陸秋槎のレビュー一覧

  • 喪服の似合う少女

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    ネタバレ

    1934年の上海。女探偵劉雅弦のハードボイルド小説。
    行方不明になった女学校の友の捜索を大富豪の少女が探偵に依頼するところから始まる。当時の中華民国の世相を濃密に描き、少女たちの複雑な関係、探偵の過去が明らかになっていく。陸秋

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    2025年09月16日
  • 喪服の似合う少女

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    一九三〇年代の中華民国の架空都市を舞台に繰り広げられるミステリ。作者は日本在住の方であり、あとがきでは若竹七海や北村薫らの名を挙げつつ日本ミステリ小説界の一部へのリスペクトが示される反面、最近の日本ミステリ界への痛烈な批判も記されている。物語の中盤で一旦あっさりと事件が解決したようにみえてからが本番。主人公の私立探偵劉雅弦は、暴漢にあっけなくやられてしまうような、あまり強くないヒロインだが、ラストシーンでみせるやりとりは、まさにハードボイルド。

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    2024年10月02日
  • 喪服の似合う少女

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    ネタバレ

    陸秋槎を初読。勝手なイメージでラノベ寄りのミステリを書かれる方だと思っていたが、今作は歴史ハードボイルド作品。

    女性の私立探偵、劉の元に、少女から同級生の行方を探してほしいと依頼がある。足取りを追う劉。一見、ただの家出に見えたが、事態は思いもよらない展開に。。。

    時代は1930年代。あとがきによれば中国では、この時代にしか私立探偵は成り立たないとのこと。
    テンプレートな事件、展開ではあるものの、最近は滅多に見なくなった私立探偵もののため、最後まで楽しめた。

    作中の劉のかっこよさは折り紙つき。またラストも非常にやるせなく。でもそこが、なんとも言えない余韻を残す。良作。

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    2024年09月26日
  • 喪服の似合う少女

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    私は好きだった。読み終えると主要人物が全て女性だったと気付く。私立探偵、被害者、全てのモデルケースがここに集まったのかと思う程きちんとされている。1930年代の中国の雰囲気も堪能できる。登場人物の生き方がリアルでミステリを味わいながらかつての中国の貧困さにも言及していて良かった。

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    2024年09月22日
  • 喪服の似合う少女

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    ★5 私立探偵が人探しの依頼を受け… 女性のプライドと力強さを描いた人間ドラマ #喪服の似合う少女

    ■あらすじ
    1930年代の中国、女性私立探偵の劉雅弦に依頼がやってくる。依頼主は実業家の娘からで、友人の岑樹萱を探してほしいというものだ。劉雅弦は調査を始めるも、岑樹萱の父親は事業で失敗して夜逃げをしており、彼女も行方しれずだった。足取りを追い続ける探偵劉雅弦であったが、背後に隠された事実が見え隠れするようになり…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 これまた渋みのあるいい小説!

    一人称視点で描かれる私立探偵小説。人探しから始まる物語で、着実にストーリーが展開されていきます。全編通して探偵

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    2024年09月21日
  • 文学少女対数学少女

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    作家を目指している少女と天才数学少女が推理小説を通じて関係を深めていくお話です。作中作が何個か登場し、文学少女はミステリ的な観点から、数学少女は数学らしく型に当てはめて推理をしていく様子はこれまで推理小説を読んでいく上で気にしたことがなかった視点を与えてくれました。犯人当てゲームという非日常と主人公たちの世界という日常の切り替えといった点も驚くほど上手くてお気に入りの一冊になりました。
    この作家さんの作品は初めて読んだのですが、3作目だそうで、本作の主人公が以前にも登場しているのでそちらも読もうと思っています。ただ、ここから読んでも特に問題は無かったです。

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    2024年02月15日
  • 文学少女対数学少女

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    “数学”が物語に組み込まれたミステリ小説。ミステリ好き・数学好き必読。第一話『連続体仮説』における韓采蘆の論理的推理は圧巻。数学者・カントールの『数学の本質はその自由性にある』という言葉は、そのまま推理小説にも当てはまるもので、数学と推理小説はとても似ている。

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    2023年09月27日
  • ガーンズバック変換

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    表紙のイラストで青春ものかと思って読み始めると打ちのめされる。
    文献からカルチャーまで圧倒的な情報を元に広義のSFホラ話8編が展開する。
    題材は、代作家、吟遊詩人、詩人、ゲームシナリオ、マジック、作家伝、近未来、百合SF*。
    *百合小説とは女性同士の関係性を描く小説
    ミステリで日本デビューした中国人作家で、SFは自分でハヤカワに売り込んだとのこと。

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    2023年06月06日
  • 元年春之祭

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     前漢時代という背景と生国や立場が違いが活かされた結末だと思いました。
     また、「アニメ的なキャラクター表現」と後書きに書かれている通り、於陵葵、観露申、小休における人間関係や、観若英と観江離、そして亡き観芰衣との描写、度々論を交わす於陵葵と観若英等の表現が百合を感じさせられました。



     於陵葵がもう少し心情を露わに出来ていたら、観露申との仲も拗れず、小休もあんな行動に出なかったのではないかと考えずにはいられません。しかしながら、於陵葵の不器用ながらも小休の事を思う優しさに気付いていたが故に、小休もまた、於陵葵の事を思い行動に移したのだとも思え、とてもやるせない気持ちになりました。
     小休

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    2022年05月31日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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     最後まで読んで、5年前の唐梨の事件を追い、馮露葵と姚漱寒が憶測混じりで幾つかの推理を出していたのは、呉莞の事件を追う上での読者へのヒントであったのだと思いました。

     今回、馮露葵も姚漱寒も数多の推理を披露しましたが、そのどれもがあり得そうなものであり、そしてそれを犯人が認めなければ確たる証拠は無いというもので、5年前の唐梨の事件の犯人が誰でもあり得そうだと思いました。それは、呉莞の事件の動機が感傷的なものだった事から、動機があてにならないという事からもそう思わせられました。



     馮露葵の持つ才能への羨みや普通である事の不安は、先の見えない学生だからこその思いだと思います。頑張って普通に

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    2022年05月20日
  • 文学少女対数学少女

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    ネタバレ

     推理小説を数学を用いて読み解いたり、数学を推理小説に置き換えて説明したりしていて、一見関係無さそうな数学と推理小説の類似性を感じられて面白かったです。

     私は推理小説を全然読んでいないので〈後期クイーン的問題〉やヴァン・ダイン等は分からないのですが、今作を通じて推理小説の自由さや難解さを垣間見た気がします。
     特に4話の犯人当てで、解答が複数存在すると宣言し、参加した人達が皆、違う答えに行き着いた処が推理小説の可能性を感じました。
     また、1話で陸秋槎と韓釆蘆が無矛盾性と完全性を話していながら、4話では解答が唯一では無いとする事でフェア・プレイを保っていたのも印象的です。無矛盾性と完全性が

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    2022年04月30日
  • 文学少女対数学少女

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    今年のこのミスで知って気になったので読んでみた。
    華文ミステリははじめてで、思ったより読みやすくて驚いた。数学の難しいことはわからないが、純粋にミステリとして楽しく読めたし、麻耶雄嵩的なおもしろさがあるとこも高評価したくなる。ただ、最終話がやや尻切れとんぼに終わったので、もう一話ほしかった気もする。

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    2021年12月27日
  • 文学少女対数学少女

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    数学の天才である女子高生の韓采蘆(かんさいろ)が探偵のような立場で事件を解決する。登場人物の陸秋槎(りくしゅうさ)は推理小説好きで犯人当て小説を校内誌に発表するような女子高生。秋槎などが書いた小説の犯人を数学的手法で犯人を特定する。数学と推理の相性の良さに感服した。学校では習わないような数学の知識が使われることはあるが、采蘆が話すのは文系の人々に向けてなので、解説も分かりやすい。数学好きなら論理の穴を探してみるのもよい、数学嫌いな方は新しい推理手法として小説を読むのもよい。

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    2021年06月29日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    痛い程に響く百合だった。才能という壁は学生にとって、あまりにも大きい。『特別な何者か』になれない苦しさを抱えていた露葵は、もっと周りをちゃんと見てほしかった。本当はすでに、「誰かの特別な何者か」だったのに。
    白い雪、密室・・・・・・、これは事件の話だけど、露葵の心の痛みのようにも感じられた。雪のように白く冷たく心を覆われ、そしてなりたいものになれず閉ざされた世界・・・。彼女たちには幸せになって貰いたかった。

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    2021年06月26日
  • 文学少女対数学少女

    購入済み

    中華ミステリーの秀作!

     中国人ミステリー作家による数学系推理シリーズ。文学少女の方は普通の女子高生よりだが、数学少女は教授然とした口ぶりでキャラがやや濃い。主人公の陽キャな親友も交えて、三角関係百合風味となる。
     ダークな雰囲気の著作が多いと聞く作者だが、この小説に関しては明るめで万人受け要素が強い。ただし、数学に詳しい方がより楽しめるかも。

    #癒やされる

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    2022年09月29日
  • 元年春之祭

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    ネタバレ

    まさに一気読み。
    舞台が前漢時代ということだったので、読み始めはリタイアしてしまうかとも思ったんですが、とんでもない。
    ミステリーとしても、時代小説としても面白かった。
    残念なのは私の漢文知識ですね。
    次の作品が、いまから楽しみ(^^)

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    2019年08月18日
  • 元年春之祭

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    元年春に。学園モノも読みたい!翻訳を待つ…。
    麻耶先生『隻眼の少女』三津田先生『厭魅の如き憑くもの』、未読なので読まにゃあ。

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    2019年05月19日
  • 元年春之祭

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    ネタバレ

    漢詩、漢籍の教養を試されるという意味では衒学的だ。このポイントで熱狂するひとは少なからずいるだろう。
    だが私が最も評価するのは、
    「その時代ならではの人間心理に基づいて展開された本格ミステリ」
    という点である。文句なしに星5をつけたい。

    本格ミステリと言って、アガサ・クリスティの作品を挙げれば、たいていの人の異議は無いだろう。
    では彼女が描き愛したビクトリア朝の世界において、本当にものを考え、煩悶し、結果として殺人という罪にすら手を染めるのは、誰か?
    ほぼほぼ決まって支配階級の人間である。
    執事や料理人、他の使用人階級は、現代人の我々が論理をもって考えるといかようにも怪しめるのに、犯人とはな

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    2019年01月30日
  • 元年春之祭

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    ネタバレ

    意外に読みやすく、しかも、本格ミステリーだったので星は5つ。その時代の女の子の立ち位置や家族の関わりなど理解できた。
    と、それよりもやっぱり、ミステリー感が素晴らしかったので。最後まで楽しめました。

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    2018年10月02日
  • 喪服の似合う少女

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    とても翻訳が頑張っていて、読みやすい。1930年代の中国の架空都市という、全くイメージがしづらい舞台なのだが、非常にするすると読めた。主人公の性別や、舞台設定が明らかになるポイントが面白くて、「えっ女性なの!?」、「えっ現代じゃないの!?」ってイベントの本筋と関係ないところでびっくりした。誰が黒幕だとしてもなんだってこんなに回りくどいことを…と思いながら読んでいたが、種明かしで納得。なんていうか言語化しづらいけどとても中国的な終わり方。

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    2025年10月06日