あらすじ
1873年の徴兵令の制定以来,文明開化の推進力となり,全国に近代秩序を浸透させた日本の軍隊.それが反近代的な皇軍へと変貌を遂げたのは,なぜか.日本の民衆にとって,軍隊経験とは,どのような意味があったのか.豊富な史料をもとに,「天皇の軍隊」の内実を解明することで,日本の近代を描き出す.
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Posted by ブクログ
大きく分けて2種の観点から日本軍を見る。
ひとつは一兵士から見た日本軍。それは徴兵される存在であり、成人への儀礼通過の象徴であり、満期を上等兵で向かえ故郷に錦を飾るべきものであり、またその職業は貧しい農村出身者の生活手段であった。
祖父がそのまた祖父⁽予備役⁾の載る日露戦役の出征リストを見て、上等兵と記載があるのを見た時に妙に感心をしていた。初めてその理由を理解した。
考えてみれば当然のことなのかもしれないが、軍と地方の関係はいつだって相対的で、地方出身にもいろいろあって農村出身者もいれば大学教員もいるわけで。社会的ヒエラルキーのどの視点から軍を見るかによって軍の評価やとらえ方が変わる。本書は比較的、貧しい日本社会から軍を見ている。そこには、補助的な教育機関としての存在や、立身出世の場としての空間や、雇用の場として一般民衆が軍を利用していたことが分かる。
もうひとつは国軍から皇軍意識への変化を知ることができる。ひとつの象徴としてサーベルの変化が挙げられており、1930年代のいわゆる対外紛争や戦争を繰り返した時代にあって、天皇の名を利用した国粋主義的な動員がなされたことを知ることができる。
何が日本軍を支えたのかという疑問に対するひとつの視座があった。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
1873年の徴兵令制定以来、文明開化の推進力となり、全国に近代秩序を浸透させる役割を果たした日本の軍隊。
それが、十五年戦争期のような反近代的で精神主義的な軍隊になってしまったのは、なぜか。
日本の民衆にとって、軍隊経験とは、どんな意味があったのか。
豊富な史料をもとに「天皇の軍隊」の内実を解明する。
[ 目次 ]
序章 分析の視角
第1章 近代社会の形成と軍隊(時間・身体・言語;軍隊と「文明開化」 ほか)
第2章 軍隊の民衆的基盤(「人生儀礼」としての兵役;軍隊の持つ平等性 ほか)
第3章 総力戦の時代へ(軍部の成立;軍改革への着手 ほか)
第4章 十五年戦争と兵士(国軍から皇軍へ;大量動員とその矛盾)
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