吉田裕のレビュー一覧
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YouTubeで『ゆきゆきて、神軍』を観て、もっとちゃんと知りたいと思い、パンスさんが紹介していたので読んだ。
こういう本は初めて読んだ。
私の認識は、戦争は最悪で、それで死んだ兵士は犬死にというものだったが、戦中派(おおむね大正生まれ)の戦後を丁寧に辿ると、そんなに単純な話てまはないことがわかる。
終戦から1970年代ころまでは、帰還兵は国民からは歓迎されず、国の始めた戦争でひどい目に遭ったという被害者意識もあり、亡くなった兵士の遺族に迷惑をかけるという理屈で沈黙を続けた。戦友会(そういうものがあるのだ)がお互いに加害など後ろめたいマイナスの記憶を口止めするよう機能したというのも初めて知った。当時はトラウマという言葉もなかった。
戦中派の子どもの世代は戦争を忘れたがって、そもそも戦争を知らない戦無派は興味も持たなかった。高度経済成長期でもあった。
80年代以降、高齢化により戦友会が解散し、自身の寿命を意識して兵士たちが告白を始めた。ただ被害に遭ったというだけでなく、自身の加害にも自覚的になってきた。 -
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太平洋戦争で200万人を超える死者を出した帝国陸海軍。時に「英霊」として扱われるその死の実相とは。
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時々戦争映画では「靖国で会おう」と言って死地に赴く兵士が描かれます。現代日本でも戦死者は靖国神社で祀られ、「英霊」と呼ぶ人も少なくありません。それが大本営のプロパガンダだと分かっていても、ナラティブを捨てられない人々がいるということには日本の教育の敗北を感じます。
お国の御盾となって死んだとされる兵士たち。その内実とは実際どうだったのか。丹念に紐解いてまとめた本書を読むと、彼らの壮絶で凄惨で無惨で何の価値もない死を「英霊」と呼んではその死まで利用しつくした人間たちに対して怒りを禁じ得ません。なんという無駄死にの累積だろう。どんなに苦しく辛かっただろう。どれだけ生きて家族に会いたかっただろう。無念だけが後に残ります。
二度とこうした死を生み出さないこと。やればできる人間の仕業です。なぜ繰り返し繰り返しこんな無体な死が積み重ねられていくのか、切ないばかりの人間の歴史を思います。 -
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ネタバレ戦前国家予算に占める軍事費 日本は
75% アメリカは47%
日清戦争から満州事変まで戦死者における戦病死率が減っていく
日露戦争は史上初めて戦闘による死者数が戦病死者数を上回る
しかし日中戦争から再び戦病死率が増える
森鴎外 脚気予防のための玄米・麦食に反対
徴兵検査 軍医による高学歴者への配慮
そもそも大学進学率は3% 現代は50%
平均身長165
軍の白米食への憧れ
脚気対策へのパン食の導入もこれにより不評
カレーライス、カツレツ、オムレツ、シチューなどは好評 平均3000キロカロリー
米食は大量の水必要、時間がかかる
カロリーはあるものの炭水化物偏重
虫歯対策の過小評価
徴兵数の増加に伴う知的障害、聾、吃音の兵士の増加
盲は飛行士のマッサージ師
輸血の不足
軍靴の不足による草鞋の兵士
マラリア、疥癬とくに海軍で
詐病の増加、軍医の高圧化へ
「出たがりません勝つまでは」
食料をめぐる日本軍兵士間での戦闘
大東亜戦争という呼称→それなら日清戦争は明治27.8年戦役になる
体重比40%の装備
長台関の悲劇
駆逐艦、潜水艦の居住性軽視
高カロリー食による臓器への負担 -
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・みんな読むべき本だと思った。学生時代、『永遠の0』を読んで普通に感動したし、大人になってからも「まあお話として面白いからアリなのかな」と思ってたけど、全然ナシですね。戦争を感動物語にするのは絶対ダメだなと思った。戦争ってほんとダメ。最悪。
・戦闘よりも行軍のつらさに耐えられなくて自殺したり、上官にやられたり、捕虜になることを許されず殺されたり、そういう例が多すぎて最悪すぎるなと思った。あと日本は圧倒的に技術に遅れがあったのになんで戦争を続けてしまったのか。逆にアメリカはなんでそんなに発展してたんだろう?
・大和魂、最悪ですよ。そんな魂持って早死にするくらいなら捕虜になって(できるなら)長生きした方がいい。日本人の残虐さというか。なんかそういうものを見た感じがした。今は、技術的にはもうちょっとマシだろうけど、極限状態の精神性はなんかあんまり変わりがない感じがするから、やっぱり絶対戦争はしない方がいいなと思いました。最悪すぎる。 -
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アジア太平洋戦争で戦った日本軍兵士の悲惨な現実を描いた「日本軍兵士」の続編。日本陸海軍の実態にさらに分け入り、その「衣食住」と背景にある思想に迫る。結論から言うと日本陸海軍の考え方は、人間軽視、この一言に尽きる。衣服や靴の質が悪いためい多くの死者を生んだ。食については、米一辺倒で栄養が偏り、戦争末期にはそれさえ不足して飢餓による死者が膨大な数におよんだ。さらに機械化が遅れ、歩兵は体重の半分以上の装備を身に着けて長距離を行軍しなければならなかった。戦艦では居住性はほとんど考慮されず、士気は極めて低かった。これでは戦争などできるはずがない。この人間軽視の考え方は、戦後の水俣病などにもつながるのではないか。日本人の思想に根本的な問いを投げかける貴重な研究である。
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第二次世界大戦の日本軍の内実について詳しく書かれた本である。日本軍兵士の多くが餓死や病死であること、そして自殺が多かったことを初めて教えられた。また、傷病兵の多くを殺していたこと、神経症を患った兵士も射殺していたことなどむごい行為も知った。さらに、戦場では虫歯やマラリアなどの病気が蔓延し、その対応は無きに等しかった。これらの背景には、兵力が足りないことから兵士には不適格な者を召集した制度、武器弾薬衣服食料などの補給の途絶または生産力不足、蔓延する私的制裁、情報および通信の軽視など、およそ軍隊として成り立っていないと思われる実態があった。そんな情けない日本軍が無謀にも起こした戦争が、日本だけで310万人、連合国が17万人、アジア各国が1900万人以上の死者という悲惨な結果を招いたのだ。
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死者の6割と言う半分以上が戦闘ではなく『戦病死』だなんて、ほんと『現場では』悲惨な状況だったんでしょう。
言葉では表現できないだろうなと思います。まして、戦後産まれて「豊かな」社会生活を享受している私には語る資格なんてないでしょう。
ただ、程度は月とスッポンですが、『現場軽視』というのは今も昔も同じなんでしょうね。
国のために召集に応じ、命を落としてしまった方々、命懸けで戦地に赴いた英霊に感謝しかありません。
ほんと過酷すぎる状況で、ほんと『国を護る』戦い以前の問題で命を削って、ほんとなんと言えば良いのか、、、
なんでこんなにも『現場軽視』な文化なんだろうかと思う次第です。
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本書の内容は解説に集約されている。
近代において、これほど国民・軍人の命を軽視した国家があっただろうか。しかもこれは組織の問題ではなく、日本人の精神構造に起因するものなのか。
本書は旧日本軍兵士について書かれたものであるが、主語を自衛隊に置き換えても成立してしまうところに日本の本質があるように思えてならない。
先の大戦の反省を踏まえ、帝国陸海軍と決別したはずの自衛隊においても人間軽視の歪みがあるのではないか。
あくまで例文としてだが解説の一部を抜粋すると…
無理ある軍拡、「正面装備」以外の軽視、犠牲を強いる構造、生活・衣食住の無視。進まない機械化…精神論、住環境無視…。
自衛隊においても本質的にはほとんど変わっていない、この状況から導き出される結論は? -
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第二次世界大戦に於いて、230万人と多くの日本軍兵士が戦没。拙い装備や戦術、激戦以外にも伸びた兵站による飢えやマラリアで多くの兵士が戦病死した事は認識していたが、その割合が6割にも上っていた事は知らなかった。また、戦病死の割合は日清・日露戦争や第一次世界大戦の頃よりも激増していた。本書は明治以降の日本軍について戦術や兵器ではなく、食糧・衛生・医療・兵站・装備や募兵、犠牲の不平等、人間軽視などといったこれまで余り語られなかった面から日本軍を分析した一冊である。南方での日本軍同士の食糧の奪い合い、本土決戦のために集められた兵士が民家や畑を荒したり神社の鳥居を薪にしたり、こんな状況で戦争を継続出来るわけがない。明治維新から急速に近代化し欧米列強と肩を並べたという文脈で語られがちだが、実態は無理に無理を重ね、国民に無理を強いた張りぼてだった事がよく分かった。華やかな局面だけ見るのではなく、このような悲劇や失敗を教訓にするのが大切だと感じた。また、コラム「戦争の呼称を考える」も大変示唆に富む。
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兵士に焦点を当てた戦争の現実。餓死病死が多かったとはよく聞くけれど、
・虫歯の蔓延
・水無視の蔓延
・餓死の推移
・飢えに伴う略奪の実際
・衣類装備品の実際(靴底が抜ける軍靴)
・私的制裁、その背景の考察
・水中爆傷(海中爆発の衝撃を受けることによる内臓の破裂)
・自殺、自傷
・精神疾患
・荷物の重さ(体重と同じ重さの荷物)
・少年兵への負荷
・生きているものへの罵倒
・軍隊の中にあって、暴力団的な組織の存在
など、ここまで詳細な調査は初めて読んだ。何百万人もこのような状況で亡くなっていったこと知り、あの戦争が国民一人一人に与えた死ととてつもない傷の大きさを思う。日本人はこの本から、あと100年は学び続けることができる。
明治憲法体制の欠陥が根本原因であるという説は初めて知った。もっと学びたい。 -
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この本を読むまで、戦争に関するまともな知識・関心がなかった。
子供の頃、学校の社会見学で原爆ドームに行ったことがあるぐらい。
戦争の悲惨さは被災地のことに焦点を当てて考えていたけど、前線で戦っている兵士についてはあまり想像していなかった。
なんとなく兵士は勇敢に、儚く散っていったものというイメージがあったが、想像を絶する現実を突きつけられた感じだった。
兵士は、アクション(撃ち合いなど)の末に敗れるイメージだった。餓死や栄養失調の問題など、知らないことが多かった。
作戦、物資、機械、部内統制などでも、色んな面で問題を抱えていたんですね。
「続・日本軍兵士」も出ていますので、今度そちらも読もうと思います。 -
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2019年新書大賞を受賞した前作の「日本軍兵士-アジア・太平洋戦争の現実」から待望の続編が出版された。アジア・太平洋戦争では、日本人310万人が死亡し、推計230万人の兵士と80万人の民間人が犠牲となった。230万人の軍人・軍属を喪った6割は戦闘による戦死ではなく、戦病死であった。著者が引用し、著者の恩師である藤原彰氏のバイブル的書籍「飢え死にした英霊たち」でも詳細な推計が行われている。大量死の背景には、第2次世界大戦における機械化部隊に対する日本軍の精神論重視、下級兵士に犠牲を強いる組織機構の問題、兵士の生活や衣食住を無視した兵站軽視、日清戦争や日露戦争で露呈した栄養失調による脚気の再燃。アジア・太平洋地域に戦端を広げすぎたツケが、兵士を無謀な戦争へ追い込んだ軍上層部の無謀な作戦立案と撤退の遅れ。本書は帝国陸海軍の歴史を追い、兵士達の体験・エゴドキュメントを通して、日本軍の本質を描く。本書を読んで、戦争とはいかなる事態に陥るのかを多くの若い人たちに知ってほしい。(428字)
【雑感】
著者は、「おわりに」で続編発行までに長い月日が経ってしまったと回顧するが、7年の月日で著者が様々な書籍出版に関わり、一橋大学の退官記念書籍も発行し、故早乙女勝元氏の後を受けて東京大空襲・戦災資料センターの館長を歴任しながらの労作であることは間違いない。著者は、一橋大学において日本近代軍事史、日本近現代政治史の専門家として、ここ10年のNHKの夏の戦争特集では、毎年時代考証者として解説していることも付け加えておきたい。