結城充考のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
結城充考『アルゴリズム・キル』光文社文庫。
クロハ・シリーズの第4弾。長編では第3作。相変わらず警察小説とは思えない無機質で、モノクロ・トーンの独特の世界観が展開される。作品としてはそこそこの出来なのに、独特の世界観がクセになる。
我々は前作の連作短編集『衛星を使い、私に』の中の『二つからなる銃弾』で初めてクロハの本名が黒葉佑であることを知るのだが、本作ではその名前を何度も目にすることになる。クロハ……黒葉佑……アゲハ……虚構の中で綴られる奇怪な連続殺人事件。
警察の交通安全イベントの最中に突然現れた痩せこけ、全ての歯を折られた少女……警務課で仕事を干されていたクロハは県内で頻発する未成 -
Posted by ブクログ
シリーズ第1弾「プラ・バロック」でたった一人の姉を失ったクロハ。
彼女にとって姉はただ一人の理解者であり、自分を偽らずにいられる相手だった。
そして、姉が遺していった忘れ形見のアイは、クロハが生きる理由となった。
動画サイトにUPされた「回線上の死」と名付けられた複数の映像。
殺害される映像は果たして偽物なのか現実のものなのか、警察も判断できずにいた。
娯楽用途に流通させる目的で行われた実際の殺人の様子を撮影した映像は「スナッフ映像」というらしい。
ずいぶん前に「タフ」という映画を見たことがある。
見知らぬ者同士が殺しあう映像が作品の中で大きな役割を果たしていた。
「エコイック・メモリ」でも同 -
Posted by ブクログ
結城さんの2冊目。
いいね!!!!!!
インプリンティング だっけ?
刷り込み現象・・・・。
警察小説にのめり込むきっかけとなったのが誉田哲也だったためか、「芯の強い女刑事」ものが、最高に好き。
本作も。
これでもか、と追い込まれる絶望的な状況に敢然と立ち向かう姿が、見ていて気持ちが良い。それでいて、主人公が感じるであろう恐怖や人間的な弱さもしっかり描かれているのでリアリティがあってよい。
個性ある脇役たちも魅力的だし、続編にも期待。
★4つ、8ポイント半。
2016.06.30.新。
※近未来感のあふれる世界観なのに、コートを「外套」と・・・・昭和初期か!?!
※「キリ」の -
Posted by ブクログ
これも前作を読んですぐ読み始めた。これが一番面白かったかもしれない。自動車警邏隊のときのクロハの短編集。クロハの心の動きや戸惑いが伝わってくる。今回が一番、クロハを身近に感じられたかも。スギさんとの関係もいいなあ。あとやっぱり、クロハって何だろう、洞察力に長けてるのかな。推理力というか、ただの偶然にしては出来すぎてるところもあるけど。表題作の「衛星を使い、私に」は最後まで読んだときの、ああなるほどだからそういうタイトルなのかって納得いった感じ、好きです。今回もちょっと、まわりくどくて分からないところ、伏線が深すぎて分からないところがあったけど、全体的にどのお話も引き込まれたし、統一感があって良
-
Posted by ブクログ
結城充考 の初読み。3~4年前に「この警察小説がすごい」なる年刊誌(いわゆる「このミス」=「このミステリがすごい」の姉妹編?)にて、イチオシ新人作家による注目作品として紹介されていた一冊。
記憶の端に残ってたそのタイトルを、古書店でたまたま見かけたため購入。
結果・・・2つの大きな収穫が!!
収穫①
間違いなく面白い作品・作家に出会えたこと。
“仮想空間”がどうのこうの……という、ちょっと引いてしまいたくなる仕掛けも、筆者の筆力によってか、はじめは戸惑うもすぐに慣れ、まもなく受け入れられた。
“仮想空間”の描写を受け入れられない人には不向きかもしれないが、そこを突破しさえすれば、十二分 -
Posted by ブクログ
『プラ・バロック』『エコイック・メモリ』に続くクロハ・シリーズ第三弾。本作は自動車警邏隊時代のクロハの活躍を描いた連作短編集である。
前の二作ではクロハを含めた登場人物がカタカナ表記で描かれ、無機質でモノクロなイメージの中でストーリーが展開した。本作の二つ目の短編『二つからなる銃弾』で初めてクロハの名前が黒葉佑であることが明かされ、以降は無機質から有機質に、モノクロからカラーへとこれまでの物語のイメージが一新された。
一つひとつの短編は独立しているようで、実は全ての短編で大きな物語を形成している。表題は非常に変わっているのだが、表題作の『衛星を使い、私に』を読むと、なるほどと納得する。
-
Posted by ブクログ
女刑事クロハシリーズの第二弾。
前作にも増して猟奇的な殺人事件「回線上の死」
殺害過程を録画し動画サイトに投稿する。犯人の目的は。
被害者の繋がりは。動機はなんなのか。
結論から言うと、動機も犯人も至る過程も納得できなかった。
最後の対決シーンは一作目のほうが完成度は高い気がする。
それでも、姉の子供「アイ」については本作のほうがすごく好き。
クロハが自暴自棄になったりしないのは「アイ」がいるからだと思う。
ただ残念だと思ったのは、アサクラにもう少し重きを置いてほしかった。
クロハの中でもアサクラが与えた影響は大きかったと思うので。
電脳世界でのつながりが今回はあまり出てこなかったが