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※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 15歳のウィルは射殺された兄のかたきを討つため、銃を持ってエレベーターに乗り込んだ。自宅のある7階から地上に到着するまでの短い時間に彼が出会う人々とは……ポエトリーとタイポグラフィを駆使する斬新な手法で文芸賞を席巻した注目作、ついに日本上陸! エドガー賞YA部門、ロサンジェルス・タイムズ文学賞ほか多数受賞!
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Posted by ブクログ
詩の形式を取りながら、復讐の応酬の虚しさを強烈に訴える作品。 スラム街に住む少年ウィルは、兄を殺され、「掟」に従うため、兄の銃を持ってマンションのエレベーターに乗り込んだ。「掟」とは、泣かないこと、密告しないこと、復讐すること。 この「掟」も警察から理不尽な扱いを受けてきた故に生まれたものなのだろう...続きを読む。 自宅のある7階から1階まで降りる間に、ウィルは不思議な体験をする。ウィルは復讐を果たすのか。 エドガー賞YA部門、ロサンジェルスタイムズ文学賞YA部門受賞ほか、多数受賞
麻薬や犯罪が日常化するアメリカ社会では、衝動に駆られ行動を起こしてしまう少年少女が多い。10代に向けて書かれたこの小説は、全文を詩で綴られている。 おととい兄のショーンが殺された。 アトピーにかかっている母さんのために石鹸を買いに出かけて…。 15歳のウィルは、兄が隠していた銃を箪笥から探し出しこ...続きを読むっそり家を出た。 「泣くな。 密告はするな。 "掟"に従って犯人を探し殺すのだ!」 8階から動き出すエレベーター。 7、6、5…各階でドアが開く度に、乗ってくるのは二度と会えないはずの人たち。煙草の煙と軋む音の中で交わされる声、声、声。 密閉された空間とLobbyまでの1分間。 エレベーターという硬質なものと、揺れ動く少年の感情とが絶妙に組み合わされている。詩形式なので臨場感が伝わり映像が見えてきた。 「Loser」喪失した"悲しみ" を、 「見知らぬ人に突然ペンチで奥歯を抜かれ、衝撃が頭蓋骨まで達する。ぽっかりと開いた空洞をいつまでも舌の先で探りつづけてしまうこと」と表現する。詩人らしいと思った。 兄ショーンの最後の言葉が心に残った。 著者から読み手へのメッセージだろう。 ウィルは踏み留まることができたと信じたい。
詩の面白さとテーマの重たさと、でも空白が大きいからこそもたらされるある種の軽さとが効果的に組み合わさった素晴らしい作品。ジェイソン・レノルズは『オール・アメリカン・ボーイズ』で初めて知ったけど、他の作品も読みたい。
私の心はズタズタにされた。 家族を殺され、復讐をしてやると銃を手にすることから始まるであろう連鎖。 銃社会のアメリカが抱えている問題を子供の視点から、黒人のコミュニティの問題(貧しいあまりにドラッグの売人をやらざるを得ないことや、ドラッグに関わると芋づる式にギャングの問題に繋がること等)、それらを独...続きを読む特の詩の形式で炙り出す。 エレベーターに乗り込んでくる人たちが誰なのか。 一人一人の過去を辿っていくうちに視界が涙で滲む。 涙が止まらなくて、ページは濡れていった。 読んでいてなんとなく予想ができてしまうからこそ、心に重く響く悲劇の数々。 悲しかった。 大事な人を殺されたとしても、自分が怒りでどうにかなってしまいそうだとしても、復讐をしてはいけないとはっきりに示すこの小説が好きだ。 銃は何故誰でも買えてしまうのか? 何故黒人は映画を撮るためのカメラが買えないくらい貧しいのか?(銃は直ぐに手に入るのに?) ドラッグを撲滅したいはずなのに減らないのは何故か? 異国の私達は何ができるだろう?と考える。 ジェイソン・レナルズの後書きも胸に刺さった。 そう、復讐をしたところで死んだ人は帰ってこないのだ。 彼も主人公と同じように誰かを殺したい衝動に駆られ、でもそうしなかったのは、やはり彼の周りの人達と物語に救われたからなんだろうな、と思う。 この本に出逢えて本当に良かった。
おととい兄のショーンが銃殺された。「掟」に従ってぼく(ウィル)は復讐する。ショーンの引き出しから銃を見つけ、ジーンズの腰に押し込む。殺したのはきっとリッグスだ。 アパートメントの8階からエレベーターに乗ると、7階から男が乗ってきた。それはショーンの兄貴分の亡パックだった。6階からは幼馴染の亡ダニが、...続きを読む5階からは亡マーク伯父さんが……。 各階で止まるエレベーターに乗り込んでくる身近な故人たちとの関わりを通して、短絡的な復讐の愚かさに気づいていく少年の物語。 *******ここからはネタバレ******* 横書きで、詩の形で綴られるこの物語は、情報が断片的でパズルを解くように真実が明かされていきます。 ショーンの兄貴分のパックは強盗で、ショーンに16発入った銃を渡した。 幼馴染のダニは、8歳の時ウィルとキスした日、撃たれて死んだ。 マーク伯父は、「結晶」の売人になって撃たれ、 父さんは、マーク伯父さんを殺した(と思った)やつを殺したせいで殺され、 フリックはパックを脅すつもりで殺してしまい、 ショーンは、パックの銃でフリックを撃った(これが減っていた1発分)。 いやもうここまで来ると、誰がどう読んでも、その虚しさに呆れることだと思います。 やっと1階に到着して皆が降りていく中、沈黙を通していたショーンの一言が効いていますね。 「おまえも 来るか?」 刺激的だけれども、復讐の愚かさや銃や短絡的思考の危険性を気づかせるには充分な内容です。 私としては、詩の形となっているところが読みにくく感じましたが、だからこその風情もあるので否定はしません。 生死を扱うので、しっかりした中学生以上におすすめします。
兄を射殺された主人公が生まれて初めて銃を握りしめ、復讐を遂げるためにエレベーターに乗りこむ。地上階に降りるまでの間に、主人公は思いもよらない人たちとの再会をしていく。著者は詩人でもあるそうで、詩と小説の中間みたいなスタイル。独特な文章の配置や改行で、深い余韻と意味のつまった余白がそこかしこにある。銃...続きを読む撃が身近にある環境で育ったと思われる主人公は、憎しみの連鎖を止められるのか。物凄くスタイリッシュな映像とアイディアがあれば映画化とかできるんじゃないかって気がする。 誰かを溺死させることを 水が面白がっていないだなんて どうしたら言い切れる? (P.161)
この小説は、海外小説なだけあって日本の小説とはまた違った、雰囲気のある小説だった。でも、私の想像力がないせいか、場面を想像しながら読むのが難しかった。
開きが普通の本と逆だなぁと思っていたら横書き小説だった。分厚いけれど各ページの情報量は少ないのでわりとサクサク読める。作者が願う通り悩める少年少女を照らす本になるのかな。
ジェイソン・レナルズ『エレベーター』早川書房 『ベルリンは晴れているか』で大ファンになった深緑野分氏が推薦ということで全くの前知識無しに購入して読んでみました。てっきりクライムノベルかハードボイルドかと思っていましたが(おそらく翻訳の青木千鶴氏が『用心棒』も担当していたからそのイメージだと思います...続きを読むが、なんなら『用心棒』を買ったつもりでいたかもしれない)、ページを繰ると良い意味で期待を裏切る驚き。 なんと全編ポエトリースタイル。 しかも下るエレベーターの中「だけ」という特殊設定。いるはずはない登場人物たち。非常にタイトな時間進行。 かといってトリッキーかというと全くそんなこともなく、ピンピンに研ぎ澄まされた言葉がタン、タン、タタンと銃弾みたいにこっちに飛んでくる。撃ち抜かれる。 だけども、これこそこの作品の最大の美徳で有り魅力なのでしょうがジェイソン・レナルズの言葉には愛が溢れている。その言葉で描かれる情景は残酷で許しがたいものであっても、私にはしっかりと「誰か」に向けられた作者の愛を感じられました。だからその言葉に撃ち抜かれても出るのは血じゃなくて涙。ヒリヒリとした切迫感よりも、どうしようもない怒りを優しくなだめられているような読書感が続きます。 過酷さの中にある愛情の表出で思い出すのが、深緑野分『ベルリンは晴れているか』のP.110にある主人公の父親が主人公に対して多様性の重要さを説くシーンです。ナチスが台頭するファシズム体制下においても、障がいを持つ隣人少女に対して優しくありなさいと教えるシーンでした。氏が推薦文を寄せているのも本作に作家として共感するメッセージがあったからなのでしょう。 読書感で言うと一番似ているのと思ったのはフランク・パヴロフ『茶色の朝』でしょうか。とはいえ、やはりこの作品の読書体験は唯一無二と言っていいでしょう。本作の紹介には「サスペンス」という言葉も使われています。私が読んだ印象としてはサスペンス要素はあまり強く感じませんでしたが、時間空間の移動と主人公の決断、気持ちのゆらぎの描写には十分にそのジャンルとして楽しめる密度があります。 本作はそのスタイル故にページ数に比してテキスト量は多くありませんから、4~5時間くらいで読めてしまいます。 だけど私はこれを何度か読み返すでしょう。 次に読み返した時、最後のページのセリフが自分の脳内にどんなトーンで再生されるのか。 映画『アメリカンヒストリーX』『灼熱の魂』『ブルー・リベンジ』『ドゥ・ザ・ライト・シング』・・・色々な映画が思い出されます。自分はこの本を次に読み返すときに「暴力の連鎖は断ち切れる」と信じていられるのか、それとも冷笑しているのか、絶望しているのか。
兄の復習を果たしに行く弟のエレベーターでの不思議体験。文章の書き方が独特だが、それがかえってわかりやすくてよかった。
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