青木千鶴のレビュー一覧
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ネタバレ兄ショーンを銃で殺されてしまったウィルは、掟に従って仇を討とうと考える。
そして、ショーンが隠していた拳銃を隠し持って、母に見つからないように、自宅のある8階から、こっそり下りのエレベーターに乗り込む。
誰にも会いたくない状況なのに乗り込んできた男はジロジロと自分を見る。
俺がわからないのか?わかりません。バックだった。ショーンの兄貴分。
なかなか次の階につかないエレベーター、次々と現れる、もう会えないはずだった人々。彼らとの会話から、ウィルはだんだんと自分のやろうとしている事の意味を考える。
詩の形式で語られる物語。読みやすいが、深く心に落ちていく言葉。
銃社会のアメリカの悲惨な現実とその犠 -
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ネタバレおおいに楽しめる小説だった。まず『二流小説家』という邦題がなんともよろしい。原題では「The Serialist」(連載作家)となっている。主人公であり語り部である「ぼく」は、大衆雑誌にヴァンパイア系小説やポルノ小説を書いたり、バイトで家庭教師をしたりと気ままに暮らす「二流小説家」。その「二流小説家」がある日、連続殺人鬼で死刑が迫る囚人からファンレターを受け、独占の告白本執筆を持ちかけられるが・・・という物語。ミステリー小説なのに私小説風で、最初のうちは「ライ麦畑でつかまえて」のような感触を持ったが、主人公の書く連載作品が微妙な関連性を示唆しつつ並行して挿入され、読んでいるうちに「ぼく」の実在
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圧倒的な自然描写力、とはこういう本のことを言うのだろう。作者はヴァージニア州の山の中で育ち、ヴァージニア大学で法学と美術額を修め、ネイチャー系のライターをしながらこの初の創作に取り組んだそうである。
主人公は作者の想いを乗せたワイルドな主人公。メキシコ国境の砂漠での密売人の過去を振り捨てて偽名でアパラチア山脈で自然保護管理の職につき世捨人同然の孤独な生活を送っている。発端となったのは熊の死骸だった。皮をはがされ、熊胆(くまのい)や熊の手が取り出された残虐な殺戮。甘い蜜の罠に、犬たちの首輪に仕掛けられたGPS。現代の山の中での犯罪に、古いタイプの男が挑む。パートナーは、あからさまな暴力の犠 -
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ライス・ムーアはターク山自然保護区の管理人。資産家が周辺の土地を買い集めて私有地とし、みだりに原生林に立ち入ることができないようにしている。しかし、私有地となる以前から住民は森に出入りし、熊猟を行っていた経緯があり、密猟が絶えなかった。ライスの前にいた管理人である女性生物学者サラは、密猟者を摘発したことを恨みに思う何者かによって暴行の上強姦された。ライスの雇い主はサラを治療させるとともに、後任としてライスを山に向かわせたのだった。
ライスにとっても、自然保護区は身を隠すには絶好の場所だった。ゲートに施錠すれば、私道を出入りすることはできない。もし、そこを突破されても山小屋まで来る間に迎え撃つ -
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「ミステリが読みたい」「このミステリーがすごい」「週刊文春ミステリーベスト10」の海外部門1位との触れ込みも、本国ではあんまり評価が高くないと聞き、ちょっと手を出しにくかった本作。
正月休みに思い切って手を出してみたら・・・大正解!
面白い!
ちょっと自虐的な、皮肉交じりの一人称スタイルは「女王陛下の魔術師」を彷彿とさせる。
(まぁさすがにあっちの方が皮肉屋だけど)
途中で挿入されるハリーの小説もいい雰囲気を作り、もうこのままクレアちゃんとダニエラといちゃいちゃしてればいいんじゃないかと思い始めた中盤から一気に物語が加速する。
そこから最後まではもう目が離せない。
ミステリとしては謎解きはちょ -
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ヴェンチェンゾ・ナタリの映画『Cipher』の邦題が『カンパニー・マン』だった。ナタリの映画がちょいと気が利いていたので、本書も気になった次第。本書は原題も同じ。しかし、ミステリ賞とSF賞を受賞しているというように、なかなかにジャンルを特定できない小説である。
まずはスチーム・パンクないし平行世界もの。
19世紀終わり、ワシントン州のイヴズデンという漁村で発明家クラヒーを見出した実業家マクノートンが、マクノートン西部機械工業社を興し、ついにはその技術力でヨーロッパを脅迫して、第一次世界大戦を回避してしまったという、1919年の、開発で膨れあがったイヴズデン市が舞台。
加えて、ちょっ -
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カンパニー・マンとはマクノートン社に雇われる「諜報員」であるヘイズのことであろうか。最後に上司ブライトリーに「組合もへったくれもない、企業もへったくれもない」と言い放つにせよ、彼はマクノートン社の命で組合員の調査に当たっているのだから。
お目付役にサマンサを付けられ、社内の下級労働者のみを面接しろと命じられながら、彼はすぐに逸脱し、労働組合の指導者ミッキー・タッツに接触する。それがきっかけとなって、事態が大きく動く。刑事ガーヴィーは窮地に立たされ、ガーヴィーを愛するサマンサは、彼を助けるためにとった行為のためにマクノートン社から解雇される。謎の突破口をつかみ出したヘイズは自分自身と彼らを救 -
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麻薬や犯罪が日常化するアメリカ社会では、衝動に駆られ行動を起こしてしまう少年少女が多い。10代に向けて書かれたこの小説は、全文を詩で綴られている。
おととい兄のショーンが殺された。
アトピーにかかっている母さんのために石鹸を買いに出かけて…。
15歳のウィルは、兄が隠していた銃を箪笥から探し出しこっそり家を出た。
「泣くな。 密告はするな。
"掟"に従って犯人を探し殺すのだ!」
8階から動き出すエレベーター。
7、6、5…各階でドアが開く度に、乗ってくるのは二度と会えないはずの人たち。煙草の煙と軋む音の中で交わされる声、声、声。
密閉された空間とLobbyまでの1 -
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