【感想・ネタバレ】エレベーターのレビュー

あらすじ

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15歳のウィルは射殺された兄のかたきを討つため、銃を持ってエレベーターに乗り込んだ。自宅のある7階から地上に到着するまでの短い時間に彼が出会う人々とは……ポエトリーとタイポグラフィを駆使する斬新な手法で文芸賞を席巻した注目作、ついに日本上陸! エドガー賞YA部門、ロサンジェルス・タイムズ文学賞ほか多数受賞!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

兄ショーンを銃で殺されてしまったウィルは、掟に従って仇を討とうと考える。
そして、ショーンが隠していた拳銃を隠し持って、母に見つからないように、自宅のある8階から、こっそり下りのエレベーターに乗り込む。
誰にも会いたくない状況なのに乗り込んできた男はジロジロと自分を見る。
俺がわからないのか?わかりません。バックだった。ショーンの兄貴分。
なかなか次の階につかないエレベーター、次々と現れる、もう会えないはずだった人々。彼らとの会話から、ウィルはだんだんと自分のやろうとしている事の意味を考える。
詩の形式で語られる物語。読みやすいが、深く心に落ちていく言葉。
銃社会のアメリカの悲惨な現実とその犠牲となった子どもたちに向けて書かれた、と思う。自らも敵討ちを計画したことのある作者だからこその現実感でウィルの悲しみや苦しさが描かれる。
最後の一言がとても効いている。
苦しくても踏みとどまれ!と呼びかけている。人それぞれに、選ぶ岐路が現れた時、どちらを選ぶかちゃんと考えろと。

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2025年06月18日

Posted by ブクログ

詩の形式を取りながら、復讐の応酬の虚しさを強烈に訴える作品。
スラム街に住む少年ウィルは、兄を殺され、「掟」に従うため、兄の銃を持ってマンションのエレベーターに乗り込んだ。「掟」とは、泣かないこと、密告しないこと、復讐すること。
この「掟」も警察から理不尽な扱いを受けてきた故に生まれたものなのだろう
自宅のある7階から1階まで降りる間に、ウィルは不思議な体験をする。ウィルは復讐を果たすのか。

エドガー賞YA部門、ロサンジェルスタイムズ文学賞YA部門受賞ほか、多数受賞

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2025年06月24日

Posted by ブクログ

麻薬や犯罪が日常化するアメリカ社会では、衝動に駆られ行動を起こしてしまう少年少女が多い。10代に向けて書かれたこの小説は、全文を詩で綴られている。

おととい兄のショーンが殺された。
アトピーにかかっている母さんのために石鹸を買いに出かけて…。
15歳のウィルは、兄が隠していた銃を箪笥から探し出しこっそり家を出た。
「泣くな。 密告はするな。
"掟"に従って犯人を探し殺すのだ!」

8階から動き出すエレベーター。
7、6、5…各階でドアが開く度に、乗ってくるのは二度と会えないはずの人たち。煙草の煙と軋む音の中で交わされる声、声、声。
密閉された空間とLobbyまでの1分間。
エレベーターという硬質なものと、揺れ動く少年の感情とが絶妙に組み合わされている。詩形式なので臨場感が伝わり映像が見えてきた。

「Loser」喪失した"悲しみ" を、
「見知らぬ人に突然ペンチで奥歯を抜かれ、衝撃が頭蓋骨まで達する。ぽっかりと開いた空洞をいつまでも舌の先で探りつづけてしまうこと」と表現する。詩人らしいと思った。

兄ショーンの最後の言葉が心に残った。
著者から読み手へのメッセージだろう。
ウィルは踏み留まることができたと信じたい。
 

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

詩の面白さとテーマの重たさと、でも空白が大きいからこそもたらされるある種の軽さとが効果的に組み合わさった素晴らしい作品。ジェイソン・レノルズは『オール・アメリカン・ボーイズ』で初めて知ったけど、他の作品も読みたい。

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2021年09月06日

Posted by ブクログ

私の心はズタズタにされた。
家族を殺され、復讐をしてやると銃を手にすることから始まるであろう連鎖。
銃社会のアメリカが抱えている問題を子供の視点から、黒人のコミュニティの問題(貧しいあまりにドラッグの売人をやらざるを得ないことや、ドラッグに関わると芋づる式にギャングの問題に繋がること等)、それらを独特の詩の形式で炙り出す。

エレベーターに乗り込んでくる人たちが誰なのか。
一人一人の過去を辿っていくうちに視界が涙で滲む。
涙が止まらなくて、ページは濡れていった。
読んでいてなんとなく予想ができてしまうからこそ、心に重く響く悲劇の数々。
悲しかった。
大事な人を殺されたとしても、自分が怒りでどうにかなってしまいそうだとしても、復讐をしてはいけないとはっきりに示すこの小説が好きだ。
銃は何故誰でも買えてしまうのか?
何故黒人は映画を撮るためのカメラが買えないくらい貧しいのか?(銃は直ぐに手に入るのに?)
ドラッグを撲滅したいはずなのに減らないのは何故か?
異国の私達は何ができるだろう?と考える。

ジェイソン・レナルズの後書きも胸に刺さった。
そう、復讐をしたところで死んだ人は帰ってこないのだ。
彼も主人公と同じように誰かを殺したい衝動に駆られ、でもそうしなかったのは、やはり彼の周りの人達と物語に救われたからなんだろうな、と思う。

この本に出逢えて本当に良かった。

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2021年01月24日

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おととい兄のショーンが銃殺された。「掟」に従ってぼく(ウィル)は復讐する。ショーンの引き出しから銃を見つけ、ジーンズの腰に押し込む。殺したのはきっとリッグスだ。
アパートメントの8階からエレベーターに乗ると、7階から男が乗ってきた。それはショーンの兄貴分の亡パックだった。6階からは幼馴染の亡ダニが、5階からは亡マーク伯父さんが……。


各階で止まるエレベーターに乗り込んでくる身近な故人たちとの関わりを通して、短絡的な復讐の愚かさに気づいていく少年の物語。





*******ここからはネタバレ*******

横書きで、詩の形で綴られるこの物語は、情報が断片的でパズルを解くように真実が明かされていきます。

ショーンの兄貴分のパックは強盗で、ショーンに16発入った銃を渡した。
幼馴染のダニは、8歳の時ウィルとキスした日、撃たれて死んだ。
マーク伯父は、「結晶」の売人になって撃たれ、
父さんは、マーク伯父さんを殺した(と思った)やつを殺したせいで殺され、
フリックはパックを脅すつもりで殺してしまい、
ショーンは、パックの銃でフリックを撃った(これが減っていた1発分)。

いやもうここまで来ると、誰がどう読んでも、その虚しさに呆れることだと思います。

やっと1階に到着して皆が降りていく中、沈黙を通していたショーンの一言が効いていますね。
「おまえも 来るか?」


刺激的だけれども、復讐の愚かさや銃や短絡的思考の危険性を気づかせるには充分な内容です。

私としては、詩の形となっているところが読みにくく感じましたが、だからこその風情もあるので否定はしません。


生死を扱うので、しっかりした中学生以上におすすめします。

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2020年09月14日

Posted by ブクログ

兄を射殺された主人公が生まれて初めて銃を握りしめ、復讐を遂げるためにエレベーターに乗りこむ。地上階に降りるまでの間に、主人公は思いもよらない人たちとの再会をしていく。著者は詩人でもあるそうで、詩と小説の中間みたいなスタイル。独特な文章の配置や改行で、深い余韻と意味のつまった余白がそこかしこにある。銃撃が身近にある環境で育ったと思われる主人公は、憎しみの連鎖を止められるのか。物凄くスタイリッシュな映像とアイディアがあれば映画化とかできるんじゃないかって気がする。

誰かを溺死させることを
水が面白がっていないだなんて
どうしたら言い切れる?
(P.161)

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2019年10月06日

Posted by ブクログ

この小説は、海外小説なだけあって日本の小説とはまた違った、雰囲気のある小説だった。でも、私の想像力がないせいか、場面を想像しながら読むのが難しかった。

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2022年07月30日

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開きが普通の本と逆だなぁと思っていたら横書き小説だった。分厚いけれど各ページの情報量は少ないのでわりとサクサク読める。作者が願う通り悩める少年少女を照らす本になるのかな。

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2021年09月27日

Posted by ブクログ

ジェイソン・レナルズ『エレベーター』早川書房

『ベルリンは晴れているか』で大ファンになった深緑野分氏が推薦ということで全くの前知識無しに購入して読んでみました。てっきりクライムノベルかハードボイルドかと思っていましたが(おそらく翻訳の青木千鶴氏が『用心棒』も担当していたからそのイメージだと思いますが、なんなら『用心棒』を買ったつもりでいたかもしれない)、ページを繰ると良い意味で期待を裏切る驚き。

なんと全編ポエトリースタイル。

しかも下るエレベーターの中「だけ」という特殊設定。いるはずはない登場人物たち。非常にタイトな時間進行。

かといってトリッキーかというと全くそんなこともなく、ピンピンに研ぎ澄まされた言葉がタン、タン、タタンと銃弾みたいにこっちに飛んでくる。撃ち抜かれる。

だけども、これこそこの作品の最大の美徳で有り魅力なのでしょうがジェイソン・レナルズの言葉には愛が溢れている。その言葉で描かれる情景は残酷で許しがたいものであっても、私にはしっかりと「誰か」に向けられた作者の愛を感じられました。だからその言葉に撃ち抜かれても出るのは血じゃなくて涙。ヒリヒリとした切迫感よりも、どうしようもない怒りを優しくなだめられているような読書感が続きます。

過酷さの中にある愛情の表出で思い出すのが、深緑野分『ベルリンは晴れているか』のP.110にある主人公の父親が主人公に対して多様性の重要さを説くシーンです。ナチスが台頭するファシズム体制下においても、障がいを持つ隣人少女に対して優しくありなさいと教えるシーンでした。氏が推薦文を寄せているのも本作に作家として共感するメッセージがあったからなのでしょう。

読書感で言うと一番似ているのと思ったのはフランク・パヴロフ『茶色の朝』でしょうか。とはいえ、やはりこの作品の読書体験は唯一無二と言っていいでしょう。本作の紹介には「サスペンス」という言葉も使われています。私が読んだ印象としてはサスペンス要素はあまり強く感じませんでしたが、時間空間の移動と主人公の決断、気持ちのゆらぎの描写には十分にそのジャンルとして楽しめる密度があります。

本作はそのスタイル故にページ数に比してテキスト量は多くありませんから、4~5時間くらいで読めてしまいます。

だけど私はこれを何度か読み返すでしょう。

次に読み返した時、最後のページのセリフが自分の脳内にどんなトーンで再生されるのか。

映画『アメリカンヒストリーX』『灼熱の魂』『ブルー・リベンジ』『ドゥ・ザ・ライト・シング』・・・色々な映画が思い出されます。自分はこの本を次に読み返すときに「暴力の連鎖は断ち切れる」と信じていられるのか、それとも冷笑しているのか、絶望しているのか。

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2021年07月14日

Posted by ブクログ

兄の復習を果たしに行く弟のエレベーターでの不思議体験。文章の書き方が独特だが、それがかえってわかりやすくてよかった。

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2020年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めは翻訳やし、読みにくいかもーって思ってたがだんだんとエレベーターの中の世界に入り込んでいく。

変わった作風で、どうも詩みたいな雰囲気。
英語の原書を読めばなお良かったかなーと。

銃社会のアメリカらしいというか、日本で生きてきた自分には、完全に理解や共感は出来ないなーと。

最後の文章が良かった!

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2020年11月18日

Posted by ブクログ

不思議な話だった。詩とも物語とも、どっちにもつかない話だった。悪い性質を持つ血統のせいなのか、性質を養った悪い環境のせいなのか。連鎖が少年を悩ませている。道を踏み外す少年たちにも、彼らなりのロジックがあるのかな。悪い連鎖が断ち切られることを祈る。

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2020年05月06日

Posted by ブクログ

兄を殺された弟の復讐譚かと思いきや話は意外な方向に。エレベーターが降りていくごとに話は進み、悲しみや切なさが深くなった。最後の問いかけに弟はどう答えたのだろう。まだ答えは出ていない。

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2020年03月28日

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兄のショーンが銃で殺された。15歳のウィルは、ショーンの洋服タンスにあった銃をベルトにはさんでマンションの下りエレベーターに乗った。掟に従ってショーンを殺したやつを殺しに行くのだ。
8階から乗ったエレベーターは、各階で止まる。そして誰かが乗ってくる。ウィルの知ってる人ばかりだが…

銃社会がいまだに続くアメリカ。その犠牲になるのは、貧困にあえぐ人たちばかり。そんな社会の悲しさを訴えかけている。

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2020年03月26日

Posted by ブクログ

兄が殺された。掟に従い、殺したやつを見つけ出し必ずそいつを殺さなければならない。兄の銃。殺ったのはきっとあいつ、あいつに違いない。銃を持ってエレベータを降りる。エレベータに現れる、身近な死者たち。連れ、幼馴染、伯父さん、父さん、ギャング新入り、そして兄さん。お前も来るか?

どんな世界に暮らしていたのかが、だんだんわかってくるのですが、皆若くして死んでしまう、そんなことしていたら当然でしょ、な。クリスマスキャロルだ。

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2019年12月18日

Posted by ブクログ

銃殺された兄のかたきを打とうと決めた15歳のウィル。兄の部屋で見つけた銃を潜ませ乗り込んだエレベーターを下る途中、不思議な体験をする。文体も視覚的にも凝っていてスリリングな緊張感が続く。最後のページはまさにクライマックスの頂点!

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2019年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何者かに射殺された兄の復讐を主人公がするために、銃を持ち、自宅を出てエレベーターに乗る、というのが簡単なあらすじです。どんな理由があろうと人を殺したら犯罪になりますが、兄弟、親など、愛する人達から受け継いだ掟の存在により、して当然だという気持ちで主人公はエレベーターに乗り、ロビーを目指して降下するわけです。しかし、ひとつ降りるたびに必ず誰かがエレベーターに乗り込んできて、主人公に介入してきます。その度に主人公は復讐について、改めて考えたり見つめ直したりします。こう見てみると、愛する人を殺した犯人を絶対に許さない気持ちを、何とかして抑えようとしているようにも見えてきます。作者が過去に友人を射殺された経験があった事が、これを書く契機になったことを著者紹介で知り、作者自身がこれを書くことで少しでも癒しにしたかったのかもなどと勝手に思ってしまいました。文章が、詩を読んでいるような構成になっているのが新鮮で、実際、詩的な表現で印象に残る箇所が、いくつかありました。

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2019年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

愛する兄を殺された弟は、兄を殺した奴を殺すために、兄の銃を持って家を出てエレベーターに乗る。エレベーターが1階に着くまでの少年を詩で綴った物語。
アメリカの銃社会が限界に来ていることは、しょっちゅう起こる(コロンバインの頃は一つ一つを覚えていたが、この頃は起こりすぎて覚えていられないほどだ。)乱射事件でもわかっていたことだが、これを読むと、子どもですら簡単に銃が手に入るせいで、本来なら殴り合い位で済んだことが殺し合いになってしまう恐ろしさを実感した。
この本の登場人物達、といっても主人公がエレベーターで出会う人物は皆死んでいるのだが、全員社会の犠牲者といっていい。どうしてこれくらいのことで殺したり殺されたりするのか。主人公の父も伯父も兄も友達も、簡単に命を落としている。
きっとエレベーターを降りるまでに主人公は復讐(少なくとも殺人)を止める決断をするのだろうと思いながら読んだのだが、いい意味で裏切られた。あくまで決断は読者に委ねられている。
主人公の少年の家族への愛、戸惑い、悲しみを受け止め、主人公のようなたくさんの若者達に、エールを送る。殺す前に立ち止まれ、君たちは愛されている、未来がある、と。
カッとなったとき、将来に希望が見えないとき、銃がすぐ手元にあれば、こうなってしまうのだということを訴える物語でもある。アメリカは銃規制を真剣に考えているのだろうか?経済のみを優先すれば、貧しい人、弱い人から犠牲になることを忘れてはいけない。

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2019年10月26日

Posted by ブクログ

ウィルの兄、ショーンが殺された。
街中で、誰かに拳銃で撃たれて。
ショーンはアトピー性皮膚炎の母親のために特別な石けんを売っている店に行かなければいけない。でも、その店のある地域を縄張りにしているリッグスといさかいがあって、リッグスはショーンをよく思っていない。ショーンはリッグスに撃たれたに違いないとウィルは考えた。
ウィルには守らなければならない掟があった。兄も、仲間もその掟を守っていた。
愛する者を奪われたなら、復讐をしなければならない、という掟だ。
ショーンの机の引き出しに入っていた拳銃を見つけたウィルはそれをズボンの後ろに刺して、自宅のある8階からエレベーターに乗った。
1階に着いて街に出ればリッグスを待ち伏せして、拳銃で復讐すればいい。
エレベーターは7階で停止した。誰かが乗ってくるのだ。
果たしてウィルの運命は?

作者はアメリカ人の詩人で、この小説も長い詩のような形で進む。
作者自身も昔友人が拳銃で撃たれて亡くなったという。
そうやって意味もない暴力で命を落としてしまう若者へのメッセージとしてこの詩のような小説を書いたと思われる。
日本はこういう世界にないから、中々リアルにこういうものを捉えることは難しい。果たして、このメッセージはアメリカの少年少女には届くのだろうか。

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2019年10月23日

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