岬龍一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ第6章 礼ー仁・義をもって型となす
「茶の湯は精神修行の実践様式」
目次をパラパラめくっていたら、この言葉に強く惹かれたため、最初に読んでみた。
友人の母が茶道を嗜んでいたため、私も幼い頃から茶道に触れる機会があった。
特に感銘を受けた言葉は、以下の通りである。(以下引用)
「茶の湯の基本である心の平静さ、感情の静謐さ、立ち居振る舞いの落ち着きと優雅さは、正しき思索とまっとうな感情の第一要件である。
騒がしい世俗の喧噪から離れた、塵ひとつない茶室の清潔さは、それだけで私たちの心から現実を忘れさせてくれる。」
「茶の湯は趣を極限まで洗練させることが目的であり、そのためにはいかなる虚飾も -
Posted by ブクログ
武士道という日本国民に根づく思想を体系化した唯一の思想書。
武士道は日本人の中に深く根付いている考えであるが、教義もないため成文化されていない。権力を持っている者ほど質素に自分を律して生きなければならないという武士の考えが根底にある。
武士道の根幹を成すのは「義」である。これは過去の偉人である西郷隆盛や吉田松陰にも表れており、不合理だとしても正義を通すことである。自分への不都合や時には生命よりも自分に対する信念、正義を優先させる。これは切腹という文化にも表れている。
自分の利益よりも正義を優先する「義」が最も難しく、それを武士は常に守ることを要求されてきた。それにより育まれ、それを見 -
Posted by ブクログ
この本は日清・日露戦争中、日本の武士道精神を西洋に紹介することで、日本の国際的地位向上を図ることが狙いで、いわば「広報」的な目的を持って書かれた本。
世界で日本といえば「サムライ」という言葉が出てきますが、この本によるものだったのですね。
なんならこの本によってルーズベルトが日本びいきになり、日露戦争の調停役になったというのだから胸熱。『武士道』の「その功績、三軍の将に匹敵する」と後書き解説にも書いてあります。そんな本をすっかり平和な時代の日本で読んでいる、というのも感慨深い。。。
ちなみに岡倉天心の『茶の本』も同じ時期に日本の文化や精神性を広めるために書かれている本です。日本が近代化を進め -
Posted by ブクログ
小宮一慶先生著書からのリファレンス。全然、想像していた内容と違っていた。ノルマン人支配下のイギリス、ウィルヘルム二世配下のドイツ、はたまたギリシア神話にいたるまで深い欧米の歴史に関する知見をして、飽くまで武士道の輪郭を客観的に浮き立たせていきます。この書籍の序文が書かれた1899年の約10年前、新渡戸博士はベルギーの法学者ド・ラブレー氏と数日過ごした折、日本の学校に宗教教育がないことに驚かれてしまう経験があり、以降の葛藤が本書著作のきっかけであったと述べられています。
これが誰に当てられた著作であったか。そう思いを巡らせてみれば、他ならぬ日本人であることに理解を得ながら世界に出ることを求められ -
Posted by ブクログ
福沢さん、サイコーです。100年以上も前に書かれたはずの内容が新鮮に感じます。
当時、諭吉さんが国民に訴えていたことが、現代の国民に対してもまだ通じると思ってしまったのがちょっと残念です。
日本は経済大国と言われるまでに成長してきたが、それはごく一部の賢者たちのおかげにすぎない。
当時も今も大半の国民は、受け身でなんらかわっていないのですね。。。
自分もまだまだだけど、家族や友達、職場の人も自分のまわりみな独立精神が強くないようです。
この国の国民性と言ってしまえばそれきりですが、自分は少しずつ自分の道を歩いていけたらと改めておもえてうれしいです。
良書です。 -
Posted by ブクログ
私は、慶應出でも大分出でもないが、
以前から、福沢諭吉という人に興味を持っており、いつか読んでみようと思いつつも、私が果たして明治時代の書物を読んで理解できるかどうか…というところに疑問をいだいていたのだが、そんな私に、ぴったりの本。
福沢と勝とどちらが、どうというのは、その時代に実際に生きていなかったので良くわからないのだが。
過去の偉人たちや出来事を一見批判していると思われる文章でも、福沢の真意というのを、わかりやすく解説してくれているこの岬さんも素晴らしいと思う。
そして、この岬さんと言う方も、またお国は知らないが、諭吉と違う、慶應ではなく、早稲田出身というところが、またとても信頼できる