陸秋槎のレビュー一覧
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華文本格ミステリということで、果たしてどんなミステリなのかと思っていたら、予想していた以上に、日本の本格ミステリを拗らせたような(いい意味で)ガチガチのメタ的な視点の入った本格ミステリでした。
収録作品は4編。それぞれに作中作があり、作中作と実際に起こる事件に、ミステリ好きの文学少女・陸秋槎と天才数学少女・韓采蘆が挑みます。
韓采蘆が数学の理論と交えて語るのは推理小説の矛盾や新たな視点。ミステリに唯一の正解なんてものがあるのか。トリックや犯人を指摘しないミステリは可能なのか。
いわゆる後期クイーン的問題を数学の理論に絡め、話は進んでいきます。正直数学理論については大概ついていけなかったの -
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表紙が可愛いという理由だけで手に取ったら
なんと華文ミステリー。しかも本格。
自身が書いた推理小説に自信がない高校生・陸秋槎
(りくしゅうさ)は学校で数学の天才と有名な
韓采蘆(かんさいろ)にアドバイスを求めようとする、
すると采蘆は…。
全4篇、すべて作中作を読み解き(?)かつ
現実の問題も解決(?)していく物語。
なぜ(?)なのかというと、ミステリの超初心者読者
の私としては「なんで?」「それはアリなの?」
「どうしてそうなった?」「ところで○○は?」
と(?)の連続だったからです。
数学が分からなくても(いい意味で)浅く楽しく読めました。
数学が大好きなら深く楽しく読むことができ -
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ネタバレ――
Das Wesen die Detektivgeschichte liegt gerade in ihrer Freiheit.
青春百合小説に擬態しているものの、その実体は数学×ミステリ論を元に後期クイーン的問題を中心としたミステリの不自由さに真っ向から挑んだ論文的作品。うわぁなんだこれ!
不完全で不自由で自由なその論点は、確かに青春の証明不可能性と通じるところがあるのかもしれない。
数学は基礎の基礎で逃げ出した自分にも、その仕組みは理解できるくらいにそれぞれの数学的要素が語られているのが凄い。数学愛もミステリ愛もなきゃできないなぁ。
数学者というか数学愛好家という -
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古代中国が舞台のミステリ。
名家で殺人事件が起こり、滞在していた利発な娘が推理することに。
前漢時代の中国。
かっては楚という国の狩り場があった地方。
国の祭祀を担った名門の観一族は、今はあまり表には出ない。それでも春の祭儀の準備は怠りなかった。
ところが当主の妹が殺され、犯人が全くわからない、ありえない状況だったのです。
於陵葵(おりょうき)は、豪族の娘で、都から伝統ある祭祀の見学に来ていました。
才気あふれる勝気な娘で、観一族の少女とも何かと火花を散らすが、大人たちとも対等に渡り合って論じる。
じつは四年前にも、前当主一家が惨殺される事件があった…
読者への挑戦状も挟んだ構成の本格ミス -
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虐めで雪の夜に寮から外に追い出された少女が次の日の朝、雪の密室の中死体で発見される。5年後、寮で起きた虐めをきっかけに生徒会長馮は自殺で片付けられたこの事件の真相を追い始める。そして事件をなぞったような少女の死体が発見される…。過去の事件を調べる為に虐めの首謀者達に会って傷えぐり倒す手法が大胆で日本との違いに驚く。最終的には「何故」重視で少女時代の閉塞感とかちょっとしたずれからの悲劇にしんみりする。2つの事件の謎を消去法で絞っていく過程はお手本のようなミステリ。名前何度も人物表で確認しないと判らなかったりで読みにくかったけどほんのり百合要素含め美しかった。
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一部ではあるが、犯人と自分がシンクロして眩暈を感じた。青春「百合」ミステリー。前作「元年春之祭」は、前漢時代が舞台だったが、今回は現代の高校が舞台。難しい漢字は出てこなかったが、中国の人名になじみがないので、男女の区別がつかなかった。別紙で登場人物表が挟み込まれていた。これ、しおりに代わりにもなる。
今作も若い女の子が主役。頭は切れるが、決して明るい性格ではないし、曲がったところもある。そして、百合の要素。今作は、ダークな「古典部」シリーズといった趣がある。ライトノベルならぬダークノベルか。前作もそうだったけど、この感じは嫌いではない。あと、終章は蛇足で、いらないと思った。