星野真のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
死に際に哄笑を遺した座覇は天晴な悪役と褒めるべきか、最期まで理解を拒んだ邪と蔑むべきか…
どちらにせよ、このような敵であろうと首を斬って殺せばイサギにとって情報源であり悔恨を遺す死となるか…
彼が持ち帰った情報は事態打開の鍵となりそうだけど、今回のサトリは普段以上に、てか雷以上に後遺症が酷いというのは何か理由があるのかな?
もしかして座覇の記憶は竜に関する知識だけに終わらない?
心が死にそうだったチエナミはようやく復活か…
その過程で見たのは辛い状況でも何とか生きている民衆であり、何とか生きているだけだから限界を迎えそうな弱者の姿であり
チエナミは特権的な責務を持つ人間であり丈夫な体も持つ。そんな彼が眠って時を過ごしていたなんて、多くの損失を意味するも同時
ただ、そうした後悔って彼は立場が有るからある程度整理できるとも言えて。むしろ整理が難しいのはイサギとの関係か
自分が眠っている間に、それどころか眠る前も彼に惨劇の責任を押し付ける真似をしてしまった。イサギが精神的に強い少年ではないと知っているからこそ、受け止め難い後悔
俯いて動けなくなってしまったチエナミに対してツバキは良い一喝を入れたね。…まあ、その際の喝が直撃したら死にそうなものだったんじゃ……?って点が気になるが
あと、ギャグ展開みたいな一喝が逆転の一手に繋がるとかそんな展開ある…?
さておき、竜殺しに必要なピースは揃った。ただ、賢心が懸念しているけど、透奴であるツバキが竜殺しにおいて重要人物となっていくのはどこか危うい気がするね…
その点はツバキを相手にするより、イサギも事態の担い手に選任された事でより可視化されるね
しかし、事態の確実な解決を目指すのであればメンツにこだわっても成功率を下げるだけ。その点は判るだろうけど、どうしようもないのが心というもので
ここでイサギに負けてプライドを折られた東狸が味方に回ってくれたのは良かったし、急場においてはどのような判断が必要か彼も判り始めたのだろうと思えたよ
久々に登場したマヒナの頼り甲斐は惚れ惚れするね
胸州に物資を伴って駆け付けるだけに留まらず、対価を未来に求めるなんて
彼女は竜殺しにおいて直接に貢献できるわけではないけれど、崩れそうだった現在を立て直すものとなるね
だから厳しい局面であるのは変わらずとも、イサギ達は竜殺しへと向かえる
ただ、胸州兵や剣士であるチエナミやイサギと違って、ツバキってそこまでではない、というかそれこそ義理はない立場にあったとも言えて
別に彼女に責任感が無いという話ではなく、元々は戦う立場では無かったし、イサギ達の竜殺しに巻き込まれた彼女は極限状態に至る己を想定していたわけじゃなかった
けど、今回の竜殺しは彼女が全ての鍵であり、彼女の成否に全ての者達の貢献と覚悟が託されている
だから許せないと竜を攻撃する事は出来ても、仲間の命を犠牲にするかもしれない状態でも戦う覚悟なんて持ち得なかったわけだ
為政者である濤子の言葉は結局は為政者の言葉に過ぎないんだよね…
だから彼女を動かすのはもっと等身大めいた同じ経験をした者による言葉で。そこには何の論理も無いけれど、身近な人に託されたという事実がある。それでこそツバキは戦える
ただ、そうして訪れたツバキの変貌は果たして良かったのか…?てか元に戻れるの……?
さておき、人の刃は遂に竜へと届いた。それは大きな成果であり安心へと至る筈なのに、次巻予告を見るとここから人と人の戦いが始まるの…?嘘でしょ…… -
Posted by ブクログ
火産霊衆の狙いは判らないが何らかの備えは必要。そうしてイサギ達に与えられた役目は心都の満喫か
思えば、この土地に来てから息苦しい時間が多くて、市井に紛れていたイサギですら心都を楽しめていたとは言えないもんな。賢心から白兵戦力として求められてはいるけれど、こうして心都の素晴らしい姿を記憶に留める事は必要だったのだろう
と、後からすれば思ってしまうな…。それくらいに直後に起きた悲劇があまりに悲惨だったから……
本作で起きる悲劇って竜というイレギュラーは居ても、基本的に人に拠って起こされる事態が基本にあったんだよね。だからこそ、人に拠って忌避されるイサギやツバキの出自の哀しさ、二人を差別しないチエナミや旅の中で出会う人々の温かさを感じ取る事ができた
でも、今回は『大災』と銘打たれているように、人を超越した存在による理不尽な悲劇。とてもじゃないが人の身に抗える要素など何もない。それでも、せめてもの人助けくらいは出来るからチエナミ達は己を顧みず被災者救助を行うわけだ
こうした展開になると竜が落ちる直前の西狐の台詞が響いてくるね
彼らは一般民衆よりも特権的な地位に居る故に民を守る責務を持つ。同様に御三家の一角であるチエナミだって苦しむ町民達を前に動かずにいられない。燃える街が自分の好きな街であれば尚の事。彼らは立場から来る道徳心によって民の救助を優先した
対してそういった立場にないイサギが最も守りたい者はチエナミか……。だから助けを求める民よりもたった一人を優先した。
これはどちらが間違いだと言えるものでは無いよなぁ…。何か言えるとしたらそれこそ立場が違うとしか…
そうした立場の違いは心都に圧力をかけるスズランにも少々見えるね
彼女は当初こそ法王の権威を笠に着て憎き胸州公と須佐家を根絶やしにしようとした。それは信仰心から来るものか。しかし実際に多数の民が死ぬ様を前にすれば様々な恐怖が去来する。それでも彼女は巽皇を利用して民を焼き殺した事実を認めるわけにはいかない立場に追い遣られていた。いわば彼女は道徳心より立場を優先せざるを得なくなっていたわけだ
既に多くの人心が苦しめられている現状、しかし落ちたのが巽皇であるならばもう一対が居るわけで…
残り一対も落ちる可能性が高い。ならばこそ為政者の口に上がるのは竜殺しか…。まだ先の話だと思っていた竜殺しが遂に掲げられたね…。これはとんでもない事態だよ……
と、そういった事態でも争いを止めないのが火産霊衆か…。彼らは本当に一般人とは異なる条理の下で動いているね
でも、そうして人の争いになれば、人の身で出来る事はある。大災や竜殺しではイサギに出来る事は限られる。しかし、人を殺す単純な図式においてイサギ以上の適任者は居ない
他方で気になるのはイサギの手に渡ったのが小振りでも竜殺しの刃である点か
通常の刀でも竜の雷を斬った彼の手にそうした権能を持つ刀が渡った今、もしイサギと巽皇が邂逅すれば果たして何が起こり得るのだろうね? -
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生き物
行動といい表情といい生物を超越したもののように思われた
竜が突然感情を露わにした感が恐ろしく秀逸な描き方と思った。
いいコンビになれたところだったが旅はどうなるのやら。