陸秋槎のレビュー一覧

  • 文学少女対数学少女

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    華文本格ミステリということで、果たしてどんなミステリなのかと思っていたら、予想していた以上に、日本の本格ミステリを拗らせたような(いい意味で)ガチガチのメタ的な視点の入った本格ミステリでした。

    収録作品は4編。それぞれに作中作があり、作中作と実際に起こる事件に、ミステリ好きの文学少女・陸秋槎と天才数学少女・韓采蘆が挑みます。

    韓采蘆が数学の理論と交えて語るのは推理小説の矛盾や新たな視点。ミステリに唯一の正解なんてものがあるのか。トリックや犯人を指摘しないミステリは可能なのか。

    いわゆる後期クイーン的問題を数学の理論に絡め、話は進んでいきます。正直数学理論については大概ついていけなかったの

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    2021年11月21日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    ネタバレ

    華文ミステリ。百合成分ありのライトノベルっぽくもあり。

    寮が併設された学校でいじめに遭っていた少女が死亡した。5年後、生徒会長の馮露葵、学生寮長の顾千千、図書室司書の姚漱寒はこの事件の解決に挑むが…。青春小説の趣が強い作品。

    「融けたくない」と願う雪の結晶のような少女達。互いにツンツントゲトゲしている会話が雪華の花びらのよう。煌めきが眩しい。

    トリックとしてはどうかな?という部分と、華文翻訳文を読みなれてないためもあるのか少し読みにくさがありました。

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    2021年04月22日
  • 元年春之祭

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    最近話題の華文ミステリの一作。やはり人物名が覚えにくいのがつらいところ。更には推理小説ではよくある衒学要素として、膨大な漢文が引用されているのでもう大変。正直序盤は全く入り込めなかったが、後半になると少しは慣れてきて楽しめた。ミステリとしては意外性もあり、特にホワイダニットが見もの。なかなか読むのが難儀な本だが、華文ミステリに興味があるのならぜひ手にとって欲しい。

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    2021年04月11日
  • 文学少女対数学少女

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    表紙が可愛いという理由だけで手に取ったら
    なんと華文ミステリー。しかも本格。

    自身が書いた推理小説に自信がない高校生・陸秋槎
    (りくしゅうさ)は学校で数学の天才と有名な
    韓采蘆(かんさいろ)にアドバイスを求めようとする、
    すると采蘆は…。

    全4篇、すべて作中作を読み解き(?)かつ
    現実の問題も解決(?)していく物語。

    なぜ(?)なのかというと、ミステリの超初心者読者
    の私としては「なんで?」「それはアリなの?」
    「どうしてそうなった?」「ところで○○は?」
    と(?)の連続だったからです。

    数学が分からなくても(いい意味で)浅く楽しく読めました。
    数学が大好きなら深く楽しく読むことができ

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    2021年03月22日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    これはミステリの形を取った青春小説。若さが持つ儚さ、脆さが繊細な表現で実に上手く表現されており、誰もが10代だったころに感じた“何者でもない自分に対する不安”を思い起こさせる。あと訳と表紙が最高。

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    2021年03月21日
  • 文学少女対数学少女

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    文学少女“陸秋槎”と数学少女でミステリと数学の話を四篇。ミステリの考え方、後期クイーン的問題に対する、現実的で数学的なアプローチは読んでいてなるほどなぁと感心してしまった。話にしても日常の謎もあり、しかし殺人もあり…と読み飽きない。同作者の「雪が白いとき、かつそのときに限り」はまだ読めていないので、それも読みたい。

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    2022年01月16日
  • 文学少女対数学少女

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    ネタバレ

    ――

     Das Wesen die Detektivgeschichte liegt gerade in ihrer Freiheit.


     青春百合小説に擬態しているものの、その実体は数学×ミステリ論を元に後期クイーン的問題を中心としたミステリの不自由さに真っ向から挑んだ論文的作品。うわぁなんだこれ!
     不完全で不自由で自由なその論点は、確かに青春の証明不可能性と通じるところがあるのかもしれない。


     数学は基礎の基礎で逃げ出した自分にも、その仕組みは理解できるくらいにそれぞれの数学的要素が語られているのが凄い。数学愛もミステリ愛もなきゃできないなぁ。
     数学者というか数学愛好家という

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    2021年01月05日
  • 文学少女対数学少女

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    後期クイーン的問題と真っ向から切り結ぶメタミステリの短編集。もっとてらいのないパズラーだと思い込んでいたのだけれど、えらく屈折している。その手の議論にあまり関心のない向きには、(ミステリとしては)少し退屈だが、代わりに炸裂する百合感が興味深い。さすがに「アステリズムに花束を」への参加を「強要」したと作者本人が明言するだけのことはあるか。

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    2020年12月07日
  • 元年春之祭

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    古代中国が舞台のミステリ。
    名家で殺人事件が起こり、滞在していた利発な娘が推理することに。

    前漢時代の中国。
    かっては楚という国の狩り場があった地方。
    国の祭祀を担った名門の観一族は、今はあまり表には出ない。それでも春の祭儀の準備は怠りなかった。
    ところが当主の妹が殺され、犯人が全くわからない、ありえない状況だったのです。

    於陵葵(おりょうき)は、豪族の娘で、都から伝統ある祭祀の見学に来ていました。
    才気あふれる勝気な娘で、観一族の少女とも何かと火花を散らすが、大人たちとも対等に渡り合って論じる。
    じつは四年前にも、前当主一家が惨殺される事件があった…
    読者への挑戦状も挟んだ構成の本格ミス

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    2020年10月15日
  • 元年春之祭

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    古い埃の匂いが感じられる前漢時代が舞台のミステリ。読者への挑戦状付き!祭祀を司っていた貴族の観一族。豪族の長女の於陵葵が客人として訪れた次の日に一族の一人が小屋の中で殺害された。博覧強記の葵は侍女の小休を連れ観家三女の露申と過去の事件も含めて解決に乗り出すがやがて次の犠牲者が…。漢詩の解釈や古代中国史の薀蓄が満載でくらくらするけどそれも含めて一つの解決を指し示す手腕は見事。3人の少女が織りなす関係が現代から見ると過剰に思えるけどだからこそ結末の重さが光る。いや、現代中国人も色々過剰か。

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    2020年04月03日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    ネタバレ

     タイトルがトリックなどに関係があるのかと思って読んでいましたが、特に関係なかったですね。過去の殺人事件にまつわる女子高生と元女子高生たちの群像劇ともいえる作品かと思いましたが、それ以上に女子高生ものでした。ワイダニットが好きな私としては、この動機筋は感傷的で印象深かったですし、結末もきれいな印象でした。ところどころの描写も繊細。後半は筋を追うのを急いであまり味わえなかったので、後半部分だけでもまた読み返そうかと思っています。

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    2020年01月15日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    虐めで雪の夜に寮から外に追い出された少女が次の日の朝、雪の密室の中死体で発見される。5年後、寮で起きた虐めをきっかけに生徒会長馮は自殺で片付けられたこの事件の真相を追い始める。そして事件をなぞったような少女の死体が発見される…。過去の事件を調べる為に虐めの首謀者達に会って傷えぐり倒す手法が大胆で日本との違いに驚く。最終的には「何故」重視で少女時代の閉塞感とかちょっとしたずれからの悲劇にしんみりする。2つの事件の謎を消去法で絞っていく過程はお手本のようなミステリ。名前何度も人物表で確認しないと判らなかったりで読みにくかったけどほんのり百合要素含め美しかった。

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    2020年01月12日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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     一部ではあるが、犯人と自分がシンクロして眩暈を感じた。青春「百合」ミステリー。前作「元年春之祭」は、前漢時代が舞台だったが、今回は現代の高校が舞台。難しい漢字は出てこなかったが、中国の人名になじみがないので、男女の区別がつかなかった。別紙で登場人物表が挟み込まれていた。これ、しおりに代わりにもなる。
     今作も若い女の子が主役。頭は切れるが、決して明るい性格ではないし、曲がったところもある。そして、百合の要素。今作は、ダークな「古典部」シリーズといった趣がある。ライトノベルならぬダークノベルか。前作もそうだったけど、この感じは嫌いではない。あと、終章は蛇足で、いらないと思った。

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    2019年12月02日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    ケレン味たっぷりの青春ミステリ。密室トリックけっこう頭使う。しかし、〇〇役が〇〇だったという最大のトリックさえも霞むくらいの、青春の清冽さ。

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    2019年11月19日
  • 元年春之祭

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    前漢が舞台のミステリー小説とは初めて。なんだか興味深く読み進められるが、探偵役の子は好きになれない...

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    2019年07月03日
  • 元年春之祭

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    中華歴史ミステリっていうか完全にただの百合じゃん。クライマックスでネタバラシされてからはちょっとベタすぎる感情描写だったけど、わりと淡々と事件の描写があったり、風習の話をしていた序盤から急にむちゃくちゃ喧嘩を始める女~~!からのド重い本心全部台詞で語っちゃうラストは正直アガる。葵と小休の距離感はほんとにいい。

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    2019年06月06日
  • 元年春之祭

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    中国ミステリーということで若干の不安もあったものの
    そんなに違和感なくミステリーとして読めた点は良かった。

    漢詩が多く出てくるのでそこで戸惑うこともあると思うけど
    一番難しいのは舞台となっている前漢時代の
    ものの考え方・価値観を理解することかもしれない。

    自分にはそこが一番きつかった。

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    2019年03月08日
  • 元年春之祭

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    初めて中国人作家のミステリーを読んだ。漢字が多すぎてついていけないところもあったり、主人公が侍女を虐待する場面もあってなかなか共感できなかったが物語の最後で主人公の思いがあかされるところでほっとした。ほろ苦い以上の結末で、陸氏の次の作品が読みたいと思った。

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    2019年02月12日
  • 元年春之祭

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    まずごめんなさい。百合は響かなかった…
    アニメ的少女の表現は好きだ。

    前漢時代の歴史的背景や説明が長い。勿論必要不可欠だが。
    それを超えたら…

    読者への挑戦状。本格ミステリだ!!
    ホワイダニット、ダイイングメッセージの扱いが素晴らしい!!

    また新しい本格ミステリの時代がきたように感じた。
    華文ミステリの草分け的作品になるはずだ。

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    2018年10月30日
  • 元年春之祭

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    漢王朝の時代を舞台にしたミステリという点が面白く、豊富な古典からの引用や解釈も楽しく読んだ。ミステリ要素に興味はないため、ミステリとしての巧拙はわからない。

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    2025年11月02日