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かつての日本には、わが国固有の伝統精神があった。武士道もそのひとつである。それは、新渡戸稲造が1899年に英文で『武士道』を発表し、世界的な大反響を巻き起こしたことでもわかる。当時の日本は、まさに文明開化の真っ只中であった。怒涛の如く押し寄せる西洋の新しい価値観によって、社会全体がことごとく西洋化していった。その変わりゆく姿を見て、新渡戸稲造は「日本人とはなにか」を問い直そうと考え始めた。そして彼は失われゆく日本の伝統精神を振り返ったとき、「武士道」こそが、日本人の精神的支柱であり、それを世界に広く紹介することが日本のためになると考えた。本書はその現代語訳である。発刊当時の明治期と同様、現代の私たちは急速な国際化の中で、日本人のアイデンティティを見失いつつある。今こそ私たちはもう一度「日本人とはなにか」を問い直す時期にきているのではないか。倫理観・道徳観を改めて考えることができる格好の書。
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Posted by ブクログ
日本人とは何か?を知る事の出来る本
新渡戸稲造がこの本を発表した過去と現在では価値が異なる。
過去➡️外国人に対して日本人を紹介する本
現在➡️道=軸を見失った我々の道標の本
外国は宗教が道徳を担っているが、大多数の日本人は無宗教…。道徳を軽んじてはいけない。
元々明文化されたものではなく、口伝や『しきたり』として伝わってきたものを文書化した新渡戸稲造の功績はデカい!
内容としては原文より解説の方が理解し易い。
義・勇・仁・礼・誠これを貫く為に命を賭けるのが武士道。
人に優しく、正直で嘘はつくな、卑怯な真似をするな、約束を守れ、弱い者イジメをするな、親孝行せよ、人と仲良くせよ。
これを実践出来ないことを『恥』とする文化が我々には必要なんだなと思う
Posted by ブクログ
武士道という日本国民に根づく思想を体系化した唯一の思想書。
武士道は日本人の中に深く根付いている考えであるが、教義もないため成文化されていない。権力を持っている者ほど質素に自分を律して生きなければならないという武士の考えが根底にある。
武士道の根幹を成すのは「義」である。これは過去の偉人である西郷隆盛や吉田松陰にも表れており、不合理だとしても正義を通すことである。自分への不都合や時には生命よりも自分に対する信念、正義を優先させる。これは切腹という文化にも表れている。
自分の利益よりも正義を優先する「義」が最も難しく、それを武士は常に守ることを要求されてきた。それにより育まれ、それを見ていた大衆にも伝わったのが武士道である。
富や名声よりも「名誉」を最も重んじる武士道、この信念を資本主義の中でも忘れてはならない。世相も変わってきており、軽視されつつあるがそれこそが日本人の持つ誇らしき思想であると感じる。
Posted by ブクログ
この本は日清・日露戦争中、日本の武士道精神を西洋に紹介することで、日本の国際的地位向上を図ることが狙いで、いわば「広報」的な目的を持って書かれた本。
世界で日本といえば「サムライ」という言葉が出てきますが、この本によるものだったのですね。
なんならこの本によってルーズベルトが日本びいきになり、日露戦争の調停役になったというのだから胸熱。『武士道』の「その功績、三軍の将に匹敵する」と後書き解説にも書いてあります。そんな本をすっかり平和な時代の日本で読んでいる、というのも感慨深い。。。
ちなみに岡倉天心の『茶の本』も同じ時期に日本の文化や精神性を広めるために書かれている本です。日本が近代化を進め世界と対等になるために、自国の文化を発信する。海外の技術や文化をなんでもかんでも取り入れていただけではなかったんですね。
ちなみに『武士道』は「切腹」など海外から見たら独特に見える作法の元となる考え方を、海外で有名な書籍などから同じもの(あるいは対比できるもの)を引用して説明しているので、海外の人からも分かりやすかったと思います。
切腹の様子を描写しているところはぜひ読んでみてください。「はわぁゎぁ〜(T ^ T)」となります。
Posted by ブクログ
新渡戸稲造「武士道」について書く。今回読んだのは1899年にアメリカで出版された新渡戸稲造「武士道」"BUSHIDO The soul of japan"の現代語訳だ。訳者は人間学の講師を生業とする岬龍一郎氏だ。本書の正式なタイトルは「いま、拠って立つべき"日本の精神" 武士道」であって、日本の精神が強調されているのは原著の題名にある"The soul of japan"を訳したものだと思われる。本書が描かれた歴史的背景だが、明治維新から30年程度の年月が経過して、日本の国際的地位が固められる最中だった。しかし永続主義や封建主義を続けていたにも関わらず、革命に端を発してみるみるうちに進歩していく、日本の特異性に世界が目を向けた時期だ。その後の日露戦争で日本は白人国家であるロシアを破り、黄喎論という形で人種的な偏見を受ける羽目になる。当時本書が出版された際は非常に好評であったそうだが、そうした偏見が強まるにつれて本書も侮蔑の対象とされた。武士道は自虐的であり、日本人は生来の残酷的な本能を抑制できないとまで語られた。しかし侮蔑の対象になるということは本書が描いた戦前の日本人の気質というのは、まさに概ね正しかったということだろう。それにしても驚愕したのは、本書で描かれる武士道は、全てにおいて我が家の祖母にその影が見えるという点だった。それもそのはずで、祖母は武家の出であるから、幼少期からの教育や気質が異なるのだろう。しかしその気質は子供たちには引き継がれていない。また、本書の卓越した点として、西洋哲学と比較している点も面白い。武士道のみに注視するのではなく、より相対的な思想として、観念として説いているため、本来なら日本人の特異性を示す根拠にはならないだろうに、偏見というのは恐ろしい。最後に少量だけ描かれた訳者の解説は、解説にしては主張の激しいものであったが、昨今の裏金騒動の中で聞く分には心地よかった。歴史的な資料であるだけでなく、内容も非常に素晴らしいものだった。
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