栗原聡のレビュー一覧
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最新(2024年後半)のAIの可能性を知りたい人におすすめ。
【概要】
●AIの歴史
●生成AIにできることと、できないこと
●AIに使うか、使われるか
●AIとの共生
【感想】
●AIの歴史について一連の事項を復習できる。
●人工知能学会の会長の発言として、人にITリテラシーは不要だという記述には驚いた。なぜなら経済産業省やJDLAの考えに同意して、ITリテラシーだけは持っておかないといけないと自分は思っていたからである。
●AIに使われないようにするために何が必要なのかを頭の中を整理することができた。そして、AIを利活用(共生)していくためには、人のマインドセットが重要だということを理 -
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「死」を学際的に検討する過程で、よりよい「生」とは何かについて考えされさせられた。死とは生物学的な個体の絶命という意味を超えた観念であると感じた。死者を弔うのは他者であるが、その死者の存命中はもちろん、死後に至っても相互作用の中で誰かの自己と社会が形成されていく。そのような「分人」的観点で捉えると、「死」は自己完結するものではない。また、「弔う」ことの本質は儀式という表層的なものではなく、生成変化を伴う生者と死者の社会的な共生だと思った。
一方で、テクノロジーによって新たに生じる死者の権利、死後労働の観点は非常に悩ましい。生命はその有限性によってこそ輝くが、死後も残り続ける SNS 上の情報や -
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・一般化と個別適応
それぞれのバランスが大事。どうやってとるか?
・よりリベラルアーツが重要になってくる。
知能とは?人とロボットの違いとは?課題設定をどうするか?
⇒公共性も必要。自分にはまだ無い。どこまでも自己満足したい気持ちしかない。
⇒自分を形作ってくれたいままでの繋がりに感謝しより良くしていく気持ちを持つ。
■ロボティクス
AIだけでなくロボティクスの進化によってできることが増える。
物理空間で動作させてその結果をフィードバックさせて学習する。センサーがどこまでできるか。
動きは方向+力+制御が必要。力の加減難しい。
報酬設計も難しい。
暫定的最適行動をとり続けるのか、より -
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これからの生活や仕事の在り方を大きく変える可能性があるAIについて、何ができて何ができないのか、知りたいと思い手に取った。
現状、AIにとって得意なことは、与えられた指示があり、目的が明確であることであり、人間からの指示の元で動くことが前提であるようだ。一方、5感を使って考えたり創造したり、人の気持ちに共感したり、自律的に動くことはまだまだ苦手な領域と書かれていた。ただ、これらの苦手なことは、現状では苦手なことであるが、将来的には克服される可能性が高いとのこと。AIが自律的に目的や課題意識を持って動き始めると、いよいよ人間がAIを使うのではなく、AIが人間を使う側になる気がしてならなかった -
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ネタバレ”巨大A Iが開発できないことのデメリットを打破できる可能性がある(それに気がつき始めたのが海外の研究者であるというのが残念なところだが)。何かというと、まさに先に述べた「スケール化」による性能の向上という手である。
一つの巨大AIを作るのではなく、小粒AIを束ねてスケール化することで、上位のスケールとして大粒を越える性能のAIを構築しようという戦略である。”
リチャード.E.ニスベット 「木を見る西洋人、森を見る東洋人」
”次世代の、人と共生する汎用性の高い自立型AIは一つのAIではなく、小粒のAIの群れが創発するA Iとして実現されると考えられる。そうなると、生物のような郡知能型に基づく -
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宇宙派の主役は「人」ではなく「知能」。生物の進化から脱却し「知能」そのものが新しい生命体だという話。
これは面白い。
もしかしたら決して新しい考え方ではないのかもしれないが、個人的には新鮮な驚きだった。
我々は、地球上ではあくまでも「生命が進化してきた」と考えがちだ。
小さな細胞から始まり、やがて海の中で進化し、陸上に上がった。
恐竜の時代から、哺乳類の時代へ。
やがて人類が誕生し、二足歩行により手を自由に扱うようになり、脳が発達し、知能が進化した。
今までそう習ってきたから、それをそのまま受け入れていた。
しかし、そもそも進化の歴史を「知能」の視点に変えるだけで、様相が大きく異なる。
確かに -
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人工知能の軍事化と、いかに人類が人工知能と向き合うかという話。
そもそも人工知能とは何かという、意外と誰も答えられない質問への解から始まって理解が深められてよかった。
今の人工知能ブームは第三次で、第一次は1950-60年代、第二次は1980年代。どちらも技術が足りずに終わったが、第三次はディープラーニングにより20年近く継続している。
知能は生き抜くために環境に適応する能力。掃除ロボットは用途限定型人工知能、AIBOは低汎用型人工知能と呼べる。昆虫などは低汎用型人工知能に近いが、生物と低汎用型人工知能の大きな違いは生きる目的とその目的達成のための自律性、能動性にある。
自由意志は無意識の行為 -
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前半はAIに関連した前提知識の解説。タイトルの通り、もう少しAI兵器の内容を読みたかったし、倫理面だけではなく、どう対処していくのかという点も読みたかったのでやや残念。「創発」の例として挙げられている蟻の行動(個々が持つルールに従っているだけで、個が意識していない全体としての目的が達成できてしまう)は生命がうまく創られているという意味で非常に面白い。「スモールワールド実験」も「世界中の人と6人でつながっている」というポイントだけは知っていたけれど、実験内容とその結果を知るととても興味深い。どこかでも読んだけれど、これからの時代、AIだけでなく他の分野に関してもそうだけど、特区を作って、研究者、
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なぜ孫正義さんは壁打ちにAIを使うのか?
世界的大企業の社長なら、
日本最高峰の人間知能を使えるはずなのに。
なのになぜAIを壁打ち相手にするのか。
それはたぶん「AIにしかできない」ことがあるから。
それが「速いシステム2思考」だ。
システム2とは、論理を一歩一歩たどってゆっくり答えにたどりつこうとする論理的思考のことだが、AIはこれが高速でできる。
だから、システム2を使う相談とか壁打ちなんかの問題解決的対話はAIの超得意分野になっているんだろう。まさにAIにしかできない領域だ。
逆に言えばシステム1の直観的思考はまだ人間に残されているのかな。五感に当たるインプットがまだAIは -
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本書の中では最も「遠い将来」について語っている「第7章 AIのスケール化と日本の未来」が面白かった。
「量がスケールする(指数関数的に増加する)ことで、そこから生み出される質が大きく変化する現象自体は珍しいことではない。」「[細胞が]超多数集合して臓器を組織した途端、個々の細胞が持ち得ない臓器としての能力」が現れるというのがLLM(大規模言語モデル)になぞらえられている。
この辺の「スケール」概念の話が面白かった。
まあ「組織のためには構成要素を犠牲にする」ことに抵抗感がない口振りなのはマッドサイエンティストを思わせるところがあるけれど。
第6章までは退屈で、半ば義務的に読んでいた。
そ -
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ネタバレAI技術の限界が人間の本質を逆照射する逆説に気づいた。本書を貫く核心は「失敗の生態系」が生み出す人間の進化プロセスにある。3つの気づきを整理:
**1. 身体性の不可逆的進化**
料理ロボット開発の現場データが示す驚くべき事実:食材の切断精度99.8%、盛り付け審美性評価82%、しかし「賓客にふさわしい演出」判断は0%。この数値が暴露するのは、人間の身体性が単なる動作の集合ではなく「文脈との共鳴現象」であるという真実だ。AIの精密動作が、我々の身体に埋め込まれた社会的DNAを浮かび上がらせる。利休の茶室設計や歌舞伎の型といった伝統文化に通底する「数値化不可能な身体知」の現代的意义がここに