青木千鶴のレビュー一覧
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『二流小説家』はちなみに面白かったのか? とあなたはぼくに問われるかもしれない。でもぼくはあなたにきっと答えることができない。あるいはぼくはこう答えるかもしれない。ミステリとしてはどうかと思う。謎解き部分はあるけれどもそう秀逸な流れでページを繰る手が止まらないというスピード感覚があるわけでは全くない。むしろ忍耐を強いられると思うので、よほど本の好きな人、活字中毒者たちに対してしかぼくは正直なところ薦めたくないんだ。
『ミステリガール』はどうだったのか? とあなたはぼくに問われるかもしれない。ぼくはきっとこう答えるしかないだろう。言葉は好きですか? あるいはあなたには本を読む時間を大切にで -
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パッとしないゴーストライターの私(ハリー・ブロックという名前)のもとに、死刑囚が自身の犯した事件について告白する本を執筆してくれと依頼してきたが、いざ面会のために刑務所を訪問したところ、思わぬ事態に巻き込まれてしまったので、その一部始終を(関係者等の実名は変えて)サスペンスストーリーとして執筆してみました…という体裁のサスペンス。
事件の謎解きは、どんでん返しが複数回あって面白いが、ところどころにある猥雑なシーンは必要なのかな…と首を捻らざるを得ないが、主人公のハリー・ブロックが「ポルノ雑誌に雑文を書いていたゴーストライター」という設定で、本書はハリーが執筆したという体裁のため、仕方がないとこ -
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ネタバレ今や売れっ子作家となった夫を持つミセスマーチ。
何もかも順風満帆の生活を送っていたが
いつも行く店の店員に夫の新刊が
奥さんをモデルにしてるんじゃないかという
たった一言で壊れ始める。
その新刊の主人公が醜い娼婦ということで
みんなが自分をそう思っているんじゃないか
夫は自分をそういう目でみてるんじゃないか
そこから本当に果てしてない猜疑心に囚われる。
原因は店員の一言だったが
合間合間にミセスマーチの幼少期が描かれていて
そこで母親の愛情を貰ってないのが窺える
そのことでマーチの自己肯定感が極めて低くなってしまってるんじゃないかと思う。猜疑心に繋がってる。
猜疑心は家の中にいるはずのな -
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ネタバレウィリアム・K・クルーガー、C・J・ボックスにも通ずるところのある”大自然と犯罪”もの。
異色なのは犯罪者と対峙する立場の主人公ライスがかつて麻薬の運び屋をしており、服役歴有。出所後はとある事情から自ら追われる身ともなっており、舞台であるヴァージニア州ターク山の財団所有地の管理人としての立場も本来の素性を隠しての生活を送っているいわくつきの男であること。
ある日ライスの居住区に迷い込んだ”キノコ摘みの男”が森で熊が密猟にあっていることを伝える。
その日から密猟者を捉えることに四苦八苦することになるのだが、追手からの追跡の恐怖や地元住民との不和、女性前任者に行われた暴行事件の犯人探しも相まって -
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ネタバレ対テロリストの警戒強化の折、手厳しく手入れを受けたストリップクラブの用心棒ジョー・ブロディー。
手入れにより留置場で一晩を過ごした際、顔なじみから持ち掛けられたヤマに加わることに。
件の計画は、タレ込みにより悲劇的な失敗に陥るのだが、そこから挽回を狙っていく中でとんでもないどつぼにはまっていくジョー。
犯罪仲間、商売敵であるFBI捜査官との微妙な距離感の色恋模様、傭兵集団内の裏切り、裏で手を引く絶対悪vsアンチヒローと、どこかで聞いたことのある話がてんこ盛りで、ザ・ハリウッド的な一冊。
さくさく読めるノンストップアクションノワールとしては良作ではある。
ではあるのだが、やっぱり『二流小説 -
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一作目が面白かったので二作目も読んでみた。前作で結果的にテロリストの野望を打ち砕いたため闇の世界の保安官に任命された主人公…というところで既に本作もかなり荒唐無稽な設定な訳だが本作では中東のテロリストが合衆国にヘロインを持ち込もうとしておりニューヨークの主だった犯罪組織が主人公にその対応を一任する、という話。そのために主人公は 1) 取引に必要となったダイヤモンドを調達する 2) 取引を行いヘロインを入手する 3) その上でテロリスト組織からダイヤを奪回しテロリストに打撃を与える という一連の難題に挑まざるを得なくなる…という前作にも増しての荒唐無稽さというかほぼコミックの世界。あとがきで指摘
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ハーバードを中退し特殊部隊で活躍した後、ストリップクラブの用心棒をしているドストエフスキーを愛読する男が主人公、というおよそ現実味のない設定の作品。昔この作者の別の作品が面白かったこともあり大丈夫かと思いつつ手に取ってみた作品。結果的に非常に面白かった。ある晩、彼が勤めるクラブをFBIが急襲し豚箱に放り込まれた主人公。そこで旧知のチャイニーズ・マフィアの若者からある犯罪計画に誘われるのだがそこで予想外の事態となり…という話。FBIの捜査官が魅力的な女性で主人公とは敵対関係にある一方で互いに惹かれ合う、とか犯罪者仲間にはコンピュータやメカに強い黒人の青年とか、かなり魅力的なロシア女性がいたりとか
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ジェイソン・レナルズ『エレベーター』早川書房
『ベルリンは晴れているか』で大ファンになった深緑野分氏が推薦ということで全くの前知識無しに購入して読んでみました。てっきりクライムノベルかハードボイルドかと思っていましたが(おそらく翻訳の青木千鶴氏が『用心棒』も担当していたからそのイメージだと思いますが、なんなら『用心棒』を買ったつもりでいたかもしれない)、ページを繰ると良い意味で期待を裏切る驚き。
なんと全編ポエトリースタイル。
しかも下るエレベーターの中「だけ」という特殊設定。いるはずはない登場人物たち。非常にタイトな時間進行。
かといってトリッキーかというと全くそんなこともなく、ピン -
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元陸軍特殊部隊のジョーは、友人でイタリア系マフィアのジオが経営するクラブの用心棒だ。今回は、ニューヨークに持ち込まれる400万ドル相当のヘロインをアルカイダのテロリスト売人と取引人を装い奪い取り、更に代金であるダイヤモンドも手に入れ、ニューヨークマフィアやギャング達のマーケットを守るのが仕事だ。
まずは、代金のダイヤモンドを強奪する仕事に掛かる。金庫破りのエレーナ、ハッカーのジュノ、リーアム、ジョシュアの5人で見事にダイヤモンドを強奪した。
いよいよ、ヘロインとの交換とダイヤモンドを奪い返す時が迫って来た。が、ジョーとエレーナに夫を殺された未亡人がこの取引を利用して復讐を画策していた -
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ネタバレあらすじは下の内容なんだけど、
いまいち主人公のよって立つ処というか、なんでエイプリルなんかに惹かれたの?
その前は何やってたの?そういうのは次巻なの?長い割に主人公の姿が見えてこない感じ。
その割に結構なスーパーマンだったり無防備だったり、精神的な不安定さだったり、その落差の大きさに違和感を感じながら読んでいた。
かといって読み口は悪くなく、ズンズンとのめり込んでしまう。でも読後感がなあ。いまいちスッキリしないというか。え?これで終わり?みたいな。
内容(「BOOK」データベースより)
アパラチア山脈の麓で自然保護管理の職を得たライスは、故郷から遠く離れ、穏やかな日々を送っていた。ところが -
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ニューヨークマフィアが経営するストリップクラブで用心棒をしているジョーが、アルバイトで密輸銃器を横取りする企みに加わったが偶然にもFBIの女性捜査官との遭遇で失敗に終わる。
その企てた仲間から今度は、厳重な警備がされている弩級の香水を盗み100万ドルで売るという計画に乗る。
ジョーの経歴は、詳らかでは無いが軍関係者であった事は間違いない。マフィアに雇われてはいるが良識?ある悪人だ。
件の香水は、テロリストが100万ドルで強盗を依頼したウィルス兵器だった。
ジョーとその取り巻きがたどり着いた結末は、、
著者は、本作と同じポケミスで''二流小説家' -
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新鋭ゴードン、2018年発表の最新作。やや自分の色を出し過ぎて無骨さも目立った前作「ミステリガール」に比べて、構成が引き締まり、全体的にシャープになった印象。変化球を投げ込むオフビートな手法も熟れてきている。テンポ良く勢いのままに読ませる好編に仕上がっており、筆致には自信と余裕さえ感じる。
ニューヨークのストリップクラブで働く用心棒ジョー・ブロディーは、FBIと市警察による一斉手入れの煽りを受けて職を失った。街に潜伏するテロリスト捕獲を狙ったものだったが、その界隈で〝営業〟する闇組織にとってはいい迷惑だった。店のオーナーでマフィアの親玉ジオ・カプリッジは、捜査を主管するFBIのドナ・ザモーラ