青木千鶴のレビュー一覧

  • 二流小説家

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    タイトルや装丁が今ひとつピンと来なくて、読むのを後回しにしていたけど、すごく面白かった!
    主人公のマネージャー的存在が女子高生だったり、殺人現場のグロい描写が印象的だったりと、妙に自分に刺さる要素が多かった気がします。
    アメリカではそれほどヒットしなかったそうなのだけど、日本では高く評価されたというのをネットで見かけて、なんとなく納得。
    ユーモアもあって、女性とイチャイチャしたり、しんみりしたり……

    長かったー!

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    2025年07月22日
  • エレベーター

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    ネタバレ

    兄ショーンを銃で殺されてしまったウィルは、掟に従って仇を討とうと考える。
    そして、ショーンが隠していた拳銃を隠し持って、母に見つからないように、自宅のある8階から、こっそり下りのエレベーターに乗り込む。
    誰にも会いたくない状況なのに乗り込んできた男はジロジロと自分を見る。
    俺がわからないのか?わかりません。バックだった。ショーンの兄貴分。
    なかなか次の階につかないエレベーター、次々と現れる、もう会えないはずだった人々。彼らとの会話から、ウィルはだんだんと自分のやろうとしている事の意味を考える。
    詩の形式で語られる物語。読みやすいが、深く心に落ちていく言葉。
    銃社会のアメリカの悲惨な現実とその犠

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    2025年06月18日
  • 二流小説家

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    ネタバレ

    おおいに楽しめる小説だった。まず『二流小説家』という邦題がなんともよろしい。原題では「The Serialist」(連載作家)となっている。主人公であり語り部である「ぼく」は、大衆雑誌にヴァンパイア系小説やポルノ小説を書いたり、バイトで家庭教師をしたりと気ままに暮らす「二流小説家」。その「二流小説家」がある日、連続殺人鬼で死刑が迫る囚人からファンレターを受け、独占の告白本執筆を持ちかけられるが・・・という物語。ミステリー小説なのに私小説風で、最初のうちは「ライ麦畑でつかまえて」のような感触を持ったが、主人公の書く連載作品が微妙な関連性を示唆しつつ並行して挿入され、読んでいるうちに「ぼく」の実在

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    2020年11月01日
  • 熊の皮

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     圧倒的な自然描写力、とはこういう本のことを言うのだろう。作者はヴァージニア州の山の中で育ち、ヴァージニア大学で法学と美術額を修め、ネイチャー系のライターをしながらこの初の創作に取り組んだそうである。

     主人公は作者の想いを乗せたワイルドな主人公。メキシコ国境の砂漠での密売人の過去を振り捨てて偽名でアパラチア山脈で自然保護管理の職につき世捨人同然の孤独な生活を送っている。発端となったのは熊の死骸だった。皮をはがされ、熊胆(くまのい)や熊の手が取り出された残虐な殺戮。甘い蜜の罠に、犬たちの首輪に仕掛けられたGPS。現代の山の中での犯罪に、古いタイプの男が挑む。パートナーは、あからさまな暴力の犠

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    2020年03月03日
  • 熊の皮

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    ライス・ムーアはターク山自然保護区の管理人。資産家が周辺の土地を買い集めて私有地とし、みだりに原生林に立ち入ることができないようにしている。しかし、私有地となる以前から住民は森に出入りし、熊猟を行っていた経緯があり、密猟が絶えなかった。ライスの前にいた管理人である女性生物学者サラは、密猟者を摘発したことを恨みに思う何者かによって暴行の上強姦された。ライスの雇い主はサラを治療させるとともに、後任としてライスを山に向かわせたのだった。

    ライスにとっても、自然保護区は身を隠すには絶好の場所だった。ゲートに施錠すれば、私道を出入りすることはできない。もし、そこを突破されても山小屋まで来る間に迎え撃つ

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    2019年12月12日
  • 二流小説家

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    「ミステリが読みたい」「このミステリーがすごい」「週刊文春ミステリーベスト10」の海外部門1位との触れ込みも、本国ではあんまり評価が高くないと聞き、ちょっと手を出しにくかった本作。
    正月休みに思い切って手を出してみたら・・・大正解!
    面白い!
    ちょっと自虐的な、皮肉交じりの一人称スタイルは「女王陛下の魔術師」を彷彿とさせる。
    (まぁさすがにあっちの方が皮肉屋だけど)
    途中で挿入されるハリーの小説もいい雰囲気を作り、もうこのままクレアちゃんとダニエラといちゃいちゃしてればいいんじゃないかと思い始めた中盤から一気に物語が加速する。
    そこから最後まではもう目が離せない。
    ミステリとしては謎解きはちょ

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    2017年02月12日
  • カンパニー・マン(上)

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     ヴェンチェンゾ・ナタリの映画『Cipher』の邦題が『カンパニー・マン』だった。ナタリの映画がちょいと気が利いていたので、本書も気になった次第。本書は原題も同じ。しかし、ミステリ賞とSF賞を受賞しているというように、なかなかにジャンルを特定できない小説である。

     まずはスチーム・パンクないし平行世界もの。
     19世紀終わり、ワシントン州のイヴズデンという漁村で発明家クラヒーを見出した実業家マクノートンが、マクノートン西部機械工業社を興し、ついにはその技術力でヨーロッパを脅迫して、第一次世界大戦を回避してしまったという、1919年の、開発で膨れあがったイヴズデン市が舞台。

     加えて、ちょっ

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    2016年02月12日
  • カンパニー・マン(下)

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     カンパニー・マンとはマクノートン社に雇われる「諜報員」であるヘイズのことであろうか。最後に上司ブライトリーに「組合もへったくれもない、企業もへったくれもない」と言い放つにせよ、彼はマクノートン社の命で組合員の調査に当たっているのだから。
     お目付役にサマンサを付けられ、社内の下級労働者のみを面接しろと命じられながら、彼はすぐに逸脱し、労働組合の指導者ミッキー・タッツに接触する。それがきっかけとなって、事態が大きく動く。刑事ガーヴィーは窮地に立たされ、ガーヴィーを愛するサマンサは、彼を助けるためにとった行為のためにマクノートン社から解雇される。謎の突破口をつかみ出したヘイズは自分自身と彼らを救

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    2016年02月12日
  • 二流小説家

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    展開の予想が全くつかなかった。二転三転する物語に引き込まれること間違いなし。
    自分を偽ってばかりのハリーの成長の話でもあるし、ミステリーでもあるし、サスペンス、ロマンスでもある。
    様々なジャンルが絶妙に重なりあっていて、とても素敵だった。

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    2014年10月06日
  • エレベーター

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    詩の形式を取りながら、復讐の応酬の虚しさを強烈に訴える作品。
    スラム街に住む少年ウィルは、兄を殺され、「掟」に従うため、兄の銃を持ってマンションのエレベーターに乗り込んだ。「掟」とは、泣かないこと、密告しないこと、復讐すること。
    この「掟」も警察から理不尽な扱いを受けてきた故に生まれたものなのだろう。
    自宅のある7階から1階まで降りる間に、ウィルは不思議な体験をする。ウィルは復讐を果たすのか。

    エドガー賞YA部門、ロサンジェルスタイムズ文学賞YA部門受賞ほか、多数受賞

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    2025年06月24日
  • エレベーター

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    麻薬や犯罪が日常化するアメリカ社会では、衝動に駆られ行動を起こしてしまう少年少女が多い。10代に向けて書かれたこの小説は、全文を詩で綴られている。

    おととい兄のショーンが殺された。
    アトピーにかかっている母さんのために石鹸を買いに出かけて…。
    15歳のウィルは、兄が隠していた銃を箪笥から探し出しこっそり家を出た。
    「泣くな。 密告はするな。
    "掟"に従って犯人を探し殺すのだ!」

    8階から動き出すエレベーター。
    7、6、5…各階でドアが開く度に、乗ってくるのは二度と会えないはずの人たち。煙草の煙と軋む音の中で交わされる声、声、声。
    密閉された空間とLobbyまでの1

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    2025年06月22日
  • 二流小説家

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    あらすじを読んで衝動買い、積読後、ようやく読み終わりました。ジャンルでは探偵モノになるみたいですが、描写が結構キツいところもあり、好き嫌いが分かれるところかもしれません。文体的には読みやすく、ニューヨークの情景を思い描くこともできました。

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    2024年08月24日
  • ミセス・マーチの果てしない猜疑心

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    ネタバレ

    信用できない語り手というのでしょうか?
    最初ミステリーなのかと思って読み出したけど早々に殺人云々は主題じゃないのだと気づいた。
    ミセスマーチは端的に言ってかなり嫌な性格なんだけど、嫌いにはなれなかったし(実際近くにいたら嫌だけど)最後はかわいそうだなと思いながら本を閉じた。時代に要請される属性の型に押し込められて、とうとう自己崩壊の道を辿る主人公を息遣いも感じる程すぐ横で見ているような臨場感。この作者の新作が出たら是非読みたい!

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    2023年09月05日
  • カンパニー・マン(下)

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    人間の知性が導き出すもの
    下巻、このSFミステリー小説は現代に起きるかのような予言にも思えた。それは「人間の知性が新たな欲を醸し出し、新たな文明が街を、国を、世界を作り出す。やがて人間が貪欲となるにつれ領土を増やそうと人間同士の戦争を引き起こす。それが敷いては人類を壊滅状態に導きだす。最終的には地球の壊滅をも引き出してしまう」と言うメッセージだ。今まさに原爆の使用有と独裁者のプーチンが叫び出した経緯が、この小説の人類滅亡の予言にピッタリ当たるのでは無いかと心配だ。

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    2022年08月25日
  • カンパニー・マン(上)

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    上巻、寂れた漁村を大都市に成長させたマクノートン社には隠された秘密が多数あった。経営者と労働者の紛争を組合と言う組織を作り、労使問題する火の粉を組合員が防ぐ役割を持たせた。それがある殺人事件につながる。さらに人の心が読めると言うの力を活かし秘密捜査員ヘイズを利用して経営者と労働者との関係から事件に発展しないように調査を開始させる。

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    2022年08月25日
  • 続・用心棒

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    作品を無条件に楽しめる作家の一人です。仲間が皆一応無事で良かった。新しいキャラも登場して、また次の事件を楽しみに待ちたいと思います。

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    2022年03月02日
  • 続・用心棒

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    前作に続いて読んだが主人公以外の登場人物も個性的で面白い。ストーリーの中に主人公と女性がすれ違うという日本のすれ違いドラマのような雰囲気もなかなか愉快。

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    2021年11月10日
  • エレベーター

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    詩の面白さとテーマの重たさと、でも空白が大きいからこそもたらされるある種の軽さとが効果的に組み合わさった素晴らしい作品。ジェイソン・レノルズは『オール・アメリカン・ボーイズ』で初めて知ったけど、他の作品も読みたい。

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    2021年09月06日
  • 二流小説家

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    知らずと2回目。
    タイトルでは思い出さなかったが、数ページ読んで思い出した。ということは覚えているということ。

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    2021年08月07日
  • 続・用心棒

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    躍動感があふれる描写は健在であり生の映画を観ているようで楽しいけれど、ストーリーもありがちな映画のように展開しているせいで、一作目よりかはインパクトが弱かったかな、という印象。

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    2021年06月28日