吉田裕のレビュー一覧
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日本人の戦争観について、一般に知られている通り、日本人の戦争観には被害者意識が強く、加害者意識が弱い。歴史認識についても近隣国に対して反省が弱いと考えられている。では、それはなぜかという答えがこの本で議論されているところである。加害者意識の弱さの根源としては、日本が終戦という形を持って植民地を手放したことである。他の宗主国は植民地との血みどろの独立運動を経て植民地を手放している一方であっさりと植民地を手放すこととなった日本人は帝国意識が強く、アジア近隣国に対して思慮が及んでいないとも考えられる。では、なぜ被害者意識が弱いのか。日本の賠償はアメリカによる一国精算であったと同時に、アメリカのアジア
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ネタバレアジア、太平洋戦争を詳細に研究した書物
・2005年の世論調査で、中国との戦争は侵略戦争だったが、アメリカとの戦争は侵略戦争ではなかった。と答えた人が、34%。
→その通りだと思う。というのも、中国は領土侵略をして、中国現地で戦ったから当然。しかし、アメリカとの戦争は、アメリカ現地でなく、太平洋の島々で戦った。別にこの戦争を肯定も否定もしないが、ある種、自衛戦争の要素も含まれているのでは?その引き金が、日本の中国侵略であることは言うまでもないが。ただ、アメリカのいわゆる石油など禁輸措置もやりすぎ?感もある。
・ハル・ノートの中国からの撤兵に、「満州国」は含まれるか?
→ハル・ノートには -
Posted by ブクログ
戦時下を扱ったものは、大抵多少なりとも右か左かにずれていますが、この本はそういう風なことはあまり見受けられず、戦時下における政治・経済・社会・一般民衆・抑圧された人々などに対し客観的な目で見ているのではないでしょうか。研究者の間では自明のことかもしれませんし、単なる私の勉強不足だと思いますが、日本が植民地化の朝鮮に行ったとされる「創氏改名」について、「創氏」と「改名」が別物として語っている教科書はどれだけあるでしょうか。また、法制上「改名」が任意であるというのも、右の人は「朝鮮人が望んだもの」といい、左の人は触れません。この本では、「実際には圧力があり、拒否するのは難しかった」という立場です。