる咲馬。
偏見の嵐に苛まれる汐の正直に生きたいと想いを真っすぐに守るのだ。
Posted by ブクログ
性同一性障害の話。またもや、ずいぶんと重いテーマを取り上げたな、というのが率直な感想。
答えが無い問題であるからこそ、また高校という年代であるからこその、それぞれの立場からの相互理解の難しさや葛藤が描かれた作品。重いテーマの割に、読みにくいなどの事もなく、かなり良かったと思う。
この難しい問題に対する主人公の微妙立ち位置がこれまた絶妙。
Posted by ブクログ
主人公の理想主義的なところが、しっかり現実の壁とぶつかっていくように描かれている点がすごく良かったですね。そりゃあうまくいかないだろうみたいなことを、ちゃんとうまくいかないように描いていて、ライバルの世良君がそこをうまくついてくるのも、物語としてよくできているなあと思いました。最終的な落としどころは、この主人公ならありえるところかなとは思いました。問題の先送りみたいなところはあるので、まだまだ葛藤は続きそうですが、物語としてよい着地点で納得できるところによく落とし込んでいると思います。
Posted by ブクログ
高校二年生の夏休み前に、あるクラスの子たちが経験する、性別や、人を好きになるとはどういうことかをめぐる、ひりひりする、けれどもどこかに希望もみえる日常。汐が家庭内で、そして学校で、自分が女の子であることを明らかにしていく過程がとてもリアル。周囲の怒りや戸惑いや嫌悪。クラスの同調圧力。教員たちの受け入れ方も、ディティールは違っても、身に覚えのあるもので、読んでいて何度も胸が苦しくなった。咲馬と夏希という友達の存在があることで、読み終えることができた。咲馬はふつうにいい男で、そりゃ好きになるよなあと思った。
Posted by ブクログ
気付いたら、叶わない恋に悩むひとりの女の子として汐のことを見ていた。
汐は周りから何を言われても自分らしく生きようと前を向いていて、だからこそ彼女の「今」にどこか向き合えてない咲馬の視点にイラッとしたり、そんな等身大の無理解さに生々しいリアリティを感じたり……。
たぶんこのあらすじを見て手に取る読者よりずっと咲馬は無神経で、「一人称キャラクターの視点に入り込んで読む」タイプの人は最初ちょっと戸惑うかも。
「ごく普通の、マイノリティとは無縁だった高校生」であるところの主人公の視点の変化や成長もテーマのひとつかなと思ったので、そこはこの先の楽しみポイントです。
Posted by ブクログ
久しぶりにラノベを読んだ。1日で読み終えたけど、内容は決してライトではなかった。
もしもこの作品がアニメ化されても、たぶん私は見ない。表情、声色、雰囲気、おそらく映像で見ると、めちゃくちゃしんどくなってしまうと思う。それだけ、感情が動かされる内容だったし、重みがあった。
こういう個々の意見と正解がない状態の話を読むと、つくづく私は西園とか世良みたいなタイプが好きなんだよなあと改めて気付かされた。(西園がやったことは完全にアウトだけど。)
自分が思ったことを素直にやったり、ある意味で筋が通ってるタイプ、好きなんだわ。
多分、私は続きを読むことができない。汐が自分らしくいられる様になると良いなと思う。